ISD条項とは?

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ISD条項

読み方:アイエスディーじょうこう
別名:投資家対国家の紛争解決投資家対国家の紛争解決制度ISDS条項
英語:Investor State Dispute SettlementISDSISD

外国人投資家投資受け入れ国との間で生じた紛争解決する手段として、国家間の協定等に盛り込まれれる条項自由貿易協定FTA)などを締結した国家間において、外国企業相手国政府から不当差別され不利益を被った場合などに、相手国政府を相手取って訴訟起こすことを可能とする。

ISD条項がない通常の場合では、外国人投資家投資受け入れ国との間に紛争が生じた際には、投資受け入れ国側の裁判所において訴訟手続きを行う必要がある。ISD条項があることで、相手国の国内裁判所経由せずに訴訟手続きを進めることが可能となる。

2010年代初頭から本格的議論が進められている「TPP」(環太平洋経済連携協定)にも、ISD条項が盛り込まれるものと推測する見方が多い。TPPにおけるISD条項の追加は、「ラチェット規定と共にTPP慎重派TPPへの参加懸念する理由一つとなっている。


投資家対国家の紛争解決

(ISD条項 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/12/08 20:21 UTC 版)

投資家対国家の紛争解決(とうしかたいこっかのふんそうかいけつ)とは、投資受入国の協定違反によって投資家[† 1]が受けた損害を、金銭等により賠償する手続を定めた条項である[1]英語では Investor-State Dispute Settlement, ISDS と言われ、国際的な投資関連協定でこれを規定する条項は「ISDS条項」または「ISD条項」と呼ばれる。国内法を援用した締結済条約の不履行は慣習国際法(国家責任条文32条に反映[1])および条約法に関するウィーン条約27条で認められておらず[2][3]、適用法規は国際法であることが多いため[2]、国内法に基づいた司法的判断と異なる結果となる場合がある。




注釈

  1. ^ どの程度具体的な投資にコミットすれば「投資家」として保護されるかという点については検討を要する。伊藤一頼. “投資財産および投資家の定義に関する論点の検討 (PDF)”. 2011年11月11日閲覧。
  2. ^ William S. Dodge. “Investor-State Dispute Settlement between developed countries: Reflections on the Australia-United States Free Trade Agreement (PDF)”. 2011年11月12日閲覧。途上国とは異なる側面として、先進国間で直接的な請求を認めれば不可避的に相手国に対する請求が発生し、また、先進国には国際投資紛争を迅速かつ偏見なく処理できる成熟した司法制度が整っている点を挙げている。
  3. ^ 国際化学物質簡潔評価文書 (PDF) (国立医薬品食品衛生研究所安全情報部)によると、2004年の世界保健機関の国際化学物質簡潔評価文書では、環境中マンガンの主要な人為的発生源は、都市下水の排出、下水汚泥、採鉱・選鉱、合金・スチール・鉄の製造による排出、化石燃料の燃焼であるとし、燃料添加剤の燃焼による排出は量ははるかに少ない、大気中のマンガンの主な発生源は地殻岩石、土壌へ放出されるマンガンの主な発生源は地上投棄されるマンガン含有廃棄物で、環境へのマンガン化合物の影響についてはこれまで国際機関による評価はなかったとしている
  4. ^ 2011年不公正貿易報告書第13章政府調達 (PDF) (経済産業省)によると、1995年、カナダ連邦政府は、全10州との間で政府調達分野における他州産品及び他州の供給者との差別の禁止を規定したAgreement on Internal Tradeを締結している。ただし、同協定は外国系企業、外国産品には適用されない。
  5. ^ 国際慣習法上、国家は、外国人に「最低基準」の待遇を供与する義務を負うとされている。小寺彰. “投資協定における「公正かつ衡平な待遇」-投資協定上の一般的条項の機能”. 2011年11月12日閲覧。
  6. ^ ICSCDに基づく解決を選択すれば、その仲裁判断は自動的に承認・執行され、執行に対する抗弁や、相手国内の執行裁判所における検討も不要。 岩月直樹. “国際投資仲裁における管轄権に対する抗弁とその処理 (PDF)”. 2011年11月12日閲覧。,ロバート・T. グレイグ、クローディア・アナカー. “二国間投資協定はいかにして日本の投資家を保護できるか”. 2011年11月12日閲覧。
  7. ^ こういった弁護士費用も含めた費用よりも請求による補償額の方が少額になる場合もある。PSEG社対トルコの事件では、弁護士費用も合わせた費用の総額は約2100万ドルに上り、このうちトルコが負担すべきとされた費用は、総コストの65%にあたる1350万ドルであった。これに対してトルコに命じられた補償額は910万ドルであった。ICSID. “Award (January 19, 2007): PSEG Global Inc. and Konya Ilgin Elektrik Üretim ve Ticaret Limited Sirketi v. Republic of Turkey (ICSID Case No. ARB/02/5)”. 2011年11月12日閲覧。

出典

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  2. ^ a b c d e f 投資協定仲裁手続のインセンティブ設計経済産業研究所
  3. ^ NAFTAやエネルギー憲章条約等、多数国間の投資協定も含める場合には、国際投資協定(IIA: International Investment Agreement)の語が適切である。
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  53. ^ 外交部「盧政府FTA草案にもISDが含まれている」東亞日報
  54. ^ 2018.03.08 ついに米国もISDS否定~世界に取り残された、哀れな日本日本共同組合新聞公式サイト


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