推進派の政党
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「日本のTPP交渉及び諸議論」の記事における「推進派の政党」の解説
自由民主党 党首脳部及び2012年12月に組閣された第2次安倍内閣は日本のTPP交渉参加を推進している。反対派の議員らはTPP参加の即時撤回を求める会を結成しているが、後に「TPP交渉における国益を守り抜く会」に変更している。 自民党は、2012年11月21日に発表した選挙公約で「(1)聖域なき関税撤廃を前提にする限り、交渉参加に反対する」、(2)自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。(3)国民皆保険制度を守る。(4)食の安全安心の基準を守る。(5)国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。(6)政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。」の6項目を公約した。2011年11月8日の総務会で、TPP参加について十分に議論して判断すべきとして、APEC首脳会議での首相・野田の交渉参加表明に反対するという党方針を決定した が、TPP参加の是非には全く触れていない。 2012年12月に行われた第46回衆議院議員総選挙の結果、民主党政権が退陣して自民党政権が再建。この選挙では自民党衆議院議員のほとんどが反対を唱えて当選を果たしている。2013年2月の時点では自民党議員で作る反対派の議員連盟「TPP参加の即時撤回を求める会」に236人(全議員の62%)が参加していた。 第46回衆議院議員総選挙で自民党の党本部は「聖域なき関税撤廃を前提にする限り、交渉参加に反対する」と選挙公約に記載した。ただし地方選出の議員の中には、さらに踏み込んではっきりと交渉参加反対と明言したものもいる。中には「ウソつかない・TPP断固反対・ブレない・日本を耕す自民党!!」という文言を入れた政党ポスターを制作した支部もある。 2013年2月に行われた日米首脳会談の結果「一方的に全ての関税撤廃をあらかじめ約束することを求められるものではない」と全関税の撤廃ではなく例外となる分野を認めるという条件で安倍、オバマ両首脳は日本がTPPの交渉参加を行うことに合意した。これを受けて安倍首相は「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になった」と述べた。また、他の5項目も必ず守ると記者会見で約束した。推進派党内の推進派は「貿易自由化と農林水産業振興の両立に関する研究会」(中川秀直会長)という議員連盟を設立している。研究会は2011年10月27日に農業分野の改革案を発表した。これによると日本のTPP参加は、農作物の輸出促進につながり、貿易自由化と農業振興は両立できるため「TPP参加は日本にとって不利ではない」と結論づけている。 石破茂衆議院議員はTPP交渉について「参加しない選択はあり得ない」と述べ、交渉参加に賛成する考えを示した。 「TPP交渉参加表明に反対する決議案」が衆議院議院運営委員会に提出された際、同委員会の委員である小泉進次郎衆議院議員が「決議案には賛成できない」 と発言するなど、TPP交渉への参加を推進する立場を崩さなかったため、委員を交代させられた。 推進派の主な議員 - 安倍晋三、河野太郎、石破茂、小泉進次郎、菅義偉 反対派自民党のTPP反対派は「TPP参加の即時撤回を求める会」(森山裕会長)を設立した。この議員連盟には衆参合わせて117人の議員が参加していた。 2011年10月25日、全国農業協同組合中央会(JA全中)が「環太平洋連携協定(TPP)交渉参加に反対する請願」を衆参両院議長に提出した。この請願に賛同する自民党所属の議員は166人である。賛同議員の中には大島理森副総裁など党執行部の議員も含まれている。 自民党が与党に復帰した2013年2月の時点では、自民党議員で作る反TPPの議員連盟「環太平洋経済連携協定(TPP)参加の即時撤回を求める会」に236人が参加している。しかし2013年3月には「TPP交渉における国益を守り抜く会」に変更されている。 自民党の政務調査会の一つである総合農政・貿易調査会(加藤紘一会長)は2011年10月25日の会合で、TPPへの参加反対を決議した。 自民党がTPP参加を論議するために設立した「外交・経済連携調査会」(高村正彦会長)の会合では、交渉参加に反対する立場で党内の意見集約を図るよう求める意見が相次いでいる。 しんぶん赤旗の調べによると自民党の北海道、青森、岩手、福島、沖縄の各道県連は、日本のTPP参加について反対を表明しているという。 反対派の主な議員 - 小野寺五典、西田昌司、町村信孝、大島理森、稲田朋美、江藤拓 公明党 公明党は、日本のTPP参加に慎重である。東京の日比谷公会堂で2011年10月26日に行われた「TPP交渉参加に反対し日本の食と暮らし・いのちを守る全国決起集会」に井上義久幹事長が登壇し党幹部として反対を初めて正式に表明した。 全国農業協同組合中央会(JA全中)が衆参両院議長に提出した「環太平洋連携協定(TPP)交渉参加に反対する請願」には公明党所属の25名が賛同議員として名を連ねている。この中には、党の要役である井上幹事長も含まれている。 しかし、2012年12月に行われた第46回衆議院議員総選挙の結果、民主党政権が退陣して自民党政権が再建第2次安倍内閣発足以降、同党はTPP推進派に転じている。 日本維新の会 日本維新の会は日本のTPP参加に賛成している。第46回衆議院議員総選挙に向けて作成した党の公約にも「TPP参加」と記している。 日本維新の会の石原慎太郎代表は交渉参加について「原則的に賛成だ」と述べた上で、「全面的に何もかも自由化するのは危険だ。部分、部分について討論したらいい」と主張している。 ただし平沼赳夫など旧太陽系の党員の中にはTPPに対して慎重な姿勢をとる者もいる。 みんなの党 みんなの党は、日本のTPP参加に賛成している。 みんなの党の農業アジェンダでは、TPP参加表明後に、関税撤廃までの間に「平成の農業改革」を行いGDP30兆円産業を目指すとしている。 TPP推進の理由として江田憲司幹事長は、「資源に乏しく、人材と技術を駆使し「貿易立国」で国を開いて生きていくしかない日本にとって、TPP(環太平洋経済連携協定)への早急な参加は必要不可欠である」と主張している。農業政策については「我が国農業の足腰を強くし、農業を将来にわたって、成長・輸出産業に育てあげていくことだ」とする。 例外として川田龍平参議院議員は、TPP参加で日本の国民皆保険制度が崩れかねないとして、慎重である。
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