ISDNテレビ電話機
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/01 04:56 UTC 版)
ISDNにおいては、開発当初からテレビ電話を想定し、音声・映像各64Kbpsで2チャネルという帯域が決定された。 カメラ付き携帯電話端末を利用したテレビ電話と比較した場合の優位点としては、一番に画像の鮮明さ(解像度)と画面の大きさがあげられる。主なISDNテレビ電話においては704×408ドット(最大)の画像を扱う事ができるようになっている。このため搭載される液晶モニターも5インチ大のものが主力であり複数人での同時通話にも適している。中には家庭用テレビに接続できる(または別途テレビを必要とする)製品もある。ISDN回線を利用したテレビ電話も量産機が開発された当時は静止画が主力だったが、画像圧縮技術の進歩や高速なプロセッサが開発されたこととINS64の2Bチャネルを利用し、その1/5の帯域をADPCM音声(通話)に、4/5を動画とバランスよく配分する事で比較的ストレスの無い動画と音声の送受信を行えるようになった(ITU-Tにおける国際規格上はPCMのみとなり、その場合は音声1/3、動画2/3の帯域配分となる)。 一般的なISDNテレビ電話端末では秒間15フレーム(最大)を実現しており、30万画素程度の解像度を持つカメラを搭載する。ISDNの特性(デジタル回線交換)から送受信時のデータの損失がほとんど無いため、環境に依存せず、開発時に見込まれた動作を忠実に再現できるのも大きな特徴である。 多くの製品は通常の電話機に液晶モニターとカメラが組み込まれた形状をしている場合が多く、テレビ電話としては最も一般的で完成された形を見る事ができる。通信方式もほぼ規格が確立され、各メーカー間である程度統一されており、片側64Kの通信速度を利用した静止画や低画素の下位通信方式にも対応できるようにしたため、アナログ方式のテレビ電話とも通信できる製品が多い。 1990年にITU-T H.261(画像圧縮の国際規格)が提唱された事を受け開発が進められ、2000年代以降、医療、教育、マスメディアの現場を中心に急速に普及した。 こうした際に使用される代表的な機種として三菱電機がNTTにOEM供給した廉価端末のPhoenix miniがあり、上位機種としては日立製作所がNTTに PICSEND-Rの名称でOEM供給を行ったHV-300、HV-31等もある。後者2機種はISDN固定テレビ電話における高級機に位置付けられている。さらにPhoenix miniの後継機としてFOMAとの連携を果したモデルも登場している(ただし、対FOMA通信における動画はFOMA側の網品質に依存するため、かなり低速かつ不鮮明になる)。 ほぼ全てのモデルが多地点会議に対応しており、HV-31等一部の高級モデルには特定端末自体がホストとなり、それぞれの端末を掌握して特別なサービスを介する事無くテレビ会議が行えるようにした製品もある。
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