31条の6第3項及び45条2項による要請・指示
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/29 02:57 UTC 版)
「新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく休業 (2020年-2021年)」の記事における「31条の6第3項及び45条2項による要請・指示」の解説
ここでは、45条による要請・指示について、最初の発動までの経緯、発動見送りについて文章で記述し、各都道府県による発動及びその公表については表でまとめることとする。45条による要請・指示の対象はパチンコ店と報道されているが、要請・指示には基本的に施設名を記載しており、業種が完全に公的に確認できる状態ではない。2020年5月14日に島根県が、休業要請をした際に、「業種は、ネットカフェ。内閣官房によると、パチンコ店以外の店名の公表は全国で初めて。」と報道された。またまん延防止等重点措置の導入後における31条の6第3項に基づく指示についても内容が類似するのでここでまとめることとする。 2020年4月23日、共同通信は「大阪府が休業要請に応じない大型パチンコ店の施設名を24日に公表する最終手続きに入った。営業を続ける複数の店舗に対し、要請に応じなければ公表対象とする方針を電話や文書で通告した。吉村洋文知事が行政上の必要な手続きを定めた国のガイドライン(指針)を踏まえて決定し、府のホームページに掲載する」と報道した。 2020年4月24日、NHKは「休業要請に応じず、営業を続けている大阪府内の11のパチンコ店に対し、大阪府が23日までに文書で休業を要請、24日も要請に応じずに営業を続けた場合、強い要請、店名の公表に踏み切る方針」と報道した。 大阪府は2020年4月24日、全国で初めて、第45条第2項の規定に基づく施設の使用停止(休業) の要請を行いこれを公表した。大阪府の発表では施設の種類については記載がないが、各報道はパチンコ店と伝えている。 東京都については、2020年4月27日現在において、営業が継続しているパチンコ店について「28日以降に新型コロナウイルス特別措置法45条に基づく強い効力を持つ要請に切り替え、店名の公表に踏み切る方針」との報道がされた。その後28日なって「東京都の小池百合子知事は28日、都内で営業を続けるパチンコ店が28日正午前の時点でなくなったと明らかにした。」と報道された。そのため東京都による新型コロナウイルス特別措置法45条に基づく要請及びその公表はされていなかったがその後5月9日以降、要請を行った(表を参照)。 中日新聞は愛知県が、「休業要請に応じていなかった県内のパチンコ店4店舗はいずれも2日正午までに休業に入った。県は当初、法に基づく休業指示を行う方針だったが、同日、これを見送ることとした」と発表したと報道した。この発表についての知事の記者会見は、動画で愛知県HPに掲載(「ユーチューブ」に掲載の旨)された。 北海道は、2020年5月8日付でHPにおいて「昨日、営業を行っていたパチンコ店(24店舗)に対し、新型インフルエンザ等特別対策措置法第45条第2項の規定に基づく要請の「事前通知」を行いましたが、本日午後、実地調査を行い、全ての対象施設が休業にご協力をいただいていることを確認」と発表した。しかしその後営業再開があり、5月10日に要請を行った(表を参照)。 2020年5月14日付の島根県発表分では、初めてパチンコ店以外の業態が45条2項に基づく休業要請の対象になり、松江市内で営業していたインターネットカフェ1店舗が公表対象となった。しかし、同日中に政府が島根県を含む全国39県について緊急事態宣言の解除を決定したことから、当日中に要請が解除された。 2021年2月の法改正以後、業態全体に対する要請を、依然として第24条第9項に基づくとする東京都、埼玉県と第45条第2項に基づくとする神奈川県、千葉県とに分かれている。この記事では、連続性等の考慮から前述の24条9項による要請にまとめてある。また、2021年3月に緊急事態宣言が解除され、4月に東京都に再度発動されたが、このときから東京都業態全体に対する要請を第45条第2項に基づき行っている。ただし第45条第3項の命令の前に、遵守していない個々の施設に対し、第45条第2項に基づき再度要請をしている。 2021年1月からの緊急事態宣言のもとで、2月26日に東京都が、第45条第2項の規定に基づく施設の使用停止(休業) の要請を行った。対象の業種は「飲食店、遊興施設等」と発表している。更に、3月3日、3月5日、3月18日に追加の要請を行っている。3月18日に第45条第2項に基づく要請に応じず、施設の使用を継続している27施設について、第45条第3項に基づく施設の使用制限の命令を発し、3月3月19日には更に5施設について、第45条第3項に基づく施設の使用制限の命令を発した。 東京都の休業命令に対して、3月18日の命令の対象になった27店舗のうち26店舗を運営する飲食チェーン「グローバルダイニング」が、命令は違法だとして、都に損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こすことが、3月20日に報道された。正式の提訴は3月22日にされると報道されている。22日の提訴後の報道では、損害賠償請求額を104円であり、長谷川社長は「提訴したのはお金の問題ではなかったので、弁護団にお任せした」と話す。弁護団の説明によると、1店舗あたり1日1円の損害賠償を請求する計算で、26店舗の4日分として、104円としたとなっている。この報道では、更に、グローバルダイニングの主張として「1つは都内で2000店舗以上が営業時間短縮の要請に協力しなかったにもかかわらず、命令を出した店舗のほとんどがグローバルダイニングの店舗であること。もう1つは、グローバルダイニングが行政指導に応じない考えなどをネット上で発信したことを理由に、東京都が命令を出したことだ。」と伝えている。東京都の通知は、「対象施設は、20時以降も対象施設を使用して飲食店の営業を継続し、客の来店を促すことで、飲食につながる人の流れを増大させ、市中の感染リスクを高めている。加えて、緊急事態宣言に応じない旨を強く発信するなど、他の飲食店の20時以降の営業継続を誘発するおそれがある」となっており、これについては東京スポーツが、元衆院議員で弁護士の横粂勝仁氏のコメントとして「法的には余計な文言と言わざるを得ません。目を疑いました。命令を出した理由が『発信』にあるという“本心”が、こうした文書に残っていることで、命令が不当な法律の運用だったと裁判所に認定されることにもなりかねません」「余計なことを書かずに、粛々と命令をしていれば、見せしめと言われても『恣意的じゃない』と言えた。法の運用を知らない人が感情的に文書を作ってしまったのか」「それでも原告にとってハードルの高い裁判ですが、法の運用がおかしいとなれば小池氏の政治責任となるでしょう」と報道した。 2021年3月29日、東京都は営業時間短縮命令を出した飲食店のうち、4店が営業を継続していたことが確認できたとして、新型インフルエンザ等対策特別措置法第79条に基づく過料を課すように、裁判所に対して非訟事件手続法に基づく手続きを行った。 神奈川県は2月26日に、時間短縮に応じていない県内42店舗に対して、第45条第2項に基づく措置として要請文書を送付したと発表した。前述のとおり、2月13日の改正法施行以後、神奈川県は、第45条第2項に基づく措置として、業態全体に対して時間短縮の要請を行っており、これらの文書送付は新たな措置としてではなく、応じていない業者に個別に要請に応じるように再度求めたという性格のものである。その後、3月2日に33店舗、3日に11店舗に追加で同様の文書を送付した。いずれも店名公表は見送った。さらに、9日に応じていない73店舗に再度郵送し、12日の送付を含めて合計98店舗となった。また、16日にも文書送付したうえで「命令には事前手続きが必要で、緊急事態宣言の期限である21日に間に合わない。」とした。 緊急事態措置の場合でも、まん延防止等重点措置の場合でも、時短営業や休業の要請に応じない場合に、命令を行うことができるのは、「新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため特に必要がある」(緊急事態宣言の場合。第45条第3項)、「国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある重点区域における新型インフルエンザ等のまん延を防止するため特に必要があると認めるとき」(まん延防止等重点措置の場合。第31条の6第3項)に限られる。この要件については、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室長からの2月12日付の文書において、「「特に必要があると認めるとき」に該当する状況は、必ずしも現に対象となる個別の施設においてクラスターが発生している必要はないが、例えば・ すでに同種の業態においてクラスターが多数発生していること・ 対象となる施設において、「3つの密」に当たる環境が発生し、又は、感染防止対策が極めて不十分であるなど、当該施設においてクラスターが発生するリスクが高まっていると確認できること・ 対象となる区域において、引き続き感染が継続しており、当該都道府県において感染が拡大するおそれが高まっていること」等が必要である」との見解が示されている。また4月9日の文書において、「クラスター発生状況・対象施設等の実態・重点区域の感染状況等に係る事実を十分把握の上、当該判断が社会通念上妥当といえるか十分考慮を行うこと。」「「特に必要があると認められる」との評価について合理的説明が可能であるか、個別施設に対して要請や命令を行う判断の考え方や基準について合理的説明が可能であり、公正性の観点からも説明ができるものになっているか、といった観点からも検討を行うこと」との見解が示されている。 第45条第2項の規定に基づく施設の使用停止(休業) の要請都道府県対象施設数要請年月日公表年月日出典備考27大阪府 6 2020年4月24日 2020年4月24日 2020年5月21日解除 27大阪府 3 2020年4月27日 2020年4月27日 2020年5月21日解除 28兵庫県 6 2020年4月27日 2020年4月27日 2020年5月21日解除 27大阪府 1 2020年4月28日 2020年4月28日 2020年5月21日解除 08茨城県 1 2020年4月28日 2020年4月28日 2020年5月14日解除 14神奈川県 6 2020年4月28日 2020年4月28日 2020年5月25日解除 10群馬県 9 2020年4月28日 2020年4月28日 2020年5月14日解除 40福岡県 6 2020年4月29日 2020年4月29日 2020年5月14日解除 04宮城県 2 2020年4月29日 2020年4月29日 2020年5月14日解除 09栃木県 6 2020年4月29日 2020年4月29日 2020年5月14日解除 23愛知県 6 2020年4月30日 2020年4月30日 2020年5月14日解除 26京都府 1 2020年4月29日 2020年4月29日 2020年5月21日解除 34広島県 1 2020年4月29日 2020年4月29日 2020年5月14日解除 15新潟県 5 2020年4月30日 2020年4月30日 2020年5月14日解除 12千葉県 3 2020年5月1日 2020年5月2日 2020年5月25日解除 12千葉県 1 2020年5月4日 2020年5月4日 2020年5月25日解除 10群馬県 1 2020年5月4日 2020年5月5日 2020年5月14日解除 20長野県 1 2020年5月4日 2020年5月4日 2020年5月14日解除 31鳥取県 13 2020年5月5日 2020年5月5日 2020年5月14日解除 13東京都 15 2020年5月9日 2020年5月9日 2020年5月25日解除 17石川県 2 2020年5月9日 2020年5月9日 2020年5月14日解除 35山口県 2 2020年5月9日 2020年5月9日 2020年5月14日解除 01北海道 6 2020年5月10日 2020年5月10日 2020年5月25日解除 13東京都 3 2020年5月11日 2020年5月11日 2020年5月14日解除 14神奈川県 20 2020年5月11日 2020年5月11日 2020年5月25日解除 13東京都 12 2020年5月12日 2020年5月12日 2020年5月14日解除 15新潟県 4 2020年5月13日 2020年5月13日 2020年5月14日解除 13東京都 3 2020年5月13日 2020年5月14日 2020年5月25日解除 32島根県 1 2020年5月14日 2020年5月14日 2020年5月14日解除 13東京都 4 2020年5月15日 2020年5月15日 2020年5月14日解除 13東京都 7 2020年5月16日 2020年5月16日 2020年5月25日解除 11埼玉県 123 2020年5月19日 2020年5月19日 2020年5月25日解除 13東京都 9 2020年5月20日 2020年5月20日 2020年5月25日解除 13東京都 3 2020年5月21日 2020年5月21日 2020年5月25日解除 13東京都 12 2020年5月23日 2020年5月23日 2020年5月25日解除 13東京都 34 2021年2月26日 2021年2月26日 2021年3月22日解除 13東京都 40 2021年3月3日 2021年3月3日 2021年3月22日解除 13東京都 39 2021年3月5日 2021年3月5日 2021年3月22日解除 13東京都 16 2021年3月18日 2021年3月18日 2021年3月22日解除 13東京都 37 2021年5月12日 2021年5月12日 2021年6月20日解除 13東京都 27 2021年5月17日 2021年5月17日 2021年6月20日解除 13東京都 33 2021年5月17日 2021年5月17日 2021年6月20日解除 13東京都 26 2021年5月21日 2021年5月21日 2021年6月20日解除 13東京都 14 2021年5月26日 2021年5月26日 2021年6月20日解除 13東京都 9 2021年5月26日 2021年5月26日 2021年6月20日解除 13東京都 3 2021年6月2日 2021年6月2日 2021年6月20日解除 13東京都 38 2021年6月9日 2021年6月9日 2021年6月20日解除 13東京都 91 2021年6月16日 2021年6月16日 2021年6月20日解除 13東京都 104 2021年7月21日 2021年7月21日 2020年10月1日解除 13東京都 108 2021年7月29日 2021年7月29日 2020年10月1日解除 13東京都 124 2021年8月4日 2021年8月4日 2020年10月1日解除 13東京都 221 2021年8月11日 2021年8月11日 2020年10月1日解除 13東京都 183 2021年8月18日 2021年8月18日 2020年10月1日解除 13東京都 200 2021年8月25日 2021年8月25日 2020年10月1日解除 13東京都 13 2021年8月26日 2021年8月26日 2020年10月1日解除 13東京都 109 2021年9月1日 2021年9月1日 2020年10月1日解除 第31条の6第1項の規定に基づく施設の使用停止(休業) の要請都道府県対象施設数要請年月日公表年月日出典備考13東京都 35 2021年6月23日 2021年6月23日 2021年7月12日解除 13東京都 21 2021年6月30日 2021年6月30日 2021年7月12日解除 13東京都 75 2021年7月8日 2021年7月8日 2021年7月12日解除 第45条第3項の規定に基づく施設の使用停止(休業)の指示・命令都道府県対象施設数第45条第2項に基づく要請年月日第45条第3項に基づく指示・命令年月日公表年月日出典備考28兵庫県 3 2020年4月27日 2020年5月1日 2020年5月1日 2020年5月21日解除 14神奈川県 1 2020年4月28日 2020年5月1日 2020年5月1日 2020年5月25日解除 15新潟県 2 2020年4月30日 2020年5月2日 2020年5月2日 2020年5月14日解除 12千葉県 1 2020年5月1日 2020年5月2日 2020年5月2日 2020年5月25日解除 40福岡県 6 2020年4月29日 2020年5月5日 2020年5月5日 2020年5月14日解除 13東京都 27 2021年3月18日 2021年3月18日 2021年3月22日解除 13東京都 16 2021年3月19日 2021年3月19日 2021年3月22日解除 13東京都 33 2021年5月12日 2021年5月17日 2021年5月17日 2021年6月20日解除 13東京都 8 2021年6月10日 2021年6月10日 2021年6月20日解除 13東京都 10 2021年6月17日 2021年6月17日 2021年6月20日解除 27大阪府 16 2021年4月25日 2021年5月31日 2021年5月31日 2021年6月20日解除 23愛知県 30 2021年5月12日 2021年6月10日 2021年6月10日 2021年6月20日解除 23愛知県 9 2021年5月12日 2021年6月16日 2021年6月16日 2021年6月20日解除 23愛知県 7 2021年5月12日 2021年6月17日 2021年6月17日 2021年6月20日解除 23愛知県 2 2021年5月12日 2021年6月18日 2021年6月18日 2021年6月20日解除 33岡山県 13 2021年5月16日 2021年6月11日 2021年6月12日 2021年6月20日解除 47沖縄県 63 2021年5月23日 2021年6月11日 2021年6月12日 2020年10月1日解除 47沖縄県 41 2021年5月23日 2021年6月18日 2021年6月18日 2020年10月1日解除 47沖縄県 25 2021年5月23日 2021年7月6日 2021年7月6日 2020年10月1日解除 47沖縄県 7 2021年5月23日 2021年7月28日 2021年7月28日 2020年10月1日解除 34広島県 13 2021年5月16日 2021年6月16日 2021年6月17日 2021年6月20日解除 04宮城県 51 2021年8月27日 2021年9月8日 2021年9月8日 2021年9月13日解除 12千葉県 26 2021年8月2日 2021年9月10日 2021年9月10日 2021年9月13日解除 第31条の6第3項の規定に基づく施設の使用停止(休業)の指示・命令都道府県対象施設数第31条の6第1項に基づく要請年月日第31条の6第3項に基づく指示・命令年月日公表年月日出典備考04宮城県 15 2021年4月5日 2021年5月7日 2021年5月7日 2020年5月12日解除 38愛媛県 2 2021年4月25日 2021年5月18日 2021年5月18日 2021年5月22日解除 11埼玉県 2 2021年6月9日 2021年6月9日 2020年6月20日解除 17石川県 14 2021年5月9日 2021年6月10日 2021年6月14日 2020年6月13日解除 11埼玉県 1 2021年6月16日 2021年6月16日 2021年8月2日解除 11埼玉県 5 2021年6月18日 2021年6月18日 さいたま市の1店舗を除き、2020年6月20日解除さいたま市の1店舗は、2021年8月2日解除 21岐阜県 5 2021年5月9日 2021年6月17日 2021年6月17日 2020年6月20日解除 13東京都 6 2021年7月6日 2021年7月6日 2021年7月12日解除 01北海道 35 2021年6月21日 2021年7月6日 2021年7月7日 2021年8月27日解除 01北海道 35 2021年8月2日 2021年8月24日 2021年8月25日 2021年8月27日解除 12千葉県 5 2021年7月12日 2021年7月12日 2021年8月1日解除 46鹿児島県 16 2021年8月20日 2021年9月13日 2021年9月13日 2020年10月1日解除
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