環境と生産量とは? わかりやすく解説

環境と生産量

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 14:43 UTC 版)

広島かき」の記事における「環境と生産量」の解説

太田川大橋周辺向こう側草津がある。見えているカキ用のもので、1960年代までこのような沿岸部主要な採苗地点であった宮島弥山から東方向大奈佐美島江田島能美島を望む。海上に浮かぶのはすべてカキ筏。沿岸部採苗できなくなって以降1970年代から1980年代にかけてこの海域が主要採苗地点であった1990年大黒神島1990年代以降定着した採苗地点であり、生食用カキ採取指定海域中でも屈指の海水透明度を誇る。 1990年阿多田島広島県唯一ハマチ養殖が行われているところで、島側がハマチ生簀、沖側がカキ筏。 2006年大崎上島。島の北西側に3箇所見える池が塩田跡で、カキ陸上養殖が行われている。 高度経済成長期全国的な規模公害問題となった1950年代以降広島カキその影響受けている。 1966年昭和41年) 、広島産の酢カキ原因推測される食中毒発生関東以西11都府県患者数1,596人、全員軽度腹痛下痢重症者0人死者0人。 これ以前には小規模食中毒発生していたが、大規模なものは初めであった当時いくつかの衛生研究所感染経緯調査したが、結局原因特定するには至らなかった。この時代都市化工業化および下水道未発達のため海域汚染増えていたことに加え海域検査基準未整備であったため、発生した推察されている。 この食中毒事件契機となり、翌1967年昭和42年)国は「生食用かきの成分規格加工基準および保存基準」を作成し細菌数大腸菌最確数の成分規格基準パッケージ生食用/加熱調理用の明示など、現在の生食カキに関する規格基準作られた。また県は清浄対策推進本部設置様々な施策指導が行われ、例えば県独自の生食用かき採取海域つまり大腸菌群最確数を基準として指定海域条件付き指定海域策定した1973年昭和48年)、豊田郡安浦町安芸津町(現呉市東広島市)および福山市松永湾でとれたカキから最高4.95ppmの高濃度カドミウム検出。県を中心に広島かき衛生対策協議会設置し対策した。 沿岸部から沖合採苗地点移し採苗普通になった1970年代から80年代にかけて、赤潮貧酸素水塊の発生、ムラサキイガイ・フジツボ類・カンザシゴカイ類・ホヤ類などの付着生物顕著となったため、1990年代には更に沖の島嶼部へと移っていった。 1990年代以降現在まで、広島ではカキ生産量減少傾向続いている。その理由については諸説ある。 都市化による漁場環境の悪化 広島湾周辺から都市生活排水工業排水流入そして閉じられた湾であるため海水交換が不十分であることから水質悪化している。加えて少雨などの気候関係してくる。 漁業関係者による環境保全としては、河川上流域山々植林し森林整備することで魚介類にとって良好な生育環境整える「漁民事業がある。これは他県行なわれていた事業広島にも取り入れたもので、1995年平成6年広島市かき養殖連絡協議会始め1996年平成7年)から県漁連が事務局となり県内広く行われるようになった過密養殖による漁場環境の悪化 カキ筏から出る糞やゴミなどが海底にたまり、過剰になると貧酸素化するというもの。 市場需要により肥満度の高いカキ育てるため、あるいは減少する生産量を補うため、筏に吊るすカキの量を過剰に増やし養殖期間を伸ばしていき、結果海底悪化する、という悪循環陥る。ただ1999年時点での研究では、養殖要因とする海底悪化からの貧酸素水塊発生局地的なのであるとしている。 これに対し漁場にあった適切な密度養殖を行うよう指導されている。 貝毒 1992年平成4年広島湾から採取されカキから貝毒検出され出荷自主規制1998年平成10年)まで行われ1990年代生産量減少した要因一つとなった。 県による貝毒対策実施要領など流通を防ぐ対策取られている。 有害プランクトンによる赤潮 高度経済成長以降赤潮頻発し問題化していた。ただ赤潮起こすプランクトン養殖カキにとって全て有害なわけではなく、更に近年赤潮自体減少傾向にあった。そこへ、昔は見られなかった種類赤潮発生するようになった。その代表例がヘテロカプサ・サーキュラリスカーマによる赤潮であり、広島湾では近年1995年平成7年)・1997年平成9年)・1998年平成10年)と発生し、特に1998年のものは被害総額38億円余にのぼった食害 カキ稚貝食べられてしまうことで斃死する被害広島では1980年代以降クロダイ放流事業が行われたことで漁獲回復し、現在クロダイ漁獲量全国1位である。養殖カキ食害はこのクロダイ主犯であると考えられている。他にもフグ類の食害確認され、これらは餌となるムラサキイガイ減少してくるとカキを狙うと考えられており、実際カキへのムラサキイガイ付着多かった年は食害減少している。 また生産業者食害見込んで多めに種苗するため、過密養殖となり不十分な状態のまま抑制へ移るため、量や質に影響してくる。 これに加えて台風による被害もある。近年では2004年平成16年台風10号16号18号21号23号により総額74円もの被害出した2006年平成18年ノロウイルス大流行したカキがその感染源であるとして名指しされたことにより、過剰にカキ敬遠されるという風評被害の状態になった近年年度別生産量生産量(t)生産額(億円)経営体数計生鮮加工用生鮮加工用缶詰冷凍等用乾燥等用2009年 20,300 8,300 110 10,140 1,750 153 87 66 323 2010年 19,500 7,600 - 10,640 1,260 154 81 73 318 2011年 21,100 10,000 9,970 1,130 168 108 60 315 2011年 19,300 8,700 9,540 1,060 155 96 59 308 2012年 21,200 9,000 10,800 1,400 174 95 79 314 2013年 18,700 7,300 11,050 350 213 105 108 314 2014年 17,100 7,200 8,910 990 179 98 81 300 2015年 18,800 7,100 10,110 1,590 176 91 85 304 また環境問題としては、カキ筏から出る漂流ゴミ加工後の貝殻と、ゴミ問題叫ばれている。生産業者としては燃料高騰などコスト問題もあり経営圧迫している。

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