大腸菌群とは? わかりやすく解説

大腸菌群

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/06 09:46 UTC 版)

ナビゲーションに移動 検索に移動
Escherichia coli

大腸菌群(だいちょうきんぐん、coliform bacteria)とはグラム陰性無芽胞性の短桿菌であり、乳糖を分解してガスを産生する好気性または通性嫌気性の細菌群。細菌分類学上の大腸菌を必ずしも示すわけではなく、衛生学的に糞便汚染の指標とされてきた一群の菌の総称である。大腸菌群の検査にはデソキシコーレート培地、LB培地(乳糖ブイヨン培地)、BGLB培地等が用いられ、食品によって使用培地が定められている。また、乳糖を分解する酵素としてβ-ガラクトシダーゼを産生するので、発色酵素を用いてβ-ガラクトシダーゼを検出することで大腸菌群を迅速に判別する酵素基質培地も利用されている。

しかしながら、大腸菌群にはEscherichia coliだけでなく腸内細菌科のCitrobacterKlebsiellaEnterobacterProteusなど多くの菌種が含まれており、また非腸内細菌科のAeromonasも該当してしまうなど大腸菌群に含まれる菌の中には自然環境に存在するものもあって、食品によっては大腸菌群の存在が必ずしも糞便汚染を示唆するわけではない。

ゆえに、生食用カキのように自然環境からの汚染が避けられず、しかも加熱せず喫食するものについては糞便系大腸菌群(en:Fecal coliforms 食品衛生法上の名称ではE. coli(斜体ではない))が指標とされる場合もある(食品衛生法では生食用カキの成分規格において100gあたりのE.coli最確数が230以下)。糞便系大腸菌群と他の大腸菌群との鑑別にはECテストにおける44.5℃での発育能が用いられるが、さらにICMSF:1978による大腸菌群の分類に従ってE.coli(大腸菌)のI型やII型、Enterobacterといった区分を判別するにはIMViC試験、ゼラチン液化性試験が用いられる。また、糞便系大腸菌群は上水下水の微生物的な水質の検査項目において「糞便性大腸菌群」の名称で採用されており、ここでは他の大腸菌群との鑑別にM-FC培地も有効とされる。

乳牛における大腸菌群感染は乾乳期末期に生じ、分娩時や分娩後に急性の大腸菌性乳房炎を引き起こす。

関連項目

  • 食品衛生
  • 腸球菌群 - 冷凍食品の冷凍以前の糞便汚染の指標としては大腸菌群よりも優れている。

参考文献

  • 高島郁夫、熊谷進編 『獣医公衆衛生学第3版』 文永堂出版 2004年 ISBN 4830031980
  • 鹿江雅光、新城敏晴、高橋英司、田淵清、原澤亮編 『最新家畜微生物学』 朝倉書店 1998年 ISBN 4254460198
  • 厚生労働省監修 『食品衛生検査指針 微生物編2004』 日本食品衛生協会 2004年 ISBN 4889250026

大腸菌群

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/06 02:53 UTC 版)

大腸菌」の記事における「大腸菌群」の解説

詳細は「大腸菌群」を参照 大腸菌群とは、細菌学用語ではなく衛生上の用語である。ラクトース発酵乳糖分解し、酸とガス発生)するグラム陰性好気性通性嫌気性芽胞形成しない桿菌全てである。E. coliであってもこれに該当しないものが多く存在する。 その多くは、汚水(クレブジエラ属菌、サイトロバクター属菌エンテロバクター属)や土壌中の非常によく似た性質バクテリア(よく知られたものとしてはAerobacter aerogenes)が大腸菌群として分類される。なお、病原性大腸菌はこの検査法での検出は非常に困難である。また、水中含まれる大腸菌群を数値化したもの大腸菌群数といい、水質汚濁指標用いられる

※この「大腸菌群」の解説は、「大腸菌」の解説の一部です。
「大腸菌群」を含む「大腸菌」の記事については、「大腸菌」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「大腸菌群」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「大腸菌群」の関連用語

1
糞便性大腸菌群 デジタル大辞泉
100% |||||




5
糞便系大腸菌群 デジタル大辞泉
58% |||||


7
イー‐コリ デジタル大辞泉
56% |||||


9
56% |||||

10
52% |||||

大腸菌群のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



大腸菌群のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの大腸菌群 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの大腸菌 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS