構想の具体化
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「Mitsubishi SpaceJet」の記事における「構想の具体化」の解説
2005年5月の第46回パリ国際航空ショーで、三菱はこれまでの計画案と縮小モデルを Next Generation RJ として展示した。この年春ごろ、30席クラスでは成熟した市場に対して需要に限りがあり、また21世紀前半にはアジアで航空需要の急成長が見込める、といった理由から70席 - 90席に規模を拡大した。これに伴い三菱内部の開発研究も小型機から大型機を対象とし、同年9月に中間評価を公表した。構想の再構築が必要となり、初飛行は2011年(平成23年)になる見通しとなった。 YS-11や三菱MUシリーズのいずれも自力による販売で躓いていることから、三菱は包括的提携を行ったボーイングや、友好関係にあるボンバルディアの販売網を利用することも考慮していたという。 経済産業省は2006年(平成18年)度予算で開発助成金5億円を獲得した。 2006年5月31日に開催された経済産業省主催の民間機開発推進関係省庁協議会において、三菱はMJ開発状況についての説明を行い、この時点でYS-11を業務運用していた防衛庁(現・防衛省)・国土交通省(航空局)・海上保安庁に対して、MJの購入を要望した。これに対して各省庁は「ニーズが合えば購入する」との認識を示したが、うち海上保安庁は同年11月にYSの後継としてDHC-8 Q300を導入すると発表(2009年配備)、12月には航空局のYSも海外機に置き換えられた。防衛省では、輸送機として利用していた海上自衛隊は中古のKC-130Rから空中給油機能を外し「C-130R」として6機導入、航空自衛隊は飛行点検機として利用している機体の後継としてセスナ サイテーション680Aを選定した。防衛省(自衛隊)は、この他にも人員輸送機、電子戦訓練機、航法訓練機、電子測定機としてYSを多数利用している。これらの機体は、老朽化により2017年から順次退役が予定されているが、2017年4月の時点では後継機に関する発表はない。 同年7月に開催されたファーンボロ航空ショーで、三菱は模型と計画概要を展示した。内容は以下のとおり。 基本となる90席機MJ-90、小型の70席機MJ-70、大型の96席機の計画 MJ-90は全長35.0 m、最大離陸重量42,100 kg、離陸滑走路長1820 m、巡航速度マッハ0.78、航続距離3600 km MJ-70は総重量38,200 kg、離陸滑走路長1740 m 航続距離はいずれも3300–3900 km に設定しているが、これは米国の国内線など、比較的短距離の路線での採用を見込んでいる。 主翼には炭素系複合材を利用して軽量化すると共に空気抵抗を低減させた機体形状を採用し、燃費を向上させる。 乗り心地が良く、整備費が安く、客室および空港への騒音を低減させる。 8月末の経産省審議会での三菱の報告は以下のとおりである。 ジェットエンジンは、騒音公害によってジェット機の進入が制限されている伊丹空港への乗入れを狙うため、プロペラ機並みの低騒音が重要視されている。2006年8月にロールス・ロイスと了解覚書 (MOU) を締結し、共同で検討作業が行われている。搭載が予定されているのは推力5900–6750 kgが2基で、RB282系列の派生型RB282-50(仮称)が有力である。7段の高圧コンプレッサーと2段の高圧タービンを備え、ファンの直径は1.3 m を超える。 GEと三菱の間でも交渉が行われている。想定されるエンジンはCF34-10クラスだが、三菱は同エンジンのコアを改め、空力的な再設計やホットセクションの材質改良など、大幅な改変を望んでおり、妥結には至っていない。エンジンについては2008年10月現在、プラット・アンド・ホイットニーGTF(PW1000G)を採用予定であることが公式サイトで公表されている。 コックピットは三菱が主翼などを生産するボーイング787と同等のものの採用を考え、ロックウェル・コリンズとの交渉を行っている。 海外でのプロダクト・サポートは、小型機整備の国際網を持つスウェーデンのSAABに依頼することを同年7月に決定した。海外パートナーに言及するのは、輸出を前提としているためである。 2006年9月28日の読売新聞(電子版)の記事によれば、 伊丹空港のジェット機発着枠が削減される動きがある中、MJが国内で使いにくくなる可能性があるため、日本航空や全日本空輸はMJ導入に慎重で、積極的な三菱・経産省との間に温度差がある。 MJの採算ラインは350機、利益確保には600機の生産が必要である。 当初500億(後に600億)とされた開発費が1200億円に上ることとなったため、三菱は機体開発の特別目的会社を設立しようと商社や銀行に出資を求めたが、交渉は難航している。 とされていた(記事内容の根拠についての記載はなかった)。 同時期、三菱は日本航空と全日空に対して、MJ実現まで他機リース料の肩代わりや代替機売却損の一部補填を提案し、売り込みを図った。しかし日本航空は翌2007年(平成19年)2月22日、国内線用の小型機としてエンブラエル170を10機導入(オプション5機発注)すると発表し、当時は様々な憶測が流れたが、これはジェイエアなどグループ企業の機材更新時期が迫っていた為、あくまでも繋ぎのための発注であり、構想具体化後の2014年に30機以上のMRJを発注した事で、日本航空としては初めての国産旅客機の自社発注が実現した。 経済産業省は2007年(平成19年)度予算に開発助成金として18年度の4倍となる20億円を要求し、支援強化を誇示した。
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