捨て仮名とは? わかりやすく解説

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すて‐がな【捨(て)仮名】

読み方:すてがな

送り仮名2」に同じ。

促音拗音などを表すのに用い小さく記され仮名文字。「っ」「ゃ」「ゅ」「ょ」の類。

漢字書かれた語の読み方をはっきりさせるために、その読み最後一字片仮名漢字右下小さく書き添えたもの。「様(さん)」「一人(ひとり)」の類。


捨て仮名

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/27 04:42 UTC 版)

捨て仮名あるいは捨仮名(すてがな)は、日本語の表記において、「あ」に対する「ぁ」のように小字で表される仮名を指す[1]、元来は印刷用語(専門用語業界用語)である。小書き文字(こがきもじ)などともいう。拗音促音を表現する場合と、送りがな・添え仮名であることを明示する場合に用いられる。

「捨て仮名」の語は、「小書きの仮名」が「ボディーサイズを小さく取った仮名書体」という別のものを指すことから使用されている。

一般に、その前の文字の右下に連なるように書くため、縦書きでは右に寄り、さらに升目がある場合には上に寄せる。また横書きでは下に寄せ、升目がある場合には左に寄せる。専用の活字(コンピューターでは文字コード)が用いられるのは、「 ㇷ゚ 」(片仮名を含む)である。また、JIS漢字コードには含まれないが、「ン(𛅧)」なども使われる。

なお、印刷において、ルビには捨て仮名を使わないのが本来であるが、ワードプロセッサーコンピューター組版では捨て仮名を使うことが多くなっている[要出典]

日本語での用法

単独でモーラを構成しない

直前の(普通の)仮名と2文字で、拗音またはそれに類する1モーラを表す。

2文字目の捨て仮名に使われるのはあ行や行わ行のいずれかで、1文字目の子音の発音と2文字目の発音を組み合わせたものに近い発音になる。

  • い段音+「ゃ、ゅ、ょ、ャ、ュ、ョ」で開拗音を表す。例:きゃ、ジュ。
  • 「く、ぐ」+「ゎ」で合拗音を表す(古文)。例:くゎ、ぐゎ。
  • さまざまな片仮名+「ァ、ィ、ゥ、ェ、ォ、ャ、ュ、ョ(、ヮ)」で借用語に入った外国語音を表す。平仮名ではほとんど使われない。ただし、これらの一部を2モーラに読む人もいる。ローマ字は参考程度で、ここでは直音、開拗音、合拗音を、ローマ字表記に“y, w”を用いるかどうかで区別する。
    • 直音(y, wを用いない):スィ(si)、シェ(she)、ティ(ti)、トゥ(tu)、チェ(che)、ツァ(tsa)、ツィ(tsi)、ツェ(tse)、ツォ(tso)、ホゥ(hu)、ファ(fa)、フィ(fi)、フェ(fe)、フォ(fo)、ズィ(zi)、ジェ(je)、ディ(di)、ドゥ(du)、ヴァ(va)、ヴィ(vi)、ヴェ(ve)、ヴォ(vo)
    • 開拗音(yを用いる):イェ(ye)、キェ(kye)、スャ(sya)、スュ(syu)、スョ(syo)、テャ(tya)、テュ(tyu)、テョ(tyo)、ツャ(tsya)、ツュ(tsyu)、ツョ(tsyo)、ニェ(nye)、ヒェ(hye)、フャ(fya)、フュ(fyu)、フョ(fyo)、ピェ(pye)、ミェ(mye)、リェ(rye)、ギェ(gye)、ズャ(zya)、ズュ(zyu)、ズョ(zyo)、デャ(dya)、デュ(dyu)、デョ(dyo)、ヴャ(vya)、ヴュ(vyu)、ヴョ(vyo)、ビェ(bye)
    • 合拗音(wを用いる):ウィ(wi)、ウェ(we)、ウォ(wo)、クァ(kwa)、クィ(kwi)、クェ(kwe)、クォ(kwo)、スァ(swa)、スェ(swe)、スォ(swo)、ヌァ(nwa)、ヌィ(nwi)、ヌェ(nwe)、ヌォ(nwo)、プァ(pwa)、プィ(pwi)、プェ(pwe)、プォ(pwo)、ムァ(mwa)、ムィ(mwi)、ムェ(mwe)、ムォ(mwo)、ルァ(rwa)、ルィ(rwi)、ルェ(rwe)、ルォ(rwo)、グァ(gwa)、グィ(gwi)、グェ(gwe)、グォ(gwo)、ズァ(zwa)、ズェ(zwe)、ズォ(zwo)、ブァ(bwa)、ブィ(bwi)、ブェ(bwe)、ブォ(bwo)
      • クァ、スァ、ヌァ、プァ、ムァ、ルァ、グァ、ズァ、ブァはクヮ、スヮ、ヌヮ、プヮ、ムヮ、ルヮ、グヮ、ズヮ、ブヮと書くこともある。
  • 捨て仮名一つで発音を表記しきれない場合に、2つ以上を使うこともある。実際にあまり使われず、一般に認知されているとは言いがたい。
    • スィェ(sye)、ティェ(tye)、ツィェ(tsye)、フィェ(fye)、ズィェ(zye)、ディェ(dye)、ヴィェ(vye)、シュァ(shwa)、シュィ(shwi)、シュェ(shwe)、シュォ(shwo)、トゥァ(twa)、トゥィ(twi)、トゥェ(twe)、トゥォ(two)、チュァ(chwa)、チュィ(chwi)、チュェ(chwe)、チュォ(chwo)、ホゥァ(hwa)、ホゥィ(hwi)、ホゥェ(hwe)、ホゥォ(hwo)、ジュァ(jwa)、ジュィ(jwi)、ジュェ(jwe)、ジュォ(jwo)、ドゥァ(dwa)、ドゥィ(dwi)、ドゥェ(dwe)、ドゥォ(dwo)
      • シュァ、トゥァ、チュァ、ホゥァ、ジュァ、ドゥァはシヮ、トヮ、チヮ、ホヮ、ジヮ、ドヮと書くこともある。稀にトゥァ、トゥィ、トゥェ、ドゥァ、ドゥィ、ドゥェをトァ、トィ、トェ、ドァ、ドィ、ドェと書くこともある。
    • swi、tswa、tswi、tswe、tswo、fwa、fwi、fwe、fwo、zwi、vwa、vwi、vwe、vwoの音を片仮名で表記しようとすると、それぞれスィ、ツァ、ツィ、ツェ、ツォ、ファ、フィ、フェ、フォ、ズァ、ヴァ、ヴィ、ヴェ、ヴォという違う音(wを抜いた音)となってしまうため、捨て仮名を用いても表記できない。ただし、tswa、fwa、vwaの音は「ヮ」を用いれば、ツヮ、フヮ、ヴヮと表記できる。
  • その他、小書きのヰやヱ(𛅐𛅑)も存在する。

単独でモーラを構成する

  • 「っ ッ」は促音を表す。助数詞としての「ツ」を表わす場合もある。例:四ッ谷八ッ橋
  • 「ぁ ぃ ぅ ぇ ぉ ァ ィ ゥ ェ ォ」は固有名詞などで、長音の第2字として用いられることがある。例:チャイコフスキィラッキィ池田ファジィ論理レガシィ。ただし、これらが外語の発音を表現するために長音と区別されたものでなかったかどうかは不明であり、必ずしも長音と同一視できるかどうかは不明である。
  • 」を片仮名「ケ」の捨て仮名として使うことはまれである。今日多く見られる「ヶ」は、漢字「箇」を省略し竹冠の片側だけを書いたもの、あるいは「箇」の異字体「个」に由来する「ケ」(片仮名「ケ」の同形異字)を添えがなに準じて小さく書いたものであるとされる(「」参照)。現在は、本来の漢字としての用法に限らず、助数詞助詞に由来する「か」「が」「こ」を表す。例:一ヶ月、茅ヶ崎、2ヶ組。
  • 」は、ヶの別表記であり、「か」と読む場合に使われる。例:三ヵ月。
  • JIS X 0213およびUnicodeでは「ヶ」「ヵ」に対応する平仮名として「」「」が存在するが、表示互換上用意されたものであり一般には使用されない。

日本語以外での用法

  • アイヌ語仮名で、「ㇰ ㇱ ㇲ ㇳ ㇴ ㇵ ㇶ ㇷ ㇸ ㇹ ㇷ゚ ㇺ ㇻ ㇼ ㇽ ㇾ ㇿ」は、後に母音が続かない子音を表す。
  • 朝鮮語(韓国語)の片仮名で、「ㇰ ッ ㇷ゚ ㇺ ㇽ」で終音を表すことがある。例:アンニョンハシㇺニカ?안녕하십니까?、「こんにちは」のような人と会った時の挨拶)。
  • 台湾語仮名では「ァ ィ ゥ ェ ォ ㇰ ッ ㇷ゚」と「ヲ」の捨て仮名(𛅦)が使用されていた。

歴史

1938年の理研ビタミンの広告。(右から読んで)「ヴィタミン」の「ィ」が捨て仮名で表記されていた。

送りがな・添え仮名としては古くから用いられた。拗音類・促音に対して使われるようになったのは近代化以降であったが、主に外来語に限定された。和語漢語にも使われるようになったのは第二次大戦後である。現代かなづかい(1946年)で初めて正式に規定され、カタカナに関しては早く用いられるようになったが、一般にひらがなにも使われるようになったのは昭和30年代以降である。特に法令公文書ではその後もひらがなの捨て仮名は用いられず、1988年の「法令における拗音及び促音に用いる「や・ゆ・よ・つ」の表記について」[2]以降初めて用いられるようになった(これ以前に制定された法律ではその後導入の条文も捨て仮名を用いない)。

脚注

出典

  1. ^ 捨仮名」『デジタル大辞泉、精選版 日本国語大辞典』https://kotobank.jp/word/%E6%8D%A8%E4%BB%AE%E5%90%8Dコトバンクより2024年10月27日閲覧 
  2. ^ 昭和63年7月20日内閣法制局総発第125号

関連項目


捨て仮名

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 23:47 UTC 版)

ルビ」の記事における「捨て仮名」の解説

捨て仮名とは、「あ」に対する「ぁ」のように小書き表される仮名を指す印刷用語和文組版において、一般的に基本とされる組み方では捨て仮名は使わない。そのため、仮に「自由百科事典」に「ウィキペディア」とルビ付けるとしたら、「ウイキペデイア」となる。これには小さすぎるポイント号数活字では却って読みづらいという問題もあり、読み助ける意味ではこれで充分であった。 ところが、既に日本語にある単語振り仮名であるなら一般原則わかっている読者であるためそれほど問題とはならないのであるが、外来語に関してはそれが一般的でないために「ウィキペディア」なのか「ウイキペデイア」(という単語)なのか分からなくなる。いいかえれば、そこに教育的啓蒙的な配慮が必要かどうかという問題生じる。 上述たような教科書などの出版物では日本語読み含めて捨て仮名が使用されるし、近年その他の出版物でも捨て仮名を使ったルビ組み増加傾向にある模様である。

※この「捨て仮名」の解説は、「ルビ」の解説の一部です。
「捨て仮名」を含む「ルビ」の記事については、「ルビ」の概要を参照ください。

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