感染症の分類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/27 23:02 UTC 版)
「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の記事における「感染症の分類」の解説
感染力や罹患した場合の重篤性などに基づき、感染症を危険性が高い順に一類から五類に分類する。 一類感染症(感染症法6条2項):エボラ出血熱、痘瘡、ペスト等 二類感染症(同法6条3項):結核、重症急性呼吸器症候群 (SARS) 、中東呼吸器症候群 (MERS) 等 三類感染症(同法6条4項):コレラ、赤痢等 四類感染症(同法6条5項):A型肝炎、マラリア、日本脳炎等 五類感染症(同法6条6項):季節性インフルエンザ、麻しん、後天性免疫不全症候群、感染性胃腸炎 (ロタウイルス) 、細菌性髄膜炎等 新型インフルエンザ等感染症(感染症法6条7項):新型インフルエンザ等、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 指定感染症(同法6条8項)- 既知の感染症であっても危険性が高く特別な対応が必要であると判断される場合は、政令により指定し対応する。 新感染症(同法6条9項)- 危険度が高いと考えられる新たな感染症が確認された場合、対応する。 この他、人獣共通感染症への対策もある。また、動物の感染症には、狂犬病予防法や家畜伝染病予防法の規制もあるが、狂犬病、ブルセラ症など双方に指定されている病気もある。 感染症法上の感染症の分類分類根拠法令感染症の名称旧伝染病予防法での分類学校感染症の指定検疫感染症?検疫法上の停留期間患者の入国拒否備考感染症発生動向調査一類感染症感染症法6条2項 1号 エボラ出血熱(エボラウイルス病) 第一種 検疫法第2条第1項 504時間(検疫法施行令1条の3) Yes 全数報告 2号 クリミア・コンゴ出血熱 第一種 検疫法第2条第1項 216時間(検疫法施行令1条の3) Yes 3号 痘そう(天然痘) 法定伝染病 第一種 検疫法第2条第1項 408時間(検疫法施行令1条の3) Yes 4号 南米出血熱 第一種 検疫法第2条第1項 384時間(検疫法施行令1条の3) Yes 5号 ペスト 法定伝染病 第一種 検疫法第2条第1項 144時間(検疫法16条3項) Yes 6号 マールブルグ病 第一種 検疫法第2条第1項 240時間(検疫法施行令1条の3) Yes 7号 ラッサ熱 指定伝染病 第一種 検疫法第2条第1項 504時間(検疫法施行令1条の3) Yes 二類感染症 感染症法6条3項 1号 急性灰白髄炎(ポリオ) 指定伝染病 第一種 No Yes 2号 結核 第二種 No Yes 3号 ジフテリア 法定伝染病 第一種 No Yes 4号 重症急性呼吸器症候群(SARS)(病原体がベータコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る) 第一種 No Yes 2006年(平成18年)12月8日公布の「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律」により2007年(平成19年)4月1日から一類感染症から変更。 5号 中東呼吸器症候群(MERS)(病原体がベータコロナウイルス属MERSコロナウイルスであるものに限る) 第一種 No Yes 2014年(平成18年)11月21日公布の「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の一部を改正する法律」により2015年(平成27年)1月21日から、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療 に関する法律(感染症法)において、二類感染症に指定。1月21日より前は、二類感染症相当の指定感染症に指定。 6号 鳥インフルエンザ(病原体がインフルエンザウイルスA属インフルエンザAウイルスであってその血清亜型がH5N1およびH7N9であるものに限る) 第一種 検疫法施行令1条 Yes なお、H5N1およびH7N9以外の鳥インフルエンザは四類感染症に指定されている。 三類感染症 感染症法6条4項 1号 コレラ 法定伝染病 第三種 No No 2006年(平成18年)12月8日公布の「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律」により2007年(平成19年)4月1日から二類感染症から変更。 2号 細菌性赤痢 法定伝染病(赤痢) 第三種 No No 2006年(平成18年)12月8日公布の「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律」により2007年(平成19年)4月1日から二類感染症から変更。 3号 腸管出血性大腸菌感染症 指定伝染病 第三種 No No 4号 腸チフス 法定伝染病 第三種 No No 2006年(平成18年)12月8日公布の「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律」により2007年(平成19年)4月1日から二類感染症から変更。 5号 パラチフス 法定伝染病 第三種 No No 2006年(平成18年)12月8日公布の「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律」により2007年(平成19年)4月1日から二類感染症から変更。 四類感染症 感染症法6条5項 1号 E型肝炎 No No 2号 A型肝炎 No No 3号 黄熱 No No 4号 Q熱 No No 5号 狂犬病 No No 6号 炭疽 No No 7号 鳥インフルエンザ(H5N1およびH7N9を除く) No No 鳥インフルエンザ(H5N1およびH7N9)は二類感染症に指定。 8号 ボツリヌス症 No No 9号 マラリア 検疫法施行令1条 No 10号 野兎病 No No 11号(政令で定めるもの) ウエストナイル熱 No No エキノコックス症 No No オウム病 No No オムスク出血熱 No No 回帰熱 No No キャサヌル森林病 No No コクシジオイデス症 No No サル痘 No No ジカウイルス感染症 検疫法施行令1条 No 2016年2月15日追加 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)(病原体がフレボウイルス属SFTSウイルスであるものに限る) No No 2013年3月4日追加 腎症候性出血熱 No No 西部ウマ脳炎 No No ダニ媒介脳炎 No No チクングニア熱 検疫法施行令1条 No つつが虫病 No No デング熱 検疫法施行令1条 No 東部ウマ脳炎 No No ニパウイルス感染症 No No 日本紅斑熱 No No 日本脳炎 法定伝染病 No No ハンタウイルス肺症候群 No No Bウイルス病 No No 鼻疽 No No ブルセラ症 No No ベネズエラウマ脳炎 No No ヘンドラウイルス感染症 No No 発しんチフス 法定伝染病 No No ライム病 No No リッサウイルス感染症 No No リフトバレー熱 No No 類鼻疽 No No レジオネラ症 No No レプトスピラ症 No No ロッキー山紅斑熱 No No 五類感染症 感染症法6条6項 1号 インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く) 第二種 No No 鳥インフルエンザ(H5N1およびH7N9)は二類感染症、その他の鳥インフルエンザは四類感染症に指定。新型インフルエンザ等感染症は独立して類型化されている。 インフルエンザ定点 2号 ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く) No No E型肝炎及びA型肝炎は四類感染症に指定。 全数報告 3号 クリプトスポリジウム症 No No 4号 後天性免疫不全症候群(AIDS) No No 5号 性器クラミジア感染症 No No STD定点 6号 梅毒 No No 全数報告 7号 麻しん 第二種 No No 8号 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症 No No 基幹定点(月単位) 9号(厚生労働省令で定めるもの) アメーバ赤痢 No No 全数報告 RSウイルス感染症 No No 小児科定点 咽頭結膜熱(プール熱) 第二種 No No A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 No No カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症 No No 2014年9月19日追加 全数報告 感染性胃腸炎 No No 2013年10月14日よりロタウイルスによる感染性胃腸は基幹定点に追加。 小児科定点 急性出血性結膜炎(アポロ病) No No 眼科定点 急性脳炎(ウエストナイル脳炎、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、東部ウマ脳炎、日本脳炎、ベネズエラウマ脳炎及びリフトバレー熱を除く) No No 全数報告 クラミジア肺炎(オウム病を除く) No No オウム病は4類感染症に指定 基幹定点(週単位) クロイツフェルト・ヤコブ病 No No 全数報告 劇症型溶血性レンサ球菌感染症 No No 細菌性髄膜炎 No No 基幹定点(週単位) ジアルジア症 No No 全数報告 水痘(水疱瘡) 第二種 No No 2014年9月19日より「24時間以上の入院例」は全数報告に変更。 小児科定点 侵襲性インフルエンザ菌感染症 No No 2013年4月1日追加 全数報告 侵襲性肺炎球菌感染症 No No 2013年4月1日追加 侵襲性髄膜炎菌感染症 法定伝染病 No No 2013年4月1日「髄膜炎菌性髄膜炎」から変更 性器ヘルペスウイルス感染症 No No STD定点 尖圭コンジローマ No No 先天性風しん症候群 No No 全数報告 手足口病 No No 小児科定点 伝染性紅斑 No No 突発性発しん No No 播種性クリプトコッカス症 No No 2014年9月19日追加 全数報告 破傷風 No No バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症 No No バンコマイシン耐性腸球菌感染症 No No 百日咳 第二種 No No 2018年1月1日より小児科定点から全数報告に変更。 全数報告 風しん 第二種 No No 全数報告 ペニシリン耐性肺炎球菌感染症 No No 基幹定点(月単位) ヘルパンギーナ No No 小児科定点 マイコプラズマ肺炎 No No 基幹定点(週単位) 無菌性髄膜炎 No No 薬剤耐性アシネトバクター感染症 No No 2014年9月19日より基幹定点(月単位)から全数報告に変更。 全数報告 薬剤耐性緑膿菌感染症 No No 基幹定点(月単位) 流行性角結膜炎 第三種 No No 眼科定点 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ) 第二種 No No 小児科定点 淋菌感染症 No No STD定点 新型インフルエンザ等感染症 感染症法6条7項 1号 新型インフルエンザ 第一種 検疫法第2条第2項 240時間(検疫法施行令1条の3) Yes 2号 再興型インフルエンザ 第一種 検疫法第2条第2項 240時間(検疫法施行令1条の3) Yes 3号 新型コロナウイルス感染症 第一種 検疫法第2条第2項 336時間(検疫法施行令1条の3) Yes 2021年2月13日追加 4号 再興型コロナウイルス感染症 第一種 検疫法第2条第2項 336時間(検疫法施行令1条の3) Yes 2021年2月13日追加 指定感染症 感染症法6条8項 指定なし 第一種 Yes 1年以内の政令で定める期間に限って(必要であれば更に1年以内に限り延長可)、政令で定めるところにより8条、3章から7章まで、10章、12章及び13章の規定の全部又は一部を準用する(7条1項・2項) 新感染症 感染症法6条9項 第一種 No Yes 注釈^ 新たに人から人に伝染する能力を有することとなったウイルスを病原体とするインフルエンザであって、一般に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの ^ かつて世界的規模で流行したインフルエンザであってその後流行することなく長期間が経過しているものとして厚生労働大臣が定めるものが再興したものであって、一般に現在の国民の大部分が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの ^ 新たに人から人に伝染する能力を有することとなったコロナウイルスを病原体とする感染症であって、一般に国民が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから、当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの ^ かつて世界的規模で流行したコロナウイルスを病原体とする感染症であってその後流行することなく長期間が経過しているものとして厚生労働大臣が定めるものが再興したものであって、一般に現在の国民の大部分が当該感染症に対する免疫を獲得していないことから当該感染症の全国的かつ急速なまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの ^ 既に知られている感染性の疾病(一類感染症、二類感染症、三類感染症及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)であって、第三章から第七章までの規定の全部又は一部を準用しなければ、当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあるものとして政令で定めるもの ^ 人から人に伝染すると認められる疾病であって、既に知られている感染性の疾病とその病状又は治療の結果が明らかに異なるもので、当該疾病にかかった場合の病状の程度が重篤であり、かつ、当該疾病のまん延により国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認められるもの (注)届出を行う医療機関 小児科定点 - 小児科定点医療機関(全国約3,000カ所の小児科医療機関) インフルエンザ定点 - インフルエンザ定点医療機関(全国約5,000カ所の内科・小児科医療機関)及び基幹定点医療機関(全国約500カ所の病床数300以上の内科・外科医療機関) 眼科定点 - 眼科定点医療機関(全国約700カ所の眼科医療機関) STD定点 - 性感染症定点医療機関(全国約1,000カ所の産婦人科等医療機関) 基幹定点 - 基幹定点医療機関(全国約500カ所の病床数300以上の医療機関)
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