広川集団
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/12 08:05 UTC 版)
本作における最終的な敵対勢力。市長となった広川を中心に組織されたパラサイト集団で、ミギーからは「広川集団」と呼ばれている。しかし一枚岩というわけではなく、当初は田村玲子と協力関係にあったが、後に草野らの独断を発端として袂を分かつことになる。 広川 剛志(ひろかわ たけし) 第20話から第55話にかけて登場。パラサイト一味に協力する政治家。後藤からは「ボス」と呼ばれる場面もある。パラサイトに寄生されていない生身の人間だが、そのことは物語の終盤まで読者に伏せられており、劇中においても新一をはじめ、広川集団と敵対する登場人物たちからはパラサイトの一人と誤認されている。パラサイトをバケモノとしてではなく、自然の摂理が生み出したバランサーとして見なし、恐怖の色も見せずにパラサイト達を糾合して組織作りを進めるなど極めて理知的かつ行動的な人物である。同時に地球を汚し他の生物を圧迫する「人間」の無軌道さと傲慢さに強い怒りを感じており、その思想に興味を持った田村玲子が正式に”仲間”と認め、パラサイトの組織の長として担ぎ上げた。 パラサイトの食事を安定供給させる「食堂」を提供し、広川の目的である人口抑制も実現するための組織を結成・運営している。その活動の一環として田村玲子と共にコロニー計画を作り、東福山市長選に出馬し当選を果たす。当選後は市長の立場を利用し、パラサイトが人目に付かずに人間を捕食するための「食堂」の管理を組織的に行うことになるが、その企みは倉森の部下の失踪をきっかけに新一を通じて倉森へと伝わり、やがて平間によって警察や自衛隊の知るところとなる。 市役所戦では、その気になれば何事もなく脱出できることを後藤に指摘されながらも市役所に残り、会議場で自衛隊員たちに包囲される中、自論について一席ぶった末にパラサイトと誤認されたまま射殺される。その口ぶりは完全にパラサイトの側に立ち、人間を「寄生獣」として糾弾するものだった。 作者の岩明によれば、本作の連載開始時の構想では「愚かな人類に対する自然からの警鐘」といったテーマが予定されていたが、その後の世論の変化を反映してテーマに一捻りを加えたために、当初のテーマが広川に引き継がれることになったとされる。 後藤(ごとう) 第20話から第62話にかけて登場。田村玲子が作り上げたパラサイト集合体。本作におけるラストボス的な存在。 通常は人間1人の身体に1匹のパラサイトが宿るのに対し、彼の場合は肉体全体に5匹のパラサイトが宿り、後にミギーを含め一時6匹となった(物語の序盤から複数のパラサイトが同居することでより強靭になることが明かされている)。 5匹のうち1匹が通常のパラサイト同様頭部に寄生しており、それぞれの寄生部位から複数の触手を同時展開し、自由に変形させる事が出来る。その際、頭部は全身の制御に専念しなければならないため、自らが変形・攻撃等をしている余裕は無い。「後藤」というのは、その統率者としての1匹のパラサイトを指す場合もあり、これは別の統率者である「三木」(後述)と頭部役を交代することもある。統率性能が低い三木とは違い、非常に高い統率性能を持ち、敵であったミギーすらも肉片として取り込み、統率している。 初登場時は顔を変えて、暴力団事務所に白昼堂々玄関から侵入。暴力団員の殺戮を始めてからの自分の受けた攻撃をカウント、掃討後に通行人と即座に入れ替わり逃走するという実験的殺戮を行うなど、戦闘的な「演習」を行っている。また、「体の操縦」の訓練のためにショパンのピアノ曲( アニメ版では ノクターン 第2番 Op.9-2変ホ長調 )を弾いている場面もある。 母体である人体の大半がパラサイトに置き換わっているために、かなりの自由度で肉体の変形が可能。体はパラサイトの鎧(プロテクター)で守られており、対向走行しているトラック同士の交差による激突の衝撃にも耐え、ショットガンの直撃を複数受けるなどしても基本的にダメージを受けない。ただし真正面から銃撃を受けるのは危険だとも考えており、基本的には「角度」を利用して弾き返している。最終的には化学的および物理的な受傷によって倒されたように生命力と回復力が無限というわけではなく、肉体への損傷を負わずとも強力な物理的衝撃への防御を行った際には栄養補給と休息が必要であり、トラックとの衝突時には新一とミギーの追跡を断念してトラックの乗員を捕食し、単身で自衛隊を壊滅させた後も新一や警察との戦闘を行わずに堂々とその場を去っている。 極めて高い戦闘能力を有しており、市役所戦では前述の防御力に加えて廊下や壁を利用したバウンドするボールのような高速移動や、全身に浴びた散弾銃の弾を腕に集めて遠心力をかける事で撃ち返す技術を用い、自衛隊の一部隊を単身で壊滅状態に追いやった。しかし市役所から脱出の寸前、新一に「わき腹から血を流している」のを目撃され、これが後に仇となる。 新一との最後の戦いでも終始圧倒的な実力差を見せつけたが、新一が一か八かで山中に不法投棄されていた鉄棒をパラサイトの鎧のすき間ではないかと考えた後藤の脇腹に打ち込んだところ、たまたまその鉄棒に猛毒のダイオキシン類が付着しており、毒素を感知した他のパラサイトがパニックを起こしたために統制がとれなくなり形勢が逆転。その混乱に乗じて後藤の重要器官にダメージを与えつつ新一の右腕へ戻ったミギーが後藤の首へ一撃を与えた。これにより統制が取れなくなった全身がバラバラに弾け飛んだが、それでも何とか存命していた。飛び散った肉片たちへ必死に招集をかけて元の姿に戻ろうとしていたが、最後は新一の手によって、剥き出しになった内臓を鉈で破壊され死亡した。 作者の岩明は後藤の存在を、「美しき野生」「偉大なる大自然の代表選手」としている。連載開始時の構想では、新一は後藤にとどめを刺さず、後藤は野生化して自然へと還っていくという結末が予定されていたが、物語のテーマ性を深化させていった結果、新一はいったん後藤を殺さない決断をした後に翻意し、後藤に謝罪しながら手を下すという結末に改められたという。 三木(みき) 第37話から第41話にかけて登場。普段は後藤の右腕を構成するパラサイト。当初は後藤と身体を共有していることは読者に伏せられているものの、メインの統率者である後藤に代わって統率をこなすことが可能であり、その際は三木が頭部になり、後藤が代わって右腕部を務める。「後藤」同様にそれぞれの寄生部位から複数の触手を同時展開する事が可能だが、「三木」自身の統率性能が低いため、両腕のみの展開に留まっており、新一に距離を詰められた際には辛うじて頭部を変形させていたが、刃の形成には至らず、かなりもたついていた。その名前は本来の担当部位である「右手」に由来するが、新一やミギーと対面して名前の由来に言及した際には頭部となっていたため、新一を困惑させている。 新一・ミギーへの刺客として後藤が推挙されたところに自ら志願し、「強敵との戦い」を目的に彼らの元へ赴く。向かい合っての斬り合いでは両腕を刃物化することができるという優位性を生かし、攻撃の手数で新一とミギーを圧倒した。しかし戦っているうちに、全身を完全に統一制御できていないことによる運動性の低さを露呈し、そのことによる弱点を突かれて敗北し後藤と交代する。その後名前を呼びかけられる場面はあるものの、作中の描写内では「三木」として現れることはなく、「後藤」が体内に毒物を取り込まされた時には他のパラサイト達と共に「後藤」の統率を乱した。 パラサイトとしては珍しく表情が豊かな個体であり、普段から陽気で饒舌なお調子者のように振る舞っているが、それはその方が餌にするための人間をナンパする成功率が高いという事を学習し身につけた“他の個体よりも高度な擬態”に過ぎず、実際には人間としての感情を身につけているわけでない。そのため微妙な機微を察することはできず、作った表情は大げさかつ場違いな場合もあり、人間の表情とは異質なものであることをミギーからも指摘されている。 草野(くさの) 第27話から第45話にかけて登場。組織の幹部的役割を持つとみられるパラサイト。初登場時には後藤を乗せた車の運転手を務めており、広川が市長に立候補した際には、広川や後藤と共に壇上に立っている。組織にとって障害となった新一と倉森の抹殺を企てたものの、その実行者が後先を考えずに倉森の家族のみを殺害し、本来の目的を果たすこと自体には失敗。さらに報告を受けた際も失敗したことに苛立つばかりでその危険性を全く認識していなかったため、田村玲子に一連の無謀な行動を咎められた。だが、そのことで彼女を危険視し、抹殺しようと二人の仲間を連れて急襲。しかし田村玲子の奇策により同士討ちをさせられ、仲間の一人を細切れにして殺害。勝ち誇っていたところを背後から現れた田村玲子によって首を切られ、宿主部分から切り離されたことで死亡した。「敵意」によって同族を感知できるという特性を逆手に取られ、「敵意の宿った肉片」をバラ撒いたことが仇となり彼女の接近に気づけなかった。 上述のように邪魔者は手段を問わずに即刻排除するという強引で短慮な性格の持ち主である一方、倉森の抹殺に失敗したことを聞いて怒りの感情を発露したり、田村を襲う前に仲間として最後の望みを聞いてやろうとするなど、本人に自覚はないがパラサイトの中でも人間に近い思考を見せており、そのことを田村から何度か指摘されている。
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