大公家関係者
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/22 08:13 UTC 版)
「身代わり伯爵シリーズ」の記事における「大公家関係者」の解説
アンドリュー・ウォルター エセルバートの従兄弟で、彼を幼名「リヒト」で呼ぶ伯爵。黒髪に青白い容貌をした青年。大公ギルフォードに仕えているが、リヒャルトに協力する王太子派の一人。妹(サラ)が王太子妃となることを心待ちにしていた。しかし、死亡した彼女が王太子ではなくギルフォードを想っていたことを彼女の遺品である日記を読んで知り、歪んだ愛憎を抱いている。そのためリヒャルトの想い人であるミレーユにもひどく執着し、現在西大陸では禁じられている古代魔術を使ってサラの魂を呼び寄せ、その器にするために、ミレーユの身体を欲していた。 シアラン編終盤で捕縛され、現在は牢に繋がれているが、従兄弟であるフィデリオを利用してリヒャルトの失脚を狙っている模様。 サラ・ウォルター アンドリューの妹。エセルバートより4歳年長。ジークとの縁談が持ち上がったが、襲撃事件でエセルバートを庇い命を落とす。子供の頃からギルフォードを想い、襲撃事件の前に違和感に気付き、その旨を真新しい日記の途中のページに書き残していた。ややお転婆な一面もあり、ミレーユのふとした仕草や表情が、彼女のそれに似ていたらしい。 キリル・メルキウス ミレーユの幼馴染で、ヒースと同じ一座で旅をしていた、黒髪に鳶色の瞳のバイオリン弾きの少年。実はエセルバートの異母弟で、襲撃事件の時にサラやリヒャルトと共にいた。事件のトラウマで、暗所恐怖症である。また、他国に保護され、その庇護を受けることができた他の兄弟とは違って居場所を転々とせざるを得なかったためかややひねくれた性格で、ぶっきらぼうな物言いをすることが多い。思い込んだら一直線な部分もあり、フレッドは「天然系で乙女系で暴走系」「間違いなく大公家の血を引いてる」「つんつん具合が昔のリヒャルトにそっくり」と評した。 ミレーユにとっては家族以外で初めて誕生日を祝ってくれた人で、リゼランドにいた頃、地元の子供たちにいじめられていたところをミレーユに救われて以来、公子時代に作った求婚の曲を捧げたほど彼女に思いを寄せていたが、ミレーユと出会ったのがフレッドが養子に行った後であり、フレッドのことをほとんど知らなかったため、ひと騒動起こしたことがある。以来ずっとミレーユを男だと勘違いしていた。 シアラン神殿の奉納楽の際に、現在所属している楽団の一員として神殿へやってきて、偶然バイオリンを聴いたミレーユと再会する。その後、ミレーユをお披露目するため催された春の舞踏会の際、大公となった兄に「音楽家のキリル・メルキウスとして生きる」と決意を話し、受け入れられた。その後は宮廷楽団ではなく、貴族をパトロンに持つ楽団の一員として演奏旅行に出たりしている。 王宮にいた頃の音楽の教師だった、元宮廷楽団楽長が書いた組曲の楽譜の一部を受け取っており、彼を殺した現楽長から残りを奪い返すべく、あえてリヒャルトらの敵方にいたが、ミレーユの側近となる女官を決めるための令嬢たちの交流会の際にミレーユの身が危険にさらされることを知り、行動指針を変更する。なお、幼い頃受け取った楽譜のうち1枚は最終的にミレーユに渡されており、リゼランドの『オールセン』にあるが、その時点で暗譜していたという。 ギルフォード 系譜上では前大公の長子で、エセルバートの異母兄。こげ茶の髪に藍色の瞳。政変により大公の座を簒奪したとされていたが、実は18歳まで存在を知らされていなかった双子の兄に毒を盛られ、入れ替わられていた。実際は仮死状態だったため、生存に気づいた母によって埋葬された墓から助け出され、何年も逃げ延びていたところを、リヒャルトの帰還と前後してウォルター伯爵により発見され、神殿に保護される。 花嫁修業編1巻目において、マージョリーに加担し、結婚契約書(マージョリーが作らせた偽造品)の存在をミレーユに告げたが、この際ジェラルドにも聞かれており、ある事件のきっかけになってしまった。また花嫁修業編3巻目において、かつてサラに宛てて書いた手記を定期的に無記名で出版社に郵送している。発行された小冊子は、大公妃に禁断の恋をした青年の手記として公都で人気を博すが、書かれていた内容の大半が現在のミレーユにも該当したためもあり、様々な憶測が飛び交ってしまう。その後、本にまとめることになったため、代理人を立てて収益金をきちんともらい、それを国庫に納めることにした。また、宮廷の財政赤字を補填するために、彼の許可の下、ミレーユがシャロンやキリルの協力を得て計画し、歌劇の台本に作り直している。 オズワルド ギルフォードの双子の兄。白髪に空色の瞳。前大公一族を虐殺した張本人。ギルフォードの名を騙り、シアラン大公の座に就く。その際、「大病の結果、髪の色素が抜け、瞳の色が薄れた」と周囲を騙したが、髪の色は自ら調合した薬の実験台になることもあったため、その副作用らしい。 双子は忌むべき存在だと母親が信じていたこと、その母が依頼した占いの結果が「先に生まれた子供は災いをもたらす」というものだったことなどから、その存在は前大公に伝えられず、手で触れた相手の心を読むという異能の力を持っていたため、幼い頃に神殿に預けられていた。しかし、12歳の時に狂信派に連れさられ、素性を吹き込まれたことで、大陸全土を手に入れるという願望を持ち、神殿で学んだ薬草や毒薬の知識を使って大公一族を毒殺した。 エルミアーナ 前大公の第3公女。16歳。ギルフォードの同母妹で、灰色がかった薄茶の髪に空色の瞳。政変時に殺されたり追放された兄弟達と違って唯一シアランに残った。ただし病弱なため、度々療養のため離宮に来ている。また、「家出」と称して宮殿を脱走することもあり、「失踪公女」などと噂される。愛猫に、政変の際幼くして死んだ弟の名をつけて可愛がっている。 恋愛小説にはまっているためか夢見がちで、恋に恋する一面も持ち、金髪の王子に憧れている。そのため、愛猫を探して離宮を彷徨い転びかけたところを支えてくれたミシェルを気に入り、王子様役に指名した。ミシェルが騎士団を離れてからは、離宮が親衛隊に放火された際救ってくれた副長のイゼルスに相手を変え、強引に世話を焼こうとしたり愛の詩集を読ませようとしたりと、暴走するようになった。 ミレーユの輿入れと入れ替わりにジークの元へ嫁ぐ計画になっており(実質「人質の交換」)、それを阻止するため独自の理論で動いていたが、オズワルドが捕らえられ、エセルバートが大公となった後も宮殿で暮らしており、フレッドを王子様役にして各種ごっこ遊びを繰り広げている。 ジークとリディエンヌの結婚式のための使節団の一員としてアルテマリスを訪れてからはミレーユを「お義姉さま」と呼ぶようになった。 マージョリー リヒャルトの祖母に当たる大后殿下。シアランの隣国・ロデルラント王家の出身。穏やかな笑みが特徴の老婦人だが、かつての大公妃であるため腹黒い一面を持ち、侮れない。ミレーユの花嫁修業の一環として度々試験をする。夫であった第5代大公ハロルドは、その第8后妃だったアリスによるととてもモテる人物で、正妃である彼女を含めた8人の妃のほかに、親衛隊となった貴婦人達に囲まれていた。 リゼランド亡命中に女王率いる宮廷劇団の公演にはまり込み、女官達と共に「男装少女」に憧れている。そのため、自身付きの女官を使ってミレーユを度々自室に連れてこさせては様々な衣装で男装させ、ひとしきり愛でている。 アリス・カーター リヒャルトの祖父の第8后妃。踊り子出身の色気に満ちた妖艶な美女で、夫との間に息子ジェラルドをもうけている。オズワルドの策で彼の正妃にされるが、母子ともに冷遇されていた。美容と健康維持のため、庭の隅に菜園を作り、度々自炊している。 現在はミレーユの閨房学の教師役で、同性でもくらくら来そうなほどの色気に憧れた彼女に、2人目の「恋愛の師匠」として慕われている。また、自分が使っている各種化粧品を分けているが、香水の一部は媚薬入りだったりして、ただでさえミレーユに煽られることの多いリヒャルトの理性を更に危うくさせる物である。 ジェラルド アリスの息子。リヒャルトにとっては年下の伯父にあたる少年。リヒャルトが若い頃の父親の肖像に似ているため憧れており、母と結婚して自分の父親になって欲しいと思っていた。その夢が破れた後もリヒャルトに憧れ続けており、その点ではミレーユと同じ視点を持つ。 ある伯爵の配下が、幼い彼の領地に納められるはずの税金で伯爵が私腹を肥やしていたことが新大公にバレる前に隠蔽しようと手を打ち始めたところに、それを知らない彼からギルフォードとミレーユの結婚契約書の存在を告げられ、リヒャルトを脅すためにそれを利用しようとし、拒絶したために監禁されてしまったが、無事救出された。 フィデリオ・ベルリッジ リヒャルトの同い年の従兄。マージョリーと共にリゼランドに亡命していた。リヒャルトとは声がそっくりだが、大人びて穏やかな印象のリヒャルトとは違い、さわやかでやんちゃな印象の青年。実はリヒャルトと好みも同じらしい。 リヒャルトの伯父に当たる父親は正妃の長男でありながら病弱で、長く生きられないと言われていたため、リヒャルトの父が王太子になった。父亡き後は母が塞ぎこみがちになったため、叔父にあたる大公一家に可愛がられて育ったらしい。 現在は調査等で動きやすいようシアラン騎士団第5師団に籍を置いており、騎士団の服装で男装したミレーユとリヒャルトが親しげに会話している現場を目撃して以来、リヒャルトがミレーユとミシェルのどちらを好きなのかと疑問に思っていることもあって、男装している時のミレーユによく絡んでくる。婚前旅行編4巻目でミシェルとミレーユが同一人物であると知らされ、驚いていた。そのミレーユに対して好意を自覚しており、複雑な感情を覚える。 現在行方知れずとされる大公妃の指輪「青い百合」を隠し持ち、同じく従兄弟関係にあるウォルター伯爵と共謀している。しかし、彼が青い百合を持ち込んだことがきっかけで母が精神的におかしくなったことから、彼の言動に裏があると気づいた。その後は彼を大公に据え、野望を叶えようとする狂信派を内偵していたが、二重間者であることがばれないよう複雑な立ち位置にいる。 リゼランドに亡命後母が再婚したため義妹が出来たが、彼女は女王の劇団にいる男役に憧れており、常に男装し一人称が「僕」であるため頭を抱えている。
※この「大公家関係者」の解説は、「身代わり伯爵シリーズ」の解説の一部です。
「大公家関係者」を含む「身代わり伯爵シリーズ」の記事については、「身代わり伯爵シリーズ」の概要を参照ください。
- 大公家関係者のページへのリンク