労働者派遣肯定側からの反論とは? わかりやすく解説

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労働者派遣肯定側からの反論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 00:12 UTC 版)

労働者派遣事業」の記事における「労働者派遣肯定側からの反論」の解説

労働者派遣業界への批判対し主として派遣先と派遣元の経営側は、以下の点について反論している。 マージンへの批判 厚生労働省公開している労働者派遣事業報告書集計結果によると、派遣労働者賃金(8時間換算)と派遣会社派遣料金(8時間換算)から、一般労働者派遣では31%、特定労働者派遣では33%が派遣会社マージンとなっている。また主要派遣会社マージン率は各派会社公式サイトなどで公開されている。 業界団体ある日本人派遣協会は、営利企業として利益上げるには30%程度マージンを取らざるを得ない説明している。 派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針平成20年厚生労働省告示37号)は「13情報公開」において労働者派遣会社対し派遣労働者単価経営情報派遣事業報告書などの事業運営状況に関する情報派遣企業および派遣労働者公開することを定めている。しかしこの告示自体がほとんど周知されていないのが実情である。過剰なマージンについて労働者派遣会社側は否定しているが、マージン大半がその企業決算報告書から導き出せ割合はないた真偽確認が困難で信憑性乏しい。真実仮定したとしても、統計的見地から導き出され数値ではないケースがほとんどである。[要出典] アデコフジスタッフ(現・ランスタッド)などの独立系労働者派遣会社場合利益社会保険労使折半)や有給休暇負担福利厚生事務所地代家賃人件費などの経費加味して計算するため、例え一等地にある大型労働者派遣会社マージン30%だとしても額面どおり利益にはならない。これは他業種一般企業年商社員数で割った数字が、そのまま社員各々年収となるよう分配することが出来ないことと同じ道理である。大まかにであるが、有休には派遣社員給料の5%程度充てられ、社会保険には7~10%程度充てられる。そのほか経理営業スタッフへの指示業務とする担当者などの人件費広告費大型ビル地代家賃光熱費などの諸経費がかかる。[要出典] 労働者派遣業薄利多売であることは労働者派遣企業財務諸表からも分かる例えば、労働者派遣大手であるテンプスタッフ2007年度売上高が1618億円なのに対して営業利益70億円であることからも推察できる売り上げ1600億円に対して70億円程度純益としている場合は、派遣企業マージンから経費除いた純粋な利益4.5%程度である。また、2006年度決算における業界上位5社の営業利益テンプスタッフ4.5%が最大であり、労働者派遣最大手パソナ営業利益は3%に過ぎない。しかし派遣業全体売り上げ平成22年度厚生労働省の調査で5兆円を超えており、そのわずか3%が純益であったとしても1500億円という巨額な利益である。[要出典] 労働者派遣企業は本来労働者全額を得るべき労働対価収益源としている 企業正社員雇用するということは莫大な経費発生し、かつその社員原則定年まで雇用し続けることを前提とした賃金設定を行う必要があるボーナスは除く)。さらに、たとえば1万人の派遣社員正社員として雇用した場合1万分の労働管理経理事務発生することを意味する必然的に管理職経理担当者増員迫られ、これらの人件費発生する。また正社員景気循環季節変動応じた雇用調節が困難である。 こうしたことから、企業正社員雇い入れるということはイニシャルコスト・ランニングコスト両面大きな負担強いられる労働者派遣会社純利益とできるマージンを仮に5%得たとしても、企業はこの負担相殺しさらに企業にとって利益となる。労働者派遣企業派遣企業労務費弾力性与え企業体質強化するサービス対価として利益得ている。 正社員派遣代替され、正社員としての雇用機会奪っている 日本正社員身分保障が非常に強いため、派遣労働者存在企業労働力需要抑制して労働者雇用機会損ねているという指摘がある[誰によって?]。実際に日本の企業新卒一括採用偏っており、派遣労働者企業労働需要満たしている。 派遣社員は低収入で、経済格差ワーキングプア原因になっている 1986年労働者派遣法制定された際は、労働者派遣同時通訳財務処理、ソフトウェア開発など一般企業正社員には困難な特筆すべき技能有している者を「一時的に外部から拝借する」手段であることを想定していたため、かつては派遣社員というのは一般的に正社員よりも高給取りで、様々な会社転々とするスペシャリストプロスポーツにおける「ジャーニーマン」)だとみなすことが一般的であった。 しかし、一般企業(特に製造業現業)が人件費圧縮する手段として労働者派遣会社利用する傾向1999年法改正後)から顕著化し、2008年現在においては技能未習得者のみならず就労未経験者をも受け入れ即戦力としてでなく「定型的な単純作業行わせるための人材」を確保する手段として、派遣会社利用する企業急増している。2009年には製造業の単純業務における労働者派遣受け入れ禁止時の厚生労働大臣長妻昭によって提案されたが、その後一年単位繰り返されている内閣総辞職新内成立更には2013年自公連立政権復活などにより、法案成立目途立っていない。 派遣企業誤った認識トラブル原因である場合も多い 派遣先の企業担当者が、派遣労働者誤った認識持って接しトラブルにつながる例も多い。労働者派遣利用して日の浅い企業でよく見られるケースだが、派遣担当者派遣労働者に対して社員準じて仕事を自ら進んでするべきとの態度接しノルマ成績まで社員準じて要求する場合がある。派遣社員側が社会保険加入ない場合は、短期アルバイトとしか考えていないケースがほとんどのため、大企業正社員準ずる労働水準という過剰な要求を受け、トラブルになり早期派遣社員側が退職し双方不利益な結末となる例が多い。中には派遣社員高度情報処理技術者試験合格するよう要求する極めて過剰な要求例も報告されている[要出典]。高度情報処理技術者試験合格できる人間情報処理技術者中でも限られており、高度情報処理技術者試験合格できる実力を持つ人間派遣社員としてそのまま勤務し続けることはほとんどない派遣社員外部人間のため、派遣先の指示なしでは動けない場合も多い。派遣会社場合によっては指示なしで行動せず、言動には慎重を期すよう教育していることもあり、社員準じて率先して自ら動く労働者求め場合は、準社員契約社員の方が労働者派遣よりも適している場合有り派遣企業認識不足労働者派遣ミスマッチとなっている例も多く報告されている。また労働者派遣では派遣社員完成責任はないため、完成責任有する請負の方が適した場合もある。[要出典] また正社員側が、派遣元にクレーム入れるぞと派遣社員恒常的に恫喝し続け正社員準ずる労働水準強要し関係が極度に悪化し派遣社員側が辞職した故意ミス犯したり、故意派遣先に損失引き起こし派遣社員辞めるときに派遣先の問題点全て派遣先の人事総務報告しトラブルになるケース報告されている。派遣社員側から企業総務人事担当者に、恒常的に恫喝し続けるというような行為を取り締まるよう求める声がある。中には正社員私的都合のために、派遣社員社内規則違反したことを指示したり、会社損失さえ無視する極めて悪質な例や、正社員責任回避するために、派遣社員明確な指示与えず業務遂行させ、問題発生した自分派遣社員に対して指示出していないと主張する例がかなりの報告されている。派遣社員側から総務人事正社員悪質な行為通報する制度整備や、それによって派遣社員側の不利益発生しないよう環境整備が必要との声が、派遣企業派遣社員双方からある。[要出典][誰によって?] 派遣制度一部労働者にはメリットのある制度 大手労働者派遣会社場合3-6カ月毎の更新契約が多いため、このことが精神的な圧迫になる者もいるが、逆にイニシアチブ一生就業先に預け必要がないことに魅力感じる者も存在する正社員では社内規定基づいた平均化された給与同一化され、能力応じた支払いを受けることが難し企業なかにはあるが、高度な技術を身につけた労働者高額な給与時間的な自由度が高い派遣先だけを選ぶことにより、年収を向上させていくことができる。企業人材育成意欲低下している中、企業に頼ることなく自らのキャリアアッププランを明確に持つことで、短期間的に見れば会社に頼るのに比べ高い収入を得ることができる。派遣社員には原則として退職金ボーナスなどの待遇はない代わりに業種派遣社員技能によっては月々の手取額が中小企業キャリアの浅い正社員よりも高くなることがある。このことで得た一時的な現金元手に、留学習い事自発的に投資してさらなる能力身に付けるという自己啓発計画メリット感じる者も以前少なくなかったたしかに20代高時と言われる時給2000円なら年収レベル400万円魅力であるかもしれないが、昇給がないため40歳でも400万円のままである交通費自費のところも多く長年勤務して昇給もなく、40歳をすぎると極端に需要が減るうえ、見合った仕事なくなれば契約期間であっても契約終了となるなどのデメリット次々と明らかになり、派遣魅力を持つものは激減している。[要出典] 毎日新聞の報道によればNPO法人調査結果では製造業で働く派遣労働者のうち、派遣労働選んだ理由は「消極理由」とした者が7割で、メリット感じて積極的に選んだ者は約3割だったという。

※この「労働者派遣肯定側からの反論」の解説は、「労働者派遣事業」の解説の一部です。
「労働者派遣肯定側からの反論」を含む「労働者派遣事業」の記事については、「労働者派遣事業」の概要を参照ください。

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