プロフェッショナルスポーツ
プロフェッショナルスポーツ(Professional sports)とは、スポーツをする能力が高く、それにより報酬を得ているプロフェッショナル選手[1]やその指導者などで構成されたスポーツ・スポーツ組織のこと。プロスポーツと略されることが多い。
歴史
アマチュアリズムとの関係
プロフェッショナルスポーツはアマチュアスポーツに対する概念である。歴史的にはスポーツのアマチュアリズムはプロフェッショナルに対応して成立した[2]。
18世紀頃のスポーツはパトロンである封建貴族によるパトロンスポーツであった[2]。その後、19世紀中頃までブルジョアジーを中心とする賞金スポーツ(賞金制スポーツ)が一般化した[2]。賞金スポーツの一般化によって賞金を目当てとする労働者が続々と大会に参加するようになり次第にプロ化していった[2]。
資本家階級はスポーツを貴族階級のためものから解放したが、一方でプロ化によって好成績を奪われるようになったために自らの階級でスポーツを独占するようになり、これがアマチュアリズムの起源にもなっているとされる[2]。資本家階級はスポーツの大会の運営主体となっており、スポーツの大会に労働者が参加して敗北することは階級の名誉に関わると考えられたことが背景にある[2]。
世界初の成文化されたアマチュア規定は1866年の第1回全英陸上競技選手権大会(アマチュア・アスレティック・クラブ)とされている(ただし1839年に内規あるいは道義上の規定として制定されたヘンレー・レガッタ参加規定のようにそれ以前にもアマチュアの用語を使用した参加規定はあった)[2]。第1回全英陸上競技選手権大会の参加者資格では、かつて賞金目当てにプロフェッショナルと競技した者、生活費を得るために競技いかんを問わずスポーツ指導を行った者、手元の訓練を必要する職業あるいは雇用者である機械工や職工、労働者などはアマチュアと認めないというものであった[2]。その後、1880年、全英陸上競技連盟は激論の末に参加者資格から機械工や職工、労働者などはアマチュアと認めないという規定を削除した[2]。次第に参加者規定からは露骨な階級規定や身分規定は廃止されたが、全英ヘンレー・レガッタ委員会のように1937年の改正まで削除されなかった例もある[2]。
1860年代からイギリスで国内の各種競技団体が成立するとヨーロッパでも国内組織が結成されるようになり、1881年には体操の国際競技連盟が設立されるなど国際団体も設立されるようになった[2]。
19世紀末、ピエール・ド・クーベルタンが近代オリンピックを提唱したとき古代オリンピックで衰退の原因ともなった買収などが問題視された。クーベルタンは1894年1月15日付で各国のスポーツ関係者や政治家などに回状を送付したが、そこではアマチュア概念の問題、違反した場合の資格はく奪と回復、アマチュアに関して各種競技間にある差異の取り扱い(特に競馬とクレー射撃)などが懸案事項とされていた[2]。第1回オリンピックではアマチュア規定は明確にはなっておらず、第2回オリンピックでは多額の賞金も支払われた[2]。1901年、第4回国際オリンピック委員会総会で初めてアマチュア規定が制定された[2]。
スポーツの高度化・商業化
1970年代、各競技の国際競技連盟(IF)はますます資金が必要となり、企業側からもスポーツを市場や広告の場として活用する動きが強まった[2]。1974年、オリンピック憲章からアマチュアの表現が削られて参加資格(Eligibility)に変更された[2]。さらに1981年には国際オリンピック委員会では参加資格を定めず、それは各競技のIFに委ねることになった[2]。
オリンピックに先立って1968年にはテニスのウィンブルドン選手権が賞金制を採用した[2]。また、1982年、国際陸連(のちのワールドアスレティックス)が出演料(Appearance Fee)を認めることとした[2]。
世界中のほとんどの国にはプロサッカーリーグがあり、アメリカには、アメリカンフットボール・野球・バスケットボール・アイスホッケーのプロリーグがある。また個人で行われるプロスポーツとしてはボクシングやテニス、ゴルフなどがある。これらは企業の広告戦略によって、スター選手及びその関連団体に巨額の利益をもたらす一大産業に成長した。日本国内ではプロスポーツクラブに対して親会社による欠損金補填などを広告宣伝費として扱い、税務上の優遇措置を受けることができるようになっている[3]。
「観戦するスポーツ」として年齢に関係なく国民に親しまれ、スポーツ全体の振興に貢献している[4]。
プロスポーツ選手
プロスポーツ選手になる方法によって、日本国内のプロスポーツは以下のように類型化される[1]。競技の団体によっては重複するものがある。
- 入団・契約型:試合を開催する団体に加盟する個々のチームとプロ契約すればプロになれるもの[5]
- プロ野球、プロサッカー、大相撲など。
- テスト型:試合を主催する団体の定める選考に合格する必要がある物
- プロボクサー、プロゴルファーなど。(プロ野球やプロサッカーの「プロテスト」「トライアウト」(12球団合同トライアウト)は試合を主宰する団体の選考ではなく、上記の入団や契約のために個々のチームが行う選考である)
- 養成型:試合を開催する団体の研修所を卒業し、且つ、国家試験に合格する必要があるもの
- 実績型:アマチュアとして試合(オープン戦やプロ・アマ戦などと呼ばれる)に参加し、定められた順位に入ることでプロ資格を得られる物
- サーフィンなど。
- 宣言型:選手個人がプロ宣言し、スポンサーやチームと個別に契約するもの。試合を開催する団体によってはプロアマの区別をしていないことや、プロ宣言を認めていないものもある。
主なプロスポーツとプロスポーツ組織
- プロ野球
- プロサッカー
- プロクリケット
- プロバスケットボール
- プロテニス
- プロゴルフ
- プロビーチバレーボール
- プロボウリング
- ビリヤード
- 競馬
- 競輪、オートレース
- 競艇
- 大相撲
- モータースポーツ
- プロロードレース
- プロボクシング
- プロレス
- キックボクシング
- 総合格闘技
脚注
- ^ a b スポーツ選手のプロとアマどう違う? 境目は曖昧、カギは「意識」 2011/12/5 日本経済新聞 プラスワン
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s 内海和雄. “アマチュアリズムの終焉 個人主義の崩壊から公共性の復権へ”. 一橋大学研究年報 人文科学研究. 2021年2月22日閲覧。
- ^ “Bクラブ親会社による欠損金補填など税務上の優遇がJリーグやプロ野球と同様の扱いに”. バスケットボールキング. (2021年3月9日) 2021年4月27日閲覧。
- ^ スポーツ:競技スポーツ:国際競技力の向上:我が国の競技スポーツ:6 プロスポーツの役割文部科学省
- ^ この定義は1937年に三原脩と読売ジャイアンツによって日本で初めて示された
関連項目
「プロスポーツ」の例文・使い方・用例・文例
- 不法ノミ行為は、競馬やプロスポーツ賭博に限らず、毎日の株式や為替市場でも存在し得る。
- プロスポーツのファン
- プロスポーツ界において,コミッショナーという機関
- 世界ボクシング評議会という,プロスポーツの運営機関
- プロスポーツ界でコミッショナーという統制をはかる権限を持つ人
- 上位100人入りしたプロスポーツ選手はいなかった。
- 彼女はプロスポーツ選手になり,トップアスリートの先駆者であり続けている。
- 同チームはサッカーチームのコンサドーレ札幌と野球チームの日本ハムファイターズに次いで北海道を本拠地とする第3のプロスポーツチームとなる。
- 関西のプロスポーツにより多くのファンを呼び込む
- 大阪市の団体が,関西地区のプロスポーツの試合により多くのファンを呼び込む方法についてのアイデアを中小企業に募った。
- プロスポーツチームは人気を高める方法を見つける必要がある。
- プロスポーツのページへのリンク