労働者派遣法とその影響
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/28 07:09 UTC 版)
バブル崩壊後の1996年の労働者派遣法改正により26業種の労働者派遣が認可、次いで1998年の派遣適用対象業務が事実上自由化(一部を除く)は、企業側の雇用価値観を変化させ、終身雇用者数の減少と派遣雇用者数の増加につながった。 経済成長期に慣習であった一家の男性を稼ぎ頭とした日本型終身雇用制度は、その美点とされた世帯の経済保障が崩れ、不安定な収入を経済事由とした出生率の低下、それまで減少傾向であった生活保護費の増加や年金保険料の未払いなど国の社会保障制度にも問題が波及し、2000年以降の国の政策にも影響を与えた。 また、経済的に消費者がより安価なものを求めた結果、失われた20年と揶揄されるデフレーション長期化の一因となり、バブル崩壊後の名目経済成長において足枷となった。これは国内の企業業績にも影響を与え、終身雇用から派遣業者委託雇用制度に移行し、人件費軽減の恩恵を受けた多くの企業も業績低迷に苦しめられた。 終身雇用者数の減少と派遣雇用者数の増加は、2000年以降の「格差社会」といった言葉が生れる土壌ともなったと指摘され、経済的影響が顕著とされる自殺者総数は、1998年以降から厚生労働省の人口動態統計において高水準で推移している。
※この「労働者派遣法とその影響」の解説は、「終身雇用」の解説の一部です。
「労働者派遣法とその影響」を含む「終身雇用」の記事については、「終身雇用」の概要を参照ください。
- 労働者派遣法とその影響のページへのリンク