ウィリアムブレイクと現代とは? わかりやすく解説

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ウィリアム・ブレイクと現代

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 00:26 UTC 版)

ウィリアム・ブレイク」の記事における「ウィリアム・ブレイクと現代」の解説

ブレイク多く思想家アーティストたちにインスピレーション与え続けている。 オルダス・ハクスリーエッセイ集『知覚の扉』(The Doors of Perception1954年)の中で、たびたびブレイク言及しながらドラッグによる幻視体験について語っている。この本はブレイクの『天国と地獄結婚』から "If the doors of perception were cleansed every thing would appear to man as it is: infinite"(知覚の扉清められたなら、物事ありのままに、無限に見える)という言葉エピグラフとして引用している。 ロック・グループ、ドアーズバンド名もブレイク由来する。これはハクスリーの本から影響受けていたジム・モリソン提案よるものである。 ビート詩人アレン・ギンズバーグ1948年自宅ブレイク詩集無垢と経験の歌』を読んでいるとき、「ひまわりよ」(Ah! Sun-flower)、「病める薔薇」(The Sick Rose)、「迷子になった女の子」(The Little Girl Lost)を朗読するブレイクの声が外側か聞こえてくる幻聴体験をしたと言われている。ギンズバーグ初めブレイク知ったのは、1943年ウィリアム・バロウズの家を初め訪れその本見た時であり、その際バロウズブレイクのことを「完璧な詩人」(a perfect poet)と称したとの逸話残されている。 アルフレッド・ベスターによる長編SF作品虎よ、虎よ!Tiger! Tiger!、1956年)の題名ブレイクの詩『虎』(The Tyger)に由来しエピグラフとして "Tyger, Tyger, burning bright" からはじまる一節引用されている。 イギリスロックバンドアトミック・ルースター1970年アルバムデス・ウォークス・ビハインド・ユー』のジャケットで、ブレイク色刷版画ネブカドネザル』(Nebuchadnezzar)が使われている。 レイ・ファラディ・ネルスン(Ray Faraday Nelson)は、SF作品ブレイク歴程』(Blake's Progress, 1975年)に、ブレイクとその妻キャサリンを、ユリゼンはじめとするブレイク神話体系登場人物たちと同じよう登場させ、異次元異空間探索に旅立たせている。この作品1985年に『ブレイク飛翔』(Time Quest)という題名再出版されている。 ブレイク後期預言書のひとつ『ミルトン』の序詩に、サー・チャールズ・ヒューバート・パリーが、1916年に曲をつけ "And did those feet in ancient time"(古代あの足が)という聖歌作った。この聖歌一般にエルサレム』という曲名知られており、労働党保守党圧勝した1945年以来労働党の党歌として歌われている。また、BBC主催する音楽祭プロムスでは、この曲が最後楽曲一つとして歌われる経済学者カール・ポランニー著書大転換』(1944年)で、産業革命以降市場経済化のたとえとして、ブレイクの『ミルトン序詩第2節にある「悪魔ひき臼dark Satanic Mills)」を引いている。 ヒュー・ハドソン監督映画炎のランナー』(1981年)でもこの聖歌歌われる。"Chariots of Fire" という映画原題も、この聖歌の "Bring me my chariot of fire"(ぼくに炎の戦車を)という一節呼応している。 イギリスのプログレッシブ・ロック・グループ、エマーソン・レイク・アンド・パーマーアルバム恐怖の頭脳改革』(Brain Salad Surgery1973年)に収録されている「聖地エルサレム」(Jerusalem)はこの聖歌アレンジした曲である。 イギリスミュージシャン、ビリー・ブラッグも、この聖歌を「ブレイクエルサレム」(Blake's Jerusalem)というタイトルで、左翼プロテスト・ソング焼き直しカバー曲集めたアルバムインターナショナル』(1990年)に収録、自らのアレンジによるその曲を「ブレイクが目にしていた資本家どもの新バージョンへの攻撃」と称している。 カール・セーガン原作小説『コンタクト』1985年)はブレイクの「」("The Fly")をエピグラフ用いている。 アイアン・メイデンボーカリストブルース・ディッキンソンソロ・アルバムケミカル・ウェディング』(1998年)には、『ミルトン』の序詩ディッキンソン等が独自に曲をつけた「エルサレム」Jerusalem)というタイトルオリジナル曲収録されている。このアルバムディッキンソンは、ブレイクテンペラ画ゴースト』(The Ghost of A Flea)をジャケット用いブレイク神話登場人物セルユリゼンについての曲「セルの書」(Book of Thel)や「ユリゼンの門」(Gates of Urizen)を歌う。またこのアルバムでは『ユリゼンの書』(The Book of Urizen)および『ミルトン』の一節朗読され、次の楽曲への導入的効果果たしながら楽曲同士繋げている。 映画炎のランナー』は『ミルトン』の序詞にある「炎の戦車」が題名の由来であり、オリンピック目指す青年群像という内容もこの詞を意識したのであるトマス・ハリス小説レッド・ドラゴン』(1981年)の中で、ブレイク水彩画巨大な赤い龍と太陽の衣をまとった女』(The Great Red Dragon and the Woman Clothed in the Sun)が重要な役割与えられている。 ロック・グループ、タンジェリン・ドリームアルバムタイガー』(1988年)は、ブレイク詩と思想対すオマージュとなっている。彼らは斬新な曲作りをすることで、「虎」(The Tyger)や「ロンドン」(London)をはじめとするいくつもブレイクの詩に新たな息吹吹き込んでいる。 大江健三郎短編連作集『新しい人よ眼ざめよ』(1983年)において、語り手「僕」は、一流ブレイク研究者と言っていいほどの読解力で、難解なブレイクテキスト丹念に読み続けブレイク言葉自分人生重ね合わながら、人間存在人類運命についてのヴィジョン展開していく。この作品のタイトル新しい人よ眼ざめよ』は、『ミルトン』の序の一節からインスピレーション得たものであり、さらに収録された短編タイトルもすべてブレイク作品由来している。 リドリー・スコット監督による映画『ブレードランナー』1982年)で、チュウラボ現れロイ台詞Fiery the angels fell. Deep thunder rode around their shores, burning with the fires of Orc.」は、ブレイクの『アメリカ ひとつの預言』の「Fiery the Angels rose, & as they rose deep thunder roll'd / Around their shores: indignant burning with the fires of Orc」に由来する思われるOrc (オーク)はブレイク独自の象徴体系に基づく神話登場人物の名前である。 マイク・ニューウェル監督映画フォー・ウェディング』(1994年)の後半教会結婚式「エルサレム」披露されるジム・ジャームッシュ監督による映画デッドマン』(1995年)も、ブレイク詩と思想対すオマージュ作品であり、登場人物たちの名前や多く台詞ブレイク作品由来している。 ロック・ミュージシャンのパティ・スミスは、2001年パリ行われたライブで、『オオカミが来たと叫ぶ少年』(Boy Cried Wolf)の演奏前に子羊」(The Lamb、『無垢の歌』の中の短詩)を朗読している。この朗読は、アルバムランド』(LAND2002年)のディスク2収められている。 映画版Vフォー・ヴェンデッタ』(2005年)で、V の部屋の壁にブレイク色刷版画アダム造るエロヒム』が飾ってある。 ケン・ローチ監督映画麦の穂をゆらす風』(The Wind That Shakes The Barley2006年)の中で、主人公入れられ牢獄の壁に「愛の園」(『無垢と経験の歌』の「経験の歌」のなかの短詩)の一節刻まれている。 2012年ロンドンオリンピックの開会式アトラクション「エルサレム」知られるミルトン』の序詞コンセプトにしており、作中の「緑なす豊潤イングランド大地」「暗い悪魔の工場」「炎の戦車」という言葉をキーワードにアトラクションが演ぜられた。 小泉堯史監督・脚本による映画博士の愛した数式』(2006年)でクレジットタイトル流れ直前に、「無心まえぶれ」(Auguries of Innocenceピカリング原稿収められた詩)の冒頭一節朗読される。 その他、ブレイク言葉聖書シェイクスピア次いで日常的に報道ジャーナリズムでも引用されることが多い。

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