知覚の扉
(The Doors of Perception から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/10 13:59 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動著者 | オルダス・ハクスレー |
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原題 | The Doors of Perception |
国 | イギリス |
言語 | 英語 |
題材 | 哲学 |
出版日 | 1954 Chatto & Windus (英語) (UK) Harper & Row (英語) (US) |
出版形式 | 印刷 (ハードカバー & ペーパーバック) |
ページ数 | 63 (ハードカバー;初版;『天国と地獄』の付属がない) |
ISBN | 0-06-059518-3 |
OCLC | 54372147 |
615/.7883 22 | |
LC分類 | RM666.P48 H9 2004 |
『知覚の扉』(ちかくのとびら、原題 The doors of perception)は、1954年発行のオルダス・ハクスレーの著書で、幻覚剤によるサイケデリック体験の手記と考察である。日本語訳は、1976年に河出書房新社より今村光一の訳で、1978年に朝日出版社より河村錠一郎の訳でそれぞれ刊行されている。また、後者は平凡社から文庫化もされている。
概要
時は1953年、小説家で思想家のオルダス・ハクスレーは、精神科医のハンフリー・オズモンドに幻覚剤のメスカリンを用いた実験を申し出た。400ミリグラムのメスカリンの被験者となったハクスレーが、自らの内面の変容を語る。革命といえるような劇的な変化は訪れなかったが、30分ほど経った頃には金色の光が揺らぎ、光る中心点を持った赤色が膨れながら広がるなど光を見る。その体験により、アンリ・ベルクソンが提起する偏在精神説に共感する。
遍在精神説とは「人間は宇宙からのありとあらゆる刺激を受け止めている(その状態を遍在精神という)が、生存のために役立つ以外の多くのものを削除して、必要なものだけを知覚している」という考え方である。メスカリンによって脳内のグルコースによる不要な情報を削除する機能を抑制できるので、ありのままの宇宙に近いものを体感できるようになるから、遍在精神に近づけるとハクスリーは考えた。
体験後、ハクスレーは品揃えの豊富な薬局に行き、フィンセント・ファン・ゴッホの画集を見る。「ゴッホの椅子」という物自体を描いたというコンセプトの作品を見ても、椅子には絶対や永遠を見いだすことができず、佳作でありながらもしょせんはそれらの象徴しか描けてないと感じる。一方、ボッティチェルリの名作とは呼びがたい絵に描かれた衣服のシワには、幻覚体験中に自分のズボンのシワに見たのと同様の、絶対や永遠を感じる。
また、物に絶対を感じる一方、人間関係に無関心になってしまったという。実験中の会話を録音しているのだが、その中で「物(ズボン)に感じるような永遠以上の永遠を人間にも感じなければならない」と喋っているのだが、実際にはそれは難しいと考える。その後、音楽鑑賞による心境の変化を考察したりする。メスカリン体験と精神分裂病との比較考察もする。
テキサス州からウィスコンシン州あたりに在住のネイティブ・アメリカン・チャーチでは、パンとワインの代わりにペヨーテが食される、という事例も紹介される。
本書の発行から2年後の1956年には、本書と『天国と地獄』がセットになった書籍が刊行されている。ハクスリーの死後、サイケデリック体験に関する40篇近い短編を集めた『モクシャ』(日本語訳未刊)も出版されている[1]。
本書の影響
ティモシー・リアリーやテレンス・マッケナなどに影響を与えた[2]。サイケデリック・ロックバンドのドアーズも、バンド名を本書から取ったという[3](本書のタイトル自体は、ウィリアム・ブレイクの詩から取った)。
日本語訳書
- オルダス・ハックスレー『知覚の扉・天国と地獄』今村光一訳、河出書房新社、1976年。 『天国と地獄』も収載。
- A・ハックスレー『知覚の扉・天国と地獄』今村光一訳、河出書房新社〈現代思想選〉、1984年。 同。
- A・ハックスリー『知覚の扉』河村錠一郎訳、朝日出版社〈エピステーメー叢書〉、1978年。
- オルダス・ハクスリー『知覚の扉』河村錠一郎訳、平凡社〈平凡社ライブラリー〉、1995年。ISBN 4-58276-115-1。
出典
- ^ Huxley, Aldous (1977). Moksha : Writings on Psychedelics and the Visionary Experience (1931-1963). New York Stonehill. OCLC 948005434.
- ^ 平凡社、文庫版、あとがき
- ^ Simmonds, Jeremy (2008). The Encyclopedia of Dead Rock Stars: Heroin, Handguns, and Ham Sandwiches. Chicago: Chicago Review Press. ISBN 1-55652-754-3.
関連項目
- ウィリアム・ブレイク - イギリスの詩人、画家、銅版画職人。本書の中でハクスレーがたびたび言及している。
- 白昼の幻想 - 朝日出版社による日本語版に一シーンが掲載されている映画。ジャック・ニコルソン脚本、ロジャー・コーマン監督作品。
「The Doors of Perception」の例文・使い方・用例・文例
- The Malay Times に掲載されていた、非常勤の下級アナリストの職に関する広告についてご連絡を差し上げています。
- ‘They are flying kites.' はあいまいな文である.
- 話し中です (《主に英国で用いられる》 The number's engaged.).
- 名詞相当語句 《たとえば The rich are not always happier than the poor. における the rich, the poor など》.
- 総称単数 《たとえば The dog is a faithful animal. の dog》.
- =《口語》 These kind of stamps are rare. この種の[こういう]切手は珍しい.
- 王立オペラ劇場 《the Covent Garden Theatre のこと》.
- 英国学士院 (The Royal Society)の会報.
- 初めて読んだ英文小説は“The Vicar of Wakefield”
- 『Scotish』は、『The Scottish Symphony』や『Scottish authors』、あるいは、『Scottish mountains』のような、より正式な言葉遣いの傾向がある
- STD(神学博士)はラテン語のSanctae Theologiae Doctorに由来する
- 『The boy threw the ball(少年がボールを投げた)』は、能動態を使う
- 『The ball was thrown(ボールは投げられた)』は簡略化された受動態である
- 1992年,「The Animals(どうぶつたち)」という本のために,まどさんの動物の詩のいくつかが皇后美(み)智(ち)子(こ)さまによって英訳された。
- 式典は,3Dコンピューターアニメ映画「I Love スヌーピー The Peanuts Movie」の米国公開の数日前に行われた。
- Microsoftがβ版をランチするのは「NetShow streaming server」で動画や音声をオンデマンドで提供する。
- 《主に米国で用いられる》 = 《主に英国で用いられる》 an admiral of the fleet 海軍元帥.
- 篏入的 r 音 《英音の India office /ndiərfɪs/の /r/の音》.
- (英国の)運輸省. the Ministry of Education(, Science and Culture) (日本の)文部省.
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