食品 食品の概要

食品

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/11 17:52 UTC 版)

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野菜類や果物
類の一種、鶏卵
乳製品の一種、チーズ
味噌類。

概説

「食糧」と「食品」と「食物」といった近接した意味の用語があるが、 おおむね、「食糧」は食品よりも材料寄りの概念で、食物は食品が調理されたもの、という関係にある、とも説明できる[2]。 例えば稲から収穫した米(稲の実)はそのままでは「食糧」であるが、それを精米すると「食品」という位置づけになり、精米された米を炊飯すると「ご飯」(米飯)という食物になる、という関係にあるとも説明できる[2]。ただし「食物」という表現は、指す範囲がはっきりせず、漠然と用いられる傾向がある[2]

食品には、さまざまな分類法がある。「植物性食品 / 動物性食品 ...」といった大分類以外にも、それらをさらに細分化した分類、また「タンパク質性食品 / デンプン性食品 / 脂肪性食品 ...」といった栄養学的分類、「生鮮食品 / 加工食品」という加工状態による分類、「醸造品 / 缶詰食品 / レトルト食品 / 冷凍食品 ...」といった加工法による分類法 等々がある。→#食品の分類

食品は安全・栄養・経済・実用・嗜好などの価値で評価・分析できる。 → #食品の価値

食品は、品質低下の防止、輸送・供給の安定、食の安全、栄養価の保持などのために保存が行われている。 → #食品の保存

食品をそのまま保存する方法には、冷蔵、冷凍、包装、乾燥などの方法があり、加工した上で保存する方法としては塩蔵、砂糖漬け、酢漬け、醤油・味噌づけ、瓶詰・缶詰などがある。 → #食品の保存方法

食品の定義

人間が口から摂取するものは、人間の健康に影響を及ぼす。例えば「野菜」と呼ばれることになったものの多くが、もともとは(人間が関与せずとも)野生で自生していた植物であり(あるいは野生の植物に人間が若干の品種改良をほどこしたもの)、人間が試しにそれをそれを食べてみたら健康状態が改善した(=健康に役立つ微量成分が含まれていた)り、活力を得られた( = 熱量を得られた、糖質を含んでいた)りしたといういきさつを持つ。

例えば、玉ねぎも、もともと古代では、スタミナをもたらしてくれる食品であり、たいていの病気の治癒に役立つ「薬」とも位置付けられていた[4]。その後の疫学調査で、玉ねぎを食べることが胃ガン・大腸ガン・食道ガンを減らす効果があることや、高脂血症に対する顕著な改善効果があることが明らかになった[4]

一方で「食品」とは別に特定の医学的効能をもつ「医薬」は別のカテゴリとすることで、それらに対し法的規制をしっかりと強化することができるしくみを整えている

日本

日本食品衛生法第4条は「この法律で食品とは、全ての飲食物をいう。ただし、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)に規定する医薬品医薬部外品及び再生医療等製品は、これを含まない。」と規定する[5][注 1]食品安全基本法2条における「食品」の定義も同様である。

米国

米国の制度上の分類では「食品及び栄養摂取の目的で口から入るもの」について主に保健福祉省(Department of Health and Human Services、HHS)のアメリカ食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)の食品安全・応用栄養センター(Center for Food Safety and Applied Nutrition、CFSAN)の所管としている[7]

食品の分類

主な分類に以下のようなものがある。

法制度上の分類

日本

日本の制度では食品は医薬品などと区別され、食品はさらに一般食品と保健機能食品(特定保健用食品及び栄養機能食品)に分けられる[7]

米国

米国の制度では食品は一般食品、添加物、栄養補助食品、医療食に分類される[7]

コーデックス食品分類システム

国際食品規格委員会のコーデックス食品分類システム(Food Category System: FCS)では16種類の食品に分類される[8]

  1. 乳製品及び類似製品
    牛、羊、山羊、水牛等の乳に由来する乳製品[8]。乳及び乳飲料(牛乳など)、発酵乳、練乳チーズ、乳を主原料とするデザート(プリン、フルーツヨーグルト、フレーバーヨーグルト等のヨーグルト)などを含む[8]。類似製品は乳脂肪を植物油脂で部分的又は完全に置き換えた製品[8]
  2. 油脂及び脂肪エマルジョン
    植物、動物、又は海産物源、あるいはその混合物に由来する脂肪を主原料とする製品[8]。バターオイル、ギー、植物性油脂(オリーブオイル綿実油など)、動物性油脂(ラード、魚油など)を含む[8]
  3. シャーベット及びソルベを含む食用氷
    シャーベットソルベなど水を主原料とする冷凍されたデザート[8]
  4. 果実及び野菜(キノコ類、根・塊茎、豆類・マメ科植物、及びアロエを含む)、海藻、並びに種実類
    さらに大分類で果実(04.1)と野菜、海藻、並びに種実類(04.2)の2つに分類される[8]。果実には生鮮果実と加工果実(冷凍果実、レーズンプルーンなどの乾燥果実、ピクルス、缶詰、瓶詰、ジャムマーマレードチャツネなど)がある[8]。野菜も生鮮野菜と加工野菜(冷凍野菜、乾燥野菜、ピクルス、漬物など)がある[8]
  5. 菓子類
    ココア及びチョコレートを主原料とするココア及びチョコレート製品(05.1)、ハードキャンディやソフトキャンディなどその他の菓子製品(05.2)、チューインガム(05.3)など[8]
  6. ベーカリー製品を除く穀粒、根・塊茎、豆類、マメ科植物及びヤシの中果皮又は柔らかい芯に由来する穀物及び穀物製品
    穀物及び穀物を主原料とする未加工製品(大麦、トウモロコシ、米などの未加工の穀物及び穀粒)と加工製品(小麦粉きな粉等の穀物粉、シリアル製品、パスタ麺類団子、大豆製品(豆乳豆腐納豆など))を含む[8]
  7. ベーカリー製品
    パンクラッカーベーグルマフィンケーキクッキーなどを含む[8]
  8. 家禽肉及び猟鳥獣肉を含む食肉及び食肉製品
    食肉、家禽肉、及び猟鳥獣肉の生鮮製品や加工製品(ベーコンコンビーフハムソーセージなど)[8]
  9. 軟体動物、甲殻類、及び棘皮動物を含む魚類・水産製品
    さらに大分類で生鮮魚類と加工水産製品(佃煮蒲鉾干物鰹節など)に分類される[8]
  10. 卵及び卵製品
    殻付きの生卵(10.1)、生卵の代わりになる製品(10.2)、その他の卵製品(10.3及び10.4)など[8]
  11. ハチミツを含む甘味料
    規格化された砂糖(白砂糖、三温糖など)、規格化されていない製品(糖蜜など)、天然甘味料(蜂蜜など)からなる[8]
  12. 食塩、香辛料、スープ、ソース、サラダ、タンパク質製品
    食品の芳香と風味を高めるために添加される物質(食塩香辛料香味料調味料マスタードソースなど)、特定の調理済み食品、主に大豆などの原料に由来するタンパク質で構成される製品(味噌醤油など)などを含む[8]
  13. 特殊栄養用途食品
    コーデックス食品分類システムでは「特定の身体的又は生理的状態及び/又は特定の疾患又は障害を持つことによる特殊な食事上の要件を満たす ために、特別に加工又は調整された特殊用途食品」を「特殊栄養用途食品」という[8]
  14. 乳製品を除く飲料
    さらに大分類でノンアルコール飲料(14.1)とアルコール飲料(14.2)に分けられる[8]
  15. そのまま食べられる香味製品
    ジャガイモ、穀物、穀物粉又はデンプンを主原料とするスナック(15.1)、ナッツ及びナッツミックスなどの加工ナッツ(15.2)、魚類を主原料とするスナック(15.3)など[8]
  16. 調理済み食品
    他の食品分類に含まれない食品[8]

栄養学上の分類

日本では、栄養による食品の6つの基礎食品群による分類がしばしば使われる。

6つの基礎食品群による分類
食品 備考
第1群 、肉、卵、大豆、大豆食品 主にたんぱく質の供給源。筋肉やさまざまな組織をつくるもの。
第2群 牛乳乳製品、海藻、小魚類 主にカルシウムの供給源。をつくり、体の各機能を調節するもの。
第3群 緑黄色野菜 主にカロチンの供給源。皮膚粘膜を保護し、体の各機能を調節するもの。
第4群 淡色野菜、果物 主にビタミンCの供給源。体の各機能を調節するもの。
第5群 砂糖、穀類、芋類 主に炭水化物の供給源。エネルギー源となるもの。
第6群 油脂類、脂肪の多い食品 主に脂肪の供給源。エネルギー源となるもの。



注釈

  1. ^ 法改正前の食品衛生法第4条では、「この法律で食品とは、すべての飲食物をいう。ただし、医薬品医療機器等法(昭和35年法律第145号)に規定する医薬品及び医薬部外品は、これを含まない。」と規定していた[6]

出典

  1. ^ 他言語では、: alimentum : Lebensmittelなど。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m 小学館『日本大百科全書』「食品」河野友美 執筆。
  3. ^ 広辞苑第6版
  4. ^ a b タマネギの医学
  5. ^ 用語解説(食品ロス参照)”. 京都府. 2020年6月1日閲覧。
  6. ^ 食品衛生法(昭和二十二年十二月二十四日法律第二百三十三号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局. 2009年11月30日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g h i 健康食品調査(米国)”. 日本貿易振興機構ロサンゼルス事務所農林水産・食品調査課. 2020年6月1日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 資料 1-1. コーデックス食品分類システム(Food Category System: FCS)”. 農林水産省. 2020年6月1日閲覧。
  9. ^ 「食べ物と健康 食品の安全」(健康・栄養科学シリーズ)p13 有薗幸司編 独立行政法人国立健康・栄養研究所監修 南江堂 2013年(平成25年)4月1日第1刷
  10. ^ 「食べ物と健康 食品の安全」(健康・栄養科学シリーズ)p13 有薗幸司編 独立行政法人国立健康・栄養研究所監修 南江堂 2013年(平成25年)4月1日第1刷
  11. ^ 「食べ物と健康 食品の安全」(健康・栄養科学シリーズ)p8 - 9 有薗幸司編 独立行政法人国立健康・栄養研究所監修 南江堂 2013年(平成25年)4月1日第1刷
  12. ^ 食品保健研究会(編) 1989, pp. 29 - 31.
  13. ^ 食品保健研究会(編) 1989, p. 29.
  14. ^ 食品保健研究会(編) 1989, pp. 29 - 30.
  15. ^ 食品保健研究会(編) 1989, p. 30.
  16. ^ a b 食品保健研究会(編) 1989, p. 31.
  17. ^ 「食文化としての昆虫食」p43 野中健一 (「文化昆虫学事始め」所収 三橋淳小西正泰編 創森社 2014年(平成26年)8月20日第1刷)
  18. ^ 「イスラエルのユダヤ料理」p110 鴨志田聡子(「イスラエルを知るための62章 第2版」所収 立山良司編著 明石書店 2018年(平成30年)6月30日第2版第1刷)
  19. ^ 『イスラームと食』p370 山根聡(「インド文化事典」所収)インド文化事典製作委員会編 丸善出版 2018年(平成30年)1月30日発行
  20. ^ 「食と健康 インドの浄・不浄観と社会」p107 - 109 松尾瑞穂(「世界の食に学ぶ 国際化の比較食文化論」所収 河合利光編 時潮社 2011年(平成23年)11月25日第1版第1刷
  21. ^ 『イスラームと食』p370 山根聡(「インド文化事典」所収)インド文化事典製作委員会編 丸善出版 2018年(平成30年)1月30日発行
  22. ^ 『アルコール』p384 池亀彩(「インド文化事典」所収)インド文化事典製作委員会編 丸善出版 2018年(平成30年)1月30日発行
  23. ^ 「新・食文化入門」p30 - 34 森枝卓士南直人編 弘文堂 2004年(平成16年)10月15日初版1刷発行
  24. ^ 「食文化の多様性と標準化」p79 岩間信之(「グローバリゼーション 縮小する世界」所収 矢ヶ﨑典隆山下清海加賀美雅弘編 朝倉書店 2018年(平成30年)3月5日初版第1刷)
  25. ^ 「火と人間」p4 磯田浩 法政大学出版局 2004年(平成16年)4月20日初版第1刷
  26. ^ 「図説 人類の歴史 別巻 古代の科学と技術 世界を創った70の大発明」p119 ブライアン・M・フェイガン編 西秋良宏監訳 朝倉書店 2012年(平成24年)5月30日初版第1刷
  27. ^ 「新訂 食用作物」p3 国分牧衛 養賢堂 2010年(平成22年)8月10日第1版
  28. ^ 「図説 人類の歴史 別巻 古代の科学と技術 世界を創った70の大発明」p110 - 111 ブライアン・M・フェイガン編 西秋良宏監訳 朝倉書店 2012年(平成24年)5月30日初版第1刷
  29. ^ 南直人『ヨーロッパの舌はどう変わったか 十九世紀食卓革命』講談社〈講談社選書メチエ〉、1998年、56 - 58頁。ISBN 4-0625-8123-X
  30. ^ 南直人『ヨーロッパの舌はどう変わったか 十九世紀食卓革命』講談社〈講談社選書メチエ〉、1998年、98頁。ISBN 4-0625-8123-X
  31. ^ 南直人『ヨーロッパの舌はどう変わったか 十九世紀食卓革命』講談社〈講談社選書メチエ〉、1998年、195 - 200頁。ISBN 4-0625-8123-X
  32. ^ 南直人『ヨーロッパの舌はどう変わったか 十九世紀食卓革命』講談社〈講談社選書メチエ〉、1998年、209 - 212頁。ISBN 4-0625-8123-X
  33. ^ 食品保健研究会(編) 1989, pp. 91 - 92.
  34. ^ a b c d e f 食品保健研究会(編) 1989, p. 92.
  35. ^ 食品保健研究会(編) 1989, pp. 92 - 93.
  36. ^ a b c d e f g h i 食品保健研究会(編) 1989, p. 93.
  37. ^ 食品保健研究会(編) 1989, pp. 93 - 94.
  38. ^ a b c d e f 食品保健研究会(編) 1989, p. 94.
  39. ^ 食品保健研究会(編) 1989, pp. 94 - 95.
  40. ^ a b c d e f g h i j 食品保健研究会(編) 1989, p. 95.
  41. ^ 食品保健研究会(編) 1989, pp. 95 - 96.


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