連邦捜査局 連邦捜査局の概要

連邦捜査局

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/09/22 00:37 UTC 版)

Federal Bureau of Investigation
FBI 公式紋章
FBI 旗

捜査官のバッジ。身分証明書の入れられた長財布型ケースに嵌め込まれて携帯されるのが一般的
組織の概要
設立年月日1908年7月26日
本部所在地ワシントンD.C.ペンシルベニア通り935番 ジョン・エドガー・フーヴァービルディング
標語Fidelity, Bravery, Integrity
“信義・勇気・保全”
人員35,104[1] (2014-08-31)
年間予算87億ドル(2018年)[1]
行政官
上位組織アメリカ合衆国司法省
アメリカ合衆国国家情報長官
ウェブサイトwww.FBI.gov
向かい側、ペンシルベニア大通り1000番地から見た連邦捜査局本部のフーヴァービル(所在地はワシントンD.C.ペンシルベニア通り935番地)

本部はワシントンD.C.ペンシルベニア通り935番北西(ジョン・エドガー・フーヴァービルディング)に位置する。ワシントンD.C.のポトマック川対岸にあたるバージニア州北部にクワンティコ本部が置かれている。エドガーフーヴァー・ビルは行政部門の中心であり、クワンティコ本部が捜査部門の中心となる。

歴史

イギリスによるアメリカ大陸の植民地化の過程で、多くの制度がイギリス本国から持ち込まれており、警察制度も同様であった[3]イギリスでは、地域の秩序・平和を維持する責任は地域住民各々が負うべきであるという自治の意識が強く、家族や地域住民による隣保制の時代が長かった[4]。この理念を導入したアメリカ合衆国においても、地域住民に依拠した隣保制や、その延長線上としての自治体警察が主となり、連邦政府の法執行機関は、ごく限られた特殊な領域を所掌するものに限られていた[5]

その後、アメリカ合衆国の発展に伴い、国民の生命・財産の保護を担当する連邦政府の法執行機関が要請されるようになった。建国当初から令状の執行や法廷管理・警備など連邦司法制度の保護を任務とする連邦保安官があり、その任務の一環として一般警察活動も担当してはいたものの、あくまで所掌事項のごく一部に過ぎなかったことから、一般警察活動への要請増大に伴い、加速度的に対応が困難になってきていた。このことから、チャールズ・ジョセフ・ボナパルト司法長官は司法省直轄の一般警察機関の創設を検討したものの、中央集権的な連邦警察を嫌う議会によって却下されたため、苦肉の策として、財務省シークレットサービスの捜査官の派遣を受けて捜査活動に従事するようになった。しかしセオドア・ルーズベルト大統領の政権下で、西部国有地不正売却事件英語版のようにシークレットサービスの捜査官を広範に活用したことが議会で問題となり、1908年、シークレットサービス捜査官の活動を財務省の管轄内に制限する決議がなされたことで、司法省もシークレットサービス捜査官の増援を受けられなくなった[6]

この情勢を受けて、司法省直轄の捜査機関の創設が決定され、まず1908年7月26日、シークレットサービスの現役捜査官9名・元捜査官14名の移籍を受けて、スタンレイ・フィンチの指揮下に捜査局Bureau of Investigation, BOI)が設置された。その後、第一次世界大戦を経て順次に権限が拡張され、実績が挙がった一方、捜査官の質が不揃いであり、劣悪な捜査官による弊害も顕在化した。このことから、1924年に29歳の若さで捜査局長に就任したジョン・エドガー・フーヴァーにより綱紀粛正が徹底された。そして1935年、現在の連邦捜査局Federal Bureau of Investigation, FBI)に改称された[6]

組織

組織図
内部部局
「長官」 (Director及び「副長官」 (Deputy Directorのもとに、下記の6つの部(branch)が設置されている。このうち、情報部、国家保安部、刑事・サイバー対策部、科学技術部は長官・副長官の直率下にあるが、情報技術部と人事部は「副長官補」(Associate Deputy Director)を介して指揮されている[7]
それぞれの部は次官補(Executive Assistant Director)によって指揮されている[7]
地方支分部局
56ヶ所の地方局(field office)が配されており、それぞれが局長(Special Agent in Charge)によって指揮されている[8]

指揮系統

捜査局長 (Chief of BOI) (1908-1935)
連邦捜査局長官(Director of FBI) (1936-現在)

FBIアカデミー

FBIアカデミー(FBI Academy)は、米国バージニア州クアンティコ英語版に位置するFBI所管の法執行機関研修施設(Law enforcement training facilities)[9]。1935年にPolice Training Schoolとして設立され(これは現在のNational Academy英語版プログラムである)[10]、現在の組織はそれを拡張的に改組して1972年に設立された[10]

一般公開はされていない。政府系教育施設の中では小規模なものであり、3つの寄宿舎と、関連施設が存在する[11]。施設では年に4回の入所者を受入れ、10週間かけて250名を訓練する。訓練中は給与が支払われる[9]。敷地面積は385エーカー(1.6平方km)[11]であり、クアンティコ海兵隊基地英語版の敷地の一部を借用して運営されている[12]

FBI市民アカデミー

FBI市民アカデミーは、当局のコミュニティアウトリーチの一環として約2ヶ月間、ビジネス、宗教、市民、地域社会、NGOなどのリーダー達を対象に、FBIの内情視察を提供するプログラム。全米各地方局にて実施。目的は、率直な議論と教育を通じて、コミュニティにおける連邦法執行機関の役割についての理解を深めること。

全米各地の卒業者は、該当地域の「FBI市民アカデミー協会」(Alumni Association)へ加入が可能。全米各地には、約42,000人の卒業者会員が約60支部に加入。全米FBI市民アカデミー協会の本部は、フロリダ州セントピーターズバーグ市


  1. ^ a b Quick Facts”. Federal Bureau of Investigation. 2014年12月17日閲覧。
  2. ^ 上田篤盛『戦略的インテリジェンス入門』並木書房、254ページ、2016年、ISBN 978-4-89063-336-4
  3. ^ 上野 1981, pp. 16–17
  4. ^ 今野 2000, p. 9
  5. ^ 上野 1981, pp. 6–10
  6. ^ a b c d 上野 1981, pp. 245–249
  7. ^ a b 連邦捜査局 (2014年7月15日). “Organizational Chart” (英語). 2016年7月10日閲覧。
  8. ^ ウィットコム 2003, p. 46
  9. ^ a b The Academy”. FBI. 2016年6月29日閲覧。
  10. ^ a b The FBI Academy: A Pictorial History”. FBI. 2015年7月3日閲覧。
  11. ^ a b International Business Publications (2002). US FBI Academy Handbook. p. 20. https://books.google.com/books?id=iIvIf8BwlYMC&pg=PA20 
  12. ^ Overview”. The FBI Academy. FBI. 2016年2月28日閲覧。
  13. ^ a b c d 上野 1981, pp. 265–267
  14. ^ 連邦捜査局. “FBIJobs - Special agents” (英語). 2017年1月19日閲覧。
  15. ^ FBI公式サイトSPECIAL AGENT CAREER PATH PROGRAM 任官の過程や給与について説明されている
  16. ^ a b c d e Bill Vanderpool (2011年8月22日). “A History of FBI Handguns” (英語). 2017年1月21日閲覧。
  17. ^ Thomas Gibbons-Neff; Adam Goldman (2015年10月31日). “FBI returns to 9mm rounds, once shunned as ineffective”. ワシントン・ポスト. https://www.washingtonpost.com/world/national-security/fbi-moves-back-to-the-9mm-round-which-it-once-shunned-as-ineffective/2015/10/31/d7d0b994-7e80-11e5-afce-2afd1d3eb896_story.html?utm_term=.2e8f92afb7d2 2017年1月21日閲覧。 
  18. ^ a b Newton 2003, p. 83
  19. ^ Athan G. Theoharis 『The FBI: A Comprehensive Reference Guide』Greenwood Publishing Group、1999年、235頁。ISBN 978-0897749916 
  20. ^ a b 連邦捜査局. “Tactical Operations” (英語). 2016年7月10日閲覧。
  21. ^ トマイチク, スティーヴン・F. 『アメリカの対テロ部隊―その組織・装備・戦術』並木書房、2002年。ISBN 978-4890631551 
  22. ^ a b c Newton 2003, p. 242
  23. ^ アメリカ合衆国司法省. “Structural changes to enhance counter-terrorism efforts” (英語). 2017年1月21日閲覧。
  24. ^ THE CYBER THREAT
  25. ^ RSA Cyber Security Conference
  26. ^ http://www.nytimes.com/2006/09/21/opinion/21thu4.html
  27. ^ 市民が窃盗団結成★FBIから極秘文書を盗み出せ奇跡体験!アンビリバボー2016年6月16日放送、2016年10月13日閲覧。
  28. ^ 2014年に制作されたドキュメンタリー「1971」がこの事件を取り上げている。


「連邦捜査局」の続きの解説一覧




固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「連邦捜査局」の関連用語

連邦捜査局のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



連邦捜査局のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの連邦捜査局 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2023 GRAS Group, Inc.RSS