怒り 怒りのさまを表した慣用句

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怒り

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/01 01:36 UTC 版)

怒りのさまを表した慣用句

  • 怒り心頭に発する - 「怒り心頭に達す」は間違い
  • 怒髪、天を衝く

生物学など

岩波の生物学辞典では「怒り」という項目は立てられていない。南山堂の医学辞典でも「怒り」という項目は立てられていない。

猫が怒り威嚇している時の表情
オランウータンによる怒りの表情。眉間にシワが寄り、唇の両端(口角)が下がる。

表情

ヒトを含む一部の動物は、怒った際に独特の表情の変化が起こる。眉間にシワが寄り、唇の両端(口角)が下がる。なぜこういう表情になるかに関しては不明な点も多い。

近年の研究者による研究

アラバマ大学心理学者、ドルフ・ツィルマンは、詳細な実験を重ねて怒りのしくみを調べたという[7]。ツィルマンは、「危険にさらされた」という意識が怒りを喚起する万人共通の要素であると指摘しているという。「危険にさらされた」という意識には、物理的な危険だけでなく、自尊心や名誉に対する抽象的な脅威も含まれる。「不当な扱いや無礼な扱いを受けた」「侮辱された」「大切な目標達成の邪魔をされた」等々の意識が含まれる。

こうした意識・知覚が大脳辺縁系を刺激すると、脳内で複数の経路で反応が起きる。ひとつは、カテコールアミンが放出される。カテコールアミンが放出されると、いわば「攻撃もしくは逃避の、どちらかの激しい行動が一回可能になるだけの」エネルギーが体内で一時的に急増したような状態になり[7]、身体は情動の脳の判断の指令(攻撃もしくは反対の逃避)に備えるかたちになる。

もうひとつの経路としては、扁桃核から副腎皮質神経系を経由して起こる反応があり、これは全身的な緊張を作り出し、数時間から、ときには数日も継続する。この緊張している状態では情動の脳は普段より敏感で、いわば「一触即発」の状態になっている[7]。他者から見ると、いわゆる「機嫌が悪い」という状態である。

また、あらゆる種類のストレスは副腎皮質に働きかけて精神を緊張させ、人間を怒りっぽくするという[7]。普段はやさしい父親でも、仕事でくたくたに疲れて帰宅したときには子供が騒いだり散らかした程度でも頭に血がのぼってしまう[7]

ドルフ・ツィルマンは、次のような実験を行った。

まず、実験の助手Aが被験者を悪意に満ちた言葉(憎まれ口)で挑発する。次に被験者を二つのグループに分け、片方には楽しい映画を、もう片方には不快な気分になる映画を見せる。その後被験者に、先ほど憎まれ口をきいた助手に仕返しをするチャンスを与える。助手の採用/不採用を検討する際の参考にするという名目で助手の評価を求める。

すると、仕返しの辛辣度は、被験者が直前に見た映画の内容と明らかな関連を示し、不快な気分になる映画を見せられた被験者のほうが助手に対して怒りの度合いが強く、辛辣な評価となった[8]

ハーバード大学医学院によると、怒りは心臓発作脳卒中、または危険な心臓リズムを引き起こす可能性があるとされる。怒りを和らげるに、一歩下がって深呼吸をして落ち着くように勧めた[9]。怒っている場合、激しいトレーニングは心臓にとって非常に危険である[10]

調査結果は、極端な感情に対処しているときは落ち着いて集中し、そのときの激しい運動を避けるようにすることを忘れないでください。

怒りを静める方法・怒りの感情への対処法

怒りは、最初に何らかの衝突があり、それに対する評価が生まれ、さらに評価検討が繰り返され増大してゆくので、できるだけ早いうちに自分の気分を静めることができれば、怒りを回避することも可能であるという[11]

状況に対する理解のしかた(いわゆる「ものの見方」)を変えることは、怒りを静めるのに有効であるという。上述の実験に類似した状況で、もうひとりの別の助手Bが助手Aに「電話がかかってきています」と告げ、助手Aは部屋を出ていきざまに、助手Bにも憎まれ口をたたくが、助手Bは上機嫌で受け流し「あの人、もうすぐ卒業論文の口頭試問があるので気が立っているんです」と被験者たちに説明し、その後助手Aに対する評価を書いてもらうと、腹を立てていたはずの被験者たちは仕返しをするどころか、助手Aへ同情の声を寄せたという[12]

もうひとつは、怒りの対象となっている人物からとりあえず離れて、散歩などの気晴らしや楽しいことをすることだという[13]。これで憎悪の拡大にブレーキをかけることができる。

ひとりきりになっても、腹の立つことを考え続けていたのでは効果がなく、腹の立つことを思い出すたびに怒りが少しずつ積み重なってゆくばかりだという[13]

ダイアン・タイスの調査でも、気晴らしは、怒りを静めるのに役立つという結果が出ているという。例えば、喫煙、楽しいテレビ番組映画、楽しい内容の読書などは、怒りを中断してくれる[13]

ただし、ショッピング食べることではあまり効果がない、という結果が出ているという[13][14]

怒りをぶちまけてしまうということを怒りの処理方法として賞賛する人もいる。例えば、怒りの対象である人物に直接怒りをぶつけ、綱紀を粛正する(間違いを正す)必要がある場合[15]。ただし、怒りというのは非常に燃え上がりやすい感情なので、現実には理屈で言うほどうまくいかないだろうという。タイスが実施したアンケート調査の結果では、相手に怒りをそのままぶつけた場合、不快な気分がかえって長引く場合が多いという[15]。それより、一旦自分の頭を冷やしてから前向きの態度で問題を解決すべく相手と対決したほうが、はるかに効果的だという[15]

怒りをどう扱うのが最善かという質問に、チベットの高僧チョギャム・トゥルンパは次のように答えたという。

「抑えつけてはいけない。しかし流されてもいけない」[15]

  1. ^ a b c d e http://www.encyclopedia.com/topic/Anger.aspx
  2. ^ ダニエル・ゴールマン『EQ こころの知能指数』p.98
  3. ^ 大辞泉【私憤】
  4. ^ 大辞泉【公憤】
  5. ^ 『私憤から公憤への軌跡に学ぶ―森永ひ素ミルク中毒事件に見る公衆衛生の原点』1993
  6. ^ 吉原賢二『私憤から公憤へ: 社会問題としてのワクチン禍』岩波書店、1975
  7. ^ a b c d e 『EQ 心の知能指数』p.99
  8. ^ 『EQ 心の知能指数』p.99-101
  9. ^ Turn off anger”. Harvard Health Publishing (2015年7月). 2020年2月8日閲覧。
  10. ^ Publishing, Harvard Health. “Working out while angry? Just don’t do it”. Harvard Health. 2021年1月1日閲覧。
  11. ^ 『EQ 心の知能指数』p.102
  12. ^ 『EQ 心の知能指数』p.103
  13. ^ a b c d 『EQ 心の知能指数』p.104
  14. ^ 安易なショッピングは無駄遣いをしてしまったという後悔や自己嫌悪、「やけ食い」もしばしば後悔・自己嫌悪につながり、人によっては肥満→自己嫌悪・ストレス→肥満 という自己破壊的な悪循環にも陥ってしまうことがある。
  15. ^ a b c d 『EQ 心の知能指数』p.106


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