Kの昇天
作者梶井基次郎
収載図書梶井基次郎全集 全1巻
出版社筑摩書房
刊行年月1986.8
シリーズ名ちくま文庫
収載図書ちくま文学の森 15 とっておきの話
出版社筑摩書房
刊行年月1988.9
収載図書檸檬
出版社集英社
刊行年月1991.5
シリーズ名集英社文庫
収載図書ちくま日本文学全集 024 梶井基次郎
出版社筑摩書房
刊行年月1992.1
収載図書梶井基次郎小説全集 新装版
出版社沖積舎
刊行年月1995.9
収載図書李陵・山月記・檸檬・愛撫 外十六篇
出版社文芸春秋
刊行年月1999.6
シリーズ名文春文庫
収載図書梶井基次郎全集 第1巻
出版社筑摩書房
刊行年月1999.11
収載図書檸檬 桜の樹の下には
出版社フロンティアニセン
刊行年月2005.2
シリーズ名第2刷 (フロンティア文庫)
収載図書月のものがたり―月の光がいざなうセンチメンタル&ノスタルジー
出版社ソフトバンククリエイティブ
刊行年月2006.2
収載図書人恋しい雨の夜に―せつない小説アンソロジー
出版社光文社
刊行年月2006.6
シリーズ名光文社文庫
収載図書生きるための文学
出版社プチグラパブリッシング
刊行年月2007.3
シリーズ名Petite bibliothèque classique
Kの昇天
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/29 09:23 UTC 版)
『Kの昇天』(けいのしょうてん)は、梶井基次郎の短編小説。副題付きでは『Kの昇天――或はKの溺死』となる[1]。夜の海岸で満月の光に象られた自分の影から出現するドッペルゲンガーに導かれて昇天してゆく青年Kについて物語る書簡体形式の作品[2][3]。自我の分裂と魂の昇天という神秘的な主題の中に、病死の運命を薄々感じ取っていた基次郎の切ない思いが籠っているファンタジックでミステリー風な短編である[2][3][4][5][6]。月を題材にした詩的作品・幻想文学としても人気が高く、アンソロジー集で取り上げられる名作でもある[7][8][9]。
注釈
- ^ Christine Kodama(クリスチーヌ・小玉)は、『視線の循環――梶井基次郎の世界』(邦題)という梶井基次郎論と共にいくつかの梶井作品を仏訳し1987年にパリで出版した[13][15]。
- ^ なお、書き上がった9月18日に同人合評会が基次郎の下宿で行われ、基次郎も自作原稿を朗読したが、批評は断った[20][2][3]。
- ^ 基次郎は『ある心の風景』を発表した後、今後の創作について、〈作品のまとまりといふことにこれから力を注ぐ考へです まとまりといふよりも構図(コンポジション)といふ方がいいかも知れません、積極的にゆく考へです〉と友人に書き送っている[22]。
- ^ 基次郎が訳したこのDoppelgängerの訳語は、通常の「二重人格」の意味とは少し異なる。Doppelgängerは、同一で、なおかつ同時に別の場に現れる人という意味で、第2の自我、生霊のような類のものである[23]。
- ^ ドストエフスキーの『二重人格』は今日では『分身』という邦題でも訳されるが、当時は『二重人格』のタイトルとなっていた[3]。
出典
- ^ a b 藤本寿彦「『青空』細目」(別巻 2000, pp. 504–515)
- ^ a b c d e f g h i j k l m 「第八章 冬至の落日――飯倉片町にて」(大谷 2002, pp. 162–195)
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab 「第二部 第七章 二重の自我」(柏倉 2010, pp. 200–214)
- ^ 「『青空』と友人たち」(アルバム梶井 1985, pp. 30–64)
- ^ a b 鈴木沙那美『転位する魂 梶井基次郎』(社会思想社・現代教養文庫、1977年5月)。島村 1990, p. 68
- ^ a b c d e f g 島村 1990
- ^ a b c d 池内紀・川本三郎「読みどころ――梶井基次郎『Kの昇天』」(名作2巻 2014, pp. 487–488)
- ^ a b 東 2003
- ^ a b 鈴木光 2006
- ^ a b 鈴木貞美「梶井基次郎年譜」(別巻 2000, pp. 454–503)
- ^ a b c d 水島 2012
- ^ 藤本寿彦「書誌」(別巻 2000, pp. 516–552)
- ^ a b ウィリアム・J・タイラー編「外国語翻訳及び研究」(別巻 2000, pp. 640–642)
- ^ Dodd 2014
- ^ 「第三部 第二章 『冬の日』の評価」(柏倉 2010, pp. 245–254)
- ^ a b 「淀野隆三宛て」(大正15年8月16日付)。新3巻 2000, pp. 151–152に所収
- ^ 中谷孝雄『梶井基次郎』(筑摩書房、1961年6月)。『中谷孝雄全集 第4巻』(講談社、1975年)p.379。柏倉 2010, p. 198
- ^ a b c d 「第二部 第六章 『新潮』への誘い」(柏倉 2010, pp. 190–199)
- ^ 「近藤直人宛て」(大正15年9月15日付)。新3巻 2000, p. 152に所収
- ^ a b c d e f g h 「日記 草稿――第八帖」(大正15年9月)。旧2巻 1966, pp. 358–365に所収
- ^ a b c 「泥濘」(青空 1925年7月・通巻5号)。ちくま全集 1986, pp. 59–70、新潮文庫 2003, pp. 61–76に所収
- ^ 「北神正宛て」(大正15年8月3日付)。新3巻 2000, pp. 145–147に所収
- ^ a b c d 三好行雄「注解――Kの昇天」(新潮文庫 2003, pp. 319–320)
- ^ a b c d 「注解――Kの昇天」(ちくま全集 1986, pp. 128–138)
- ^ 飯島正「梶井君の思ひ出」(評論 1935年9月号)。別巻 2000, pp. 52–55に所収
- ^ リチャード・キャペル著・服部龍太郎訳『シューベルトの歌曲』(音楽之友社、1953年6月)。柏倉 2010, pp. 205–206
- ^ a b エドモン・ロスタン(楠山正雄訳)「シラノ・ド・ベルジユラツク」(『近代劇体系第11巻 仏及南欧篇』1925年7月)。柏倉 2010, pp. 207–208
- ^ 平林英子「梶井さんの思ひ出」(評論 1935年9月号)。『「青空」の人たち』(皆美社、1969年12月)。別巻 2000, pp. 46–52に所収
- ^ ジュール・ラフォルグ(上田敏訳)「月光」(『牧羊神』金尾文淵堂、1920年10月)。柏倉 2010, p. 209
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