愛撫 (小説)
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『愛撫』(あいぶ)は、梶井基次郎の短編小説(掌編小説)。飼い猫と遊び戯れる中で浮んでくる空想を題材にした随筆的な作品[1]。猫の耳を切符切りのようにパチンとする空想や、爪を全部切ったらどうなるかなど、いたずら心で書いた小品ながらも、そこに流れる温かみや気品を高評価された軽妙な短編である[2][3][1][4][5]。『ある崖上の感情』『櫻の樹の下には』の擱筆以来、約2年の沈黙の後に発表され、新たな活路が見られた作品でもある[6][3][7]。
注釈
- ^ Christine Kodama(クリスチーヌ・小玉)は、『視線の循環――梶井基次郎の世界』(邦題)という梶井基次郎論と共にいくつかの梶井作品を仏訳し1987年にパリで出版した[9][11]。
- ^ 基次郎は、その旨を近藤直人に直接伝えている。 「愛撫」のなかに出て来る「謹厳なる客」とふのは 云つてゐましたやうにあなたがモデルです、しかしそれはあなたを書いたのではなく あなたをお借りしたので 謹厳といふのも さうでなくては滑稽味が出ないからで 決してあなたのことを謹厳なる客と云つた訳ではありません、失礼に当りますので一寸お断りしておきます — 梶井基次郎「近藤直人宛ての書簡」(昭和5年9月29日付)[13]
- ^ 猫の話は、その後の『交尾』や遺作の『のんきな患者』にも描かれている[4]。
- ^ 小山田嘉一は東京市麹町区富士見町4丁目(現・千代田区富士見)に実家があり、高師付属中学出身。第三高等学校では文丙(フランス語必修)で、飯島正や浅野晃を通じて基次郎と知り合った。作曲趣味の小山田は音楽好きの基次郎と意気投合していた[25]。小山田は帝国大学では北川冬彦と同じ法学部フランス法に進み、卒業後は住友銀行東京支店に就職した[26][27]。
- ^ 岩藤雪夫の「屍の海」(中央公論 1930年6月号掲載)と小林多喜二の「工場細胞」(改造 1930年5・6月号掲載)を指している[33]。
出典
- ^ a b c 「途絶」(アルバム梶井 1985, pp. 84–96)
- ^ a b 小林秀雄「文藝時評 梶井基次郎と嘉村礒多」(中央公論 1932年2月号)。別巻 2000, pp. 278–281に部分所収
- ^ a b c d e f 川端康成「梶井基次郎氏の『愛撫』」(作品 1930年7月号)。別巻 2000, pp. 258–259に所収
- ^ a b c d e f g h i j k l 「第十二章 小さき町にて――王子町四十四番地」(大谷 2002, pp. 259–282)
- ^ a b c d e f g h i j 「第四部 第五章 移転」(柏倉 2010, pp. 392–403)
- ^ a b c 鈴木貞美「梶井基次郎年譜」(別巻 2000, pp. 454–503)
- ^ 淀野隆三「『檸檬』誌上出版記念」(作品 1931年7月号)。別巻 2000, pp. 266–268に所収
- ^ 藤本寿彦「書誌」(別巻 2000, pp. 516–552)
- ^ a b ウィリアム・J・タイラー編「外国語翻訳及び研究」(別巻 2000, pp. 640–642)
- ^ Dodd 2014
- ^ 「第三部 第二章 『冬の日』の評価」(柏倉 2010, pp. 245–254)
- ^ a b c d e f 「近藤直人宛て」(昭和5年6月24日付)。新3巻 2000, pp. 366–367に所収
- ^ a b 「近藤直人宛て」(昭和5年9月29日付)。新3巻 2000, pp. 381–382に所収
- ^ a b c d e f g h 「北川冬彦宛て」(昭和4年9月11日付)。新3巻 2000, pp. 304–309に所収
- ^ 「第四部 第二章 帰阪」(柏倉 2010, pp. 367–376)
- ^ 「淀野隆三宛て」(昭和5年2月6日付)。新3巻 2000, pp. 354–356に所収
- ^ a b 「北川冬彦宛て」(昭和5年5月16日付)。新3巻 2000, pp. 329–331に所収
- ^ 「淀野隆三宛て」(昭和5年5月30日付)。新3巻 2000, pp. 356–358に所収
- ^ 「中谷孝雄宛て」(昭和5年5月31日付)。新3巻 2000, pp. 358–360に所収
- ^ a b 遺稿「猫」(1929年2月)。ちくま全集 1986, pp. 499–501に所収
- ^ a b c d 「梶井勇宛て」(昭和4年2月15日付)。新3巻 2000, pp. 288–290に所収
- ^ 中谷孝雄・北川冬彦・飯島正・浅野晃「座談会 梶井基次郎――若き日の燃焼」(浪曼 1974年2月号)。別巻 2000, pp. 217–228に所収
- ^ 「第八章 冬至の落日――飯倉片町にて」(大谷 2002, pp. 162–195)
- ^ 「第二部 第八章 大正末」(柏倉 2010, pp. 215–236)
- ^ 「第五章 青春の光と影――三高前期」(大谷 2002, pp. 74–104)
- ^ 「第七章 天に青空、地は泥濘――本郷と目黒にて」(大谷 2002, pp. 137–161)
- ^ 「第二部 第一章 大学生活」(柏倉 2010, pp. 111–122)
- ^ 「第九章 白日の闇――湯ヶ島その一」(大谷 2002, pp. 196–215)
- ^ 「第三部 第四章 湯ヶ島」(柏倉 2010, pp. 265–279)
- ^ 「第三部 第七章 湯ヶ島最後の日々」(柏倉 2010, pp. 300–312)
- ^ 「第十章 冬蠅の恋――湯ヶ島その二」(大谷 2002, pp. 216–242)
- ^ a b 「中谷孝雄宛て」(昭和5年1月25日付)。新3巻 2000, pp. 325–327に所収
- ^ a b c d e 「中谷孝雄宛て」(昭和5年6月14日付)。新3巻 2000, pp. 360–365に所収
- ^ 「日記 草稿――第十二帖」(昭和3年・昭和4年)。旧2巻 1966, pp. 424–444に所収
- ^ ボードレール「猫」(初版47番)。柏倉 2010, p. 394。粟津則雄の訳詩はボードレール 1993, pp. 28–30に所収
- ^ 小川洋子「私の陶酔短篇箱」(小川 2014, pp. 356–361)
- ^ 菓子箱 2008
「愛撫 (小説)」の例文・使い方・用例・文例
- 私は愛撫されて喜んでいる女性を描くのが好きです。
- 彼女は赤ちゃんを優しく愛撫した。
- 私をとらえ優しく愛撫しながら。
- 唇で愛撫することの行為(またはその例)
- 彼は、彼女に愛撫をたくさん与えた
- 穏やかに促すこと、愛撫することあるいは良く見せることにより影響するあるいは促す
- 性交前の双方の性的な愛撫
- 性的快楽のために愛撫する
- 愛撫する
- 彼は彼女の顔を愛撫した
- 彼らはタクシーの後部座席で愛撫した
- 性交時のように官能的に撫でる、または愛撫する
- 愛情をこめてかわいがる、あるいは愛撫する
- そっとなでるか、または愛撫する
- 愛撫と餌を与えることができる子供たちのための従順な動物の集まり
- 愛撫する恋人
- 穏やかに愛する人をなでまわし、愛撫する恋人
- 濃厚に愛撫すること
- 首より上の部分で行う愛撫
- 異性間の,主として首から下の愛撫行為
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