アトラスII
分類:ロケット
名称:アトラスII(AtlasII)、アトラスI(AtlasI)、アトラスIIA(AtlasIIA)、アトラスIIAS(AtlasIIAS)
打ち上げ国名・機関:アメリカ
開発機関・会社:アメリカ空軍(USAF)
運用機関・会社:アメリカ空軍(USAF)/ロッキード・マーティン社(LMCLS)/インターナショナル・ランチ・サービス社(ILS)
打ち上げ場所:ケープカナベラル空軍基地/チュラタム射場(バイコヌール宇宙基地)
運用開始年:アトラスII:1991年12月7日/アトラスI:1990年7月25日/アトラスIIA:1992年6月10日/アトラスIIAS:1993年12月15日
運用終了年:アトラスII:1999年/アトラスI:1999年/アトラスIIA:1996年/アトラスIIAS:1996年
アトラス・ロケットは、アメリカ初のICBM(大陸間弾道弾)として開発され、1957年12月に最初の打上げ実験に成功、1961年以後、核弾頭を搭載の上で実戦配備されましたが、液体酸素を使用するため常時、発射可能な状態にできず、1965年以後、タイタンII型ミサイルに置きかえられました。これらのミサイルのうち、新型のE、Fは衛星打ち上げ用に転用されました。また、空軍やNASAでは上段にエイジェナやセントールを用いたアトラス/エイジェナ、アトラス/セントールが多数作られ、特にアトラス/セントールは、アメリカにおける衛星打上げの主役として、デルタやタイタンと並んで、製造会社のたび重なる吸収、合併にもかかわらず、広く使用されてきました。
アトラスI、アトラスII(IIA、IIAS)はそのアトラス・シリーズの最新型で、民間による衛星打ち上げビジネスのホープとして確実な成果をあげつつあります。
アトラスIは、ICBM用に開発されたアトラス・ロケットのバリエーションの中では、主にNASAで衛星や深宇宙探査機の打上げに使われたアトラス/セントール・ロケットの商業利用型で、II型が空軍に採用されたため、18基製造の予定のところ11基で打ち切られ、II型に転換されました。ロッキード・マーティン社が製造、カザフスタン共和国のバイコヌール宇宙基地(チュラタム射場)とケープカナベラル空軍基地を打上げ基地とするインターナショナル・ランチ・サービス社(International Launch Services/ILS)によって衛星打上げビジネスに使われています。
アトラスIIは、アメリカ空軍の発注により開発された、アトラス/セントール・ロケットを原型とする打上げロケットで、空軍およびILS社による打上げに使用されています。
1.どんな形をし、どんな性能を持っているの?
アトラスI、II、IIA、IIASともに、アトラス・ロケットを第1段、セントールを第2段とすることで共通しています。アトラスは液体酸素とRP-1を、セントールは液体酸素と液体水素を燃料(酸化剤と推進剤)を用いています。
アトラスIは、直径3.05m、第1段全長22.3m、第2段全長9.1mで、搭載衛星をカバーするフェアリングは全長4.2mまたは3.3mのものが使われます。第1段の推力は約200t、第2段の推力は15tで、2,2tまでの衛星を静止軌道への移行軌道へ運ぶことができます。
アトラスIIは、第1段にI型より高性能のメイン・エンジンを採用、1段目の推力を222tに増強するとともに、1段、2段のタンク部分を延長することにより、静止軌道への移行可能な重量も2.7〜2.95tに向上しました。IIAは第2段の推力が19t、移行軌道に運べる重量2.85〜3.07t、IIASは第2段推力20t、移行軌道に運べる重量3.445〜3.7tに増強されています。
第1段、第2段のそれぞれの全長は、IIが25m/10m、IIAとIIASが25m/15mとなっています。
2.打ち上げや飛行の順序はどうなっているの?
第1段に搭載されたメイン・エンジンと持続飛行用エンジンは発射よりも少し前に点火され、飛行開始から数分たってからメイン・エンジンは噴射を停止、持続飛行用エンジンが燃焼状態に置かれたまま、発射後およそ5分で第1段が切り離され、第2段のセントール・ロケットが点火されます。静止軌道への移行軌道を目指す場合には、まず6分30秒間の噴射により、パーキング軌道に乗ったのち、発射後24分で再びセントールに点火、1分半の噴射ののち、衛星本体を含む搭載重量を切り離します。
3.どんなものを打ち上げたの?
日本のJSATの通信衛星JCSAT−3号をはじめとして、世界各国の通信衛星や放送衛星、科学衛星多数を打ち上げています
4.どのくらい成功しているの?
ミッション成功率は、アトラスII、IIA、IIASをあわせて、26回の発射すべてが成功。また、アトラスIは10回の発射中7回が成功しています。アトラス/セントール型の場合、1962年以来、軍用をのぞくアトラス・ロケットの運用がジェネラル・ダイナミクス社(現在ロッキード・マーティン社)にまかされることになった1990年まで67回の打ち上げ中、失敗は9回、成功率87%を記録しています。
5.この他に、同じシリーズでどんな機種があるの?
ロッキード・マーティンではアトラスIIAの後継機種として、3.4tから3.9tを静止軌道まで運べるアトラスIIARは、1998年12月に打ち上げられました。また、固体ロケット・ブースター装着のIIARS型の開発もおこなわれ、1998年12月に打ち上げられました。
アトラスII
(AtlasII から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/29 08:32 UTC 版)
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![]() アトラス IIの打ち上げ (NASA) | |
機能 | 中規模打ち上げロケット |
---|---|
製造 | ロッキード・マーティン |
開発国 | アメリカ合衆国 |
大きさ | |
全高 | 47.54 m (156 ft) |
直径 | 3.04 m (10 ft) |
質量 | 204,300 kg (414,000 lb) |
段数 | 3.5段 |
積載量 | |
LEOへのペイロード | 6,580 kg |
ペイロード GTO |
2,810 kg |
関連するロケット | |
シリーズ | アトラス |
打ち上げ実績 | |
状態 | 退役 |
射場 | SLC-36, ケープカナベラル SLC-3 ヴァンデンバーグ AFB |
総打ち上げ回数 | 63回 (II: 10回, IIA: 23回, IIAS: 20回) |
成功 | 63回 (II: 10回, IIA: 23回, IIAS: 20回) |
初打ち上げ | II: 1991年12月7日 IIA: 1992年1月10日 IIAS: 1993年12月16日 |
最終打ち上げ | II: 1998年3月16日 IIA: 2002年12月5日 IIAS: 2004年8月31日 |
特筆すべきペイロード | SOHO (アトラス IIAS) TDRS (アトラス IIA) |
補助ロケット (アトラス IIAS) - キャスター 4A | |
補助ロケット数 | 4基 |
エンジン | 1基 固体式 |
推力 | 478.3 kN (107,530 lbf) |
比推力 | 266秒 |
燃焼時間 | 56秒 |
燃料 | 固体式 |
補助ロケット(all) - MA-5 | |
補助ロケット数 | 1基 |
エンジン | 2基 RS-58-OBA |
推力 | 2,093.3 kN (470,680 lbf) |
比推力 | 299秒 |
燃焼時間 | 172秒 |
燃料 | LOX/RP-1 |
第1段 | |
1段目名称 | |
1段目全長 | |
1段目直径 | |
エンジン | 1基 RS-58-OSA |
推力 | 386 kN (86,844 lbf) |
比推力 | 316秒 |
燃焼時間 | 283秒 |
燃料 | RP-1/LOX |
第2段 - セントール | |
2段目名称 | セントール |
2段目全長 | |
2段目直径 | |
エンジン | 2基 RL-10A |
推力 | 147 kN (41,592 lbf) |
比推力 | 449秒 |
燃焼時間 | 392秒 |
燃料 | LH2/LOX |
第3段 - IABS (オプション) | |
3段目名称 | IABS (オプション) |
3段目全長 | |
3段目直径 | |
エンジン | 1基 R-4D |
推力 | 980N (220 lbf) |
比推力 | 312秒 |
燃焼時間 | 60秒 |
燃料 | N2O4/MMH |
アトラス IIは、アメリカ合衆国のアトラス・ロケットシリーズの打上げロケット。1950年代に開発されたアトラス大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発展型であり、アトラスIの後継機である。アトラスIIは、アトラスICBMと同様に3基のロケットエンジンを使用した"1.5段式"(線上に配置した3基のエンジンの中で両側の2基を上昇途中に切り離し、中央のエンジンのみで上昇を続ける)の設計である。後継でより大型のアトラスIIIでは、1.5段式は採用されておらず、この方式はアトラス IIが最後となった。低軌道や静止トランスファ軌道や静止軌道へ衛星を投入する目的で開発されており、アトラスII、IIA、IIASの各型が1991年から2004年までに計63機が打ち上げられた。
特徴
アトラスIIは、1段目と2段目にアトラスミサイルやアトラスIよりも推力を向上させたロケットエンジンと延長された燃料タンクを搭載する事により、性能の向上を図っている。アトラスIIにおける総推力は490,000ポンド(2,200 kN)であり 6,100 pounds (2,767 kg)の重量の人工衛星を高度22,000 miles (35,000 km)の軌道に投入する能力を有する。このシリーズは、上段ロケットに世界初の液体酸素・液体水素推進剤を使用したセントールを組み合わせ、衛星の軌道投入能力を確保している。
背景
1988年5月、アメリカ空軍はジェネラル・ダイナミクス(現在のロッキード・マーティン)社のアトラスIIの開発会社として選定した。これは、1986年のチャレンジャー号爆発事故を受け、ELVによる防衛通信衛星を打ち上げを目的としており、また1980年代後半に商業用人工衛星の打ち上げ失敗が続いていたことを受けたものであった。
アトラスIIは、東海岸ではフロリダ州ケープカナベラル空軍基地のSLC-36より第45宇宙航空団の管制によって打ち上げられ、西海岸ではカリフォルニア州ヴァンデンバーグ空軍基地SLC-3より第30宇宙航空団の管制によって打ち上げられた。最後のアトラスII打ち上げは2004年8月31日のものであった。
アトラス IIは基本型のほか、主エンジンが改良されたアトラス IIA、主エンジン改良に加え、固体ロケットブースター4基を追加したアトラス IIASが開発されている。
- 仕様諸元
- 用途: 衛星打ち上げ
- 製造会社: ロッキード・マーティン - 機体組み立て、アビオニクス、試験とシステム統合
- 関連企業: ロケットダイン (アトラスのエンジン, MA-5); プラット & ホイットニー (セントールのエンジン, RL-10) とハネウェル & テレダイン (アビオニクス)
- エンジン: 3基の MA-5A ロケットダインのエンジン、2基のプラット & ホイットニーのRL10A-4 セントールのエンジン
- 推力: 494,500 lbf (2,200 kN)
- 全長: 最大 156 ft (47.54 m); 16 ft (4.87 m) エンジンクラスター
- コアの直径: 10 feet (3.04 m)
- 全備重量: 414,000 lb (204,300 kg)
- 最初の打ち上げ: 1992年2月10日
- 機種: II, IIA,IIAS
- 射場: ケープカナベラル空軍基地, フロリダ
出典
外部リンク
「Atlas II」の例文・使い方・用例・文例
- 疲れたティタン[タイタン] 《天を双肩に支える Atlas》.
- フェーズIとフェーズIIで許容副作用を伴い効果的であることが示される治療あるいは薬品の大規模な臨床試験
- 1228年から1229年までの十字軍は、病気になった神聖ローマ帝国皇帝フレディリックIIで導いて、法王によって破門されました
- 330,000人の連合軍隊が敵火の下で絶望的な退却において、北フランスの浜辺から避難しなければならなかった世界大戦IIの陸海空共同の避難(1940年)
- 腎臓にアンジオテンシンIIができるのを阻止し、動脈を弛緩してくれる抗高血圧薬
- アンジオテンシンIIへのさきがけであるアンジオテンシンの生理学的に不活発な形態
- 高血圧を治療するのに用いられるアンギオテンシンII抑制剤
- ASCII文字セットは最も一般的に用いられている文字セットである
- 王を補足したと考えられるI歴代志とII歴代志の旧約聖書の旧名
- ウルガタ聖書(IIエスドラス書を除いて)に含まれるが、ユダヤやプロテスタント版の聖書では省略される旧約聖書の14冊
- I歴代志、II歴代志、エズラ、およびネヘマイアからの編集から成る外典
- フレディリック神聖ローマ帝国皇帝IIを破門して、聖地に対して新しい十字軍を計画していた1245年の西方教会の協議会
- キャサリンIIの愛人であり、1762年に彼女が権力を握る支援を行ったロシアの役員で政治家
- 遺伝的に第VIII因子が欠乏するために生じる血友病
- アンギオテンシンIをアンギオテンシンIIに変えるタンパク質分解酵素
- 血液凝固において、トロンビンは第XIII因子をフィブリンが分解しにくい凝血塊の形成を引き起こす(フィブリナーゼ)活性型に触媒する
- パーシングIIというミサイル
- SALTII条約という2国間軍縮条約
- SALTII条約という2国間軍縮条約の内容
- 宇宙開発事業団と航空宇宙技術研究所は,2004年にH-IIAロケットでHOPE-Xを打ち上げる計画をしていた。
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