鞍部とは? わかりやすく解説

あん‐ぶ【×鞍部】

読み方:あんぶ

山の尾根のくぼんだ所。コル


(鞍部 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/08 13:33 UTC 版)

暗峠
奈良盆地から暗越奈良街道を登りつめたところ。道の傍らに峠の茶屋も見える。
大阪平野から竹内街道を登りつめたところ。前方奥には下った先の奈良盆地が見える。

(とうげ)とは、山道を登りつめてそこから下りになる場所。山脈越えの道が通る最も標高が高い地点。なお、峠の片側にのみ大きな高低差があってもう一方の側が平坦に近いものを片峠という。日本での片峠の代表的な事例としては碓氷峠がある。また、本来の意味から転じて、何らかの物の勢いが最も盛んな時期(ピーク)のことも峠という。

峠は、中国地方あるいはとも書き、「たお」「とう」「たわ」「たわげ」などと呼ぶ地方があり、地名などにも見られる(岡山県久米南町安ケ乢など)。登山用語では乗越(のっこし)、または単に(こえ、こし)などとも言い、山嶺・尾根道に着目した場合は鞍部(あんぶ)、コル[1]Col)とも言う。

かつて峠はクニ境であり、その先は異郷の地であった。そのため、峠は、これから先の無事を祈り、帰り着いた時の無事を感謝する場所でもあったことから、を設けている所が多い。この祠は、異郷の地から悪いものが入り込まないための結界の役割も果たしていたと考えられる。

語源

峠の語源は「手向け(たむけ)」で、旅行者が安全を祈って道祖神に手向けた場所の意味と言われている。「」という文字は室町時代日本で会意で形成された国字和製漢字)である[2]

朝鮮半島では、アリランゴゲのように、コゲ(고개)という言葉で峠を表すほか、(ジェ)を用いている地名も多い。コゲは単独でもよく使われるが、ジェは主に複合語で接尾詞的に現れる。漢字語、チ)と嶺(、リョン)も使い、特に峙は朝鮮語漢字音としては珍しく読み方が2つあり、漢字は同じでも大峙駅などでは読み方が異なる。

ドライブコースとしての峠

自動車オートバイツーリングコースとして呼称される「峠」とは、必ずしも上記のような限定的な意味ではなく、山間部にある道路において峠を含むつづら折れの区間全体を指すことが多い。日本国外でも、近年「Tōge」として使用されている。

スポーツドライビング/ライディングには「峠攻め」なる言葉がある。道路幅が狭く多数の急カーブや急勾配がある峠道は夜になると「ローリング族」や「峠族」と呼ばれる暴走族違法競走型暴走族)が出没することがある。特にこれらの走り屋の活動が全盛期、かつ、それらへの対策が不十分だった昭和末期から平成中期にかけての時代は騒音や暴走行為が地域の社会問題となることも多かった。

世界の主な峠

アジア

  • ミンタカ峠
  • カイバル峠
  • 寿峠壽峠、壽𡶛、壽卡
    • 台湾屏東県台東県の間、南迴公路(台9線)に「寿峠」という日本統治時代の名残の地名がある。しかし、「峠」の文字は国字で中国語には本来ないため、中国語にあって字体の似た「」を旁に用いた「𡶛」か、偏も省いた「」で表記されることが多く、「カー」(kǎ)と発音されている。
  • 高熊峠
  • 肉板峠
  • 三角嶺峠
  • 八幡峠
    • 台湾の南投県にある地名。
  • アリラン峠(アリランコゲ)
    • 元来『アリラン』という朝鮮民謡中に出てくる架空の峠であったが、同曲にちなんで朝鮮半島各地の峠に命名される。
  • ハイヴァン峠
    • ベトナムの南北を隔てる峠。ここを境に気候、人間の性格、食事の味付けまでも変わるとまで言われている。チュノムを使っていた頃のベトナムでは、峠のことを「𡸇」(山へんに条)と書いていた。
  • 大関嶺

日本

ヨーロッパ

アメリカ

脚注

  1. ^ コル(こる)”. ヤマレコ. 2024年12月17日閲覧。
  2. ^ 沖森卓也ほか『図解 日本の文字』三省堂、2011年、52頁

関連項目


鞍部(あんぶ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/08 15:19 UTC 版)

登山用語一覧」の記事における「鞍部(あんぶ)」の解説

稜線上の凹地のこと。単に窪んだ部分を言う。コルとも。

※この「鞍部(あんぶ)」の解説は、「登山用語一覧」の解説の一部です。
「鞍部(あんぶ)」を含む「登山用語一覧」の記事については、「登山用語一覧」の概要を参照ください。

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鞍部

出典:『Wiktionary』 (2021/08/11 07:49 UTC 版)

名詞

(あんぶ)

  1. 地形)峰と峰の間の尾根の最も低い地点。麓から見るととなっている。

語源

関連語

翻訳


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