選択本願念仏集とは? わかりやすく解説

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せんちゃくほんがんねんぶつしゅう〔センチヤクホングワンネンブツシフ〕【選択本願念仏集】

読み方:せんちゃくほんがんねんぶつしゅう

鎌倉時代仏教書浄土宗根本聖典2巻法然著。建久9年(1198)完成関白九条兼実要望により、往生業因念仏を本となす旨を説いた書。


選択本願念仏集

読み方:センジャクホンガンネンブツシュウ(senjakuhongannenbutsushuu), センチャクホンガンネンブツシュウ(senchakuhongannenbutsushuu)

鎌倉時代仏教書浄土宗根本聖典法然著。

別名 選択集


選択本願念仏集

主名称: 選択本願念仏集
指定番号 2508
枝番 00
指定年月日 1998.06.30(平成10.06.30)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 書跡・典籍
ト書 元久元年十一月廿八日書写奥書
員数 1帖
時代区分 鎌倉
年代
検索年代
解説文:  『選択本願念仏集』は、浄土宗開祖法然房源空一一三三一二一二)の撰にかかるもので、九条兼実懇請によって作ることになったものといわれている。浄土教上の最も重要な宗典で、その内容は『三部経釈』や『逆修説法』と密接に関係しており、他力本願主張し念仏門こそは末法の世にふさわしい法門であることを示そうしたものである。その成立時期については異説もあるが、多く建久九年(一一九八)三月とする。本文末尾に「而今不図蒙仰、拝謝無地、仍今憖集念仏要文、剰述念仏要義、唯顧命旨不顧不敏、是即無慙無愧之甚也」とあるのも、本書撰述に至る過程一部物語っている。
 本書体裁粘葉装で、表紙に後補菊牡丹唐草文金襴装し見返金砂子散、その内側に金銀蓮池草花文旧表紙見返に紫紙金銀箔砂野毛散を収めるが、これは昭和に入ってから発見された旧表紙の表と見返を相剥し、見返を扉状にしてここに収めたものという。この旧表紙はその意匠より元久元年当時のものではなく鎌倉時代後期加えられたものであろう
 本文料紙には楮紙打紙用い、押界を施し、半七行、一行一六ないし一七字に書写されている。本文首題撰択本願念佛集」から尾題「選択本願念佛集」まで完存し一六章段から構成されている。各章篇目、引文、私釈からなり篇目と私釈は一字下げとなっている。引文は、第一章安楽集道綽撰)以外すべて善導著作浄土三部経依拠していることが知られる本文には稠密に仮名・返点・合符が加えられ、まま墨校異や声点も付されている。これらはいずれ筆跡墨色などにより書写当初鎌倉時代前期加えられたものと認められる。なお、墨仮名などの一部みられる墨色筆跡明らかに異なるものは仮名字体より鎌倉時代後期加えられたものである
 末尾元久元年一二〇四)十一月廿八日書写奥書本文同筆である。筆者名の部分は擦消されていて判読しがたい。書写奥書の奥に別筆で「元久元年十二月廿七日 源空花押)」の証判奥書がある。
 本書元来知恩院伝えられいたものであるが、応安三年一三七〇)に知恩院第一二代住持誓阿普観が当麻往生院創建するときに法然上人絵伝重文明治三十四年指定)などとともにもたらしたのである
 この往生院本は浄土宗開祖源空撰述間もない元久元年古写本として日本仏教史上に貴重であり、あわせて稠密に付されている訓点国語学上にも重要である。

選択本願念仏集

主名称: 選択本願念仏集
指定番号 2511
枝番 00
指定年月日 1999.06.07(平成11.06.07)
国宝重文区分 重要文化財
部門種別 書跡・典籍
ト書
員数 1冊
時代区分 鎌倉
年代
検索年代
解説文:  『選択本願念仏集』は浄土宗開祖法然房源空一一三三一二一二年)の撰にかかり、九条兼実懇請によって作ることになったものといわれている。浄土教上の最重要宗典で、その内容は『三部経釈』や『逆修説法』と密接に関係しており、他力本願主張し念仏門こそは末法の世にふさわしい法門であることを示そうしたものである。その成立時期については異説もあるが、多く建久九年(一一九八)三月とする。
 諸本には、本書以外に源空生存中の写本現存最古写本である京都盧山寺草稿本(重文)と奈良奥院元久年の奥書をもつ往生院本(重文)がある。また、版本では往生院本を底本とした法然院延応版、平基親序を有する建暦版などがある。
 本書体裁袋綴冊子本で、表紙新補濃緑唐花菱繋文紗を付している。原表紙共紙で、外題を「選擇本願念佛集」、左下に「東第十四箱」と墨書している。これは高山寺の子方便智院経庫の箱番号であり、本書伝来経緯を示す貴重な墨書である。見返し複郭長方印「十無盡院」が捺されている。本文料紙には楮紙用い、半葉一四行前後一行二一字ないし二二字に書写されている。第一・二紙目のみに押界が施されている。また、第一右下切り取られ部分方印跡が認められる本文首題「選擇本願念佛集」から尾題「選択本願念佛集」まで完存し一六章段から構成されている。各章篇目、引文、私釈からなり篇目と私釈は一字下げとなっている。本文行書または草書体草卒書写され、まま墨仮名校異加えられている。これらはいずれ筆跡墨色などにより書写当初加えられたものと認められる内容的に往生院本系統属する。
 朱書奥書本文とは異筆であるが、この奥書朱校合は同筆である。朱書巻頭部分の「往生之業/念佛為先」の「先」を『本 艸本』と校合しているところは、校合本の系統明らかにするうえで注目される末尾承元二年(一二〇八)二月奥書によれば、「佐法印」から「暁」本書を伝領したもので、校合には「大谷寺御留(宿カ)之艸本」を用いていることが知られる
 本書は、大型料紙用い書風や墨仮名などからみて鎌倉時代中期降らない書写本として認められるまた、建暦二年(一二一二)に明恵高弁一一七三-一二三二年)が『選択集』への弁駁著述した『摧邪輪』に用いた本と推測できる点でも貴重である。
 この大谷本は、浄土宗開祖源空草本校合した姿を伝え高山寺伝来鎌倉時代古写本として、日本仏教史上においてきわめて価値の高いものである
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書跡・典籍:  遊仙窟  遠磨大師安心法門  選択本願念仏集  選択本願念仏集  選択集  醍醐寺新要録  醍醐寺聖教類

選択本願念仏集

読み方:センチャクホンガンネンブツシュウ(senchakuhongannenbutsushuu)

分野 仏教書

年代 鎌倉前期

作者 法然


選択本願念仏集

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/04/03 02:23 UTC 版)

選択本願念仏集』(せんちゃくほんがんねんぶつしゅう、せんじゃくほんがんねんぶつしゅう)は、建久9年(1198年)、関白九条兼実の要請によって、法然が撰述した2巻16章の論文。略称は『選択集』(せんちゃくしゅう、せんじゃくしゅう)である。浄土宗は「選択」を「せんちゃく」と、浄土真宗では「せんじゃく」と呼称について差異がある。「浄土三部経」の経文を引用し、それに対する善導の解釈を引き、さらに法然自身の考えを述べている。

法然真筆の冒頭文「南無阿弥陀仏 往生之業 念仏為先」の書かれた草稿本は京都の廬山寺に蔵されている。

日本の浄土教において重要な意義を持つ文献の1つである。

浄土真宗の宗祖とされる親鸞は、法然の思想および著書である『選択本願念仏集』の影響を受けてこの思想を継承している。法然を生涯の師(本師)と仰いで敬慕し続けた親鸞は、法然の教義が正しいことを証明するために著したのが『顕浄土真実教行証文類』(『教行信証』)であり、言わば『選択集』の解説書である。

浄土真宗における『選択本願念仏集』

浄土真宗において『選択本願念仏集』は依拠聖典の1つとして重んじられる。また前述のとおり、呼称について浄土宗と差異が見られ、『選択本願念仏集』(せんじゃくほんがんねんぶつしゅう)、『選択集』(せんじゃくしゅう)とするのが習いである。

親鸞の主著である『顕浄土真実教行証文類』(『教行信証』)の「化身土巻」の終わりにある「後跋」と呼ばれる結びに「同年初夏中旬第四日 選択本願念仏集内題字 并南無阿弥陀仏 往生之業 念仏為本 与釈綽空字 以空真筆 令書之」と記されている。そのため浄土真宗にて依用する聖典の一部では、冒頭部分が廬山寺蔵の「南無阿弥陀仏 往生之業 念仏為」とは異なり、「南無阿弥陀仏 往生之業 念仏為」と記されている底本を用いる[1]か、「念仏為先」と本文に記しても「先」と「本」は同義であると注釈されている[2]

この「往生之業念仏為本」の語は、源信の『往生要集』に用いられている[3]。また『選択集』の本文中にも「謂往生之業念佛爲本」と記されている[4][5][6][7]。「念佛爲先」の語のみであれば他の文献に用いられている。

脚注

  1. ^ 「南無阿弥陀仏 往生之業 念仏為本」としている聖典の一例 - 真宗聖教全書編纂所 編 『真宗聖教全書』一 三経七祖部、大八木興文堂、P.929。
  2. ^ 注釈されている聖典の一例 - 浄土真宗教学伝道研究センター 編 『浄土真宗聖典』七祖篇(註釈版)、本願寺出版社、P.1183。
  3. ^ 『往生要集』「往生之業念仏為本」 - 大正新脩大藏經テキストデータベース)續諸宗部 Vol.84『往生要集』
  4. ^ 『選択本願念仏集』「謂往生之業念仏為本」 - 大正新脩大藏經テキストデータベース 續諸宗部 Vol.83『選擇本願念佛集』
  5. ^ 「謂はく往生の業には、念仏を本とする。」 - 大橋俊雄 校注 『法然 選択本願念仏集』 岩波文庫、P.67。
  6. ^ 「往生の業としては念仏が根本だといわれている。」 - 阿満利麿 訳・解説 『選択本願念仏集 法然の教え』 角川ソフィア文庫
  7. ^ 「謂はく、往生の業には念仏を本とす。」 - 石上善應 訳・解説 『選択本願念仏集』 ちくま学芸文庫、P.120。

参考文献

関連項目

外部リンク



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