選択無形民俗文化財とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 文化 > 褒章 > 文化財 > 選択無形民俗文化財の意味・解説 

せんたく‐むけいみんぞくぶんかざい〔‐ムケイミンゾクブンクワザイ〕【選択無形民俗文化財】

読み方:せんたくむけいみんぞくぶんかざい

文化庁長官選択する記録作成等の措置を講ずべき無形文化財」の通称重要無形文化財には指定されていないが、芸能工芸技術などの記録公開が必要であるとして、国が記録作成したり、助成行ったりするもの。


記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財

(選択無形民俗文化財 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/29 08:33 UTC 版)

記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財に選択される「会津の初市の習俗」、会津若松市の「十日市」で起き上がり小法師を買い求める市民。

記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財(きろくさくせいとうのそちをこうずべきむけいのみんぞくぶんかざい、英語: Intangible Folk Cultural Property that need measures such as documentation[1])とは、重要無形民俗文化財および登録無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財のうち、記録、保存、公開に対して経費の一部を公費による補助を受けることができるものとして、文化審議会の答申に基づき文化庁長官)によって選択された文化財をいう。選択無形民俗文化財(せんたくむけいみんぞくぶんかざい)と通称される。

本項では国が選択する「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」について解説するが、群馬県埼玉県等のように地方自治体が各条例に基づいて独自に選択する同名の文化財も存在する[2][3]

概要

文化庁長官は、重要無形民俗文化財および登録無形民俗文化財以外の無形の民俗文化財のうち特に必要のあるものを選択して、自らその記録を作成し、保存し、又は公開することができるものとし、国は、適当な者に対し、当該無形の民俗文化財の公開又はその記録の作成、保存若しくは公開に要する経費の一部を補助することができる(文化財保護法第91条で準用する第77条)としており、この規定により文化庁長官によって選択されたものを「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」という(「選択無形民俗文化財」という通称は法律上の用語ではない)。文化財の分類に関しては文化財の項目を参照。

選択の基準

「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財の選択基準」[4]が次のとおり規定されている。

  • 1.風俗慣習のうち、次の各号のいずれかに該当し、重要なもの
    • (1)由来、内容等において我が国民の基盤的な生活文化の特色を示すもので典型的なもの
    • (2)年中行事、祭礼、法会等の中で行われる行事で芸能の基盤を示すもの
  • 2.民俗芸能のうち、次の各号のいずれかに該当し、重要なもの
    • (1)芸能の発生又は成立を示すもの
    • (2)芸能の変遷の過程を示すもの
    • (3)地域的特色を示すもの
  • 3.民俗技術のうち、次の各号のいずれかに該当し、重要なもの
    • (1)技術の発生又は成立を示すもの
    • (2)技術の変遷の過程を示すもの
    • (3)地域的特色を示すもの
  • 4.無形の民俗文化財のうち前3号には該当しないが、重要有形民俗文化財の特質を理解するために特に必要なもの
  • 5.我が国民以外の人々に係る前各号に規定する無形の民俗文化財で我が国民の生活文化との関連上特に重要なもの

選択の状況

「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財の選択基準」に基づき、これらに該当するものついて、文化庁長官が「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」として選択し、地方公共団体の行う調査事業や記録作成の事業に助成を行っている。2005年平成17年)に施行された改正文化財保護法により、無形の民俗文化財の領域に「民俗技術」が加えられた。この改正に伴い、2008年(平成20年)、民俗技術として最初に「中津川の鉄砲堰製作技術」が選択された。

2023年(令和5年)3月22日現在、次の654件が選択されている。

  • 風俗慣習
    • 生産・生業 (49件)
    • 人生・儀礼 (15件)
    • 娯楽・競技 (15件)
    • 社会生活(民俗知識)(12件)
    • 年中行事 (63件)
    • 祭礼(信仰) (110件)
    • 衣食住(1件)
    • その他 (0件)
  • 民俗芸能
    • 神楽 (67件)
    • 田楽 (44件)
    • 風流 (124件)
    • 語り物・祝福芸 (8件)
    • 延年・おこない (14件)
    • 渡来芸・舞台芸 (81件)
    • その他 (38件)
  • 民俗技術
    • 生産・生業 (11件)
    • 衣食住 (1件)
    • その他 (0件)

脚注

  1. ^ 『文化財の多言語解説案内板の制作指針』文化庁、2020年3月、13頁。
  2. ^ 群馬の文化財(群馬県)
  3. ^ 埼玉県の国・県指定等文化財の一覧(埼玉県)
  4. ^ 昭和29年(1954年)文化財保護委員会告示第59号。最終改正、平成17年(2005年)3月28日文化庁告示第12号。

参考文献

  • 平成16年(2004年)12月27日付16庁財第320号文化庁次長通知「文化財保護法の一部を改正する法律等の施行について」
  • 平成17年(2005年)3月28日付16庁財第413号文化庁次長通知「文化財保護法の一部改正に伴う関係省令及び告示の整備等について」
  • 『月刊文化財』500号(2005年5月)「特集 新たな文化財保護行政の展開」第一法規

関連項目

外部リンク


選択無形民俗文化財

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 04:00 UTC 版)

六斎念仏」の記事における「選択無形民俗文化財」の解説

このうち三方上中郡若狭町の二地区六斎念仏が、1962年福井県無形民俗文化財指定を受け、さらに1972年には、「上中の六斎念仏」として国の選択受けている。その分類は民俗芸能風流である。 曲は、三宅地区では獅子・牡丹千鳥など五種瓜生地区ではしし・一天かえし・みだれ・かけかんじょうなど六種があり、それぞれ融通和讃・しばや和讃などの念仏和讃伝承している。念仏曲は「シヘン」「ハクマイ」などを伝承し六斎念仏とは、太鼓からなる六斎」と、念仏からなる念仏」を併せた名称であるとし、両者独立性がつよい。この点は「高野山系」で近代まで伝承された「立念仏衆」「居念仏衆」の対比にも通づる。 現在保存会はこの二地区併せて上中町六斎念仏保存会」を形成している。

※この「選択無形民俗文化財」の解説は、「六斎念仏」の解説の一部です。
「選択無形民俗文化財」を含む「六斎念仏」の記事については、「六斎念仏」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「選択無形民俗文化財」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



選択無形民俗文化財と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「選択無形民俗文化財」の関連用語

選択無形民俗文化財のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



選択無形民俗文化財のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの六斎念仏 (改訂履歴)、福島町 (改訂履歴)、北海道の文化財一覧 (改訂履歴)、大分県指定文化財一覧 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS