研究の推移とは? わかりやすく解説

研究の推移

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/15 00:13 UTC 版)

鉄系超伝導物質」の記事における「研究の推移」の解説

従来磁性元素における電子スピン間の強い相互作用クーパー対形成阻害する考えられてきた。このため典型的な磁性元素であるを含む物質超伝導研究において非主流存在であった一方東京工業大学細野秀雄らは磁性半導体探索する研究一環として、LaTMPnO(TMは+2価遷移金属イオンPnはP(リン)またはAs(ヒ素))で表される組成物質系統的に合成し低温における電気抵抗ルーチンワーク測定していた。遷移金属にはMnマンガン)、Coコバルト)、Niニッケル)、Zn亜鉛)、Feなどが用いられた。これらの物質の中で、LaFePOやLaNiPO、LaNiAsOが超伝導性を示すことが2006年から2007年にかけて発見されたが、超伝導転移温度Tc)が6K(約マイナス267)と低いことから、それほど大きな注目集めていなかった。 さらに高温超伝導性発現させるために正孔電子ドープが行なわれた結果、F-(フッ素イオン)を4%以上ドープするとLaFeAsO1-XFXが超伝導体となり、10%ドープTcが26Kに達することがわかったまた、高圧印加することでTcは43Kになることを日本大学高橋博らが発見し、これは二ホウ化マグネシウムなどの値を超えて銅酸化物以外では最高温度の新記録となった。さらに、サマリウムなどイオン半径小さ希土類イオンLa置換する事により、4月には中国科学院などのグループTcを55Kまで引き上げている。 2010年4月23日理化学研究所が、高温超伝導体超伝導発現機構解明のために決定的な手掛かりとなる、クーパー対構造決定実験的に初め成功2010年10月22日東北大学科学技術振興機構共同グループが、鉄系超伝導体電子対構造物質によって共通であることを発見した発表し米国物理学会誌「Physical Reveiw Letters」に掲載された。 2011年7月13日東北大学科学技術振興機構共同グループが、高温超伝導体超伝導阻害因子発見した発表2012年9月14日東京大学物性研究所科学技術振興機構共同グループが、「鉄系超伝導体において競合しあう2種類超伝導の“のり”」を発見した発表し米国科学雑誌サイエンス論文掲載2013年11月14日名古屋大学岡山大学グループが、最高Tc45Kながら従来1111系がレアアース25%含んでいたのに対しレアアース含有量を2~2.5%に程度低減させ、低コスト化につながる112系の開発成功した発表した2014年3月16日東工大細野秀雄教授松石准教授らのグループが、「鉄系超伝導物質で、構造変化を伴う第二磁気秩序相を発見」を英国科学誌Nature Physics」のオンライン版公開2014年8月27日東京工業大学フロンティア研究機構細野秀雄、郭建剛、和暢らのグループが、液体アンモニア溶媒とする低温合成法(アンモノサーマル法)により、鉄系超伝導体一つであるセレン化合物ナトリウムアンモニアを層間挿入してTc37K~45Kの新しい鉄超伝導体3種発見し、その組成構造決定した発表2014年12月22日東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻三澤貴宏、今田正俊らのグループが、スパコン「京」を用い計算機の中で高温超伝導体超伝導再現することに成功し、さらに超伝導起き仕組み明らかにしたと「Nature Communications」に発表2015年2月3日東京大学が、鉄系超電導体一種であるカルコゲナイド超伝導状態へと変化する温度(臨界温度)を、従来の15K(-258)と比較して1.5倍の23K(-250)に上昇させることに成功した発表2015年7月3日物質・材料研究機構が、鉄系超伝導体添加した3%の亜鉛元素超伝導対を破壊することを確認。この成果は、鉄系超伝導体メカニズム解明につながることが期待される2015年7月3日Nature Communications掲載された。 2015年9月30日東京農工大学科学技術振興機構が、高温超伝導磁石化に成功。本研究成果は、2015年9月30日英国時間)に英国物理学会発行科学誌「Superconductor Science and Technology」のオンライン版掲載された。 2016年1月29日理化学研究所大阪大学高輝度光科学研究センター共同研究チームが、超伝導示さない鉄系超伝導体母物質のフォノン物質結晶格子振動)の精密測定成功発表1月25日付けアメリカ科学雑誌フィジカル・レビュー」に掲載された。共同研究グループ磁気秩序状態にした鉄系超伝導体母物質「SrFe2As2」のフォノン異方的振る舞い観測試みその結果磁気秩序状態でのフォノンエネルギーの分裂観測成功しエネルギー分裂大きさ理論計算よりも小さく磁気揺らぎ効果として説明できることを発見した。本成果は、鉄系超伝導体母物質のフォノン測定により磁性情報対す知見得た初めての例であると同時に超伝導発現不可欠な要素であるフォノン磁性お互いにどのように関係しているのかという重要な問題提起している。 2016年4月7日東京工業大学グループ鉄系超伝導体のひとつであるセレン化物FeSe」のごく薄い膜を作製し、35Kで超伝導転移させることに成功した発表3月28日付けの米科学誌米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)」のオンライン速報版に掲載された。 2016年7月12日東京大学京都大学共同グループ鉄系超電導体一種において、ある組成を境に電子状態大きく変わる臨界点特異点)が存在することを明らかにした。電子がある一方向にそろおうとする液晶のような性質示しており、超電導現れる機構解明する上で重要な手がかりになる。成果は米科学アカデミー紀要PNAS)に掲載された。 2017年5月29日東京工業大学研究グループが、ヒ酸水素化サマリウム過剰に電子注入すると、磁気モーメントを持つ「反強磁性相」が現れることを発見した発表した。同研究結果は米科学アカデミー紀要電子版掲載された。 2018年1月10日東北大学グループが、鉄系超伝導体1種セレン(FeSe)で質量ゼロディラック電子存在することを明らかにしたと発表した米国物理学会誌「Physical Review B」(オンライン速報版)に掲載されEditor's Suggestion(注目論文)に選ばれた。 2020年3月10日東京大学産業技術総合研究所、ドイツカールスルーエ工科大学、アメリカミネソタ大学共同研究グループ超電導電子集団がどの方向にも揃う新しタイプ量子液晶状態が実現できることを発見した発表。同研究は、2020年3月9日週の米国科学誌Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America(PNAS)」に掲載された。

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研究の推移

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敦煌文献」の記事における「研究の推移」の解説

各国の研究者がそれぞれの国へ敦煌文献持ち帰ったスタイン持ち帰った文献大英図書館に、ペリオのものはフランス国立図書館に、清政府のものは北京京師図書館収蔵された。大谷探検隊のものは大谷光瑞失脚影響龍谷大学東京国立博物館中国の旅博物館分蔵されている(日本には大谷探検隊大谷コレクションとして頻繁に混同される大谷大学などの大学所蔵個人所蔵のものもかなりあるが、それらは全て他国コレクション流出したものを、後になって購入したのである)。ロシアではサンクトペテルブルク科学アカデミー東洋学研究所収蔵されている。他にはフランスギメ美術館ロシアエルミタージュ美術館アメリカハーヴァード大学付属フォッグ美術館などが収蔵している。 このため敦煌研究始められ当初は各研究機関バラバラ研究進めていった。のちにマイクロフィルムによる相互貸し出しが可能となり、国際的な研究が進むようになった。各国の代表たちが集まって行われる国際シンポジウム多数開かれており、その学問として多彩さは「敦煌学と言う言葉生み出した敦煌学第一人者藤枝晃である。 さらに西のトルファンでも多量文書発掘されるようになり、立体的な研究進められるようになった。現在では敦煌吐魯番トルファン)と併称されることも多い。 近年では森安孝夫正宇らの研究によって、821年長慶会盟の際に唐とチベット帝国ウイグル帝国による「三国会盟」が締結されたことが分かってきている。

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