殺虫剤が混入した冷凍餃子中毒事件とは? わかりやすく解説

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殺虫剤が混入した冷凍餃子中毒事件 (2007-2010)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 06:59 UTC 版)

中国産食品の安全性」の記事における「殺虫剤が混入した冷凍餃子中毒事件 (2007-2010)」の解説

ウィキニュースには中国製餃子中毒事件関連するニュースカテゴリあります2007年12月下旬から2008年1月にかけて、中国天洋食品製造しジェイティフーズ輸入日本生活協同組合連合会販売した冷凍餃子食べた千葉県千葉市市川市兵庫県高砂市の3家族10人が、下痢嘔吐などの中毒症状訴えこのうち市川市女児一時意識不明重体になった千葉県警察兵庫県警察餃子鑑定したところ、メタミドホスなど有機リン系殺虫剤検出されたため、ジェイティフーズ同社製造23品目、約58万点自主回収を行うと発表したその後詳細な鑑定結果市川市家族食べて吐き出した餃子の皮から3580ppm(3.58 mg/g)、具から3160ppm(3.16 mg/g)のメタミドホス検出された。 これは検疫基準大幅に上回り数個食べただけで死亡する致死量であった内閣府食品安全委員会農薬専門調査会によると、人が一度摂取する健康被害を及ぼすメタミドホスの量(急性参照用量)は0.003 mg/kg 体重/日、一生毎日摂取し続けて健康に影響のない量(一日摂取許容量)は0.0006 mg/kg 体重/日である。 メタミドホスは、日本では農薬として登録されたことがなく、中国では2007年1月から販売使用全面禁止されていたが、管理十分でないため中毒による死者出ていた。 2008年2月5日日本生協連福島県喜多方市販売されていた「CO・OP手作り餃子」(2007年6月製)から高濃度ジクロルボス検出した発表した同日生協連は中国調査団によるサンプル要請受けて、同じ製造日の冷凍餃子8袋を未検査のまま中国側提供していたことが後に明らかになり、証拠隠滅つながりかねないとして問題視された。 2月8日には、同商品からトルエン・キシレン・ベンゼンが、2月20日には宮城県仙台市みやぎ生協から回収した商品から、ジクロルボス・パラチオン・パラチオンメチルの計3種類の有機リン化合物検出された。 パラチオンとパラチオンメチルは、日本では毒性強いた1971年使用禁止され中国でも2007年使用禁止されたが、それ以前一般的な農薬だった。 殺虫剤餃子包装外側にも付着しており、一部の袋には穴が開いていたことから、毒物混入経緯問題となった2月21日警察庁吉村博人長官定例記者会見で、 密封された袋の内側からも検出されており、袋の外側か薬物浸透する可能性がない 薬物日本使用されているものと違って不純物多く含まれていた 千葉兵庫両県で中毒起こした餃子中国出荷後、流通ルート接点がない などを根拠に「日本国内混入した可能性は低いと考えている」と発表警察庁としての式見解を初め示した2008年2月22日警察庁中華人民共和国公安部との情報交換会議で、捜査鑑定結果提供したが、中国公安部側は「混入可能性日中双方にある」と応じた2月28日公安部刑事偵査局の余新民副局長が「中国混入した可能性は低い」と述べ日本国内での毒混入示唆するとともに、「日本鑑定結果提供しない」と発言した同日吉村警察庁長官は余副局長会見内容について鑑定結果証拠写真は提供済みだとして、「看過できない」「不可解」と厳しく反論した2月28日会見で余副局長は、実験の結果メタミドホスが袋の外側か内側へと浸透した発表した が、その後この実験使われた袋の一部に穴が空いていたことが明らかにされている。 福田康夫首相このような中国姿勢を「非常に前向き」と評し保守派中心に国内反感招いた。 こうして日中主張平行線となり、警察当局捜査を一旦終了し事件このまま真相解明されないまま迷宮入りするかと思われた。 中国当局は、詳細判明するまで新華社及び政府発表外報道を控えるよう通達出していたため、人民日報手短に伝えた程度であったが、2月11日徳島県にて冷凍餃子包装外側か微量有機リン系殺虫剤ジクロルボス」が検出され販売店が防虫作業のために店内にて「ジクロルボス」を含む薬剤使用した可能性があったことを発表すると、中国国内にて報道急増、「日本人は毒餃子中国無関係認めた」とプロパガンダ開始し2月15日には、天洋食品工場長言葉として「我々は最大被害者」など 事実とは異なる表現報じられるようになったまた、同日共同通信記者中国国内メタミドホス購入所持し中国国内法抵触したため一時拘束された。その結果中国ネットでは「日本人虚弱体質」「日本人毒物混入した」等の書き込み増えることとなったTBSテレビ番組内にて、これまでの経緯まとめて報じ中国語で「すり替え」を意味する「頂替」であると中国批判したこのような中国当局の対応により、中国一部消費者対し天洋食品餃子問題ない」という認識がなされ、後の事件に繋がった。 なお、この事件きっかけ中国日本米輸入ストップされ、「政治的圧力かかっているのではないか」(輸出関係者)と指摘された。 2008年3月5日冷凍餃子最大手味の素が、天洋食品からの原料購入停止中国工場安全管理強化発表した2008年8月6日中毒事件発覚後中国国内回収され天洋食品製の餃子流通し、その餃子食べた中国人中毒症状起こしていたことが報じられた。この中国における事例6月中旬発生した讀賣新聞などは、7月初め時点で既に国内関係者にはこれに関して情報伝えられていたとも報道した。 さらにこの事実により、中国政府側は日本側の主張通りである可能性大きくなったと在中華人民共和国日本国大使館経由して日本国政府7月頃に伝えていたが、福田総理大臣および高村正彦外務大臣は、この事実中国側要請により即公表しなかったことが後で明らかになった。その後、余副局長更迭されまた、質検総局局長自殺した報道されている。 北京五輪終了後胡錦濤主席公安当局対し本格的に捜査着手するよう指示した産経新聞は胡主席訪日した際、日本人本件対す関心の高さに驚いたためだと報じている(読売新聞2008年読者選んだ10ニュース日本編三菱総研調査した2008年最も恐い感じたニュースでそれぞれ1位を獲得している)。 また、日本マスコミ情報報道規制の強い中国にも徐々に浸透し中国でも日本マスコミのほうが情報量多く信憑性が高いと思う知識人国民増えているという。 2008年8月28日中国公安部在中国日本国大使館対し、現在捜査中である旨通報があった。 またこの頃中国政府工場関係者毒物混入した認めたという報道一部であったが、日本政府中国政府から情報提供受けていないと発表した2009年1月17日中国当局容疑者とみられる元従業員数ヶ月渡って拘束した1月19日中国当局警察庁対し事件進展はない」と伝えた1月24日には昨2008年河北省人民委員会議天洋食品餃子横流し指示し、それを食べた人が中毒起こしていたことが分かった。 これは新華社英語版でも報道され中国当局初め国内事件報じることとなった。 しかし2009年3月6日ギョーザ横流ししとされる河北鋼鉄集団王義社長日本メディア質問対し、「この事実あなた方作り出したものです」と答え横流しを含む中国国内での事実関係全面否定し再度争う構え見せた2009年秋には政権交代後民主党岡田克也外相中国側捜査状況に関する中間報告」を求めた が、10月10日行われた岡田外相王家瑞対外連絡部長による会談で、王対外連絡部長は「刑事事件だ。解決難しい」と否定的な見解日本政府側に伝えた2010年3月16日ギョーザ毒物混入させた容疑天洋食品元従業員拘束された。日本政府の側には3月26日夜に通報された。動機給料待遇対する不満や同僚とのトラブルで、個人的な鬱憤を晴らすめだった朝日新聞は、中国政府による新たな報道規制通達なされており、日本での報道との温度差があるとした。また中国メディアは、今回の件に関し日本外相中国に対して感謝の意示したことは報道しているものの、以前日本側が抗議していた事実対す報道はほとんど確認できず、事件の全容明らかになりつつある現在も、当局謝罪報道からは確認できない2014年1月20日天洋食品元従業員に対して無期懲役言い渡された。

※この「殺虫剤が混入した冷凍餃子中毒事件 (2007-2010)」の解説は、「中国産食品の安全性」の解説の一部です。
「殺虫剤が混入した冷凍餃子中毒事件 (2007-2010)」を含む「中国産食品の安全性」の記事については、「中国産食品の安全性」の概要を参照ください。

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