日本メディア
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/12 01:53 UTC 版)
「アメリカ外交公電ウィキリークス流出事件」の記事における「日本メディア」の解説
日本の主要紙では概ね公開された情報の内容よりも、公開の是正に対する批判が多く、「ペンタゴン・ペーパーズは戦争終結に一役買ったが、今回の事件は公益性が全くない」といった見方である。 時事通信 ウェブサイトに「特集・ウィキリークス」という特設ページを開設している。 毎日新聞 毎日新聞は12月1日付の「ウィキリークス 「公電25万通流出」の重さ」と題する社説において「伝えられた情報は興味深い」としながらも「機密情報の違法な暴露によって国際社会の利益が損なわれたとの非難の声にも耳を傾けねばならない」と書き、「新しい時代の情報公開のあり方が、世界的に問われている」と結んだ。11月30日付では「ウィキリークスの暴露とは結局各国リーダーの棚卸し寸評か」と批評。 産経新聞 産経新聞は12月3日付の主張で「内部告発を一律に犯罪と決め付けることは国民の知る権利の制約に繋がりかねない」と主張するも「だが一定のルールも必要で、国益や公益を損なわず個人の権利などを侵害すべきでない」「無責任な暴露は情報統制を招くだけだ」としている。 朝日新聞 朝日新聞は12月1日付の「流出資料出版―警視庁はなぜ謝らない」と題する警視庁国際テロ捜査情報流出事件に対しての社説において「情報の真偽や価値を見極め、公開することによる社会の利益と被害を比べ、報道に踏み切るかを判断する新聞、放送など既存メディアに比べ、公益性の吟味をせずに情報を写すよう今回のやり方は、責任を果たしているとはいえない」とウィキリークスのあり方を批判した。 読売新聞 読売新聞は12月1日付の「内部告発サイト 公益性欠く米外交文書の暴露」と題する社説において、「25万点もの公電を順次ネット上で公開する手法は公開の意義や目的、影響などを慎重に検討した上での行動とは言い難く、のぞき見趣味に迎合するかのような、無責任な暴露と批判されても仕方あるまい」と指摘し、また「宣伝効果を狙ったのだろう」と批判。そして「新しい時代に合わせて、政府や企業が機密情報の管理を強化するのは当然」と主張した。 日本経済新聞 日本経済新聞は12月2日付の「米外交文書の流出が突きつけた問題 」と題する社説において「この問題は幾つかの視点から考えねばならない」として3の問題を上げた。1つ目の視点は「真の機密に価する情報とは何か」という視点から「外交や国防に関する情報は本来公開すべき情報であり機密ではない。真の機密情報とは核施設に対するテロにつながる情報のようなものだ」と指摘。2つ目の視点として「情報管理体制」を挙げ、「同時多発テロの反省から各省庁間で情報共有を進めてきたが、一上等兵ごときが簡単に外交公電などにアクセスできるようでは大きな失態だ」と非難。3つ目の視点は「ウィキリークスの責任」を挙げ、「既存のメディアは報道したあとも責任を取る必要があるがウィキリークスにはそういった配慮が一切無く、報道が齎す被害、情報統制など今後の影響に一切責任を取らないウィキリークスに強い懸念を持たざるをえない」と結んだ。 聖教新聞 聖教新聞は11月30日付の社説「情報の管理に細心の注意を」において、「日蓮大聖人は『なはて(畷)堅固なれども蟻の穴あれば必ず終に湛へたる水のた(溜)まらざるが如し』と、蟻の一穴も許さない、無事故への徹底した警戒心を忘れることなく、新たな年を迎えたい」と結んだ。 伊勢新聞 伊勢新聞は12月2日付の大観小観において「世界の首脳の寸評は機知に富み、愉快で感心させられる。目新しさから言えば驚くほどでもないのではないか」としている。 西日本新聞 西日本新聞は12月4日付の「告発サイト 幅広い公益性の点検必要」と題する社説において、「機密情報をめぐっては、権力機関のウソや欺瞞を暴く事実は公開を大原則とし、公開によって一般市民の安全を損なわないかなど、幅広い観点からの公益性の点検が必要だ」とし、「国家の機密と知る権利との関係は、どうあるべきか、この古典的な問題を、時代の変化に即してもう一度考える時が来ている」と結んだ。 中国新聞 中国新聞は「大手メディアが持つ信頼性や文書の内容を精査した上で発信する能力が欠けていたウィキリークスと、「特ダネ」を逃したくないメディア側の本音が合致した」と指摘。 沖縄タイムス 沖縄タイムスは12月4日付の「ネット社会の重い課題」と題する社説において、「インターネット社会の進展がもたらす国際社会への挑戦には違いない」と書いた。 神戸新聞 「責任のない公開は疑問だ」という社説で「米政府は対策チームを発足させたものの遅きに失した感は否めない。機密情報の管理に油断があった」とアメリカ政府の情報管理能力の問題を指摘。ウィキリークスに対しても「知る権利は自由主義国家では保障されるべきだが、問題はどこまで責任を持って公開しているのかという姿勢にある。責任は報道するメディアに任せ、ウィキリークス側は責任を免れようとして姿勢には疑念がわく」と非難している。 京都新聞 「ウィキリークス 衝撃的だが、危うさも」と題する社説で、「投書箱を通じて入手した生の情報に手を加えずネットに掲載するやり方は個人や団体に危害が及ぶ危険性を排除できない。情報をめぐる「判断」や「編集」を、ウィキリークスはほとんど行わない。この点からも報道機関とは呼べない」と非難。アメリカ政府に対しても「公電には公開しても差し支えないと思われるものも多く、政府の情報公開の不十分さも露呈した。米議会ではウィキリークスのテロ組織指定や資産凍結を求める声もあるが、行き過ぎだ」と非難。また「ウィキリークスはネット時代の新しいジャーナリズムの流儀を示しているという声がある一方、今回、ウィキリークスとの契約を断った新聞やテレビもある」と今回の件で既存メディアのあり方、問題点を示した。 北海道新聞 12月10日付けの社説で、「問題の焦点は、それが人々の「知る権利」に応える公益性を持つのか、それとも外交や安全を脅かす行為なのかという評価にある」としている。 信濃毎日新聞 「アメリカ政府はウィキリークスを『犯罪者』と非難しているが、職員の多くが簡単に機密情報にアクセスできる政府の情報管理こそが問われるべきだ」と米政府を非難。さらに「国が表現の自由を脅かすような規制強化を考えるべきではない。むしろ情報公開を積極的に進めるのが民主主義だ」と主張した。
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