中間報告とは? わかりやすく解説

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ちゅうかん‐ほうこく【中間報告】

読み方:ちゅうかんほうこく

調査・研究審理などにおいて、最終的な成果が出る前に中途での情況報告すること。また、その報告


中間報告

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/01 23:39 UTC 版)

中間報告(ちゅうかんほうこく)とは、議会委員会等に付託された審査途中・未了の案件に対し、審査の中間的な経過報告を議会の議場において委員長等に行わせることをさす。ここでは、主に日本の国会における中間報告について説明する。

国会における中間報告

日本の国会委員会中心主義を採用しており、原則として、委員会に案件を付託しその審査を経て、本会議に付するのが原則である(国会法第56条第2項)。

しかし、各議院の議決機関があくまで本会議であることに照らせば、委員会の審査が長引いて緊急の案件がいつまでも本会議に上程されず、議院の採決が行われないことも問題となる。このため各議院は、委員会の審査中の案件について特に必要があるときは、中間報告を求めることができ(国会法第56条の3第1項)、議院が特に緊急を要すると認めたときは、委員会の審査に期限を附けまたは議院の本会議において審議することができる(同条第2項)。また、委員会の審査に期限をつけた場合でも、その期限まで審査が終わらないときも、議院の本会議において審議するものとし、ただし、議院は委員会の要求により、審査期間を延長できるとしている(同条第3項)。

実際の中間報告の活用例は、少数勢力である野党議員が委員長を務める委員会(逆転委員会)に付託中の重要法案等について、野党側がその議案に反対(あるいは議案には反対でないが早期の採決には反対)し、多数を占める与党が「審査は十分尽くされた」として採決を求める場合において、委員長がさらなる審査続行のため採決をしないときに用いられることが多い。このような場合、本会議において、まず中間報告を求める動議を議題とする動議を可決し、次に中間報告を求める動議を可決した後、委員長(委員長が拒否した場合は理事)に中間報告をさせ、議院で審議を進め直ちに採決する動議を可決させて議案を成立させるという手法が用いられる。このような手法は与党の強行採決(禁じ手とも)として野党から批判されることが多い[1]

ただ、これと異なった類型として1997年4月22日の衆議院における厚生委員長の臓器の移植に関する法律案に関する中間報告の例がある。同法律案については、共産党を除くすべての会派が人の生命観に関することであるとして党議拘束をかけない方針をとったため、厚生委員会という限られた議員によって構成される常任委員会でそれぞれの法律案の採決を行い、明確な採否を決めることへの懸念があり、それよりも直接本会議での議員個々人の採決に任せるほうが好ましいとの判断がなされ、異例な形での中間報告が行われた。このときは、「脳死を人の死と認めて脳死による臓器移植を認める案(現行法のもとになった案)」、「脳死を人の死と認めないが脳死による臓器移植を認める案」及び「脳死による臓器移植をそもそも認めない立場(両案に反対)」が対立していた。4月24日に記名採決が行われ、脳死を人の死と認めて脳死による臓器移植を認める案が衆議院を通過し参議院に送られた。

なお、いくつかの国の議会には、全議員に委員資格を与え本会議場で審査を行う全院委員会(Committee of the Whole)がある。全院委員会の制度はかつての帝国議会も有していた。

中間報告後の本会議への審議移行例

2017年6月時点で衆議院で4回、参議院で19回の例がある。

中間報告後の本会議への審議移行例
本会議採決日 議院 委員会 委員長 対象案件
1947年(昭和22年)11月25日 衆議院 鉱工業委員会 早川崇
(理事)
臨時石炭鉱業管理法案
1950年(昭和25年)3月29日 参議院 在外同胞引揚問題に関する特別委員会 岡元義人 在外同胞引揚問題に関する特別委員会報告書案
1953年(昭和28年)8月4日 参議院 労働委員会 栗山良夫 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律案
1954年(昭和29年)6月7日 参議院 地方行政委員会 堀末治
(理事)
警察法案
警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案
1956年(昭和31年)4月20日 衆議院 文教委員会 佐藤観次郎 地方教育行政の組織及び運営に関する法律案
地方教育行政の組織及び運営に関する法律の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案
1956年(昭和31年)12月8日 参議院 社会労働委員会 千葉信 電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律附則第二項の規定により
同法を存続させるについて国会の議決を求めるの件
1958年(昭和33年)4月25日 参議院 社会労働委員会 阿具根登 日本労働協会法案
1958年(昭和33年)7月3日 参議院 文教委員会 竹中勝男 市町村立学校職員給与負担法改正案
1959年(昭和34年)4月3日 参議院 社会労働委員会 久保等 最低賃金法案
1959年(昭和34年)5月1日 参議院 内閣委員会 永岡光治 防衛庁設置法改正案
自衛隊法改正案
1963年(昭和38年)6月30日 参議院 社会労働委員会 鈴木強 職業安定法改正案
緊急失業対策法改正案
1965年(昭和40年)5月28日 参議院 大蔵委員会 西田信一 農地被買収者等に対する給付金の支給に関する法律案
1967年(昭和42年)8月17日 参議院 社会労働委員会 山本伊三郎 健康保険法
船員保険法の臨時特例に関する法律案
1969年(昭和44年)7月25日 参議院 社会労働委員会 吉田忠三郎 健康保険法改正案
船員保険法の臨時特例に関する法律改正案
1975年(昭和50年)7月4日 参議院 公職選挙法改正に関する特別委員会 中西一郎 公職選挙法改正案
1997年(平成9年)4月24日 衆議院 厚生委員会 町村信孝 臓器の移植に関する法律案
1999年(平成11年)8月12日 参議院 地方行政・警察委員会 小山峰男 住民基本台帳法改正案
2000年(平成12年)2月2日 参議院 地方行政・警察委員会 和田洋子 公職選挙法改正案
2004年(平成16年)6月14日 参議院 財政金融委員会 円より子 金融機能の強化のための特別措置に関する法律案
預金保険法改正案
2007年(平成19年)6月30日 参議院 内閣委員会 藤原正司 国家公務員法改正案
2009年(平成21年)6月9日 衆議院 厚生労働委員会 田村憲久 臓器移植法改正案(4案)
2009年(平成21年)7月10日 参議院 厚生労働委員会 辻泰弘 臓器移植法改正案
子どもに係る脳死及び臓器の移植に関する検討等その他適正な移植医療の確保のための検討及び検証等に関する法律案
2017年(平成29年)6月15日 参議院 法務委員会 秋野公造 組織犯罪処罰法改正案

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ 「共謀罪」法が成立、「究極の強行採決だ」 野党が反発した"中間報告"とは?ハフィントンポスト

関連項目

外部リンク


中間報告

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/22 07:10 UTC 版)

イラク武装解除問題」の記事における「中間報告」の解説

コリン・パウエルは、国際連合の場でアメリカ炭疽菌事件への報復としてイラク攻撃主張した2003年1月9日には、武器査察行った国連監視検証査察委員会UNMOVIC)とIAEAから安全保障理事会への中間評価報告があった。。また、UNMOVICハンス・ブリックス委員長イギリス・アメリカなどからの情報の提供を歓迎するとも述べた両国はこの時期イラク国連決議反しているとの指摘公の場行っている。アメリカコリン・パウエル国務長官アメリカ査察に対して情報提供を行うことを表明した主な内容以下のとおりである。 UNMOVIC報告 イラク協力積極的なものではなく本当の意味国連決議受け入れたわけでは無い。 イラク施設立ち入りについては協力したものの、U2偵察機による上空査察安全性問題があるとして拒否し国連ヘリコプターによる飛行禁止区域査察拒否したまた、イラク人科学者当局指示無し査察官には話すことは無い。 イラク12月7日提出した申告書以前申告書蒸し返しであり、疑問一切解消されていない神経ガスであるVXガス開発成功したとの情報査察団は得ている。また炭疽菌製造した可能性がある。 科学者自宅から、ウラン濃縮に関する3000ページにわたる文書見つかったイラク配備していたアルサムード2ミサイル射程実際には150kmを超えるものであり、安保理決議違反に当たる。 査察はまだ進行中である。 IAEA報告 1991年から1998年まで査察で、イラク核兵器開発をほぼ無効にすることができたとの結論得た査察では、禁止されている新たな核兵器開発証拠は見つかっていない。 査察には前進見られた。 申告書多くIAEA調査一致しているが、湾岸戦争前の核物質遠心分離抽出については明確にされる必要があるアルミニウム管を購入しようとしたイラク試み安保理決議違反に当たる。 イラク側の積極的な協力があれば、IAEA数カ月後に、イラクには核兵器開発計画が無いと断言できる1月16日には化学兵器搭載するためのミサイル12基が発見された。これは申告書掲載されていなかったものと考えられた。同様の発見別件であったことが2月12日にも発表された。 2月5日には、イラク大量破壊兵器隠し持っていることを示す証拠アメリカ側国連安保理にて提示した。しかし、この(パウエル報告)において重要な情報源として高く評価され引用されてもいたイギリス政府による報告書が、実は最新情報ではない、イラク研究を行うアメリカ大学院生1991年論文からのかなり長い剽窃含んでおり、パウエルは後に「私の生涯汚点であり、報告内容はひどいものだった」と認めることになる。2月14日査察団の報告が再び行われた報告では武装解除進展積極的に評価しつつも、査察完了しておらず、まだ時間が必要であることが示唆された。2月21日、ブリクス委員長3月1日までにアルサムード2の廃棄に当たるようにイラク指示した2月27日イラクはアルサムード2の廃棄表明し廃棄とりかかったアメリカ上院公聴会において、カール・レビン上院議員CIAから入手した機密書類引用しCIA重要な情報故意査察団に伝えず国連査察失敗に終わるように工作した、とワシントン・ポスト紙語った

※この「中間報告」の解説は、「イラク武装解除問題」の解説の一部です。
「中間報告」を含む「イラク武装解除問題」の記事については、「イラク武装解除問題」の概要を参照ください。

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