構成と技法とは? わかりやすく解説

構成と技法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/18 21:34 UTC 版)

カナの婚礼 (ヴェロネーゼ)」の記事における「構成と技法」の解説

17世紀1630年代半ばに、アンドレア・サッキ1599年-1661年)の支持者ピエトロ・ダ・コルトーナ1596年-1669年)の支持者は、再現描写構成にとっての理想的な人物像の数について多くのことを主張したサッキはほんのわずかな人数12未満)だけが、芸術家人物の性格伝えユニークな身体のポーズや顔の表情正直に描写できる述べた一方のダ・コルトーナは、多く人物像サブテーマ発展する壮大な主題中に絵画一般的なイメージ統合する述べた18世紀の『芸術に関する7つ講話』(1769年1790年)において、肖像画家ジョシュア・レイノルズ1723年1792年)は次のように述べている。 絵画主題においてヴェネツィア派画家たちは、主に祝祭や、結婚行列行進公開され殉教、あるいは奇跡といった、大人数人物像導入する機会与えられました。ヴェロネーゼはもし尋ねられたなら、少なくとも絵画40人の人物像登場するような場合除いて歴史画にふさわしい主題というものはないと言うろうこと容易に想像できます。これより少な人物では、照明広がり配置管理巧みさ、人物像グループ、そしてそれらの豊かな素材様々な東洋ファッション人物導入するといった、芸術作品構成を示すことができる機会画家が持つことはほとんどないと彼は主張するでしょうマニエリスム様式物語絵画として『カナの婚礼』ヴェネツィア派色彩(colorito)に重きを置くティツィアーノ・ヴェチェッリオ絵画哲学から、レオナルド・ダ・ヴィンチ1452年-1519年)、ラファエロ・サンツィオ1483年-1520年)、ミケランジェロ・ブオナローティ1475年-1564年)の作品用いられ盛期ルネサンス構成に関する素描(disegno)までの、様式的および絵画的要素兼ね備えている。混雑した宴会場面のヴェロネーゼ描写は下から上を見るようになっている。なぜなら絵画下端大修道院長のヘッドテーブルの席の背後の上方、食堂の床から2.5メートル離れたところに位置していたからである。 ベネディクト会契約規定されていたように記念碑的な寸法(6.77m x 9.94m)と面積(67.29m2)のキャンバス飾られる食堂の壁全体占め遠近法建築学に基づく現実的仮想的表現技術裏打ちされヴェロネーゼ芸術的才能は、食堂空間的拡張として『カナの婚礼』を見るように鑑賞者を促した

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構成と技法

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/19 21:13 UTC 版)

キリスト磔刑と最後の審判」の記事における「構成と技法」の解説

ロベルト・カンピン次世代ロヒール・ファン・デル・ウェイデン並んでファン・エイク15世紀半ば北方ヨーロッパ絵画作品に、自然主義写実主義もたらした革新的な画家だった。ファン・エイク油彩使いこなした詳細描写技法習熟した最初画家であり、『キリスト磔刑と最後の審判』の人物像にも油彩による高い写実性複雑な感情表現描き出されている。とくに「キリスト磔刑」画面上部顕著なそれまで類を見ない画肌の輝くような光沢と深い遠近表現なしとげた画家だった。 1420年代から1430年代ごろの油彩技法板絵はまだ初期段階だった。「最後の審判」描き出す場合には、支持体である細長い板に適した単純な垂直構成採用され画面上部から天界俗界地獄階層化されて描かれていた。一方「キリスト磔刑」を描く作品では構成採用されることが多かった。これに対しキリスト磔刑と最後の審判』の両翼どちらも縦に細長い小さな板に描かれている。この小さなスペース多くモチーフ詳細に描き出すために、ファン・エイク革新的ともいえる様々な技法編み出した左翼「キリスト磔刑」では垂直構成で描くために多くモチーフ見直し右翼の「最後の晩餐」では多く場面一つ凝縮して物語性高めている。垂直構成「キリスト磔刑」では、十字架中空高くに、それまで例のない密集した群衆が中景に、嘆き悲しむ人々前景描かれて、壮大な情景を創り上げている。すべてのモチーフ画面下部から画面上部へと向かう上り坂構図描かれており、これは中世タペストリ構図と同じものである美術史家オットー・ペヒト (en:Otto Pächt) は、「あらゆる世界一つ絵画作品描きだされた世界図絵である」としている。 ファン・エイク左翼「キリスト磔刑」用いている手法は、聖書エピソード物語風に描きだすための14世紀初頭見られ伝統的な技法である。美術史家ジェフリー・チップス・スミス (en:Jeffrey Chipps Smith) は、聖書順を追って発生している出来事がこの作品では「順番ではなく同時に描かれていると指摘している。ファン・エイク聖書記されている、異な時間起こった複数エピソード一つ場面凝縮して描きだした。鑑賞者はこの作品を下から上へと見上げていくことによって、実際時間通りエピソード追いかけることができる。鑑賞者の視線動きによって時間の経過意識させるという手法は、ファン・エイクによる複雑に計算され空間描写遠近法駆使した奥行き表現によって成し遂げられている。ファン・エイク左翼「キリスト磔刑」で、作品の主題たるキリストとの関係性深さに応じてモチーフ大きさ描き分けている。とくに人物描写顕著に見られる手法で、前景キリストの死を嘆き悲しむ人々比べると、中景に集う兵士見物人たちは厳密に遠近法適用した場合サイズよりもやや大きめに描かれている。右翼「最後の審判」では、亡者たちが画面下部の中景に描かれているのに対し聖人天使たち画面上部前景描かれている。ペヒトはこの「最後の審判」描かれている場面が「秩序だった一つ空間同化して」描写されており、大天使作品空間における天界地獄とを隔て役割果たしているとしている。 『キリスト磔刑と最後の審判』が二枚パネルから構成されるディプティクなのか、あるいは中央パネル失われた三連祭壇画両翼なのかは、美術史家によって意見分かれている。三連祭壇画両翼であるという説の美術史家の間でも、失われた中央パネル何が描かれていたのかに関していくつかの見解がある。「東方三博士の礼拝」が描かれていたという説、「キリスト生誕」が描かれていたという説などである。ただし現在主流となっている学説は、失われたとされる中央パネルそもそもオリジナルの『キリスト磔刑と最後の審判』には存在していなかったというものである。「東方三博士の礼拝」も「キリスト生誕」も、「キリスト磔刑」「最後の審判」との組み合わせ描かれることは、1420年代から1430年代描かれ祭壇画としてはまずありえない。その他唱えられている説として、もともと二枚パネル構成されていたディプティク後世になってから中央パネル付け加えられたというものや、アルベルト・シャトレの主張のようにもともと存在していた中央パネル盗まれ散逸したといった説がある。美術史家エルヴィン・パノフスキーは、『キリスト磔刑と最後の審判』がディプティクとして制作されたと考えている。その理由としてパノフスキーは、『キリスト磔刑と最後の審判』が三連祭壇画両翼だと見なすには「壮麗な表現」に過ぎることを挙げている。他にも、三連祭壇画であれば公共目に触れさせる目的で、もっと大きなサイズ制作されており、金で箔押しされたフレーム相応な銘が刻まれているはずだという見解もある。さらにこの『キリスト磔刑と最後の審判のような豪華な素材表現なされているのは、三連祭壇画場合であれば通常中央パネルのみだとする。これに対して当時ディプティク個人祈祷用の小さなもので、フレーム箔押しはされていなかった。いずれにせよキリスト磔刑と最後の審判』が三連祭壇画両翼だったのか、あるいはディプティクだったのかについては確たる証拠存在していない。しかしながら技術的な解析から見ると『キリスト磔刑と最後の審判』はディプティクだったという可能性が高い。これに対しペヒトは、三連祭壇画ではないと判断するには、依然として検証不足していると主張している。

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