構成と操作
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/17 10:13 UTC 版)
光ピンセットの基本的なシステム構成は以下のようなものである。土台として光学顕微鏡を用いる。捕捉用のレーザー光は、落射蛍光の励起光導入用ポートから導入され、ダイクロイックミラーで反射され、対物レンズで集光されて小さな焦点を形成し、試料を捕捉する。レーザー光が顕微鏡に入るまでに、ビームエクスパンダーや、ビームを偏向するための光学系が設置されることも多い。顕微鏡の照明や観察系が、そのまま試料の観察に用いられる。また、通常の観察に加えて、捕捉試料の位置を精密に検出するための機器もしばしば用いられる。 光源としては、波長1064 nmのNd:YAGレーザーが一般的に用いられる。これは、生物組織は波長1000 nm程度の赤外線に対してほぼ透明であり、生物組織を扱う際にレーザーによる損傷を少しでも避けることができるためである。安定した捕捉のためには対物レンズの選択が非常に重要となる。一般的に、開口数(NA)が1.2-1.4程度に達する高開口数のレンズ(液浸レンズ)が使用される。 捕捉試料の精密な位置検出には、四分割フォトダイオードが用いられることが多い。原子間力顕微鏡においてカンチレバーの変位を検出するのと同様にして、試料の面内位置が計測される。 ビームエクスパンダーによりレーザー光の径を広げ、対物レンズの瞳径全体を満たすようにすることにより、回折限界スポットが得られる。捕捉位置を面内方向で動かすのは、顕微鏡ステージでも可能だが、多くの光ピンセット装置ではそれ以外の偏向装置を持っている。これには、レンズ(『一般的な光ピンセットの構造』の図で "Beam Steering" と表示されているレンズ対のうちのレーザーに近い方のレンズ)を動かす方法や、途中にガルバノミラーを設置してそれによって方向を変える方法などがある。
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