構成と構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/12/10 09:31 UTC 版)
「NADH:ユビキノン還元酵素 (水素イオン輸送型)」の記事における「構成と構造」の解説
NADHデヒドロゲナーゼは呼吸複合体の中で最も大きく、哺乳類のものでは45の独立したポリペプチド鎖を持つ。特に、機能的に重要なのはフラビン補欠分子族と8個の鉄硫黄クラスターである。45のサブユニットのうち7つはミトコンドリア遺伝子にコードされている。 構造は長い膜ドメイン(60個の膜貫通ヘリックス)と、酸化還元中心とNADH結合部位がある親水性周辺領域からなり、全体としてアルファベットのL字のようになっている。真核生物の複合体の構造はよく特徴付けされていないのに対し、バクテリア(Thermus thermophilus)の複合体の周辺/親水性ドメインが結晶化されている(PDB 2FUG)。 電子スピン共鳴(EPR)および二重電子―電子共鳴(DEER)により、親水性領域において、フラビンからキノン結合部位にかけて連なって位置する7つの鉄硫黄クラスター上を電子が移動することが示された。 さらに、原子レベルの解像度での電子トンネル経路が、トンネル電流理論に基づいた計算によって明らかにされた。それによると、隣接した鉄硫黄クラスター間のトンネル経路は主に2つのシステイン配位子および1つのタンパク質残基(mediator)からなる。mediator残基は種々の異なる生物種間でよく保存され、さらにそれらを置換した変異体で電子移動速度が計算上著しく低下することから、mediator残基が生体中での電子移動に不可欠な役割を果たしていることがわかる。また、タンパク質サブユニット間の内部水が電子移動速度を大きく増加させ、生体中で観測される高い電子移動効率の達成に不可欠であることが示された。
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