発見、構成と構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/21 10:10 UTC 版)
P-TEFbは、ショウジョウバエ細胞由来のin vitro転写系を用いた長いランオフ転写(英語版)産物の形成に必要な因子として同定され、精製された。P-TEFbは、ショウジョウバエでは触媒サブユニットであるCdk9(英語版)と調節サブユニットであるサイクリンTからなるサイクリン依存性キナーゼである。ヒトのP-TEFbには複数の種類が存在し、Cdk9といくつかのサイクリンサブユニット、サイクリンT1(英語版)、T2(英語版)、K(英語版)のうちの1つが含まれる。P-TEFbはブロモドメイン(英語版)タンパク質BRD4(英語版)を含む他の因子と結合し、super elongation complexと呼ばれる巨大なタンパク質複合体に結合していることが知られている。重要なことに、P-TEFbはHIVのTat(英語版)タンパク質の標的であり、Tatは正常な細胞内のP-TEFbの制御を迂回して、HIVゲノムのプロモーター近傍で停止したポリメラーゼに直接P-TEFbをもたらす。 Cdk9とサイクリンT1を含むヒトP-TEFbの構造とHIV TatとP-TEFbの複合体構造がX線結晶構造解析によって解かれている。最初に解かれた構造では、2つのサブユニットが他のサイクリン依存性キナーゼで見られるような配置をしていることが示された。元々の構造ではサブユニットに3つの意図しないアミノ酸置換が導入されていたが、その後正しい配列を用いて構造決定が行われ、活性部位周辺にいくつか大きな変化が見られた以外には、全体構造は同じであることが明らかにされた。HIV TatがP-TEFbに結合した構造からは、ウイルスタンパク質はサイクリンT1サブユニットと広範囲にわたる接触面を形成していることが明らかにされた。
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