構成と機体識別名称
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/11 03:04 UTC 版)
H3ロケットの構成はペイロードの重量や投入軌道により第1段エンジンの基数と固体ロケットブースターの本数が異なり、第1段エンジン3基でブースター0本、第1段エンジン2基でブースター2本、第1段エンジン2基でブースター4本の3種類の組み合わせが設定される。第2段は3種類とも共通で、フェアリングはそれぞれ大小2種類が用意される。機体識別名称は「H3」にハイフンをつけた後ろの1つ目の数字が第1段エンジンの基数、2つ目の数字がブースターの本数、3つ目のアルファベットがフェアリングのサイズ(大小でSとL)となる。例えば「H3-24L」だと第1段エンジン2基、ブースター4本、フェアリングLサイズの構成となる。よって「H3-30S」と「H3-30L」、「H3-22S」と「H3-22L」、「H3-24S」と「H3-24L」の6種類となる。また、HTV-X打上機は「H3-24W」と呼ばれる。 なお、H3ロケットの機体識別名称の仕組みを策定した当初の2016年時点では「H3-32」の構成も設定する予定であったが、H3-22形態の性能が所期より高く投入軌道の調整等によりH3-32の需要をカバーできると判断されたことから取り消された。また、第2段ではLE-5Bの倍の28tfの推力を持つ新開発のエキスパンダーブリードサイクルエンジンであるLE-11エンジンを使用する構想もあったが、挑戦的な第1段用LE-9の新規開発に専念するため見送られたほか、LE-5Bエンジンを2機にすることも検討されていた。第1段に液体水素を選定した2013年頃には、第1段エンジン2基でブースターなしの最小形態や、イプシロンロケットの2段目と共有化できるH-IIA/BのSRB-Aより小さいブースターを6本から8本使用する最大形態も検討されていたが、これまで培ってきた技術、経験、設備を活用するため等の理由で採用に至らなかった。 第1段エンジン3基でブースター0本の最小構成ではH-IIAの1/2の50億円で太陽同期軌道へ4トンの打ち上げが可能となる。一方、第1段エンジン2基でブースター4本の最大構成ではロングコースト静止移行軌道へ6.5トンの打ち上げが可能となり、近年大型化する静止衛星の打ち上げにも対応可能となる。 試験機1号機は、H-IIBでの運用実績のあるエンジン2基クラスタ形態での段階的検証を重視して、H3-22Sの構成で打ち上げられる予定で、ブースター無しの試験機も予定されている。
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