常楽寺 (湖南市)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/16 23:14 UTC 版)
| 常楽寺 | |
|---|---|
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本堂と三重塔(ともに国宝)
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| 所在地 | 滋賀県湖南市西寺6丁目5-1 |
| 位置 | 北緯34度59分24.45秒 東経136度2分54.84秒 / 北緯34.9901250度 東経136.0485667度座標: 北緯34度59分24.45秒 東経136度2分54.84秒 / 北緯34.9901250度 東経136.0485667度 |
| 山号 | 阿星山(あぼしさん) |
| 宗旨 | 天台宗 |
| 宗派 | 単立 |
| 本尊 | 千手観音(秘仏、重要文化財) |
| 創建年 | 伝・和銅元年(708年)頃 |
| 開山 | 伝・良弁 |
| 開基 | 伝・元明天皇(勅願) |
| 正式名 | 阿星山常楽寺 |
| 別称 | 西寺(にしでら) |
| 札所等 | 近江西国三十三観音霊場第1番 びわ湖百八霊場第95番 湖南三山 |
| 文化財 | 本堂、三重塔(国宝) 絹本著色仏涅槃図、木造釈迦如来坐像、木造二十八部衆立像28躯ほか(重要文化財) |
| 公式サイト | 常楽寺公式ホームページ |
| 法人番号 | 2160005002560 |
常楽寺(じょうらくじ)は、滋賀県湖南市西寺にある天台宗系単立の寺院。山号は
同じ湖南市に所在する長寿寺の「
歴史
創建の時期および事情については、史料が乏しく定かでない。寺伝では、和銅元年(708年)頃に元明天皇の勅願により良弁によって創建されたとする[2]。また長寿寺同様に紫香楽宮の鬼門を封じていたともいう[2]。
延暦年間(782年 - 806年)に天台宗に改められ[2]、平安時代から鎌倉時代にかけては長寿寺とともに歴代天皇の尊崇が厚く、阿星山五千坊[2]と呼ばれるほどの天台仏教園を形成した。
延文5年(1360年)に落雷によって本堂や諸堂は全焼し本尊も消失してしまうが、同年のうちに観慶らによって本堂(国宝)が再建される[2]。
元亀2年(1571年)6月から9月にかけて織田信長に反抗して野洲郡金森(現・守山市)に一向一揆勢が集結した際には、信長配下の佐久間信盛が当寺に本陣を置いた。また、当寺にあった宝徳4年(1452年)に建てられた仁王門は、文禄元年(1592年)から文禄3年(1594年)に豊臣秀吉により伏見城へ移築され[2]、次いで慶長6年(1601年)に徳川家康によって園城寺(三井寺)へ再び移築され、園城寺の大門(重要文化財)となっている[3]。
明治時代の神仏分離によって当寺の鎮守社であった三聖神社が独立している。
2004年(平成16年)に石部町と甲西町が合併して湖南市ができると、翌2005年(平成17年)秋に常楽寺、長寿寺、善水寺とで湖南三山を立ち上げる[2]。
また、同年には絹本著色浄土曼荼羅図(重要文化財)が文化庁に2億800万円で売却されている。これは、本堂(国宝)の檜皮葺きの屋根が傷んでいるために修理をしようとしたところ修理費が4億円ほどかかり、そのうち当寺は4000万円ほどの負担となるが修理費の工面が付かず、やむを得ず売却をしたものである[4][5]。
境内
- 本堂(国宝) - 南北朝時代の延文5年(1360年)再建[2]。木造入母屋造檜皮葺、桁行七間、梁間六間。1941年(昭和16年)と1972年(昭和47年)に屋根の葺替が行われている[2]。
- 三重塔(国宝) - 応永7年(1400年)再建[2]。三間塔婆本瓦葺。1941年(昭和16年)と1972年(昭和47年)に屋根の葺替が行われている[2]。
- 鐘楼
- 行者堂
- 普賢堂
- 薬師堂
- 西国三十三所石仏群
- 庫裏
文化財
国宝
- 本堂 1360年に再建されたもの。檜皮葺屋根。附:厨子 1基
- 三重塔 1400年に再建されたもの。附:丸瓦及び平瓦 各1個
重要文化財
- 絹本著色仏涅槃図 - 京都国立博物館寄託。
- 木造釈迦如来坐像
- 木造二十八部衆立像 28躯 - 風神・雷神像を含めて28躯からなる。うち2躯は盗難に遭い所在不明[6]。
- 木造千手観音坐像 - 本尊。
- 錫杖 1柄
- 金銅飲食器(おんじきき) 1口・銅飲食器(脚欠) 1口・金銅火舎 1口
- 石燈籠 応永十三年銘
- 常楽寺勧進状 3巻 附:銅仏餉器
重要美術品
- 絹本著色釈迦如来及四天王像
その他
前後の札所
- 近江西国三十三観音霊場
- 1 常楽寺 - 2 東門院
- びわ湖百八霊場
- 94 正福寺 - 95 常楽寺 - 96 阿弥陀寺
所在地
- 滋賀県湖南市西寺6丁目5-1
アクセス
公共交通機関
- JR草津線 石部駅より湖南市コミュニティバスで西寺停留所下車、徒歩約4分。
自動車
- 駐車場
- 普通車30台、大型車5台
拝観情報
- 開門時間 - 10時から16時(閉門30分前に受付終了。秋の特別公開時は9時から開門)
- 拝観料 - 大人600円、高校生・中学生300円(小学生以下は無料)
- (※秋の特別公開時以外は事前予約が必要)
周辺
脚注
- ^ “湖南三山、多彩な晩秋”. 中日新聞. 中日新聞社. 2024年12月3日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l 常楽寺 縁起 2025年10月11日閲覧
- ^ 三井寺 建造物 大門(仁王門) 2025年10月11日閲覧
- ^ TBS NEWSDIG 2025年5月5日 国宝を修理するため重要文化財を売る!?本堂の修繕に寺は4000万円負担か...多額の維持管理費に住職「もう売却しか手がない」 2025年10月11日閲覧
- ^ 中日新聞 2025年1月28日 湖南・常楽寺が国重要文化財を2億円で譲渡 本堂工事費の捻出のため 2025年10月11日閲覧
- ^ 1981年に風神、阿修羅王、摩睺羅伽王の3躯が盗難に遭った。阿修羅像は後に発見されたが、他の2躯は所在不明。(参照:文化庁文化財保護部監修『文化財保護行政ハンドブック 美術工芸品編』、ぎょうせい、1998、p.127
関連項目
外部リンク
- 常楽寺 - 公式サイト
- 常楽寺 - 滋賀県湖南市観光ガイド ぶらりこなん
- 常楽寺(西寺・湖南三山) - 滋賀・びわ湖観光情報
- 常楽寺_(湖南市)のページへのリンク