尖端島および南大陸自由圏
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/02/24 11:49 UTC 版)
「亡念のザムド」の記事における「尖端島および南大陸自由圏」の解説
寺岡フルイチ(てらおか-) 声 - 立花慎之介 アキユキとハルの親友。長身メガネ男子。ハルと同門で心武道を学んでいる。真面目で皮肉屋。なにより努力家。だが、明るく真っ直ぐなアキユキと、自分を男として見てくれないハルとの三角関係で劣等感を抱く。実家は豆腐店を営むがサナギドウフは大嫌い。ハヤシのラムネが大好物。 爆破テロに巻き込まれた際にアキユキのザムド化を目撃。ナズナをバスに乗せたのがアキユキだと知るせいで、自ら災厄を招き寄せ、島に戦争の火種を持ち込んだアキユキに対し憎悪と軽蔑の念を抱く。またザムドをバケモノとして忌避する。 尖端島に戦時色が色濃くなり、恋敵のアキユキが居ないことでハルへの想いを募らせていく。島を守る為、極東自治区に入隊し軍人となる。心武道の心得が幸いしてASPスーツに上手く適応し、部隊でも頭角を表す。その一方で、同じく入隊しながらいつまでもアキユキを想い煮え切らないハルに、好意と劣等感が一転し軽蔑の念を抱くようになる。詰腹峠でアキユキと再会した際には銃口を向け、尖端島での平和な生活が壊されたのはお前のせいだと罵る。 休暇で実家に一時帰宅した後、軍に戻らず引き籠もりとなり、隊長の命令で自宅を訪問したハルに毒舌をぶちまけ泣き崩れる。実はスクールバス爆発の際にアキユキと同様ヒルコを右腿に宿しており人知れずヒルコの浸食に苦しんでいた。ヒルコの憎しみと共鳴し人格が崩壊。慰霊碑前で話すアキユキ、ハル、ナキアミの前でザムド化し暴走する。アキユキとの戦いに負けた後、ナキアミの力でヒルコから解放され人の姿を取り戻すが軍に捕らえられ連行中に脱走。思い出深い駄菓子屋道中の店先にて、ザムド化した腕で自ら頭部を引きちぎり命を絶つ。フルイチザムド 色は黒く頭は炎のよう。肥大した頭を支えきれず四つ足で黒いボディに巨大な顔面を持つ異様な姿。ハルを飲み込む姿などは「千と千尋の神隠し」に登場するカオナシが暴走した際に酷似している。 竹原リュウゾウ(たけはら-) 声 - 石塚運昇 アキユキの父親で医師。かつては軍医として北政府軍に従軍しバラドール戦役に参加。そこでヒトガタ兵器の研究に携わる。だが、ヒトガタ兵器の参戦による惨禍に挫折感を味わい帰国。以来、酒浸りになりながら小さな診療所を1人で切り盛りする。衣食住にはものぐさでずぼら。「これでも医者のはしくれだぞ」が口癖。 患者である近隣の住人たちからは名医と慕われるがアキユキや妻のフサとは別居中。不器用な性格がもとでフサとはすれ違いが続く。昔なじみの司令の依頼で息子の仇にも等しいナズナを治療し生かし続ける。診療所において独自にヒルコの研究を続けており、開発したワクチンをハルに委ねた。 ミドリ救出のため極東自治区に潜入する際、フサに遺書と離婚届を託す。戦没者慰霊碑の前でかつて命を救った垣巣と決闘。その際に左目を抉られる。 なんでも自分の胸に抱え込み、大事な事から目を逸らし決断もせず、罪を背負い込む覚悟もなく、都合良く帳尻を合わせようという身勝手さを彼を愛するフサや垣巣から憎まれる。「医者は人の命を救うのが仕事だ」と一言言い切れば済む話だが、そのことにさえ自信を持てずに周囲の人間を苦しめた。 最終回では失った片目をアイパッチで覆い、フサとは復縁。回復したナズナを実の子のように育て、昏睡が続く垣巣を治療し続けている。 名前の由来は、中上健次の紀州サーガの登場人物、浜村龍造から。竹原秋幸の父親にあたる。 竹原フサ(たけはら-) 声 - 早水リサ アキユキの母親。料理が得意で凝り性。 鈍感でものぐさ、なんでも自分で勝手に決めてしまい家族を顧みないリュウゾウに失望し、アキユキを連れて別居。診療所近くのアパートに暮らしていた。「太っちょゴリラ」などと憎まれ口を叩くが、リュウゾウの生活を気にかけ、アキユキに特製二段弁当を持たせたり洗濯物を取りに行かせたりしていた。 ヒステリックで打たれ弱いところがあり、リュウゾウだけでなくアキユキやハルも敏感に察し、気遣いから辛い真実や本音を打ち明けられない。そのことがリュウゾウとすれ違う原因になっている。独り言が多くボヤキ節。アキユキの教育に関しては手厳しく、イタズラをすると雨だろうが外に放置した。 息子の突然の失踪に心を痛めノイローゼ気味になるがハルに支えられる。帰りを待つのに疲れ切っていた折にアキユキが島に戻るが会うことは叶わず、母親の直感で永遠の別れと悟る。リュウゾウにより密かに匿われていたナズナを息子の仇と憎みきれず葛藤。命を賭す覚悟でミドリの救出に向かったリュウゾウから遺書と離婚届を受け取り、あまりな身勝手さに激怒する。 リュウゾウが空の弁当箱を返し「うまかった」と言ったらすべてを許すと宣言。 名前の由来は、中上健次の紀州サーガの登場人物、竹原フサから。竹原秋幸の母親にあたる。 西村ミドリ(にしむら-) 声 - 藤村歩 ハルの妹で小学生。2年前の交通事故により右足に傷を負って歩行が不自由となり白い松葉杖を使う。事故の際、車を運転していた母が亡くなった。元々はシャイで引っ込み思案な大人しい子。仕事の忙しい母からぞんざいにされ「自分は愛されていない」、「姉と違って可愛くない」と劣等感を抱く。事故後は父や姉の前で本音を押し隠し、必要以上に無理に明るく振る舞うようになる。アキユキ、フルイチとも親しい間柄。また、姉とは逆で初対面のときからナキアミを慕う心が強かった。 事故当時のトラウマが強く残っており、「あたしが母親の命を奪ってしまった」、「お姉ちゃんやお父さんはお母さんのかわりにあたしが死ねば良かったと思っている」という自責によるマイナスの念を抱え「なくしてしまった片方の靴」を探し続ける。 早くから垣巣、ブロイらに被験体として目をつけられており、「極東自治区において特別治療で歩けるようにする」という名目を信じたハルやジンイチロウはまんまと騙された。ハルから重荷や足かせのように思われていたことを子供心に感じており、姉への反発も手伝って被験体となる誓約書にサインしてしまう。緑心石の力と無理矢理植え付けられたヒルコにより巨大なタマゴ型のザムドと化し、南大陸軍の決戦兵器として投下される。だが、ナキアミの活躍により母と再会を果たし、伝えられなかった思いを伝えることが出来たことで人としての姿を取り戻した。 最終回では愛らしい晴れ着姿でジンイチロウを大泣きさせている。ミドリザムド 巨大なタマゴ型。のっぺりとした表面に多数の目を出し入れし、そこから光線を打ち出す。また、触手を自在に伸ばす。 西村ジンイチロウ 声 - 津久井教生 ハルとミドリの父親。小心者でお人好しのサラリーマン。黒縁眼鏡とスーツ、鷲鼻が特徴。事故で妻を失い、ミドリが障害を負ってからは情緒がやや不安定で涙腺がゆるい。リュウゾウとは幼馴染みでジンちゃんと呼ばれる。幼い頃から気の弱い子だったがかくれんぼでは別人のようになる。 なにかというと亡き妻の遺影に娘たちが嫁に行くまでは必ず守ると誓いを立てる。ハル、ミドリの危機には人が変わる親バカ。 設楽(しだら) 声 - 川上とも子 ハルたちの同級生の少女。バス爆破テロ直後に発生した尖端島空襲により家族を失う。心神喪失状態となり裸足で島内を彷徨っていたが、汗馬に目をつけられ「志願者」としてヒルコの生体実験にかけられる。 実験施設を脱走後、崩壊したアーケード商店街に佇んでいた所をハルとフルイチに発見されるが、ハルに対する嫉妬の言葉を吐きながらヒトガタに変貌しハルを襲った後、フルイチを執拗に追い回す。その後、軍のASP部隊の攻撃で蜂の巣にされ、最後は垣巣に止めを刺され死亡した。 笹村のおばあちゃん 声 - 森夏姫 いつも竹原診療所に腰痛の治療に来るお婆ちゃん。リュウゾウに蜜柑を投げて「ナイスキャッチ」と言うのが特徴。 最終回でも変わらぬ健在ぶりを見せる。ただし、蜜柑は品切れだった。 ズイゾ 声 - 大塚明夫 カミナキ連山詰原峠付近に住む男。元は赤宙石を採掘していた鉱夫。長身痩躯で口ヒゲと肩に担いだ銃が特徴。左腕にヒルコを宿している。キーオの父がわり。 北政府の爆撃によりヒトガタにされ、左腕は石化している。南大陸軍のヒトガタ狩りを逃れ、山に潜伏しながら暮らす。ヒトガタに襲われていたアキユキを助け、詰原峠越えを手助けする。自分たちを襲った悲劇的な運命にも、ひどく冷めた受け止めをしており人間不信に陥っている。 「自分の足で立て、どれだけ傷つけられても俺たちは生きていかなきゃならないんだ」とアキユキにヒルコを宿す者としての覚悟を諭した。 最終話でキーオと共に今も山に暮らしていることが明らかにされる。銃のかわりに背負子に積んだ薪を背負うようになった。また、紙袋に詰まったリンゴを持っている。 キーオ 声 - 浅井清己 ズイゾを父(とと)と慕うが実の親子ではない。ザンバラ髪だが右前側の髪だけ伸ばして結った独特の髪型が特徴。戦災により心に傷を抱え、人間不信で頑なな少女。「優しい顔して近づくヤツほど大事なものを奪っていく」と手厳しい。大石と化した母に花や供え物を欠かさない。 最終話では美しい少女に成長。母の大石の前でズイゾからリンゴを投げられ、ぎこちない笑顔で受けとるシーンが描かれた。
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