井伊一門
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井伊直虎(いい なおとら) (おとわ → 次郎法師 → 井伊直虎) 演:柴咲コウ(少女期:新井美羽) 本作の主人公。遠江国井伊谷(いいのや)領主・井伊家の惣領娘。出家前の名はおとわ(とわ)で、出家後や後見役に就任後もその名で呼ばれることがある。上位者と対面しているとき以外の日常における一人称は幼少期から一貫して「我」(われ)だったが、還俗後は「私」(わたし)が多くなっている。 亀之丞と鶴丸とは幼馴染で、龍潭寺で共に学んだり、「竜宮小僧」を探しまわったり、井伊家の「御初代様」縁の井戸周りで遊んでいたりしていた。井戸に「御初代様」が祀られているため、長じても井戸を訪い「御初代様」に祈ったり感謝を捧げたりしている。 男勝りで活発な性格で、亀之丞との縁談が持ち上がり、当初は戸惑いながらもその妻となって井伊家を支えようと決意。しかし直満の謀反疑惑に連座し、亀之丞は井伊谷を去ることになる。その後、今川家から鶴丸との縁談を命じられた際に亀之丞との約束を守るため出家を目論む。一時は今川家のもとで過ごすが、南渓和尚の手はずで出家を果たし、井伊家を嗣ぐ者の名である「次郎」を表した次郎法師(じろうほうし)という僧名を授けられる。 父が討ち死にした後も直親や政次や一門との関係修復のために労を取っていたが、今川からの罠に拠って直親を喪ってしまう。その死にひきずられる形で直平や左馬助や直由らを戦で亡くし、自責の念で酒浸りの時期もあったが、南渓の提案で「女領主井伊直虎」として虎松の後見に立ち、井伊谷を治めることになる。還俗はしていない体裁なので、直虎として尼頭巾を外している際にも尼削ぎ髪のままである。 後見就任当初は同じく新しく家政に加わった六左衛門や直之たちには反発され、政次からは妨害を受けるが、井伊谷のために良くも悪くも当時の常識外の手法・政策を発案・実行するために奮闘して内政を軌道に乗せてゆくうちに家臣・領民の信頼を得、新しく家臣に加えた商人の方久や龍潭寺とも力を合わせて寿桂尼から後見の許しを獲得するに至る。第27回では培った実績や信頼を元に気賀衆に推され、今川から気賀の新しい城と仕置を預かる許可を得るまでになる。 しかし寿桂尼没後、今川から再び徳政令発布を突きつけられることになる。命ぜられるまま井伊取り潰しを受け入れてから徳川側に付くことで復活を図るが失敗し、井伊を護るために敢えて罪人の悪家老として処刑されることを選んだ政次の想いを受け入れて、自らの手で彼を絶命させる。この流れにより井伊家復興を諦め、井伊家中の次の身の置き場所を手配した後に還俗して帰農し、龍雲丸と共に暮らすようになる。龍雲丸が堺に行くことになった際には一時は共に行く決心をするが、彼に諭されたこともあり、気がかり・心残りのある井伊谷に留まる。その後は農婦でありながら、康用に対するアドバイザー的立場を確保して井伊谷の民を守り益をもたらす存在となってゆく。晩年は家康への協力のため堺に行った直後、労咳とみられる病で体調を崩し、師である南渓や兄弟子たちに先立って没する。戒名は月泉祐圓禅定尼。田畑が豊かに実る中、井伊の縁者や井伊谷の百姓たちに「殿」として見送られ、戦場にいた家康と万千代はじめとする直之・六左衛門・万福には書状にてその死が伝えられた。 井伊直盛(いい なおもり) 演:杉本哲太 直虎の父。直平の孫。井伊谷の領主。武家官位は信濃守。 井伊家当主として、よく一門衆と今川家や今川寄りの家老の板挟みとなって苦渋し悩むことが多いものの、井伊谷の者のためには身を削る覚悟をもって、大体においては情け深く、ときには厳しい対応で双方に気を使った処断をしている。 今川義元の織田攻めに加わり、桶狭間の戦いにて織田軍の奇襲を受ける。直盛らは敗走して追い詰められ自刃する。その後、その首は孫一郎の手で井伊谷へと帰還を果たした。 祐椿尼(ゆうちんに) (千賀 → 祐椿尼) 演:財前直見 直虎の母。今川家家臣の娘。出家前の名は千賀(ちか)。直盛の死後に出家する。 何かと感情的になる井伊家一門衆や、おとわに甘くなりがちな夫や兄とは違い、深い愛情をもっておとわに武門の女としての道を厳しく諭しているが、ときには宥めすかしたり煽てあげて誘導したりすることもある。 次郎が直虎として井伊家の当主となってからも影から支え、井伊家解散後は猫を飼い、龍潭寺で暮らす。 井伊直平(いい なおひら) 演:前田吟 直虎・虎松(直政)の曾祖父。直盛・直親・瀬名の祖父。直盛の父・直満・南渓・佐名の父。井伊家の先々代当主で、かつて今川家と争った末に軍門に下った。隠居の身ながら老いてもなお血気盛んで、今川家に対する敵意も衰えておらず、今川寄りの家老である小野に敵愾心を燃やしている。 直親が謀反の咎で駿府に弁明のため向かうと言われた際には、これまで一門の年長者でありながら、自分より若い者の死を見送り続けてきたことへの苦悩を露わにした。その直親が誅殺されたのち、虎松を助命する条件として今川のための戦に出陣することになり、天野氏討伐の陣中で不可解な死を遂げる。 井伊直満(いい なおみつ) 演:宇梶剛士 直虎の大叔父。直親の父。惣領娘のおとわとの縁談によって息子が次の当主候補となった際に、今川家と当時は敵対関係にあった北条家に内通を謀ったと疑われ、駿府に呼び出された末、義元の命により討たれた。その後、その首は息子と無言の対面を果たした。 笛の得意な息子の許嫁となったおとわのために鼓を贈るつもりであったが、死後におとわに渡されている。 井伊直親(いい なおちか) (亀之丞 → 井伊直親) 演:三浦春馬(少年期:藤本哉汰) 直虎の許婚で幼馴染。直満の子。幼名は亀之丞(かめのじょう)。元服した後の武家官位は肥後守(ひごのかみ)。また、元服前はおとわや鶴丸から亀の愛称で呼ばれており、元服後もその名で呼ばれることがある。 子供の頃は病弱で、幼馴染でもあったおとわには体力で負け、知力では鶴丸にかなわなかったが、横笛は得意としていた。父直満が討たれた後、自身も今川家から狙われることになる。井伊家は彼を逃がすことを選択し、おとわの助力もあって信州へと落ち延びた。 今川と北条の同盟により井伊家を取り巻く情勢が変化すると井伊谷に呼び戻され、文武両道の立派な若武者に成長して帰参した。そして、新野左馬助によって元服。 桶狭間の戦いで直盛が討たれると、当主として井伊谷を治めるようになり、しのとの間には一子虎松を授かる。しかし桶狭間での敗戦以降、松平家と縁を作ろうと模索していたことが災いして今川家からの罠にはまり、元康への内通の疑いをかけられた弁明のために駿府に赴くよう命じられる。その途上で今川家家臣に襲撃され、非業の最期を遂げる。 しの 演:貫地谷しほり 直親の妻。奥山朝利の娘。虎松の母。 結婚後も夫である直親とかつての許嫁である次郎の間にある深い絆をことあるごとに思い知らされ複雑な感情を抱いており、それを察した直盛と千賀の気遣いで直親とともに井伊家の屋敷から祝田村に移る。 結婚して4年経っても子が成せないことを気に病み、さらには直親が側室を迎える話が出たことに絶望し自害を図るが、次郎に止められ、直親との間にできていた溝を修復する。 それからしばらくして虎松を生むが間もなく直親を喪い、虎松とともに新野家の屋敷に移り住む。 当初は直虎が虎松の後見になったことにも反発していたが、その後は井伊のために色々と考えて働くことが出来るようになる。 直虎が水面下で徳川と内通を画策した際に、名指しで人質として要求され、徳川麾下の松下家に再嫁することになる。 井伊直政(いい なおまさ) (虎松 → 松下虎松 → 井伊万千代 → 井伊直政) 演:菅田将暉(乳児期:佐藤恋和 / 幼年期:鈴木楽 / 少年期:寺田心) 直親の嫡男。幼名は虎松(とらまつ)、後に万千代(まんちよ)。元服後は兵部少輔の官途を賜る。 桶狭間直後に母しのの懐妊が判り、第10回で誕生する。幼少時は女衆ばかりの周囲に大事にされて育てられていたため、人見知りで引っ込み思案であったが、実は負けん気が人一倍強いことを見抜いた直虎に囲碁を通して鍛えられ、「勝てるまで自分で考えて努力する」ことを身につける。以後は手習い仲間と共に直虎との論議に参加するなど引っ込み思案が改善された一方、周囲を気にせず囲碁の戦略に集中するなど、勝利のため妥協しない姿勢や一番にこだわる面も見せるようになる。 井伊家取り潰しのあと、直虎たちにより三河の寺で小坊主として身を隠すが、直虎が井伊家の存続を諦めたため、松下家の養子となる。 一計を案じて家康に接近し、松下家を出て井伊家を名乗る事を認められ「井伊万千代」の名を頂くが、引き換えに小姓として召し抱えられるという約束を反故にされ、結局同じく「小野万福」となった亥之助と共に草履番として家康の元で仕えることとなる。 草履番とされたことを悔しがりながらも全力で取り組んだ見事な仕事振りを認められ、早々に小姓にあげられると次には今までの徳川家臣にはなかった視点で家康の役に立つことになる。周囲から「色小姓」も兼ねていると誤解されることになってしまうが、家康に対する暗殺を未遂に防いだ際には一万石を与えられ順調に出世する。 直虎没後は万福や直之・六左と共に井伊の者ならではの働きで目覚ましい結果をあげ、元服の際には井伊の通字である「直」と小野の通字である「政」を合わせた「直政」の諱を家康より賜り士大将となる。 高瀬(たかせ) 演:朝倉あき(少女期:髙橋ひかる) 直親の娘。虎松の異母姉。正式に井伊家の姫となってからは、直虎の養女という立場から彼女を母上と呼ぶ。働き者で気の利く娘。 直親が信濃の松岡氏の元に身を寄せていた間にユキという女性との間にもうけたとされる女子で、父のことを何も知らずに百姓娘として育ち、母の臨終間際に「井伊の亀之丞」が父であると聞かされたとして、母の死んだ後に井伊谷にやってくる。井伊谷では誰もその存在を知らされていなかっため、直虎や家中で出自の真偽を調査することになり、信濃の武田領からやってきたため政次には間者の可能性を示唆されたりもした。その後、母がよく口ずさんでいたとして高瀬が何気なく歌った曲が、直親が得意にしていた笛の曲の節と同じであったことから、直虎が直親の娘として見定め、井伊家の姫として迎え入れられることになる。 井伊家解散ののちも井伊谷に残ることを望み、新領主の近藤康用の元で屋敷勤めをすることになり、近藤に気に入られている。母親の死後、借金の肩代わりと引き換えに、実際に武田の間者となることを余儀なくされていたと明らかになる。井伊家再興の機会を得られるとの思いもあり、武田の指示で近藤を毒殺しようとするが直虎に見抜かれて、ただの娘として生きればよいと言われる。その後は明るく逞しく働き、近藤には引き続き可愛がられている。後に直政の家臣となった川手良則に嫁ぐことになる。
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