みずへび座とは? わかりやすく解説

みずへび‐ざ〔みづへび‐〕【水蛇座】

読み方:みずへびざ

天の南極近くにある小星座12月下旬南中するが、明るい星はなく、日本からは見えない学名 (ラテン)Hydrus


みずへび座

分類:星座/神話


名称:みずへび座(水蛇座)
学名:Hydrus
小分類:南半球
構成する主な星雲星団恒星:-
神話主な登場人物:-
日本観測できる時期:日本からはほとんど見えない
見ごろ季節:冬(20時正中は12月下旬)

水の中にすむへび、水蛇かたどった星座で、「く」の字形くねった姿をしています。うみへび座」という星座別にありますが、この「みずへび座」は17世紀学者バイエルが、うみへび座対抗して作ったものだといわれます南半球にあるので日本からは見えませんが、大マゼラン雲小マゼラン雲はさまれた場所にあるので、わりと見つけやすい星座だといえるでしょう

1.見つけ方ポイント
南半球で、夏(日本の冬)の時期に南の空を見てましょううす曇りのような大マゼラン雲小マゼラン雲、さらにエリダヌス座1等星アケルナーを結んだ3角形中に大きなL字型をした星の並びが見つかります。それがみずへび座です。

2.神話内容について
水の中にすむ水蛇星座見立てたものです。神話とは関係ありません。1603年ドイツ天文学者ヨハン・バイエル作った星座で、星図ウラノメトリア」の中に描かれています。バイエルうみへび座(Hydra)に対して、このみずへび座を作ったといわれています。

3.同じ時期見え星座について
南半球の夏(日本では冬)の南の空の星座一緒に見えます。まず星座の北にはレチクル座かじき座エリダヌス座、東にはとびうお座りゅうこつ座がか座などが見えます。また南にははちぶんぎ座ふうちょう座、西にはきょしちょう座ほうおう座などが見えます

4.主要都市での観測について
日本からはほとんど見えない星座です。沖縄奄美大島などへ行くと、星座一部を見ることができますが、全体を見るには南の土地へ行く必要があります

参考文献:「星座クラブ沼澤茂美著(誠文堂新光社)、「星のポケットブック」(誠文堂新光社)、「星座天体観測図鑑藤井旭著(成美堂出版)、「星座夜空四季小学館学習百科図鑑、「星座博物館・春」、「同・夏」、「同・秋」、「同・冬」、「同・星座旅行瀬川昌男著(ぎょうせい)、「星空ガイド沼澤茂美、脇屋奈々代著(ナツメ社)


みずへび座

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/25 00:08 UTC 版)

みずへび座
Hydrus
属格 Hydri
略符 Hyi
発音 英語発音: [ˈhaɪdrəs]、属格:/ˈhaɪdraɪ/
象徴 牡のミズヘビ[1]
概略位置:赤経  00h 06m 08.0s -  04h 35m 10.6s[1]
概略位置:赤緯 −57.85° - −82.06°[1]
広さ 243.035平方度[2]61位
主要恒星数 3
バイエル符号/
フラムスティード番号
を持つ恒星数
19
系外惑星が確認されている恒星数 1
3.0等より明るい恒星数 2
10パーセク以内にある恒星数 1
最輝星 β Hyi(2.79
メシエ天体 0
隣接する星座 かじき座
エリダヌス座
とけい座
テーブルさん座
はちぶんぎ座
ほうおう座(角で接する)
レチクル座
きょしちょう座
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みずへび座(みずへびざ、Hydrus)は現代の88星座の1つ。16世紀末に考案された新しい星座で、ミズヘビをモチーフとしている[1][3]

主な天体

恒星

天の南極付近の星座には4等未満の明るさの星しかないものが多いが、みずへび座は3等星を3つ持っている。領域内に目立つ星雲や銀河はないものの、ちょうど小マゼラン雲大マゼラン雲に挟まれた位置にあるため、容易く見つけることができる。

2022年4月現在、国際天文学連合 (IAU) が認証した固有名を持つ恒星は1つもない[4]

  • α星見かけの明るさ2.84等の橙色巨星で3等星[5]。みずへび座で2番目に明るく見える恒星。英語では Head of Hydrus と呼ばれることもある[6]紀元前2900年頃には南極星と言える位置にあったとされる[6]
  • β星:見かけの明るさ2.79等のG型主系列星で3等星[7]。みずへび座で最も明るく見える恒星。スペクトル型G0Vと太陽と似た星だが、誕生から約67億年を経た、太陽よりも古い星である[8]
  • γ星:見かけの明るさ3.26等の3等星[9]
  • HD 10180:見かけの明るさ7.32等のG型主系列星[10]。少なくとも6つの太陽系外惑星を持つとされる[11]

由来と歴史

1603年ヨハン・バイエルが出版した星図『ウラノメトリア』で世に知られるようになったためバイエルが新たに設定した星座と誤解されることがある[12]が、実際は1598年フランドル生まれのオランダ天文学者ペトルス・プランシウスが、オランダの航海士ペーテル・ケイセルフレデリック・デ・ハウトマン1595年から1597年にかけての東インド航海で残した観測記録を元に、オランダの天文学者ヨドクス・ホンディウス英語版と協力して製作した天球儀にヘビの姿を描き、ラテン語Hydrus という星座名を記したことに始まる[3]

Hydrus は、文法的にはうみへび座 (Hydra) と同じ単語の男性形と女性形の違いがあるだけのため、ラテン語の綴りもよく似ている。一般名詞としてのヒュドラーの定訳は「水蛇」であるため、直訳すれば Hydrus は「雄の水蛇[13]」、Hydra は「雌の水蛇」となる。18世紀フランスの天文学者ラカイユは、1756年に刊行された1752年版のフランス科学アカデミーの紀要『Histoire de l'Académie royale des sciences』に掲載された彼の星図で、フランス語でこの星座を l'Hydre Male(雄の水蛇)、うみへび座を l'Hydre Femelle(雌の水蛇)と名付けてそれぞれ性別が異なることを示した[3][14][15]

『ウラノメトリア』では、頭はアケルナルの南東に置かれ、Toucan(きょしちょう座)の南、小マゼラン雲の北を抜け、Pavo(くじゃく座)の足元をくねりながら天の南極の近く、Apis Indica(ふうちょう座)の手前まで伸びた姿が描かれていた[3][16]。これに対してラカイユは、自分が考案した星座を置くためにいくつかの変更を加えた。頭の位置にある星(現在のα星)はそのままに、首の部分を切り取って l'Horloge(とけい座)の一部とした[15]。また、ヘビの胴体は小マゼラン雲の南側を通るように変更し、尻尾の部分は自ら考案した l'Octans de Reflexion(はちぶんぎ座)に変更するために切り取って、星座全体を小さく描き直した[3][15]。その後、19世紀イギリスの天文学者フランシス・ベイリーが編纂し、彼の死後の1845年に出版された『The Catalogue of Stars of the British Association for the Advancement of Science』において、それまで100以上もあった星座を87個まで絞り込んだ際も、ラカイユの考案した星座がほぼそのまま採用されたことから、Hydrus は短く切られたままと置かれることとなった。

1922年5月にローマで開催されたIAUの設立総会で現行の88星座が定められた際にそのうちの1つとして選定され、星座名は Hydrus、略称は Hyi と正式に定められた[17]。新しい星座のため星座にまつわる神話や伝承はない。

中国

現在のみずへび座の領域は、中国の歴代王朝の版図からはほとんど見ることができなかったため、三垣二十八宿には含まれなかった。この領域の星々が初めて記されたのは明代末期1631年から1635年にかけてイエズス会士アダム・シャール徐光啓らにより編纂された天文書『崇禎暦書』であった[18]。この頃、明の首都北京の天文台にはバイエルの『ウラノメトリア』が2冊あり、南天の新たな星官は『ウラノメトリア』に描かれた新星座をほとんどそのまま取り入れたものとなっている[18]。これらの星座はそのまま清代1752年に編纂された天文書『欽定儀象考成』に取り入れられており、みずへび座の星は「蛇尾」「蛇腹」「蛇頭」という星官に分けて配されていた[18]

呼称と方言

日本では明治末期には「小海蛇」という訳語が充てられていた。これは、1910年(明治43年)2月に刊行された日本天文学会の会誌『天文月報』の第2巻11号に掲載された、星座の訳名が改訂されたことを伝える「星座名」という記事で確認できる[19]。この訳名は、1925年(大正14年)に初版が刊行された『理科年表』にも「小海蛇(こうみへび)」として引き継がれ[20]、戦中の1943年(昭和18年)までこの名称が使われた[21]

これに対して、天文同好会[注 1]山本一清らは異なる訳語を充てていた。天文同好会の編集により1928年(昭和3年)4月に刊行された『天文年鑑』第1号では星座名 Hydrus に対して「うみへび(海蛇)」の訳語を充てた[22][注 2]。さらに、1931年(昭和6年)3月に刊行した『天文年鑑』第4号では「みづへび(水蛇)」の訳名を充てるようになり[23]、以降の号でもこの星座名と訳名が継続して用いられた[24]。山本は、東亜天文学会の会誌『天界1934年8月号の「天文用語に關する私見と主張 (3)」という記事の中で毎年の春の天に見える Hydraといふ星座がある.これを獨逸語で Wasserchlange 卽ち「海蛇」又は水蛇などと譯するのは宜しくない.此の原語や意味は,ギリシャ神話にあるアルゴ船の遠征物語り中にある怪獣を意味してゐるのであつて,決して單なる動物の一種を表はしてゐるのではない.故に,むしろ,神話的な連想を保持するための立て前から,佛語や英語の譯名に習つて,只「ヒドラ」として置くのが最も穏當であると思はれる.として、Hydra に対して「海蛇」の訳を充てることに反対しており[25]、Hydrus に対しても「小海蛇」ではなく「水蛇」を充てることを主張していた[26]。この山本の見解には、野尻抱影小海蛇 (Hydrus) を水蛇と改稱する會長案も正しいのである.と同意していた[27]

1944年(昭和19年)1月、学術研究会議によって天文学用語が改訂された際、Hydrus の日本語名は「水蛇(みづへび)」に変更され[28]、戦後も継続してこの呼称が使われた[29]。戦後の1952年(昭和27年)7月に日本天文学会が「星座名はひらがなまたはカタカナで表記する」[30]とした際に、Hydrus の日本語の学名は「みずへび」と改められた[31]。この改訂以降は「みずへび」が星座名として継続して用いられている。

現代の中国でも水蛇座という呼称が使われている[32]

脚注

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注釈

  1. ^ 現在の東亜天文学会
  2. ^ 現在「うみへび座」とされている星座 Hydra に対しては「ヒドラ」の訳を充てていた[22]

出典

  1. ^ a b c d The Constellations”. 国際天文学連合. 2023年2月24日閲覧。
  2. ^ 星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
  3. ^ a b c d e Ridpath, Ian. “Hydrus”. Star Tales. 2023年2月24日閲覧。
  4. ^ Mamajek, Eric E.. “IAU Catalog of Star Names”. 国際天文学連合. 2023年2月19日閲覧。
  5. ^ "alf Hyi". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年2月24日閲覧
  6. ^ a b Kaler, James B. (2015年6月18日). “Alpha Hydri”. STARS. 2023年2月24日閲覧。
  7. ^ "bet Hyi". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年2月24日閲覧
  8. ^ Baumann, P.; Ramírez, I.; Meléndez, J.; Asplund, M.; Lind, K. (2010). “Lithium depletion in solar-like stars: no planet connection”. Astronomy and Astrophysics (EDP Sciences) 519: A87. arXiv:1008.0575. Bibcode2010A&A...519A..87B. doi:10.1051/0004-6361/201015137. ISSN 0004-6361. 
  9. ^ "gam Hyi". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年2月24日閲覧
  10. ^ "HD 10180". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2023年2月24日閲覧
  11. ^ HD 10180 c”. The Extrasolar Planet Encyclopaedia (2012年1月30日). 2023年2月19日閲覧。
  12. ^ 原恵 『星座の神話 - 星座史と星名の意味』(新装改訂版4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、255頁。ISBN 978-4-7699-0825-8 
  13. ^ 高津春繁 『ギリシア・ローマ神話辞典』岩波書店、1960年2月25日。ISBN 978-4000800136 
  14. ^ Ridpath, Ian. “Lacaille’s southern planisphere of 1756”. Star Tales. 2023年2月24日閲覧。
  15. ^ a b c Histoire de l'Académie royale des sciences” (フランス語). Gallica. 2023年1月7日閲覧。
  16. ^ Bayer, Johann (ラテン語). Ioannis Bayeri Uranometria omnium asterismorum continens schemata, nova methodo delineata aereis laminis expressa. excudit Christophorus Mangus. doi:10.3931/E-RARA-309. https://www.e-rara.ch/zut/content/zoom/77571 2023年2月5日閲覧。 
  17. ^ Ridpath, Ian. “The IAU list of the 88 constellations and their abbreviations”. Star Tales. 2023年2月19日閲覧。
  18. ^ a b c 大崎正次「清時代の星座」 『中国の星座の歴史』雄山閣出版、1987年5月5日、106-114頁。ISBN 4-639-00647-0 
  19. ^ 星座名」『天文月報』第2巻第11号、1910年2月、11頁、ISSN 0374-2466 
  20. ^ 東京天文台『理科年表 第1冊』丸善、1925年、61-64頁https://dl.ndl.go.jp/pid/977669/1/39 
  21. ^ 東京天文台『理科年表 第19冊』丸善、1943年、B 21頁頁https://dl.ndl.go.jp/pid/1244806/1/47 
  22. ^ a b 天文同好会『天文年鑑』1号、新光社、1928年4月28日、4頁。doi:10.11501/1138361https://dl.ndl.go.jp/pid/1138361/1/7 
  23. ^ 天文同好会『天文年鑑』4号、新光社、1931年3月30日、6頁。doi:10.11501/1138410https://dl.ndl.go.jp/pid/1138410/1/11 
  24. ^ 天文同好会『天文年鑑』10号、恒星社、1937年3月22日、4-9頁。doi:10.11501/1114748https://dl.ndl.go.jp/pid/1114748/1/12 
  25. ^ 山本一清天文用語に關する私見と主張 (3)」『天界』第14巻第161号、東亜天文学会、1934年8月、410頁、doi:10.11501/3219882ISSN 0287-6906 
  26. ^ 山本一清天文用語に關する私見と主張 (4)」『天界』第14巻第162号、東亜天文学会、1934年9月、450頁、doi:10.11501/3219883ISSN 0287-6906 
  27. ^ 野尻抱影星座の譯名」『天界』第15巻第171号、東亜天文学会、1935年6月、323頁、doi:10.11501/3219892ISSN 0287-6906 
  28. ^ 学術研究会議 編「星座名」 『天文術語集』1944年1月、10頁。doi:10.11501/1124236https://dl.ndl.go.jp/pid/1124236/1/9 
  29. ^ 東京天文台『理科年表 第22冊』丸善、1943年、天 34頁頁https://dl.ndl.go.jp/pid/1124234/1/61 
  30. ^ 『文部省学術用語集天文学編(増訂版)』(第1刷)日本学術振興会、1994年11月15日、316頁。ISBN 4-8181-9404-2 
  31. ^ 星座名」『天文月報』第45巻第10号、1952年10月、158頁、ISSN 0374-2466 
  32. ^ 大崎正次「辛亥革命以後の星座」 『中国の星座の歴史』雄山閣出版、1987年5月5日、115-118頁。ISBN 4-639-00647-0 

みずへび座

出典:『Wiktionary』 (2018/04/30 13:33 UTC 版)

固有名詞

みず へび みずへびざ

  1. 南天星座のひとつ。旧名、こうみへび座

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