北アメリカ 人文

北アメリカ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 21:29 UTC 版)

人文

北アメリカは大きく分けて、北部と南部とに大別される。北部はアメリカ合衆国とカナダからなり、イギリス系移民を中心として開拓された国家であるためアングロアメリカと呼ばれる。これに対し、メキシコ以南の大陸南部やキューバは旧スペイン領であり、同じく旧スペイン・ポルトガル領だった南アメリカ大陸の諸国と合わせてラテンアメリカとよばれる。中央アメリカのベリーズや、カリブ海に浮かぶ諸国はイギリスなどほかの国の植民地から独立した国が多く厳密にはラテンアメリカには含まれないが、アングロアメリカの2国とも経済や文化面で差異が大きく、このためカリブ海諸国として一定のまとまりをもったうえで、ラテンアメリカ諸国と一括して扱われることが多い[10]

言語的にはインド・ヨーロッパ語族に属する話者が圧倒的に多く、先住のインディアンの話すアメリカ先住民諸語を話すものはわずかである。インド・ヨーロッパ語族のうち、アングロアメリカに属する北部のカナダとアメリカにおいては英語公用語であり、日常生活においても圧倒的に使用される言語である。ただしこの両国は移民が多く、移民コミュニティの中においてはその移民の母国語が使用されることは珍しくない。また、カナダ東部のケベック州はフランス領のヌーベルフランス植民地の中心地としてフランス系移民が多数を占めていたことから、現代においてもフランス語が主に使用されているアングロアメリカで唯一の地域であり、ケベック最大の都市であるモントリオールはパリブリュッセルに次ぐフランス語圏有数の都市となっている。中央アメリカ大陸部においては、旧イギリス領だったベリーズを除きすべての国がスペイン語を公用語としている。カリブ海地域は各国の植民地が入り乱れた地域であり、キューバやドミニカ共和国を中心としたスペイン語、ジャマイカやバハマ、小アンティル諸島の半分の国々で話される英語、その他宗主国によってフランス語やオランダ語などが使用される。

民族的には、アメリカおよびカナダにおいてはイギリス系が本来の主流であったが、ヨーロッパを中心に世界各国からの移民が長期にわたり押し寄せたことから、かなりの混淆が進んでいる。先住のインディアンはアメリカやカナダの各地に居留地を保有するが、人口的にはわずかな割合を占めるに過ぎない。また、アメリカの特に南部においてはヒスパニック系、および黒人の割合が高い。カナダはアメリカと同じくイギリス系を中心とした人々が大多数を占めるが、ケベック州だけはフランス系が大半を占めている。ケベック州は人口も多くよく開発された州であり、また英語を主とするカナダの他州との対立からケベック・ナショナリズムが盛んで独立運動がくすぶっており、過去数度独立を問う住民投票が行われたがいずれも否定された。中央アメリカにおいては、白人とインディオの混血であるメスティーソが多くの国で人口の過半を占める。インディオも、過去に大文明を築き上げていた中央アメリカの大陸部においては特に人口が多く、アングロアメリカよりもかなり多くのインディオが居住している。また、黒人は中央アメリカ大陸部にはあまり居住していないが、過去にサトウキビプランテーションを運営するため大量に移住させられたカリブ海域においてはかなり多く[11]、ハイチやジャマイカ、小アンティル諸島の多くの国のように、黒人が多数派を占めている国家も存在する[12]

北アメリカ大陸の中央部を占めるアメリカ合衆国は世界最大の大国であり、その北のカナダも産業的によく開発された豊かな国である。一方その南の中央アメリカやカリブ海諸国は、産業開発が進んでおらず貧しい国が大半である。


  1. ^ 石井 & 浦部 2018, p. 2.
  2. ^ 石井 & 浦部 2018, pp. 3–4.
  3. ^ 「アメリカとカナダの風土 日本的視点」p4 正井泰夫 二宮書店 平成7年4月1日第1刷
  4. ^ 矢ケ﨑 2011, pp. 12.
  5. ^ 矢ケ﨑 2011, pp. 12–13.
  6. ^ 矢ケ﨑 2011, p. 11.
  7. ^ 矢ケ﨑 2011, p. 10.
  8. ^ 矢ケ﨑 2011, pp. 14–16.
  9. ^ 石井 & 浦部 2018, pp. 16–17.
  10. ^ 石井 & 浦部 2018, pp. 2–5.
  11. ^ 石井 & 浦部 2018, p. 9.
  12. ^ 石井 & 浦部 2018, p. 134.
  13. ^ 矢ケ﨑 2011, p. 100.
  14. ^ 外務省: 後発開発途上国”. 外務省 (2012年12月). 2015年12月6日閲覧。
  15. ^ 「ラテンアメリカを知る事典」p542 平凡社 1999年12月10日新訂増補版第1刷 
  16. ^ New artifacts suggest first people arrived in North America earlier than previously thought” (英語). Life at OSU (2019年8月29日). 2021年8月24日閲覧。
  17. ^ WadeAug. 29, Lizzie (2019年8月29日). “First people in the Americas came by sea, ancient tools unearthed by Idaho river suggest” (英語). Science | AAAS. 2021年8月24日閲覧。
  18. ^ Smith, Kiona N. (2019年8月29日). “Stone tools suggest the first Americans came from Japan” (英語). Ars Technica. 2021年8月24日閲覧。
  19. ^ Davis, Loren G.; Madsen, David B.; Becerra-Valdivia, Lorena; Higham, Thomas; Sisson, David A.; Skinner, Sarah M.; Stueber, Daniel; Nyers, Alexander J. et al. (2019-08-30). “Late Upper Paleolithic occupation at Cooper’s Ferry, Idaho, USA, ~16,000 years ago” (英語). Science 365 (6456): 891–897. doi:10.1126/science.aax9830. ISSN 0036-8075. PMID 31467216. https://science.sciencemag.org/content/365/6456/891. 
  20. ^ 石井 & 浦部 2018, pp. 31–33.
  21. ^ 「ルイス=クラーク探検 アメリカ西部開拓の原初的物語」p9 明石紀雄 世界思想社 2004年12月25日第1刷
  22. ^ 石井 & 浦部 2018, pp. 102–103.
  23. ^ 石井 & 浦部 2018, pp. 104–105.
  24. ^ 石井 & 浦部 2018, pp. 114–115.





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