一円硬貨
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未発行貨幣・試鋳貨幣等
- 一円金貨(品位:金90%・銅10%、直径:13.515mm、量目:1.6667g) - 明治3年銘。1871年(明治4年)に新貨条例で制定された当初のもので、他の旧金貨と同様に表面が竜図(阿竜)、裏面は発行されたものと同じであったが、小さすぎて竜図がうまく圧印できなかったことから発行されず、1872年(明治5年)に「一圓」の文字に改められたものが発行された。昭和5年版の『貨幣便覧』に掲載されているが、試作されていたとしても現在実物は現存していないと思われる。ちなみに同様に表面に竜図が入っている明治3年・4年銘の五銭銀貨も小さすぎて竜図の圧印の出来が悪かったが、こちらは発行されている(こちらも後に竜図が「五錢」の文字に改められている)。
- 一円銀貨(品位:銀90%・銅10%、直径:38.48mm、量目:25.5g) - 明治2年銘の毛彫の試作貨。表面は旧一円銀貨とほぼ同様だが、裏面は菊・桐各8交互連続模様となっている[26]。またこれと同規格の錫製の試作貨も存在する[26]。
- 一円銀貨(品位:銀90%・銅10%、直径:38.5mm、量目:26.6g) - 明治3年銘。表面は旧一円銀貨と同様で、裏面は菊・桐各8交互連続模様となっている。ロンドン造幣局により作成[27]。
- 一円銀貨(品位:銀90.2%・銅9.8%、量目:26.7g) - 明治7年銘。表面は大まかには新一円銀貨と同様だが、額面表記が大字の「壹圓」で、下部に西暦の「1874」の表記がある点が異なる。裏面は中央に竜図、上部に「日本明治七年」、下部に「416 GRAINS. 902 FINE.」「ONE DOLLAR」と表記されている[26]。
- 一円銀貨(直径:33.93mm) - 明治34年銘で、表面は発行された新一円銀貨と同様図だが、裏面は旭日のデザインである。補助貨幣とすることを想定して試作された。またその銅打試鋳貨も存在する[27]。
- 一円アルミ貨(品位:純アルミニウム、直径:20mm、量目:1g) - 昭和25年銘。昭和23年発行の一円黄銅貨と同様のデザインでアルミニウムで製作したもの[27]。
- 一円青銅貨(品位:銅95%・亜鉛4%・錫1%、直径:17.95mm、量目:2g) - 昭和26年銘。現行の十円青銅貨と同様の平等院・常盤木のデザイン[27]。
- 一円青銅貨(品位:銅・亜鉛・錫から成るが比率不明、直径:18mm、量目:2g) - 昭和26年銘。表面は戦前の一円紙幣に使用されていた武内宿禰と思われる人物の肖像があしらわれており、裏面には縦書きの「一円」の文字と年銘が入っている[27]。
- 一円青銅貨(品位:銅・亜鉛・錫から成るが比率不明、直径:21.00mm、量目:3.1g) - 昭和26年銘。表面には船図があしらわれており、裏面には縦書きの「一円」の文字と年銘が入っている[27]。
- 一円黄銅貨(品位:銅・亜鉛から成るが比率不明、直径:18mm、量目:2g) - 昭和26年銘。表面には船図があしらわれており、裏面には縦書きの「一円」の文字と年銘が入っている[27]。
注釈
- ^ 例えば、カナダドルの1セント硬貨は2013年に発行停止[13]。
- ^ 日本でも昭和30年代半ば(1960年代前半)、一円硬貨の不足により(#歴史を参照)釣り銭の代用品としてハリスが1枚1円の「おつりガム」をスーパーマーケットや駅売店向けに製造したことがある[14]。
- ^ 金融機関での両替や硬貨取り扱いの有料化や手数料の値上げが進み、両替金額や、預入れ・払戻し時に、取り扱う一円硬貨の金額を、手数料が上回ることがしばしばある。たとえば2022年1月17日以後、ゆうちょ銀行のATMで預け入れる場合は、100枚の一円硬貨を入金すると手数料(ATM硬貨預払料金)に330円がかかり、取引前後で貯金残高が230円減少する計算になるが、ゆうちょ銀行ATMでは硬貨を取り扱う際に預け入れ金額以上の手数料がかかる場合は実際には取り扱いできない。また。窓口の取引では50枚までは無料だが、それ以上になると一円硬貨のみで入金する場合は手数料(硬貨取扱料金)が上回り取引前後で貯金残高が減少する[15][16]。尚、税務署の窓口で直接納税する場面では枚数の制限なく、手数料なしで使用できる[17]。
- ^ a b 但し、台湾や中国などの地域では以降も継続して広く流通。日本国外への輸出を目的とした1円相当の台湾銀行券引換元圓銀(日本国内では銀地金扱いであり法定通貨ではないため「円形銀塊」とも呼ばれた)が1901年(明治34年)から1914年(大正3年)まで発行されていた。
- ^ a b のちに明治25年銘の一円金貨がごく少量製造されているが、これは流通を目的としたものではなく展示用である。詳細は「日本の金貨#明治時代のプルーフ硬貨」参照。
- ^ a b 金地金としての価値や古銭的価値が額面金額を大きく上回っており、実質的にはそれ以前から市中では流通していなかった。形式的に通用停止後半年間は現行通貨との引換が行われたものの、引換実績は0枚であった[24]。
- ^ 昭和23年9月21日政令第296号
- ^ この時点で、一円紙幣よりも高額である額面金額10円・5円の法定通貨では紙幣の製造が既に終了しており、硬貨のみの製造発行となっていた。
- ^ 昭和30年3月16日政令第32号
- ^ 1872年(明治5年)4月から1899年(明治32年)12月31日までは明治通宝、1873年(明治6年)8月20日から1899年(明治32年)12月9日までは国立銀行紙幣、1881年(明治14年)2月から1899年(明治32年)12月31日までは改造紙幣、1885年(明治18年)9月8日から1955年(昭和30年)4月1日までは日本銀行券(日本銀行兌換券、日本銀行兌換銀券)として発行。
出典
- ^ 日本銀行サイト「日本のお金」、日本銀行
- ^ a b 日本銀行金融研究所『日本貨幣年表』日本銀行金融研究所、1994年、99頁。ISBN 9784930909381。
- ^ a b 現在製造している貨幣、造幣局
- ^ 渡部 晶「わが国の通貨制度(幣制)の運用状況について」(pdf)『ファイナンス』第561号、財務省、2012年8月、18-31頁、2021年5月20日閲覧。
- ^ 貨幣Q&A 1円貨のデザインにある木は何の木ですか?、造幣局
- ^ 貨幣のデザイン、造幣局
- ^ 貨幣Q&A 貨幣の表はどちらですか?、造幣局
- ^ 【第2回】(よくある話ですが)1円玉はなぜ水に浮くのか?、協和界面化学
- ^ a b 1円玉 3年連続製造「ゼロ」見通し 電子マネー普及に押され、産経新聞、2013年(平成25年)6月4日
- ^ 「景気対策を目的とした政府貨幣増発の帰結」(PDF)、UFJ総合研究所、2003年5月12日、2022年6月2日閲覧。
- ^ “アルミ指標相場・スクラップ価格推移” (PDF). 日刊市况通信社. 2022年6月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年6月2日閲覧。
- ^ 1円玉原価割れも 金属値上がりでおカネづくり一苦労、日本経済新聞、2011年(平成23年)5月26日
- ^ “1セント硬貨は不要? カナダが廃止、米国は存続派が優勢か” (日本語). CNN. (2013年2月5日) 2022年6月2日閲覧。
- ^ 昭和30年代、おつりが足りないときに店から渡された「おつりガム」について知りたい。、レファレンス協同データベース、2021年1月13日。
- ^ ゆうちょ銀行、現金を使った支払いで手数料110円。22年1月から、インプレス、2021年7月2日。
- ^ 硬貨取扱料金の料金シミュレーションも参照。
- ^ 補助貨ヲ無制限ニ公納受領ノ件を参照。
- ^ 「1円玉と5円玉「役割終えている」 国会で論戦 立民の泉政調会長「さい銭多い神社が苦労」」『京都新聞』、2021年2月26日。2022年6月2日閲覧。オリジナルの2022年1月30日時点におけるアーカイブ。
- ^ “1円玉に描かれた「木」が実在しない植物って、ご存知でしたか?”. 週刊現代. 講談社 (2017年4月7日). 2022年6月2日閲覧。
- ^ 「足りない硬貨」朝日新聞、1963年(昭和38年)8月30日朝刊
- ^ a b 一円玉、2年連続製造ゼロ 消費増税で復権なるか、日本経済新聞、2013年(平成25年)3月4日(
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- ^ 造幣局 (2014年2月25日). “年銘別貨幣製造枚数(平成25年)”. 造幣局 2014年3月2日閲覧。
- ^ FNN (2014年2月3日). “消費税増税にともない、4年ぶりとなる一円玉の製造が本格再開”. FNNニュース. 2014年3月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年3月2日閲覧。
- ^ 造幣局125年史編集委員会編 『造幣局125年史』 造幣局、1997年
- ^ a b 日本銀行金融研究所『日本貨幣年表』日本銀行金融研究所、1994年、96頁。ISBN 9784930909381。
- ^ a b c 日本貨幣カタログ1989年版
- ^ a b c d e f g 日本専門図書出版『カラー版 日本通貨図鑑』
- ^ 日本銀行金融研究所『日本貨幣年表』日本銀行金融研究所、1994年、37頁。ISBN 9784930909381。
- ^ a b c d 郡司勇夫『日本貨幣図鑑』東洋経済新報社、1981年10月、312-316頁。
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- 2 一円硬貨の概要
- 3 未発行貨幣・試鋳貨幣等
- 4 変遷
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