GPU
「GPU」とは・「GPU」の意味
「GPU」とはグラフィックボードやcpuなどに組み込まれている画像処理装置のことを指す。一般的にコア数に比例して高性能になるが、価格も高くなる。使用中のpc(パソコン)・ノートパソコン・スマホにGPUが使われているかどうかは、システムを示す項目から調べられる。例えば、macOSの場合の確認方法は、Appleメニューから「このMacについて」を選択すればよい。表示された画面にある「グラフィック」の項目の横にGPUが示される。「Graphics Processing Unit」の略語であるGPUは、グラフィックコントローラーとも呼ばれる。リアルタイム画像処理を目的として作られた、プロセッサーの一種だ。プロセッサー(processor)とはcpuに代表される、データや命令の処理をするハードウエアである。GPUの元となったのは画像描画をするために取り付けられたIC(集積回路)である。コンシューマーpcの発展に伴い、画像処理の必要性が高まっていき、ICはグラフィックコントローラーとして独立していく。そしてGPUへと進化していく。
以下では、GPUの名称が登場するまでの歴史について触れる。1970年初頭のグラフィックコントローラーは簡単な画像処理しかできなかった。1980年代に入ると、チップの処理技術が大幅に進歩した。これにともないグラフィックボードも大きく進歩する。描画を高速化するチップをグラフィックカードとして別途用意することによって画像の高速処理を実現した。1987年に世界初のpc用グラフィックアクセラレータとして、IBM(International Business Machines Corporation)から「8514」が発表される。基本的な2次元描画機能をサポートしているグラフィックアクセラレーターとして後の基礎となった。
1990年代に入りOSにMicrosoft Windowsが登場する。以降、グラフィックコントローラーの必要性がますます高まり、WindowsのグラフィックスAPIであるGDIに対応するグラフィックコントローラーの開発が待たれた。1995年になると3Dlabs(現在のZiiLABS)がOpenGL(2次元および3次元におけるコンピューターグラフィックスライブラリ)のアクセラレータをワンチップ化させた。これによってグラフィックコントローラーの高性能化・低価格化が実現できるようになる。
1995年に3dfx(3dfx Interactive)が3Dアクセラレータである「Voodoo」シリーズを発表する。「Voodoo」シリーズは、家庭用pcであっても、当時のアーケードゲーム並みの画像描写を可能にした。同年、MicrosoftのDirectX(マルチメディア再生用API)は、グラフィックアクセラレーターとしての能力を強化した。この後、グラフィックコントローラーの機能は多様化していく。その中で機能競争の中心は、3Dグラフィック表示機能へと移行していく。
1990年代は家庭用pc以外にも大きな変化があった。それは携帯電話の普及である。携帯電話は目覚ましく進歩し、間もなく液晶画面の多色表示に及んだ。これにともない、携帯電話へのGPU(グラフィックコントローラー)の採用が進むことになる。
グラフィックコントローラーがGPUという名称でよばれるようになったのは、1999年からだ。NVIDIA(NVIDIA Corporation)が「GeForce 256」の発表の際に「Graphics Processing Unit」であると説明したからだ。従来までのビデオチップやグラフィックコントローラーとは異なり、GeForce 256では「コ・プロセッサ(co-processor)」としての性能を確立したためである。コ・プロセッサとは、演算処理システム内にありながら、一部の演算処理を専門的に行い、中心的な処理をする機器(cpuなど)の補助や代行をする集積回路のことだ。
GeForce 256は、ハードウエアT&L(hardware Transform and Lighting)を搭載している。これはハードウエアによる座標変換・陰影計算処理をする。さらに、3次元コンピューターグラフィックスの高速演算処理を実現し、cpu負担を大幅に軽減した。
GPUはcpuと同じくプロセッサである。この2つは使われる「目的」「演算の対象」において異なる。cpuの目的は汎用的な演算処理だ。GPUは高速な画像処理が目的だ。演算の対象においては、コンピューター内でのデータ全般をcpuは処理する。さまざまなデータを連続的に演算処理するのに最適な機能を持つ。GPUはあくまで画像処理・画像描画などを対象としている。多数のコアを用いた並列処理が得意で、単純計算に特化されている。
現在のpcはcpuだけでシステムをすべて機能させることは難しい。画像処理など膨大な量のデータを単純処理しなければならない機会が増えているからだ。もし、cpuだけですべてを担うとなると、演算処理に膨大な時間が必要になるだろう。そこで現在のpcではcpuとGPUの共同作業が一般化した。cpuはpc内の広範なデータ処理を担当し、GPUは画像処理のような単純作業を行う。このように分担処理することによって早く安定的なpcの駆動を実現している。
cpuとGPUの共同作業は、スマホにおいても一般的に使われる技術だ。スマホ内のデータの一般処理はcpuが担い、画面表示に関わる部分はGPUが担当している。そのため、cpu性能が向上すればスマホのすべての動作が軽快に、GPU性能が向上すれば3Dゲームをはじめとした画像処理を伴う作業の動作が軽くなる。なお、スマホにおけるGPUはSoC(System-on-a-Chip)に組み込まれているため、交換することはできない。それゆえに、ハイエンドのスマホには高性能のGPUがあらかじめ組み込まれている。ただし、高性能のGPUが搭載されたモデルは価格が高くなりやすい。
GPUの種類は主に3つに分けられる。外部取り付けをする「グラフィックボード」、オンボードタイプやcpuに付属された「内蔵GPU」、インターネットを経由して処理する「GPUクラウド」の3つだ。
「グラフィックボード」は、ビデオカードとも呼ばれる、「単体GPU(discrete GPU, dGPU)」で構成された基盤を持つモジュール製品だ。cpuからの指令を受けて画像処理をし、その結果をモニターなどに出力する。グラフィックボードが用いられる目的は、主に画像や画質の向上である。単にpcを起動させるだけなら、グラフィックボードはなくても事足りるだろう。だが、3Dゲームをpc上で起動させる場合などは、グラフィックボードがなければソフトウェアが起動しない場合がある。
グラフィックボードタイプは一般的に高性能であるが、消費電力が多く発熱量が高いといった問題も抱えている。発熱の対策として、cpuとは別途に冷却装置が取り付けられている機器が少なくない。
「内蔵GPU(internal GPU, iGPU)」は文字通りpcに内蔵されているタイプのGPUだ。cpuやチップセットの一部として、あらかじめ実装されている。現在のpcに搭載されているcpuの多くは、GPUを内蔵したcpu統合型GPUである。内蔵GPUを使えば、別途でGPUを用意する必要がないので、コスト面で有利だ。また、設置スペースが必要なく、消費電力や発熱量も大きくないため、小型pcやモバイルpcでは内蔵GPUを使うのが一般的となっている。ただし、高画質動画の編集をしたり、最新の3Dゲームを起動させるには、パワーが不足することが多い。
「GPUクラウド」は、クラウドサービスによって画像処理をする。クラウド上に準備されたGPUで画像処理をするため、pcの性能にあまり左右されることなく、高レベルの画像処理が可能だ。既存のGPUクラウドのサービスを利用するので、自分でサーバーを構築する必要もない。GPU機器の更新はサービス提供側が行うため、常に最新機器による画像処理ができる。GPUクラウドを利用すれば、画像処理に関する初期導入コストや運用コストの低減が期待できるだろう。
GPUクラウドが快適に使えるかどうかは、インターネット環境に左右される。インターネットさえあればどこでも使える反面、回線状況が悪ければ、思ったように画像処理ができない。利用目的に合わせたカスタマイズ性にも乏しい。特殊な使い方を想定している場合には、GPUクラウドの利用は難しいだろう。さらに、長期利用の場合には必ずしもコスト削減に役立つとはいえない。利用する際には、コスト・運用目的・運用期間をよく検討することが重要であろう。
ゲー‐ペー‐ウー【GPU】
読み方:げーぺーうー
《(ロシア)Gosudarstvennoe politicheskoe upravlenie》ソ連の国家政治保安部の略称。反革命運動の取り締まりを任務とした秘密警察。1922年に設置され、1934年に内務人民委員部に吸収された。
ジー‐ピー‐ユー【GPU】
読み方:じーぴーゆー
ジー‐ピー‐ユー【GPU】
GPU
読み方:ジーピーユー
GPUとは、3DCG(3Dグラフィックス)の描画をする際に必要な計算処理を受け持つ半導体チップのことである。
GPUは、かつて3Dグラフィックアクセラレータと呼ばれていたチップから発展したものであるが、3DグラフィックスアクセラレータがCPUの補助的存在であったのに対して、GPUはVRAMなどと密接に連携することによって、より多くのグラフィック関係の処理を担当するようになっている。
GPUは、高繊細なレンダリング、グラフィックス・シェーディングなどで力を発揮するため、主に3Dゲームや3Dグラフィックデザインなどに使用されている。
GPU
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2013/06/25 09:49 UTC 版)
GPU
- Graphics Processing Unit - 画像処理用演算プロセッサ
- ゲーペーウー(Gosudarstvennoe Politicheskoe Upravlenie, ГПУ) - ソヴィエト人民委員会付属国家政治局。ソ連の秘密警察
- 地上動力設備 (Ground Power Unit) - 航空機へ電力を供給する設備。主として空港での駐機時に利用される。空港内でのAPU(補助動力装置)の作動が排気ガスの問題で敬遠されるようになってきており、大都市圏の空港では装備されるようになってきている(出典:http://www.agpgroup.co.jp/agp/airport.html)。
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GPU
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/30 14:59 UTC 版)
GPUはSIMD型がほとんどである。ただし、GPGPU対応が進むにつれて、1プロセッサで複数のデータを扱うSIMDだけではなく、複数のプロセッサを用いて実現されるハードウェアマルチスレッドに対して同一の命令を発行することで複数のデータを同時に処理するSIMT(英語版)の併用が主流となっている。 もともとGPUはXYZW/RGBA(各成分は32ビット単精度浮動小数点数)を同時に演算する128ビットの4-way SIMDが主流だったが、1サイクルで1回の単精度浮動小数点数もしくは32ビット整数の融合積和演算 (FMA) を行なうスカラー型プロセッサを複数束ねるSIMTが主流となった。しかしその後、単精度演算器にて半精度浮動小数点数演算を2回行なう2-way SIMDや、8ビット整数演算を4回行なう4-way SIMDをサポートするGPUも出現し、SIMDとSIMTの併用が始まっている。 NVIDIA GeForce、NVIDIA Quadro、NVIDIA Teslaシリーズなど NVIDIA製GPUでは32個のハードウェアスレッド集合をWarpと呼ぶ。 AMD Radeon、AMD FireProシリーズなど AMD製GPUでは64個のハードウェアスレッド集合をWavefrontと呼ぶ。 イマジネーションテクノロジーズ、PowerVRPowerVR Series5シリーズでは4-wayの, PowerVR Series6シリーズでは16-wayのベクタユニット
※この「GPU」の解説は、「SIMD」の解説の一部です。
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