ウェブ‐にてんれい【ウェブ2.0】
Web 2.0
別名:ウェブ2.0,Web2.0
Web 2.0とは、従来Web上で提供されてきたサービスやユーザー体験とは一線を画する、新しい発想によって捉えられた、技術、サービス、デザインパターン、ビジネスモデル、Webのあり方などの総称である。
Web 2.0という表現は、ティム・オライリー(Tim O'reilly)らによって提唱された。ソフトウェアのバージョンアップでよく用いられる数字表記によって、従来のWebのあり方を暗に「Web 1.0」と規定しつつ、Web 2.0はWeb 1.0とは連続しながらも質的に異なる概念であるというニュアンスを表現している。2000年中盤以降、Web 2.0は、Webにおける新たな潮流を象徴する代表的なキーワードとして度々言及されており、「Web2.0 Summit」や「Web2.0 EXPO」なども開催されるに至っている。
「Web 2.0」という言葉や概念については、特に明確な定義づけがなされているわけではない。また、特定の規格や標準があるわけでもない。端的な説明としては、おおむね「動的・双方向的」であるとか、「ユーザー参加・集合知」、「ロングテール的」などといった要素が指摘される場合が多い。あるいは、従来のWeb 1.0ではPCをプラットフォームとしてWebに接続していたが、Web 2.0ではWebそのものがプラットフォームとなって諸々の機能やサービスを提供する、と解釈されることもある。
ティム・オライリーが2005年9月に発表した、Web 2.0の嚆矢とも言える『What Is Web 2.0』(Web 2.0とは何か)では、Web 2.0を特徴づける要素として次の事項が挙げられている。
- ユーザーの手による情報の自由な整理(Folksonomy)
- リッチなユーザー体験(Rich User Experiences)
- 貢献者としてのユーザー(User as contributor)
- ロングテール(The Long Tail)
- ユーザー参加(Participation)
- 根本的な信頼(Radical Trust)
- 分散性(Radical Decentralization)
従来のWebでは、Yahoo!ディレクトリやDMOZなどのように情報をディレクトリ型に配置することで情報の整理を行ってきた。これに対してWeb 2.0では、ユーザーの手によって、既存の分類の枠組みにとらわれることなく、自由に情報の分類・配置が行われる。これを実現する手法としてはソーシャルタギングなどがある。
主な例としては、写真共有サイトのFlickrや、ソーシャルブックマークのdel.icio.usなどを挙げることができる。
Web 2.0の特徴 (2) - リッチなユーザー体験従来のWebでは、WebサイトはもっぱらHTMLやCSS、CGIなどによって構成され、静的なページとして提供されていた。これに対してWeb 2.0では、Ajax(Asynchronous JavaScript + XML)に代表される動的・双方的な技術を用い、斬新でリッチな操作体験を提供する。
主な例としては、Googleが提供しているGoogle MapsやGoogle Suggest、Gmailなどを挙げることができる。
Web 2.0の特徴 (3) - 貢献者としてのユーザー従来のWebでは、情報を提供する側からユーザーへと一方向的に情報が提供されており、ユーザーはあくまで情報の受け取り手であるに過ぎなかった。これに対してWeb 2.0では、ユーザーによる評価やレビューが新たな情報として価値を生み出し、コンテンツの形成に貢献していく。
主な例としては、Amazon.comのカスタマーレビューや、Googleのページランクの仕組みなどを挙げることができる。
Web 2.0の特徴 (4) - ロングテール従来の小売ビジネスでは、売れている上位20%の商品が収益全体の80%を売り上げるという「80:20の法則」に従っていた。これに対してWeb 2.0では、あまり売れていない80%の商品がニッチな需要に応えることによって、ビジネスが成立している。
主な例としては、Amazon.comやGoogle AdSenseなどを挙げることができる。
Web 2.0の特徴 (5) - ユーザー参加従来のWebでは、情報(コンテンツ)はもっぱら情報提供者側のみによって作成されていた。これに対してWeb 2.0では、コンテンツの制作にユーザーが積極的に関与する、あるいはメインのコンテンツをもっぱらユーザーが作成することで、サービスそのものを成立させることができる。
主な例としては、SNSをはじめとする各種のソーシャルメディアを挙げることができる。
Web 2.0の特徴 (6) - 根本的な信頼従来のWebでは、配信される情報や技術の知的財産権は管理・保護されるべきであるという志向をもっていた。これに対してWeb 2.0では、情報を享受する側にコンテンツの利用や応用、場合によっては改変も認めるという、根本的な信頼が寄せられている。このため、Web 2.0は、人間の知的営みを共有し、さらにそれを相互に発展させていこうとする志向をもっていると言える。
主な例としては、Wikipedia、OSS(オープンソースソフトウェア)、クリエイティブコモンズなどを挙げることができる。
Web 2.0の特徴 (7) - 分散性従来のWebでは、サービスやコンテンツは、ポータルサイトから各Webサイトのトップページにアクセスするように、特定の窓口やアクセス経路が存在していた。これに対してWeb 2.0では、ロボット型検索エンジンやパーマリンクの仕組みによってどこへでも直接アクセスすることが可能である。また、データや処理負荷を各エンドユーザーのPCに任せることによって負荷分散やファイルの共有を行うことができる。
主な例としては、BitTorrentなどのファイル共有ソフトや、Webサービスを利用したマッシュアップなどを挙げることができる。
『What Is Web 2.0』における「Web 1.0」と「Web 2.0」との比較
Web 1.0 | Web 2.0 | |
DoubleClick | --> | Google AdSense |
Ofoto | --> | Flickr |
Akamai | --> | BitTorrent |
mp3.com | --> | Napster |
ブリタニカオンライン | --> | Wikipedia |
個人のWebサイト | --> | ブログ |
evite | --> | upcoming.org、EVDB |
ドメイン名取得 | --> | SEO |
ページビュー | --> | クリック単価 |
スクリーン・スクレイピング | --> | Webサービス |
パブリッシング | --> | 参加 |
CMS | --> | ウィキ |
タクソノミー(分類学) | --> | フォークソノミー |
特定のWebサイトへの執着 | --> | Webサイトの垣根を越えた連携 |
Web 2.0関連用語、技術、サービス | ||
参照リンク
What is Web 2.0 - (Tim O'ReillyによるWeb 2.0の定義。英語)
Web 2.0 Conference - (Web 2.0カンファレンス。英語)
Web 2.0ストラテジー - (オライリーの書籍)
Web 2.0についてのインタビュー - (Paul Graham)
Web2.0の技術: | ソーシャルタギング ソーシャルメディア タグクラウド UGC URL短縮サービス Webサービス Web 2.0 |
Amazon.com: | Prime Now Prime Music ロングテール 書籍デジタル化 ドットコム企業 Web 2.0 ヤスイイね |
Wikipedia: | ジミー・ウェールズ ウォード・カニンガム オンライン辞書 MediaWiki Wikipedia Web 2.0 |
インターネット: | 全米情報基盤 常時接続 TCP/IP デジタルニューススタンド Web2.0 Web標準 Webブラウジング |
Web2.0: | ソーシャルリクルーティング ソーシャルテクノロジー ドキュメント共有サイト Web 2.0 Weblio Web 1.0 WebOS |
Web 2.0
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/14 07:35 UTC 版)
Web 2.0(ウェブ にーてんぜろ)とは、2000年代中頃以降における、ウェブの新しい利用法を指す流行語である。Darcy DiNucciにより1999年に造られ、2004年のWeb 2.0 Conferenceにより広まり、その後3年間ほど流行した。
- ^ What is Web 2.0?(O'REILLY RADAR、2005年9月30日のブログ投稿)
- ^ Web 2.0: Compact Definition?(O'REILLY RADAR、2005年10月1日のブログ投稿)で原文(英語)が確認できる。
- ^ 梅田望夫『ウェブ進化論』(2006年2月、ちくま新書、ISBN 4-480-06285-8)、120ページより引用。
- ^ Jürgen Schiller García (2006年9月21日). “Web 2.0 Buzz Time bar”. 2006年10月29日閲覧。
- ^ 梅田望夫、『ウェブ進化論』、112〜119ページ。
- ^ ITmedia、2006年5月30日付の記事参照。
- ^ a b <人には聞けない2.0>2.0って なんでしょうか 東京新聞 2022年10月9日 07時31分
- ^ 『ガバメント2.0 市民の英知が社会を変える』、NHKテレビ「クローズアップ現代」、2013年4月1日放送
- ^ ガバメント2.0―政府はプラットフォームになるべきだ、ティム・オライリー特別寄稿、TechCrunch Japan2009年9月5日
- ^ 「東京大改革2.0」小池知事が都知事選出馬表明…対抗馬は?コロナ対策・五輪運営・小池都政4年をどう評価する? FNN 2020年6月12日
- 1 Web 2.0とは
- 2 Web 2.0の概要
- 3 2.0
- 4 関連項目
「Web 2.0」の例文・使い方・用例・文例
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- このWebサイトの基本機能は、無料でご利用頂くことができます。
- Webサイトの更新が遅れており、ご迷惑をお掛けしております。
- Webサイトの制作についての見積りをお願いしたくご連絡さしあげました。
- Webサイトへの一部転載の許可をいただけましたら幸いです。
- 関連すると思われるWebページを以下に記しておきましたので、参考にして頂ければと存じます。
- お気づきかもしれませんが、当社のWebショップがリニューアルされました。
- 該当のWebページのリンクを送ってください。
- 御問い合わせ先については、当社のWebサイトをご覧下さい。
- 障害の発生・復旧状況は随時Webサイト等で発表いたします。
- Mozilla Foundationは5月1日、メール/ニュースクライアントソフトの最新版「Thunderbird 2.0.0.14」をリリースした。
- 英国制定の容量単位(液体または乾物)で5液量オンスや142.066立方センチメートルに同じ
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