賭郎関連
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/17 15:41 UTC 版)
倶楽部「賭郎」(くらぶ かけろう) 通称「賭郎」。お屋形様を頂点とする、様々な闇ギャンブルを取り仕切る大組織。依頼者の賭けを成立させるための中立な存在であり、立会人の下で決められたゲームルールの遵守と、決着後の命を含めた取り立てを確実に実行する。あくまで立会いであって胴元ではなく、勝負者から手数料や寺銭を取ることはない。ただ、賭郎側がゲームの場やルールを提供することもあり、人主制度など、賭け金を集める方法も提供する。また、観覧料といった形で見物人からの収入などはある。これらを実行するために国家の中枢にも巣食っており、絶大な権力を持つ。 発足は441年前、凄腕の忍びでもあった初代お屋形様の切間陽炎ノ助(きるま かげろうのすけ)が、賭博での負けを踏み倒す輩を成敗していたことが始まりだとする。実は織田信長も、本能寺で負けの代償として陽炎ノ助に首を取られたという伝承があり、以後も歴史と密接に関連し、桜田門外の変、明治維新の政府要人暗殺など数々の歴史的大事件も、実は賭郎がその人物の負けの代償を取り立てていたに過ぎないという。 賭郎の会員数は48と決められており、その価値は非常に高いとされる(作中でアイデアルは300億の損失の代わりとして半分の24の会員権を求めている)。会員権を手に入れるには会員とのギャンブルなどがあるが、そもそもそれに釣り合う元手が無ければ勝負すら認められない。会員になると専属立会人が決められ、以後基本は専属立会人の下で勝負の取り決めが行われる。ただし、会員同士の場合は、より中立性を担保するために両者とは関係のない立会人を選ぶこともあり、専属立会人が不在の場合にも別の立会人が取り決めを行う。 様々な社会的権力や財力を持つが、その本当の価値は豊富な人材にあるとしばしば言及されている。立会人を筆頭に下位の黒服でも素の能力は一般人よりも高いように描写されている。また、「生きて抜けることは不可能」という掟があり、離脱した場合は粛清の対象となる。 お屋形様(おやかたさま) 賭郎の長。代々切間家の末裔が務め、初代切間陽炎ノ助から数えて当代の切間創一で21代目。絶対的な実力を以て賭郎の頂点に君臨している。お屋形様付き 現お屋形様創一の体の秘密を知る古参の4人の立会人、掃除人が交代で任じられる創一の付き人。能輪美年、夜行妃古壱、棟耶将輝、夜行丈一の4人が交代で務める。 立会人(たちあいにん) 賭郎の下でギャンブルを行う際、進行、取り決め、取立てなどを一任される存在。条件として高い戦闘能力(「暴」)、優秀な頭脳、冷静さが求められる。それぞれに號数(号数)が振られており、零號立会人から百號立会人までの計101人がおり、號が若いほど立会人としての位が高く、能力が高いとされる。基本的に中立性が求められるが、立会人の個性に拠るところも大きく、厳格に中立性を守る者から、あくまでルールの範疇で手助けする者まで様々いる。また、立会いのスタイルはいくつかあり、自身の戦闘能力に自信があって単身で行う者、能輪美年や最上のように直轄の部下を多数伴う者(作中では指揮官型と呼ばれる)など様々である。 原則としてフォーマルな黒のクラシックスーツ姿に、自分の名前と號数が刺繍されたハンカチを持つ。ただし、門倉のようにリーゼントの髪型に長ランを思わせるような改造をしている者もいる。 先述のように立会人には號数があり位が決まっているが、近年は形骸化しているともされ、あまり実力が正しく反映されていない。それでも零號は特別な地位であり、お屋形様付きや老練な古参が上位にいるなど、まったく無意味な指標でもない。廃坑編以降は「號に本来の意味を取り戻す」という創一の決定を受け、號奪戦を通し號数が若い方が能力が高いという方向へ進みつつある。號(ごう) 賭郎立会人全員に与えられる番号。零號(0号)から百號(100号)まであり、「號」という字には優れているという「豪」、強いという「剛」「強」、極めて希少な務めを成す「毫」「業」などの意味が込められているとする。形式上は零號を頂点とし、数字が若いほど立会人としての位が高いとされる。自らの號を上げるには、殉職などによって空位になった號に配置されること、互いの相談によって交換すること、號奪戦によって奪取することの3つの方法がある。 號奪戦(ごうだつせん) 號の低い立会人が號を上げる為に、自分より上位の立会人に挑戦する立会人同士の決闘。挑戦者は戦いを挑む相手に賭郎製の號数と名字が刺繍されたハンカチを投げ、挑戦を受けた立会人は自らのハンカチを投げるのが挑戦を受け取ったという合図になり勝負が成立する。高い戦闘能力を持つ立会人同士の決闘は観覧者にも人気が高く、號が形骸化していたこともありショー扱いとなっている。 廃坑編以降は創一の決定により古来ルールに戻される。古来ルールでは時間は10秒、挑戦者が相手を倒せない場合は粛清というよりシビアなものとなる。また、挑戦を受ける側も己のプライドを賭けて全力で受けなければならないとされる。なお、挑戦を受けた側が敗北した場合に仮に息があっても粛清されるということはない(ほぼ敗北は死を意味するが、蘇生が可能なら処置が施される)。古代ルールについて創一はショーと化していた現状を改めるという目的があったが、撻器は人材を無意味に消費するものとして否定的に述べている。 掃除人(スイーパー) 賭郎に敵意を持ち攻撃してくる者や賭郎に何らかの危害を加える人間・組織を討伐する人間。立会人の「號」と同じくSランク、Aランクなどランクがある。 立会人と同様に大きな暴力を必要とするが、両者の関係性は不明。A級のグリス・李は、次期立会人候補のNo1と評され、目蒲の後任として拾號立会人となった番代は元S級であった。またS級の夜行丈一は、他の古参立会人と共にお屋形様付きとなっており、オマケ漫画では取立人も行っている。 取立人 賭郎勝負の結果に基づき、敗者から代償を取り立てる者。ただし、取立人という役職があるわけではなく、立会人がそのまま負けの代償を取り立てるのが普通で、夜行妃古壱は「完璧(パーフェクト)取立人」と評されている。 外務卿 賭郎において外部組織と折衝する役職。作中では泉江のみの役職。 黒服(くろふく) 賭郎の構成員。その名の通り黒スーツを着ている。基本的には作中では立会人とS級掃除人より下位の者全体が黒服と総称されており、勝負に伴う雑務を担ったり、能輪や最上といった指揮官型立会人の部下である者を指す。 屋形越え(やかたごえ) 賭郎会員がお屋形様に賭郎の実権と自身の命を含む全てを賭けて行う勝負のこと。夜行曰く賭郎発足以来成功した記録はないという。屋形越えを行うにあたって挑戦者は、少なくとも500億円という「賭け金」、「搦手」の献上、そして「自分の命」となっている。命を賭けるために屋形越えに挑めるのは1度だけとなっている。さらに廃坑編において立会人を古来のあり方に戻す決定を受けて「挑戦者の専属立会人が零號である事」が追加される。搦手(からめて) 賭郎が権力に根を張るために、敵対組織や国家権力に送り込む工作員や協力者の呼称。屋形越えの条件の1つであり、貘は、かつての屋形越えでは政財界に繋がりが深い酒井を、物語の現在軸上ではLファイルの情報を元に21人の有力者をまとめて搦手として献上した。 内閣暗流諜報謀略室(ないかくあんりゅうちょうほうぼうりゃくしつ) / 暗謀(あんぼう) 内閣直轄の秘密組織で、実質的な賭郎直轄の外部組織。名目上は国家に対する犯罪や警察腐敗の摘発、従来組織では対応できなかった国際テロへの対応を目的とするが、実質は賭郎が警察権力に対抗するための機関であり、その構成員には賭郎の黒服も見て取れる。 廃坑編において佐田国のテロ計画を利用した創一によって設立される。表向きの設立者は尾野神検事総長。 人主(ひとぬし) 賭郎で賭けを行い、掛け金の折り合いがつかない場合、賭郎会員と賭郎の存在を知る限られた人物が、競走馬に出資する馬主の様に、掛け金が足りない人物に出資をするシステムのこと。出資した人物が勝利した場合、出資金と獲得額の3割がバックされる。負けた場合は、その敗者の身柄を自由にして良いことが示唆されており、むしろをそちらの方が目当てで出資する者がいるという。廃坑編においてゲームの勝敗方法を敗者が必ず死亡する「ハングマン」にしたのは獏に出資した人主たちであった。あくまでその時の観覧者に依るため、いくら集められるかはやってみないとわからないが、目蒲によれば、かつて若きIT長者がこのシステムによって1000億円の値を叩き出したという。 卍勝負(ばんしょうぶ) 賭郎勝負において、予めエリアと期間、人数を決めて行われる特殊な勝負のこと。「卍(ばん)」とは、定められたエリアから出てはいけないという目印として貼られる札のこと。 プロトポロス編にあたって登場し、貘とラロの勝負において定められる。この時は、「刻」(勝負のタイムリミット)、「者」(一緒に参加する協力者の数)、「地」(勝負の舞台)のカードが配られて、それぞれ引いたものを決定できることになっていた(この時は「地」のみ立会人の弥鱈が決めた)。
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