四面楚歌とは? わかりやすく解説

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四面楚歌

読み方:しめんそか

「四面楚歌」とは・「四面楚歌」の意味

「四面楚歌」とは、中国秦漢時代出来事題材を採った故事成語で、「周りを敵に囲まれて、孤立無援助けのない状態」を意味する四字熟語教材として高校漢文教科書多く掲載されるほか、短文中でも的確に状況伝えられる表現として国際・社会政治・経済などを報じるニュース記事などにも用いられビジネスシーンをはじめとした日常生活中でも使用される頻度が高い言い回し一つである。

「四面楚歌」の語源・由来

「四面楚歌」は、司馬遷編纂した中国前漢時代史書史記項羽本紀)」に見られる紀元前202年史実由来している。史実とは「垓下の戦い」をさし、直接その部分触れた原文は「項王軍壁垓下。兵少、食尽。漢軍及諸侯兵、囲之数重。夜聞漢軍四面楚歌項王乃大驚曰、「漢皆已得乎。是何人之多也。(項王の軍垓下に壁す。兵少なく食尽く。漢軍及び諸侯の兵之を囲むこと数重なり。夜漢軍の四面楚歌するを聞き項王乃ち大い驚き曰はく、「漢皆已に得たるか。是れ何ぞ人の多きや)」と記されている。以下に概要を示す。

秦代末期、「」国の項羽と「漢」国の劉邦中国全土覇権争っていた。戦いは漢軍が優勢で、防戦回った楚軍垓下現在の安徽省宿州市霊璧県)に追い詰められるとそこに砦を築いて立てこもった楚軍残され兵士の数は少なく食料次第に底をついてくる中で、砦の周囲幾重にも多勢の漢軍に固められており、楚軍劣勢極めた膠着状態続いたある夜、砦にいる項羽の耳に、項羽故郷である民謡を歌う歌声が響く。その歌声聞こえてくるのは楚軍取り囲んでいる漢の軍勢の中からである。これを聞いた項羽は「すでに故郷は漢軍によって占領されてしまったか。それにしても何と多くの者が漢に寝返ってしまったことか」と嘆いた

周りを囲む漢軍がの歌を聞いた項羽敗北覚悟し愛妾虞美人をはじめ配下腹心らと最後の宴席を開く中で、「垓下の歌」を詠んで別れを告げる最期の場所を求めて砦の包囲突破した項羽烏江にたどり着くと、船を用意して待っていた宿場船頭に、川を渡って敵を振り切り捲土重来期すよう勧められるが、若者大勢死なせてしまった自分が、どうして今さら一人おめおめと帰ることができようかと笑って答え自分首を刎ねて死んでしまった。項羽の死でと漢の戦い終結し、漢の劉邦天下統一して前漢築いた

以上に見られるように、垓下の戦いから烏江項羽自刎して果てるまでが「四面楚歌」という故事成語生まれた由来とされている。すなわち敵に囲まれた砦の四方からの歌が聞こえたことで、周囲全てになったことを悟った項羽心理をもとに、「孤立無援の状態」を示す四字熟語の意味生まれたのである。漢軍にの歌を歌わせたのは、項羽率い楚軍垓下にまで追い詰めながら、強固な砦を築いて籠城する敵軍手を焼いた劉邦側が、これをせん滅するために仕掛けた心理戦であったが、その策にはまり、すでにの国が漢軍によって占領されてしまったと誤解した項羽悲劇がその下敷きとなったこのような史実背景に、現代にも生きる「四面楚歌」という故事成語は、「逃げ場のない状態」や「孤立無援の状態」のような意味を示し、マイナスの立場置かれている状況をたとえる言葉として用いられるようになった

「四面楚歌」の熟語・言い回し

「四面楚歌」は「逃げ場がなく孤立無援」という意味である。その意味を表す熟語言い回しは他にも複数あるが、四面楚歌という状態を正しく理解しておかなくては誤用通じケースもあるので注意が必要である。

四面楚歌の状態とは


四面楚歌とは本来、敵に囲まれ孤立し周り味方がいないために助け求められない状況をさしていう。故事成語を基に、この四字熟語現代使用するとすれば周囲にいるのが反対者敵対者ばかりでどうにも手の打ちようがない状態を示す場合などに用いるのが適切である。注意必要なのは、四面楚歌の状態に置かれているのは、必ずしも個人だけに限られるものではないという点である。すなわち、四面楚歌の状態に置かれるのは個人属すグループ組織企業さらには国家などに広がるケースもあり、数の多少によらず周囲囲まれ孤立しているのであれば四面楚歌の状態にあるのだといえる。たとえば「政策立案する際の基本方針違い生じたことで、我々のグループ7名は派内で四面楚歌の状態にある」などという言い方も可能となる。

また、四面楚歌の状態は事の善悪に依らないという点も重要である。善い行いをしているものが四面楚歌の立場置かれることがあれば、悪業行っているものがその状態に置かれる場合もある。そのため「意図的な価格不正操作露見したことで、市場の中で四面楚歌の状態に置かれているのがあの企業現状だ」などという言い方成立する。四面楚歌の状態にいるものが常に正しく周囲にいる反対者が常に悪だという考え方立ってこの故事成語用いるのは間違いとなる。

さらに四面楚歌とは、反対者囲まれていて、四方八方どちらを向いて味方がいない状態をさすのであって少数でも周囲賛成者がいる場合には使わないのが一般的である。たとえば「政策立案する際の基本方針違い生じたことで、我々のグループ7名は派内で四面楚歌の状態にあり、他には無派閥数名だけにしか理解得られていない」とした場合は、完全なる四面楚歌の状態にあるとはいえ使い方としては適切ではない。

上の注意点踏まえたうえで、「四面楚歌」熟語言い回しとしてふさわしいものを挙げる場合は、「孤立無援」「無援孤立」「孤軍奮闘」「十重二重囲まれる」などがこれに該当する。「単孤無頼」「一身に味方なし」などの言い回しは、対象個人限定されている点でふさわしいとは言えない。

「四面楚歌」の使い方・例文

「四面楚歌」使い方としては、文学作品用例見られる。たとえば「失敗その通り世の中何某大い失敗したと四面楚歌の声が聞こえても、本の当人はどこを風が吹くかという顔をしていることがたまさかある(新渡戸稲造自警録」)」、「お福さまは四面楚歌の中にいて、あるいは側妾の地位からおろされかも知れないという臆測江戸屋敷ではされている(藤沢周平蝉しぐれ」)などである。

日常的な使用例としては、「リストラ退職して以来、彼は家にいて家事もせず子どもには小言を言うばかりで、家庭内では全く四面楚歌らしいよ」「何も悪いことをしていない自分がなぜこのような四面楚歌の状態に陥るのか、理由わからない」「そのキャプテンは、チームにとって良かれと思い、みんなに厳し練習メニュー課したことで、いつの間にか四面楚歌の状態になってしまった」「今さら四面楚歌を嘆いても、もともと自分身から出たサビなのだから仕方がない」「金持ちでも横柄な人は、コミュニティーの中で四面楚歌の状況に陥りやすい」などを挙げることができる。

ビジネスシーンでは「会議での失言以来部長状況一言で表すなら、四面楚歌だね」「ハラスメント体質露呈し以来彼の部署会社内で四面楚歌の状態だ」「彼は優秀だ部署内での態度良くないこのままでは四面楚歌だよ」「社内コンプライアンス違反したのだから四面楚歌は覚悟しています」「いくら彼に非があったとしても、四面楚歌の状態が続くのはよくない病気になるよ」などという使用例考えられる

四面楚歌

読み方:しめんそか

四面楚歌とは

四面楚歌とは、まわりが敵や反対者ばかりで孤立した状態を指す四字熟語。四面楚歌の語は、中国楚漢戦争における項羽という人物由来している。類語には、「背水の陣」や「孤立無援」などが挙げられる

四面楚歌の使い方の例としては、「核実験行ったA国は、各国から制裁を受け四面楚歌の状態だ」や「社長の意に逆らったBさんは今、社内では四面楚歌である」などといった文章挙げられる一般に四面楚歌と結びつけられる人物など対象を、哀れむニュアンス用いられることが多いが、対象に対して批判的に用いられる場合対象同情するように用いられる場合分かれる例えば、最初の例だと筆者はおそらくA国のことを批判していると考えられる反対に後の例では、Bさんに同情しているような文意読み取れる話者がBさんの知人であった場合などは、そうであろういずれの場合良い文脈使用されることは少ない。

類語としてあげた背水の陣では、「我々は今や背水の陣だ。しかし失うものは何もない全力でやろう!」といったように肯定的な文脈使用されるケース存在するが、四面楚歌にはこういった使用考えにくい。話者が自らの状態を四面楚歌だと発言する場合、それは諦め悲哀表現する。四面楚歌がそうしたネガティブな意味を持つのはその語源と関係が深い。

四面楚歌の語源

四面楚歌の語源は、中国楚漢戦争における垓下の戦いにある。紀元前203年楚軍と漢軍ともに情勢不利を抱えていたため、両者の間で盟約結ばれた。漢軍の劉邦は、「楚軍今のうちに滅ぼすべきである」という軍内からの進言を受け、盟約破り項羽率い楚軍へと追撃行なった先鋒30の兵をつけた漢軍に対し楚軍の兵はわずか10万ばかり。両軍現在の安徽省宿州市霊璧県にあたる垓下戦闘になる。序盤こそ好戦していた楚軍だったが、兵力の差からたちまち劣勢に追い込れ、大敗してしまう。

破れた楚軍防塁籠り、漢軍はその周り包囲した夜になると、幾重にも防塁取り囲んだ漢軍はの歌を歌った項羽四方から響く漢軍の歌を聴き、その敵の多さ知り愕然とする。この時の項羽の、敵軍周り囲まれ孤立した状態を模して、四面楚歌という語が用いられるようになった当然のことながら楚軍破れ項羽戦死した項羽このような救いようのない状況にあったことこそ、現在、四面楚歌が多く場合ネガティブ文脈でしか使用されないことの原因であろう

戦勝諦め、死を悟った項羽愛妾である虞美人愛馬である騅とともに別れ宴席設け、これらに惜別の詩を読んだその後項羽は夜を突いて八百の兵とともに南の囲みへと進軍する楚軍みるみるその数を減らしたが、項羽怯むことなく戦い続けた項羽1人数百人の漢軍を殺し最期は漢軍にいた旧知である呂馬童の前で、自ら首をはねて死んだとされている。項羽はそうしたある種英雄的側面があるものの、現在の用法はそうした側面強調した肯定的ニュアンス使用されることは少ないようだ。ただし、先述したBさんの知人発言のように同情的な文意では、対象称えるような意味を持たせることも可能である。

例えば、社長の意に逆らったBさんの行動が、彼の知人にとっては「自らの保身よりも社のことを考えた大英断である」というように映った場合、四面楚歌という言葉はやや肯定的なニュアンス帯びる。しかし四面楚歌は項羽なぞらえて救いようのない状態を指していう場合が多いため、Bさんを讃えたこの発言も、「Bさんは社をクビになる」、もしくは何かしら処分を受ける」などという未来変えられない発言者思っているという意味を含意しているといえる




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