ぜんそうきょくしゅう〔ゼンソウキョクシフ〕【前奏曲集】
ラフマニノフ:前奏曲集(プレリュード)
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ラフマニノフ:前奏曲集(プレリュード) | 13 Preludes Op.32 | 作曲年: 1910年 出版年: 1911年 初版出版地/出版社: Gutheil |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | ハ長調 C dur | 1分30秒 | No Image |
2 | 変ロ短調 b moll | 4分00秒 | No Image |
3 | ホ長調 E dur | 3分00秒 | No Image |
4 | ホ短調 e moll | 6分00秒 | No Image |
5 | ト長調 G dur | 3分30秒 | No Image |
6 | ヘ短調 f moll | 1分30秒 | No Image |
7 | ヘ長調 F dur | 3分00秒 | No Image |
8 | イ短調 a moll | 2分00秒 | No Image |
9 | イ長調 A dur | 3分00秒 | No Image |
10 | ロ短調 h moll | 7分30秒 | No Image |
11 | ロ長調 H dur | 2分00秒 | No Image |
12 | 嬰ト短調 gis moll | 2分30秒 | No Image |
13 | 変ニ長調 Des dur | 7分00秒 | No Image |
作品解説
ラフマニノフは、《前奏曲 作品3-2》、《10の前奏曲 作品23》、《13の前奏曲 作品32》をのこしており、これらの計24曲の作品は、それぞれ異なった調性でかかれている。作品23からおよそ7年後にあたる1910年に、モスクワで作曲された。作品23と比較すると、近代的な手法の影響もみられるが、基本的には情緒的な性格をそのまま受け継いでいる。
1.ハ長調 / 13 Preludes op.32-1 C dur アレグロ・ヴィヴァーチェ
一分半ほどの短い曲。3連音符のリズムが曲を貫いており、その上に旋律がきかれる。全音音階を扱った和声が大胆に使用され、技巧的にも難易度は高い。
2.変ロ短調 / 13 Preludes op.32-2 b moll アレグレット
冒頭の静かな主題からはじまるが、この付点のリズムが全体を通して扱われている。拍子や速度を変化させ、微妙なニュアンスをつくりながら、音楽は次第に高まりをみせる。
3.ホ長調 / 13 Preludes op.32-3 E dur アレグロ・ヴィヴァーチェ
力強い冒頭から始まる。トッカータ風で、全体的に華やかで豊かな響きをもった曲。最後は静かに曲をとじる。
4.ホ短調 / 13 Preludes op.32-4 e moll アレグロ・コン・ブリオ
3部形式による。演奏時間も長く、難易度が高い。フォルテで奏されるオクターブと、3連音符で奏される厚みのある和音がかけあいながら曲が進行する。中間部にうつり、8分の9拍子、ピウ・ヴィーヴォで3連音符が軽やかな動きをみせ、拍子を変えながらフォルテッシモに向かう。続いて、レントで歌われるのは、ロシアの叙情歌の旋律である。再び主部に戻り、より一層激しさを増して、クライマックスを形成する。徐々に静まり、冒頭の楽想を再現したのち、ピウ・ヴィーヴォで、そして消えるように曲を閉じる。和音は太く、温かみがある音で、バランスよく奏されたい。
5.ト長調 / 13 Preludes op.32-5 G dur モデラート
穏やかな雰囲気の左手の分散和音にのせて、右手で美しい旋律を奏でる。細かい音の動きは鳥の声を模している。全体的に静かだが、華やかなカデンツァも印象的である。広く愛奏されている魅力的な作品。ラフマニノフの録音も残っている。
6.ヘ短調 / 13 Preludes op.32-6 f moll アレグロ・アパッショナート
情熱的・悪魔的な音の動きが印象的な練習曲風の作品。ダイナミックの変化が効果的な作品。
7.ヘ長調 / 13 Preludes op.32-7 F dur モデラート
3部形式による。同型の全曲を通してリズムパターンが使用されており、その上と下でそれぞれ旋律がゆったりと歌われる。
8.イ短調 / 13 Preludes op.32-8 a moll ヴィーヴォ
激しく、印象的な2小節の導入部分をもつ。そのままの勢いで、16分音符がめまぐるしく動き、全曲を貫いている。持続音を用いた、かけあがるような左手が曲の情熱的な雰囲気をより一層もりあげている。
9.イ長調 / 13 Preludes op.32-9 A dur アレグロ・モデラート
外声部がデュエットの形でかかれている。和音が多く重なり、それぞれを弾き分けるのには高度なテクニックが必要である。和音の厚みのある豊かな響きを大切にしたい。「ピウ・ヴィーヴォ」のコーダでは、右手のアルペッジョで微妙に変化をつけながら、静かに曲を閉じる。
10.ロ短調 / 13 Preludes op.32-10 h moll レント
悲しみを感じさせるような旋律がゆったりと静かが歌われ、しだいに音量を増していく。中間部では、和音が重ねられ、非常に壮大で豊かな音色が求められる。また後半でみられる長大なカデンツァがうみだす音響は、幻想的な雰囲気をつくりだしており、印象的である。
11.ロ長調 / 13 Preludes op.32-11 H dur アレグレット
弱起の技法や、フレージングなどにより独特なリズムの面白みが与えられている。短いが、優雅で愛らしい小品。
12.嬰ト短調 / 13 Preludes op.32-12 gis moll アレグロ
前奏曲集の中で最も広く親しまれている傑作の一つ。雪でおおわれた大地をソリが鈴を鳴らしながら走る様子を表しているといわれる。テンポが劇的に変化するのが特徴である。全曲を貫くめまぐるしい分散和音に対して、旋律は豊かな音で、たっぷりと歌う。ラフマニノフの録音が残っているが、当時の録音機器は回転速度が違っていたため、現在のレコードプレーヤーで聞いた演奏は、実際のものよりも速くなっていることに注意が必要である。
13.変ニ長調 / 13 Preludes op.32-13 Des dur グラーヴェ
この曲も、前奏曲集の中で最も有名な曲の一つ。3部形式によっている。冒頭から荘重な主題は、しだいにリズム的な動きをみせる。メノ・モッソの中間部を経て、アレグロ、ピウ・ヴィーヴォと、音楽は激しい高まりをみせる。再び登場する主部は、非常に華やかに装飾され、ポーコ・ピウ・ヴィーヴォではピアノの限界に達するともいえるほど豊かで厚みのある音響が要求されている。演奏時間は7分前後で、前奏曲集をしめくくるにふさわしい大曲である。
メシアン:前奏曲集
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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メシアン:前奏曲集 | Préludes | 作曲年: 1929年 |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 鳩 "La colombe" | 2分00秒 | No Image |
2 | 悲しい風景のなかの恍惚の歌 "Chant d'extase dans un paysage triste" | 7分00秒 | No Image |
3 | 軽快な数 "Le nombre léger" | 2分00秒 | No Image |
4 | 過ぎ去った時 "Instants défunts" | 4分30秒 | No Image |
5 | 夢のなかのかすかな音 "Les sons impalpables du rêve" | 4分00秒 | No Image |
6 | 苦悩の鐘と告別の涙 "Les sons impalpables du rêve" | 7分30秒 | No Image |
7 | 静かな嘆き "Plainte calme" | 3分30秒 | No Image |
8 | 風のなかの反映 "Un reflet dans le vent" | 5分00秒 | No Image |
アイアランド:前奏曲集
ラフマニノフ:前奏曲集(プレリュード)
英語表記/番号 | 出版情報 | |
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ラフマニノフ:前奏曲集(プレリュード) | 10 Preludes Op.23 | 作曲年: 1903(5のみ1901)年 出版年: 1904年 初版出版地/出版社: Gutheil |
楽章・曲名 | 演奏時間 | 譜例![]() |
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1 | 嬰ヘ短調 fis moll | 3分30秒 | No Image |
2 | 変ロ長調 B dur | 3分30秒 | No Image |
3 | ニ短調 d moll | 3分00秒 | No Image |
4 | ニ長調 D dur | 5分30秒 | No Image |
5 | ト短調 g moll | 4分00秒 | No Image |
6 | 変ホ長調 Es dur | 3分30秒 | No Image |
7 | ハ短調 c moll | 2分00秒 | No Image |
8 | 変イ長調 As dur | 3分30秒 | No Image |
9 | 変ホ短調 es moll | 2分00秒 | No Image |
10 | 変ト長調 Gs dur | 3分30秒 | No Image |
作品解説
ラフマニノフは、《前奏曲 作品3-2》、《10の前奏曲 作品23》、《13の前奏曲 作品32》をのこしており、これらの計24曲の作品は、それぞれ異なった調性でかかれている。
この《10の前奏曲 作品23》は、1901年に作曲された5番を除き、1902年~03年にかけて作曲され、まとめて1903年に出版された。全曲通して演奏した場合、平均演奏時間は35分程度。
1.嬰ヘ短調 / 10 Preludes op.23-1 fis moll ラルゴ
陰影のある左手の分散和音にのせて、哀愁を帯びた単音の旋律が、右手でしっとりとうたわれる。
2.変ロ長調 / 10 Preludes op.23-2 B dur マエストーソ
曲集中もっとも華やかで技巧的な曲。大波のような左手のアルペッジョにのせて、激しく力強い主題が右手でうたわれる。中間部では右手にさざ波のような音型があらわれ、左手では叙情的な旋律がたっぷりと奏される。演奏時間も4分前後なので、コンサートのアンコール・ピースなどにも適しているだろう。
3.ニ短調 / 10 Preludes op.23-3 d moll テンポ・ディ・メヌエット
4分の3拍子、メヌエットのテンポで奏される、マズルカ風の曲。抒情的な中間
部をもつ。優雅な中にも時折みせる、おどけたようなリズムが印象的である。
4.ニ長調 / 10 Preludes op.23-4 D dur アンダンテ・カンタービレ
左手の分散和音の上を、非常に美しい単音の旋律が柔らかくうたわれる。アンダンテかつレガートで、息の長いメロディを奏さねばならないので、打鍵の方法や、耳の使い方には注意、工夫が必要であろう。
5.ト短調 / 10 Preludes op.23-5 g moll アラ・マルチャ
冒頭からいさましく、しかし自由に奏される行進曲風のリズムが印象的で、この前奏曲集の中でも最もよく知られている曲の一つ。中間部できかれるロマンチックな旋律も、ラフマニノフならではの美しさをもっている。和音やオクターブの連打が多いが、そのために体を力ませるような打鍵をすることは、避けなければならない。
ラフマニノフ自身の録音が、SPレコードと、自動ピアノで残されている。
6.変ホ長調 / 10 Preludes op.23-6 Es dur アンダンテ
美しい旋律、和声が非常に魅力的な作品。左手で16分音符がやわらかく上下する中で、甘美で幸福に満ちた旋律がオクターブで奏される。左右のバランスや、ペダリングにも注意をはらいたい。
7.ハ短調 / 10 Preludes op.23-7 c moll アレグロ
エチュード風で激情的な作品。全曲を通して、16分音符が勢いよくかけめぐり、その合間を旋律がオクターブで奏される。
8.変イ長調 / 10 Preludes op.23-8 As dur アレグロ・ヴィヴァーチェ
エチュード風の華やかな作品。右手で16分音符の分散和音が奏され、その下で、旋律が豊かな響きをもってうたわれる。
9.変ホ短調 / 10 Preludes op.23-9 es moll プレスト
エチュード風の作品で、難易度が高い。左手では分散和音、右手では、2和音が半音階的に変化しながら曲が進行する。
10.変ト長調 / 10 Preludes op.23-10 Gs dur ラルゴ
三部形式で、子守唄風の作品。冒頭からきかれる静かな和音の中に、左手の旋律が柔らかくうかびあがる。幸せに満ちた雰囲気をもっており、ラフマニノフ自身もこの曲を愛奏した。1940年の録音が残っている。
トゥリーナ:前奏曲集
前奏曲
(前奏曲集 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/06 02:06 UTC 版)
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前奏曲(ぜんそうきょく)は、他のより規模の大きい楽曲の前に演奏する楽曲を指す。後に独立した即興性の高い曲となった。通常は声楽を伴わない器楽曲である。プレリュード(英語: prelude、フランス語: prélude)、フォアシュピール(ドイツ語: Vorspiel、ただし古典派音楽以前に関しては通常Präludium; プレルーディウム)ともいう。類似する形態として序曲(オーヴァーチュア)やシンフォニアがある。
概要
- 本来はリュートや鍵盤楽器によって即興により演奏されるものであったが、後に書きとどめられるようになり、しばしば演奏技巧を発揮するような曲として、また、即興的で自由な作風の作品として、作曲された。
- フランスで発達したプレリュード・ノン・ムジュレでは、奏者の即興性を重視して拍子を定めず、小節線も書かれない。
- 後には独立した楽曲として演奏技巧を発揮するような、また即興的な自由な作風の作品、特にピアノ曲にこの名が付けられるようになった。性格的小品の一種である。ショパンの24曲から成る前奏曲集、ドビュッシーの前奏曲集全2集、スクリャービンの85曲から成る前奏曲集が有名である。
- ワーグナーは、自身のオペラ(多くは楽劇と呼ばれる)から、序曲を廃して前奏曲(フォアシュピール)を置くことをした。劇が始まる前に冗長で劇の開始自体とは関係のない種明かし的な序曲が演奏されることを避け、劇の開始とより一体化した曲を求めたためである。これはより後の時代に受け継がれた。
上に述べた意味の前奏曲ではないが、標題音楽の主題として「前奏曲」を採用したリストの交響詩「前奏曲」もある。
主要曲
ピアノ(鍵盤楽器)独奏曲
前奏曲集
- ショパン - Op.28(全24曲)、他2曲
- サティ - 「星たちの息子」への3つの前奏曲、犬のためのぶよぶよとした前奏曲、犬のためのぶよぶよとした本当の前奏曲
- ドビュッシー - 全2集・24曲
- フォーレ - Op.103(全9曲)
- ラフマニノフ - Op.23(10曲: 第5番ト短調他)、Op.32(13曲)、他にOp.3-2(1曲)
- ガーシュウィン - 3つの前奏曲
- ヒナステラ - 12のアメリカ大陸風前奏曲集
- メシアン - 全8曲
24の前奏曲
J.S.バッハの「平均律クラヴィーア曲集」の「すべての長短調をめぐる」という構成を受け継いだ曲集。ショパンが有名である。ショパンのように五度圏を平行調ごとにめぐる配列、バッハを参考にした半音ずつ同主調ごとに上昇する配列、独自の配列、といったように24曲の調配列については様々工夫がある。また、最初の曲と同じ調(ハ長調)で締めくくる25曲のものもある。
- フンメル - Op.67(1815年)
- カルクブレンナー - Op.88(1828年)
- ショパン - Op.28(1839年)
- クラーマー - Op.91(1842年)
- ゴリネッリ - Op.23(1844年)、Op.69(1852年)(各24曲)
- アルカン - Op.31(25曲)(1847年)
- ヘラー - Op.81(1853年)
- ラインベルガー - Op.14(1867年)
- ブゾーニ - Op.37(1881年)
- キルヒナー - Op.60(25曲)(1882年)
- ブルーメンフェルト - Op.17(1892年)
- サンテステバン - Op.84(1892年)
- スクリャービン - Op.11(1896年)
- キュイ - Op.64(25曲)(1903年)
- グリエール - Op.30(25曲)(1907年)
- カラマー - (1910年)
- パルムグレン - Op.17(1910年)
- メラルティン - Op.85(1913年 - 1920年)
- スクシドレフスキ - (1917年)
- ニーマン - Op.55(1918年)
- スタンフォード - Op.163(1919年)、Op.179(1921年)(各24曲)
- カサドシュ - Op.5(1925年)
- チェイシンズ - Op.10・11・12・13(1928年)
- ショスタコーヴィチ - Op.34(1932年 - 1933年)
- ザデラツキー - (1934年)
- ジェロビンスキー - Op.20(1934年)
- ヴィシネグラツキー - Op.22(1934年、出版1977年)
- ゴルツ - Op.2(1934年 - 1935年)
- シュケリアンツ - (1936年)
- ハジエフ - (1937年)
- ボウエン - Op.102(1938年、出版1950年)
- ダレッサンドロ - Op.30(1941年)
- チゾーム - (1943年)
- カバレフスキー - Op.38(1943年 - 1944年)
- 矢代秋雄 - (1945年)
- アブラミアン - (1948年 - 1972年)
- バグダサリアン - (1951年、1953年、1954年、1958年)
- カラーエフ - (1951年 - 1963年)
- ハサノフ - (1963年)
- ガル - Op.83(1965年)
- カップ - (1967年)
- ブーレル - Op.29(1967 - 1968年)
- カシャーノフ - (1968年)
- ラーツ - Op.33(1968年)、Op.60(1977年)、Op.80(1989年)(各24曲)
- ツィンツァーゼ - (1971年)
- ブラッハー - (1974年)
- カラビッツ - (1976年)
- ゴンチグソムラー - (1978年 - 1979年)
- 芥川也寸志 - (1979年)
- カプースチン - Op.53(1988年)
- 日下部憲夫 - Op.14-6(1988年)
- 林光 - 草稿の森(24の前奏曲)(1993年)
- ホルミノフ - (1994年)
- アウエルバッハ - Op.41(1999年)
- コーウィ - (2005年)
- ドンピエール - (2010年)
その他
独立した楽曲としての前奏曲(その他の演奏形態)
- ドビュッシー - 牧神の午後への前奏曲(管弦楽)
- R・シュトラウス - 祝典前奏曲Op.61(管弦楽)
- ヤルネフェルト - 前奏曲(管弦楽)
- A・リード - 音楽祭のプレリュード(フェスティヴァル・プレリュード)(吹奏楽)
関連項目
- 前奏曲集のページへのリンク