前奏曲集とは? わかりやすく解説

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ぜんそうきょくしゅう〔ゼンソウキョクシフ〕【前奏曲集】

読み方:ぜんそうきょくしゅう

原題、(フランス)Préludes》ドビュッシーピアノ曲集第1巻1909年から1910年作曲)と第2巻1910年から1913年作曲)。それぞれ12からなる第1巻第8曲亜麻色の髪の乙女」が有名。


ラフマニノフ:前奏曲集(プレリュード)

英語表記/番号出版情報
ラフマニノフ:前奏曲集(プレリュード13 Preludes Op.32作曲年1910年  出版年1911年  初版出版地/出版社: Gutheil 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 ハ長調 C dur1分30秒 No Image
2 変ロ短調 b moll4分00 No Image
3 ホ長調 E dur3分00 No Image
4 ホ短調 e moll6分00 No Image
5 ト長調 G dur3分30秒 No Image
6 ヘ短調 f moll1分30秒 No Image
7 ヘ長調 F dur3分00 No Image
8 イ短調 a moll2分00 No Image
9 イ長調 A dur3分00 No Image
10 ロ短調 h moll7分30秒 No Image
11 ロ長調 H dur2分00 No Image
12 嬰ト短調 gis moll2分30秒 No Image
13 変ニ長調 Des dur7分00 No Image

作品解説

2007年9月 執筆者: 和田 真由子

ラフマニノフは、《前奏曲 作品3-2》、《10の前奏曲 作品23》、《13の前奏曲 作品32》をのこしており、これらの計24曲の作品は、それぞれ異なった調性でかかれている。作品23からおよそ7年後にあたる1910年に、モスクワ作曲された。作品23比較すると、近代的な手法影響みられるが、基本的に情緒的な性格そのまま受け継いでいる。

1.ハ長調 / 13 Preludes op.32-1 C dur アレグロ・ヴィヴァーチェ
一分半ほどの短い曲。3連音符リズムが曲を貫いており、その上に旋律がきかれる。全音音階扱った和声大胆に使用され技巧的に難易度は高い。

2.変ロ短調 / 13 Preludes op.32-2 b moll アレグレット
冒頭静かな主題からはじまるが、この付点リズム全体通して扱われている。拍子速度変化させ、微妙なニュアンスつくりながら、音楽次第高まりをみせる。

3.ホ長調 / 13 Preludes op.32-3 E dur アレグロ・ヴィヴァーチェ
力強い冒頭から始まる。トッカータ風で、全体的に華やか豊かな響きをもった曲。最後静かに曲をとじる。

4.ホ短調 / 13 Preludes op.32-4 e moll アレグロ・コン・ブリオ
3部形式よる。演奏時間長く難易度が高い。フォルテ奏されるオクターブと、3連音符奏されるみのある和音かけあいながら曲が進行する中間部にうつり、8分の9拍子、ピウ・ヴィーヴォで3連音符軽やかな動きをみせ、拍子変えながらフォルテッシモに向かう。続いてレント歌われるのは、ロシア叙情歌旋律である。再び主部戻りより一層激しさ増してクライマックス形成する徐々に静まり冒頭楽想再現したのち、ピウ・ヴィーヴォで、そして消えるように曲を閉じる。和音太く温かみがある音で、バランスよく奏されたい。

5.ト長調 / 13 Preludes op.32-5 G dur モデラート
穏やかな雰囲気左手分散和音にのせて、右手美し旋律奏でる。細かい音の動き鳥の声模している。全体的に静かだが、華やかなカデンツァ印象的である。広く愛奏されている魅力的な作品ラフマニノフ録音残っている。

6.ヘ短調 / 13 Preludes op.32-6 f moll アレグロ・アパッショナート
情熱的悪魔的な音の動き印象的な練習曲風の作品ダイナミック変化効果的な作品

7.ヘ長調 / 13 Preludes op.32-7 F dur モデラート
3部形式よる。同型全曲通してリズムパターンが使用されており、その上と下でそれぞれ旋律がゆったりと歌われる

8.イ短調 / 13 Preludes op.32-8 a moll ヴィーヴォ
激しく印象的な小節導入部分をもつ。そのまま勢いで16分音符めまぐるしく動き全曲貫いている。持続音を用いたかけあがるような左手が曲の情熱的な雰囲気より一層もりあげている。

9.イ長調 / 13 Preludes op.32-9 A dur アレグロ・モデラート
外声部がデュエットの形でかかれている。和音多く重なりそれぞれ弾き分けるのには高度なテクニックが必要である。和音の厚みのある豊かな響き大切にしたい。「ピウ・ヴィーヴォ」のコーダでは、右手アルペッジョ微妙に変化をつけながら、静かに曲を閉じる。

10.ロ短調 / 13 Preludes op.32-10 h moll レント
悲しみ感じさせるような旋律がゆったりと静かが歌われ、しだいに音量増していく。中間部では、和音重ねられ、非常に壮大豊かな音色求められる。また後半みられる長大カデンツァうみだす音響は、幻想的な雰囲気つくりだしており、印象的である。

11.ロ長調 / 13 Preludes op.32-11 H dur アレグレット
弱起技法や、フレージングなどにより独特なリズム面白み与えられている。短いが、優雅愛らしい小品

12.嬰ト短調 / 13 Preludes op.32-12 gis moll アレグロ
前奏曲集の中で最も広く親しまれている傑作一つおおわれ大地ソリが鈴を鳴らしながら走る様子表しているといわれるテンポ劇的に変化するのが特徴である。全曲を貫くめまぐるしい分散和音に対して旋律豊かな音で、たっぷりと歌う。ラフマニノフ録音残っているが、当時録音機器回転速度違っていたため、現在のレコードプレーヤー聞いた演奏は、実際のものよりも速くなっていることに注意が必要である。

13.変ニ長調 / 13 Preludes op.32-13 Des dur グラーヴェ
この曲も、前奏曲集の中で最も有名な曲一つ3部形式によっている。冒頭から荘重な主題は、しだいにリズム的な動きをみせる。メノ・モッソの中間部経てアレグロ、ピウ・ヴィーヴォと、音楽激し高まりをみせる。再び登場する主部は、非常に華やかに装飾され、ポーコ・ピウ・ヴィーヴォではピアノ限界達するともいえるほど豊かで厚みのある音響要求されている。演奏時間は7分前後で、前奏曲集をしめくくるにふさわしい大曲である。


メシアン:前奏曲集

英語表記/番号出版情報
メシアン:前奏曲集Préludes作曲年1929年 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1  "La colombe"2分00 No Image
2 悲しい風景のなかの恍惚の歌  "Chant d'extase dans un paysage triste"7分00 No Image
3 軽快な数 "Le nombreger"2分00 No Image
4 過ぎ去った時  "Instants défunts"4分30秒 No Image
5 夢のなかかすかな音 "Les sons impalpables du rêve"4分00 No Image
6 苦悩の鐘と告別の涙 "Les sons impalpables du rêve"7分30秒 No Image
7 静かな嘆き "Plainte calme"3分30秒 No Image
8 風のなかの反映  "Un reflet dans le vent"5分00 No Image

アイアランド:前奏曲集

英語表記/番号出版情報
アイアランド:前奏曲集Preludes for solo piano作曲年: 1913-15年  出版年1918年  初版出版地/出版社Winthrop Rogers 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 小声 The undertoneNo Data No Image
2 強迫観念 ObsessionNo Data No Image
3 聖なる少年 The holy boyNo Data No Image
4 春の火花 Fire of springNo Data No Image

ラフマニノフ:前奏曲集(プレリュード)

英語表記/番号出版情報
ラフマニノフ:前奏曲集(プレリュード10 Preludes Op.23作曲年: 1903(5のみ1901)年  出版年1904年  初版出版地/出版社: Gutheil 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 嬰ヘ短調 fis moll3分30秒 No Image
2 変ロ長調 B dur3分30秒 No Image
3 ニ短調 d moll3分00 No Image
4 ニ長調 D dur5分30秒 No Image
5 ト短調 g moll4分00 No Image
6 変ホ長調 Es dur3分30秒 No Image
7 ハ短調 c moll2分00 No Image
8 変イ長調 As dur3分30秒 No Image
9 変ホ短調 es moll2分00 No Image
10 変ト長調 Gs dur3分30秒 No Image

作品解説

2007年9月 執筆者: 和田 真由子

ラフマニノフは、《前奏曲 作品3-2》、《10の前奏曲 作品23》、《13の前奏曲 作品32》をのこしており、これらの計24曲の作品は、それぞれ異なった調性でかかれている。
この《10の前奏曲 作品23》は、1901年作曲され5番除き1902年03年にかけて作曲されまとめて1903年出版された。全曲通して演奏した場合平均演奏時間35程度

1.嬰ヘ短調 / 10 Preludes op.23-1 fis moll ラルゴ
陰影のある左手分散和音にのせて、哀愁帯びた単音旋律が、右手しっとりうたわれる

2.変ロ長調 / 10 Preludes op.23-2 B dur マエストーソ
集中もっとも華やか技巧的な曲。大波のような左手アルペッジョにのせて、激しく力強い主題右手うたわれる中間部では右手さざ波のような音型があらわれ左手では叙情的な旋律がたっぷりと奏される演奏時間も4分前後なので、コンサートのアンコール・ピースなどにも適しているだろう。

3.ニ短調 / 10 Preludes op.23-3 d moll テンポ・ディ・メヌエット
4分の3拍子メヌエットのテンポで奏されるマズルカ風の曲。抒情的な中間
部をもつ。優雅な中にも時折みせる、おどけたようなリズム印象的である。

4.ニ長調 / 10 Preludes op.23-4 D dur アンダンテ・カンタービレ
左手分散和音の上を、非常に美し単音旋律柔らかくうたわれるアンダンテかつレガートで、息の長いメロディを奏さねばならないので、打鍵方法や、耳の使い方には注意工夫が必要であろう

5.ト短調 / 10 Preludes op.23-5 g moll アラ・マルチャ
冒頭らいさましく、しかし自由に奏される行進曲風のリズム印象的で、この前奏曲集の中でも最もよく知られている曲の一つ中間部できかれるロマンチックな旋律も、ラフマニノフならではの美しさをもっている。和音オクターブ連打が多いが、そのために体を力ませるような打鍵をすることは、避けなければならない
ラフマニノフ自身録音が、SPレコードと、自動ピアノ残されている。

6.変ホ長調 / 10 Preludes op.23-6 Es dur アンダンテ
美し旋律和声が非常に魅力的な作品左手16分音符やわらかく上下する中で、甘美幸福に満ちた旋律オクターブ奏される左右バランスや、ペダリングにも注意はらいたい。

7.ハ短調 / 10 Preludes op.23-7 c moll アレグロ
エチュード風で激情的な作品全曲通して16分音符勢いよくかけめぐり、その合間旋律オクターブ奏される

8.変イ長調 / 10 Preludes op.23-8 As dur アレグロ・ヴィヴァーチェ
エチュード風の華やかな作品右手16分音符分散和音奏され、その下で、旋律豊かな響きをもってうたわれる

9.変ホ短調 / 10 Preludes op.23-9 es moll プレスト
エチュード風の作品で、難易度が高い。左手では分散和音右手では、2和音半音階的変化しながら曲が進行する

10.変ト長調 / 10 Preludes op.23-10 Gs dur ラルゴ
三部形式で、子守唄風の作品冒頭からきかれる静かな和音中に左手旋律柔らかくうかびあがる幸せ満ちた雰囲気をもっており、ラフマニノフ自身もこの曲を愛奏した。1940年録音残っている。


トゥリーナ:前奏曲集

英語表記/番号出版情報
トゥリーナ:前奏曲集Preludios Op.80作曲年1933年 

前奏曲

(前奏曲集 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/12/06 02:06 UTC 版)

前奏曲(ぜんそうきょく)は、他のより規模の大きい楽曲の前に演奏する楽曲を指す。後に独立した即興性の高い曲となった。通常は声楽を伴わない器楽曲である。プレリュード英語: preludeフランス語: prélude)、フォアシュピールドイツ語: Vorspiel、ただし古典派音楽以前に関しては通常Präludium; プレルーディウム)ともいう。類似する形態として序曲(オーヴァーチュア)やシンフォニアがある。

概要

  • 本来はリュート鍵盤楽器によって即興により演奏されるものであったが、後に書きとどめられるようになり、しばしば演奏技巧を発揮するような曲として、また、即興的で自由な作風の作品として、作曲された。
  • フランスで発達したプレリュード・ノン・ムジュレでは、奏者の即興性を重視して拍子を定めず、小節線も書かれない。
  • 後には独立した楽曲として演奏技巧を発揮するような、また即興的な自由な作風の作品、特にピアノ曲にこの名が付けられるようになった。性格的小品の一種である。ショパンの24曲から成る前奏曲集、ドビュッシーの前奏曲集全2集、スクリャービンの85曲から成る前奏曲集が有名である。
  • ワーグナーは、自身のオペラ(多くは楽劇と呼ばれる)から、序曲を廃して前奏曲(フォアシュピール)を置くことをした。劇が始まる前に冗長で劇の開始自体とは関係のない種明かし的な序曲が演奏されることを避け、劇の開始とより一体化した曲を求めたためである。これはより後の時代に受け継がれた。

上に述べた意味の前奏曲ではないが、標題音楽の主題として「前奏曲」を採用したリストの交響詩「前奏曲」もある。

主要曲

ピアノ(鍵盤楽器)独奏曲

前奏曲集

24の前奏曲

J.S.バッハの「平均律クラヴィーア曲集」の「すべての長短調をめぐる」という構成を受け継いだ曲集。ショパンが有名である。ショパンのように五度圏を平行調ごとにめぐる配列、バッハを参考にした半音ずつ同主調ごとに上昇する配列、独自の配列、といったように24曲の調配列については様々工夫がある。また、最初の曲と同じ調(ハ長調)で締めくくる25曲のものもある。

その他

独立した楽曲としての前奏曲(その他の演奏形態)

関連項目



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