テレビアニメ版からの登場人物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 03:03 UTC 版)
「BLOOD-C」の記事における「テレビアニメ版からの登場人物」の解説
劇中の実験「ザ・サバイバル」において「メインキャスト」と呼ばれる役割を与えられている人々や、あるいは役割と関係なく小夜に関わる存在。メインキャスト達の名前はほとんど偽名であり、年齢を偽っている者もいた。 作劇的には、主人公の周囲にアニメの約束事に沿った人物を配置しつつも、敢えて序盤から登場人物同士の人間味や感情の交流を描かないようにすることで視聴者の感情移入を妨げ、物語全体に「薄っぺらくて気持ち悪い」印象を漂わせる手法で描かれている。また、終盤において役割を捨てて本性を現す際には多くの人物が憎まれ役として描写され、視聴者に「殺されて当然」という感情を抱かせることが意図された。脚本を担当した大川によれば、こうした作劇によって「皆を守る」ために戦う主人公の動機に説得力を持たせないようにし、主人公の空虚さや孤独を描くと共に、視聴者に対して退屈でテンプレート化した日常が事件によって破壊される高揚感を抱かせたり、物語のラストシーンでようやく戦う動機を得て不愉快な舞台を後にする主人公に対して共感を持ってもらったりすることが意図されていたとされる。 更衣 唯芳(きさらぎ ただよし) 声 - 藤原啓治 小夜の父で浮島神社の神主。年齢は40代。妻が〈古きもの〉に敗れてこの世を去ってから、小夜を男手一つで育ててきた。「吉祥八卦」と呼ばれる占いで〈古きもの〉の出現場所を予見し、〈古きもの〉と戦える唯一の巫女として、小夜に「御神刀」を託し「務め」を命じているが、その一方で小夜の巫女としての宿命を憂いている様子もある。また、頻繁に怪我ばかりする娘を呆れつつも心配しており、彼女からも盲目的に慕われている。 正体は、人間と〈古きもの〉が交わり生まれた「半面」と呼ばれる存在。人の姿と鬼のような異形の姿の2つを持ち、回想シーンで小夜を拉致した実行犯の姿は彼の異形のものと酷似しており、何らかの事情で文人の管理下に置かれ彼のシナリオに沿い行動していたようである。「吉祥八卦」はでたらめであり、文人から〈古きもの〉をどこでいつ出現させるかの情報を得ていただけである。茶番劇での「小夜の父親」という役割や、過去の妻の存在は偽りだったものの、小夜のことを「初めて逢うことができた、自分と近しい存在」として親近感を抱いており、内心では彼女とともに暮らす生活の幸福を感じつつ小夜を騙していたことに苦悩していた。最終的には文人の策略により小夜の血を飲まされて精神を操られ、浮島神社にあったもう一振りの刀を武器に小夜と戦うことになる。素早い動きとパワーで小夜を圧倒するが、最期は御神刀で両腕を切り落とされ、人の姿に戻って小夜に本心を告げた後に息絶えた。 網埜 優花(あみの ゆうか) 声 - 浅野真澄 小夜のクラスメイト。身長162㎝。気の強い姉御肌的な少女。小夜と親しい友人グループの一人であり、天然気味な小夜のツッコミ役でもある。 三荊学園を襲撃した〈古きもの〉によって屋上で惨殺されるが、実は偽装死であり、その正体は「ザ・サバイバル」にメインキャストとして参加していた人物の1人。本来の性格は理性的で視野が広く敵対者に対しても丁寧語を用いるなど教養の高さが窺える人柄である。実験への参加は政治家になるためで、参加の代価として東京都知事の地位を求めていた。本来の年齢も高校生より上。香奈子の裏切りの際には文人の側につき、終盤に眼前で繰り広げられた惨劇に対して取り乱すことはなく、文人に対して約束の履行を訴えていた。メインキャストの中では唯一、テレビアニメ版の結末まで生き延び、文人と共にヘリで去った。 劇場版では28歳。セブンスヘブンに所属し、文人の秘書業務をしている。物語のラストでは文人亡き後、望んでいた東京都知事の地位を手に入れる。 結果的にTV版から登場したメインキャストの中で唯一最後まで生き残った。 鞆総 逸樹(ともふさ いつき) 声 - 阿部敦 小夜のクラスメイトで、クラス委員長。小夜に好意を抱いているように振る舞い、度々アプローチを掛けるも鈍感な小夜は気付かず、彼の好意を知る友人達からは哀れまれている。 〈古きもの〉が三荊学園を襲撃した際には消火器で果敢に立ち向かい、反撃に遭いつつも、居合わせた生徒の中での唯一の生存者となる。 逸樹もまた「ザ・サバイバル」のメインキャストであり、小夜に好意を抱いていたのも当初は演技上の振る舞いであったが、一方でに本当に「更衣小夜」への好意を抱くようになっていた。一方で、私利私欲にあっさり負け、メインキャストとしての役目を放棄した挙句に、契約違反の行動に出た香奈子達には本気で軽蔑しており、文人の組織が造り出した街中で監視を誤魔化す事が出来ると思っていた彼女(彼)達の舐め切った考えには、溜息をついていた。 香奈子の裏切りの際には文人の側につくが、文人が舞台を引き払う際には、小夜を庇おうとして文人の私設兵達にマシンガンで射殺された。息を引き取る間際に自分の本心を告げ、「更衣小夜」として過ごした小夜もまた本来の小夜の一部分なのだと言い残した。逸樹が契約に当たって求めていた報酬は不明。 総集編では逸樹の視点から物語が描かれている。 劇場版では、彼の正体がサーラットからの潜入員であり、浮島の内部情報を外部に流していたことが殯の口から明かされている。 先述の事から善良な一面もある人物であることが分かるが、エキストラ達が騙された上で惨殺されたことに関しては何とも思わなかったようである。 求衛 のの、求衛 ねね(もとえ のの、もとえ ねね) 声 - 福圓美里(二役) 小夜のクラスメイトで双子の姉妹。外見が瓜二つで見分けが付かないが、三つ編みの髪を向かって右分けにしているのがねねで、左分けにしているのがのの。村に娯楽がほとんどないため、いつも何か面白いことを探し求めている。人懐っこい性格をしており、姉妹一緒に感情を表すことが多い。 学校で香奈子が持ちかけた怪談に興味を示したため、〈古きもの〉に襲われることになる。最初にねねが浮島神社に現れた〈古きもの〉の手に、次にののが白昼の街中に現れた〈古きもの〉の手により、それぞれ小夜の目の前で別々に無残な最期を遂げる。 しかしこの死は偽装であり、後に香奈子の裏切りに加担する形で小夜の前に姿を現す。この際には、三つ編みの髪の位置と自分が使っていた偽名が逆になっていた(漫画版では逆になっておらず、後述の彼女の末路はアニメ版に準じている)。実験の中で見せた性格は全て偽りであり、本来の性格は凶暴かつ残虐で血の気が多く、凄惨な暴行を他人に行っていた経験をもほのめかし、悪事も「バレなければ良い」としか思っていない。また犯罪に手を染めた経歴もかなり多いようで、それらが明るみに出ると就職どころか日常生活にも支障を来たすほどのレベルらしい。今後の就職活動を円滑に進めるため、かつての犯歴を帳消しにする条件で茶番劇へと参加した。 芝居に飽き、元の生活へ戻ろうと香奈子に協力、文人が現れると一転して彼に媚びを売り始めたが、「演じられない役者には舞台を降りてもらう」という文人の言葉を受けた〈古きもの〉により、ねねは捕らわれて全身を地面に何度も強く叩き付けられ、ののは同じく両足を掴まれて股裂きにされるという方法で惨殺され、それぞれ喰われる形で粛清された。なお〈古きもの〉から逃亡しようとした際、ののはねねを転ばせて自分だけ助かろうとしており、姉妹間の感情も至って薄情なものであったことを窺わせている。 時真 慎一郎(ときざね しんいちろう) 声 - 鈴木達央 小夜のクラスメイト。無口でクールに振る舞い、他のクラスメイトとはあまり関わりを持たないが、小夜には興味を持っているかのように接する。後に小夜の戦いの場に居合わせ、彼女が日々〈古きもの〉と戦っていることを知るが、そのことを知りつつも小夜に告白する。クラスが襲撃された際には幸運にも不在で難を逃れたが、その後に浮島神社に現れた〈古きもの〉の手にかかり、遺体を残さずに消滅した。 しかしそれは偽装死で、慎一郎もまた「ザ・サバイバル」のメインキャストであった。小夜に告白したのは偽りで、本心では小夜を「化物」と呼び忌み嫌っている。また、本性の言動も粗暴極まりないもので、優花に皮肉で契約違反を指摘された際には逆上している。ののやねね程ではないが、常人と比べればその本質はやはり冷酷といえる。 茶番劇には金銭目的の為だけに参加。理由は明かされないものの「命がかかっている」というほどに金銭に執着し、進展のない状況に強い苛立ちを見せており、借金か何かで追われている身であった模様。 既にキャストとしての役目を終えていながら我慢が出来なくなり、金さえ貰えれば何でも良いと形振り構わない考えで香奈子の裏切りに加担。それがバレて文人が現れた時には、図々しくも今までの出演料を払えと言い出すが、彼の放った〈古きもの〉に頭を潰された後に喰われる形で、最初に粛清された。 筒鳥 香奈子(つつとり かなこ) 声 - 宮川美保 小夜のクラス担任の理科教師。本人いわく「分からないことは我慢できない」性格。元は「学校で教えているのとは違う」科学分野の研究職で、教師になったのは「この仕事でないと分からないこと」があるためと語っている。 課外授業で、〈古きもの〉について語ったり小夜に忠告するなど、その言動に謎が多い人物で、「昔から古い文献の伝記や神話などの書物に興味を持ち、実物である本物を見たいからこの街に来た」と語っている。 「ザ・サバイバル」のメインキャストであり、本来は百人一首に隠された〈古きもの〉について研究する学者。「朱食免」及び〈古きもの〉と小夜の実在を主張し続けていたため学会から白眼視されており、学界を追放されないためにも、その実在の証拠を確かめるために実験へと参加していた。成果を早く出そうと焦っており、実験が長引いていることに苛立って、求衛姉妹と真一郎をそそのかし、本来のシナリオを歪める形で小夜に真実を突きつけ、辛辣な言葉で覚醒を促す。しかしこのことは文人には筒抜けであり、裏切り者として粛清対象となる。〈古きもの〉に喰われかけ小夜に助けられたものの、小夜の血を飲まされて理性を失った唯芳に首を噛まれ死亡。そして遺体は唯芳によってどこかに投げ出された。 文人は香奈子が裏切ることを予想していたため、彼女には最初から偽物の呪符を持たせていた。
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