エッソスの未踏の地
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/08 10:08 UTC 版)
「氷と炎の歌の世界」の記事における「エッソスの未踏の地」の解説
物語上で言及はされるものの、直接は登場しない地域。その多くがウェスタロスから遠く離れており、名前以外は殆ど知られていない場所であり、未邦訳の書籍『The World of Ice & Fire』にしか記述のない土地も多数含まれている。 アッシャイ しばしば“影に触れるアッシャイ”(“影のほとりのアッシャイ”)と呼ばれ、エッソス大陸のはるか東、ドスラクの海の南にある港湾都市。アッシャイに行くことは“影の下を通る”と表現されることもある。アッシャイは翡翠海に面して賑わう交易地であり、黒アメジスト、琥珀、黒曜石(ドラゴングラス)を輸出する。当地には多くの秘密の知識が蓄えられている。他のどの地よりも、ドラゴンに関する伝承を伝えているらしい。アッシャイには ウェスタロスのメイスターも住む。また、アッシャイの古代の書には、ル=ロール( ルラー)の教団が信じる、“アゾル・アハイ”(“エイゾール・アハイ”)の予言が記録されている。アッシャイとそこに住む人々は、他の土地では不吉な評判を立てられている。アッシャイ人は、青白い肌で、多くは赤い髪であり、暗く重々しい表情を浮かべがちである。ドスラク人は、アッシャイ人は〈影の卵〉であると信じている。〈影の土地〉とアッシャイを含む地域は、単に〈影〉と呼ばれることがある。 イ・ティ クァースから山脈と海峡を隔てた東にある地。南東部が影の土地に接している。ウェスタロスの人々にとって、イ・ティの土地と人々は、伝聞上の存在でしかない。しかしヴァエス・ドスラク等、エッソス西部の諸都市では、猿の尻尾で作られた帽子を被たイ・ティ人の姿が目撃される。彼らは夜の獅子と呼ばれる神を信仰しており、明るい目をしている。独自に発達した高度な文明と、長い歴史を持っており、中国を中心とする極東地域をモデルに描かれている。『The World of Ice & Fire』の記述によれば、西方でヴァリリアの繁栄していた数千年前から黄・青緑・緋・紫・真珠・濃紅・翡翠・藍・灰・橙・紺という、色の名を冠する11の王朝が交代し、氷と炎の歌の時代は紺碧朝の第17代皇帝ブー・ガイ(Bu Gai)の統治下にあるという。 ジョゴス・ナイ イ・ティの北方に広がる広大な平原とそこに住む遊牧民。『The World of Ice & Fire』で言及される。イ・ティの帝国はしばしばこの地を支配下に納めようと試みてきたが、大抵の場合失敗するか一時的なものに終わっている。その関係は歴代の中国王朝とモンゴル等の北方騎馬民族との関係に類似している。ドスラクの海とは山脈で隔てられており、この地の民が山脈の西側に来ることは滅多に無いものの、奴隷商人湾の諸都市の奴隷や剣闘士の中に少数ながら見られる。 イッベン エッソス本土から鯨湾を隔てた北の海に浮かぶ島々。最大の島はイブ島でイッベンの港と都市イブ=ノールがある。かつては神王と呼ばれる君主が統治していたが、ヴァリリアの崩壊後は貴族、司祭及び豪商からなる影の評議会によって治められている。ドラマの中でティリオンがマンモスの徘徊する地として言及し、その後小説でも名前が登場した。 影の土地 はるか東の土地。既知の世界の東の端に位置し、アッシャイの隣あるいは向こう側にある。西方世界では〈影の土地〉に関する種々の物語が語られるが、どこまでが真実なのかは明らかでない。石化したドラゴンの卵は〈影の土地〉からもたらされ、ドラゴン自身が〈影の土地〉に起源を持つと言われている。ドスラク人は、〈幽霊草〉が〈影の土地〉を覆い、その茎は闇に光り、馬上の人よりも高く育つと信じている。この土地に生まれたものは〈影の人々〉と呼ばれ、体を刺青で覆い、赤い漆塗りの木の仮面をつける。彼らは陰気で恐ろしい存在として描かれている。彼らの中には、血の犠牲を必要とする呪文を用いる、血の魔法を使う者もいる。〈影の土地〉とアッシャイは合わせて〈影〉と呼ばれることが多い。 Cannibal Sands 直訳すると人食い族の砂漠。影の土地の北にある砂漠。名前の通り、人肉を食らう部族が住んでいるとされる。『The World of Ice & Fire』で言及され、邦訳書籍には未登場。 Grey Waste 直訳すると灰色の荒野。影の土地の北にある砂漠。この地より東に何があるのかは不明。『The World of Ice & Fire』で言及され、邦訳書籍には未登場。 Mossovy ジョゴス・ナイの東、Grey Wasteの北にあり、北の海の沿岸地域に広がる森林地帯。七王国の司祭たちはこの森の端で世界が終わっていると言及するが、実際に森の向こうに何があるのかは知られていない。『The World of Ice & Fire』で言及され、邦訳書籍には未登場。 Thousand Islands 直訳すると千諸島。Mossovyの沿岸一帯の島々。既知の世界の北東の端。緑がかった肌の住民が住んでいるとされる。『The World of Ice & Fire』で言及され、邦訳書籍には未登場。 Ulthos 影の地から狭い海峡を隔てた南の土地。深い密林に覆われている事以外は何も知られていない。島なのか、或いは大陸の一部なのかも不明で、同じく殆どが未踏のソゾリオスと地続きである可能性もある。『The World of Ice & Fire』で言及され、邦訳書籍には未登場。 夏諸島 エッソスとウェスタロスの南側にある〈夏の海〉に浮かぶ、一つの国家をなす島々。美しい鳥、類人猿、そして猿が住む。〈高木の町〉(〈高い木の町〉)の港は首都の役割を負う。夏諸島の住民は、独自の言語を話し、しばしば明るい色の羽毛のマントを着る。肌は黒く、魚と果物を食する。ウェスタロスにはワイン、香辛料、羽毛、そして弓を作る特殊な木材を輸出する。弓術は夏諸島人にとって重要な武技である。その独特な弓は他の弓よりも飛距離が長く、海賊から商船を守るすぐれた防御となる。性は神々からの贈り物と見なし、愛の行為によって神々を崇拝する。高貴な生まれの若い男女の多くは、神々を讃えるために売春施設に数年間勤める。 ヴァリリア かつて古代ヴァリリア永世領と呼ばれる大帝国の首都であったが、以来廃墟となっているかつての驚異の都市。絶頂期において、古代ヴァリリア永世領は最先端の文明であり、既知の世界では圧倒的な軍事と文化の力を保有していた。エッソス南岸の半島に位置し、ターガリエン家の古の故郷である。 かつては強力なギスカル帝国がヴァリリアの拡大を阻止しようとして5回の戦争を戦ったが、いずれもヴァリリアが勝利した。最後の戦争でギスカル帝国とその首都は破壊された。続く年月の間にヴァリリアは多くの地を征服して植民地とし、数々の大都市、およびヴァリリアを中心とした街道を建設した。アンダルやロインのような小国家はヴァリリアの拡大を逃れるために西へ逃げ、ウェスタロスに上陸した。ヴァリリアは征服した土地から多くの奴隷を得て地中深く鉱脈を掘らせた。国力が頂点に達した頃、自由保有地は東方のほぼ全体に広がった。古代ヴァリリアによって建設された都市にはオロス、マンタリース、ティリア、そしてブレーヴォスを除くすべての自由都市がある。 古代ヴァリリアは、 『氷と炎の歌』の出来事の数百年前、〈破滅〉が訪れた時に崩壊した。〈破滅〉は明らかに火山に関係したものであるが、ヴァリリアの街を取り巻く土地をばらばらに壊して小さな島々となし、島々の間には〈煙立つ海〉を作った。現在、この地域は“悪魔が出る”として描かれており、多くの人はこの土地に行くことを恐れ、“〈破滅〉がいまだにヴァリリアを支配する”と言われる。8つのヴァリリア自由都市が〈破滅〉を生き延び、ターガリエン家がドラゴンストーンに逃げおおせたにもかかわらず、ヴァリリアの文化、言語そして工芸のほとんどは〈破滅〉で失われた。 ヴァリリアは、ドラゴンを育成して戦争の兵器として使うという、特殊な力によって記憶されている。その軍事力のほとんどはドラゴンの戦場での有効性に負うものであり、〈征服戦争〉においてウェスタロスの王たちの数多の恐るべき軍を破ったのは、エイゴン・ターガリエンとその姉妹たちの、ドラゴンを支配する力であった。ヴァリリアはまた、比類なき質の武器となる〈ヴァリリア鋼〉と呼ばれる特別な金属を鍛えたことでも知られる。〈ヴァリリア鋼〉の刃は、通常の鋼に比べて軽く強く鋭く、ダマスカス鋼に類似した独特の刃紋を持つことが特徴である。この金属を新しく作る秘密は明らかにヴァリリアとともに失われており、貴重品である。ただし、既存の剣を溶かして鍛え直すことはできる。ウェスタロスに残るほとんどのヴァリリア鋼の剣は高貴な名家の家宝となり、それぞれが名前と物語を持っている。スターク家の大剣アイスはそのような剣の一つである。
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