エチオピア航空
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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/31 14:31 UTC 版)
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法人番号 | 1700150095842 | |||
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設立 | 1945年12月21日 | |||
ハブ空港 | ボレ国際空港 | |||
マイレージサービス | Sheba Miles | |||
会員ラウンジ | Sheba Lounge, Cloud Nine Lounge | |||
航空連合 | スターアライアンス | |||
親会社 | エチオピア連邦民主共和国政府(100%) | |||
保有機材数 | 147機 | |||
就航地 | 89都市 | |||
本拠地 | ![]() |
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代表者 | Tewolde Gebremariam(CEO) | |||
外部リンク | https://www.ethiopianairlines.com/ |

エチオピア航空(エチオピアこうくう、アムハラ語: የኢትዮጵያ አየር መንገድ 英語: Ethiopian Airlines)は、エチオピアのアディスアベバを本拠地とするアフリカ最大の航空会社。株式の100%をエチオピア政府が所有する[1]、エチオピアのフラッグ・キャリアでもある。国内線は22都市、国際線はアフリカ62都市を含め世界でおよそ120都市へ乗り入れている。
歴史
設立まで
第二次世界大戦終結後、エチオピア皇帝ハイレ・セラシエ1世は、近代化の一環として、米国、英国、フランスに航空会社の設立を支援するよう要請した。BBCニュースでは、皇帝はエチオピアの貧困の印象を払拭するために、高品質な国営航空会社の創設を目指していると報道された。
設立
- 1945年12月30日に設立された。
- 5機のダグラスDC-3型機を使用して、1946年4月8日に運航を開始した。
- 1950年、コンベアCV-240を導入。
- 1955年に、自社所有の整備施設を開設。
- 1958年にフランクフルトへの長距離路線の運航を開始。
- 1959年1月1日、国際航空運送協会(IATA)に加盟。
- 1962年12月、初のジェット機となるボーイング720型機を受領、1963年1月、ナイロビ線に投入された。
- 政府直轄の航空事業であったが、1965年にエチオピア政府100%出資の株式会社へ業態を変更した。
- 当初は運航にあたってトランス・ワールド航空の支援を受けていたが、1971年以降は全ての運航をエチオピア人により行っている。
- 1973年、コンチネンタル航空からボーイング720B2機を購入[2]。
- 1982年、アフリカの航空会社で初めて、ボーイング767を発注した。また、ボーイング767-200ERを発注したのは世界初[3][4]。
- 1984年6月1日、ボーイング767を使用して、ワシントンD.C.-アディスアベバ間の12,100km(7,500マイル)を直行で飛行し、双発機の最長飛行距離記録を樹立した[5]。
- 1991年、ボーイング757貨物機を世界で初めて受領[6]。
- 1997年、航空機メーカーのフォッカーが破綻し、最期にフォッカーの航空機を受領した会社となった[7]。
- 1998年には大西洋線に進出した。
- 2010年9月29日にスターアライアンス社長会が加盟を認可[8]し、2011年12月13日に正式加盟した。
- 新型コロナウイルス感染拡大により航空需要が急激に減少した2020年3月、他社に先駆けて貨物事業に重点を転換し、医療物資に特化した輸送事業を始めた。保有する旅客機110機のうち、22機を貨物専用に転用し、12機だった貨物機を34機にまで増やした。
日本との関係
日本への運航路線
便名 | 路線 | 機材 | コードシェア | ||
---|---|---|---|---|---|
ET672/673 | 東京/成田 | ソウル/仁川経由 | アディスアベバ | ボーイング787-8 | NH、OZ |
コードシェア
日本との歴史
- 2014年10月16日に国土交通省から外国人国際航空運送事業の許可を得て[9]、同年10月26日より全日本空輸(ANA)とのコードシェアを開始[10]。
- 2014年12月20日にはアディスアベバ-香港-成田線を開設予定[11]であったが、就航が延期され[12][13]、2015年4月22日に就航した[14]。
- 2018年6月2日よりソウルに寄港地を変更した。[15](日韓間での利用も可能)
- 2023年10月29日から、週6便に増便し、最新鋭のエアバスA350-900型機を投入[16]。
機材
ボーイング製航空機の顧客番号(カスタマーコード)は60である。
ボーイング787の同社向け初号機(ET-AOQ)は、2012年8月14日に受領済み。ボーイング787受領は、全日本空輸、日本航空に続き、3番目。同社は同型機のバッテリートラブルによる世界的な運航停止後、2013年4月27日に世界で初めて商業運航を再開した。しかし、その運航開始初便で使用された『ET-AOP』は、2013年7月12日にボレ国際空港からロンドン・ヒースロー国際空港に到着後、全電源を落として数時間後、機体後部にて火災が発生し、機体上部が損傷し、外部からも外板が薄く焦げて変色してしまった。これに関しては前述のバッテリーからは場所が離れていて英国航空事故調査局などの当局もバッテリーとの関連は否定している。
保有機材
機材 | 保有数 | 発注数 | 座席数 | 備考 | |||
---|---|---|---|---|---|---|---|
C | Y | 計 | |||||
エアバスA350-900 | 20 | 11[19][20] | 30 | 318 | 348 | 6機のオプション付き[21] | |
エアバスA350-1000 | 3 | 1[20] | 46 | 349 | 395[22] | A350-900発注分のうち4機を振り替え[23] | |
ボーイング737-700 | 2 | - | 16 | 102 | 118 | ||
ボーイング737-800 | 6 | - | 16 | 138 | 154 | ||
ボーイングBBJ2 | 1 | - | VIP | ||||
ボーイング737-8 MAX | 20 | 30[24] | 16 | 144 | 160 | 26機のオプション付き[25][26][27] | |
ボーイング777-200LR | 6 | - | 34 | 287 | 321 | ||
ボーイング777-300ER | 5 | - | 34 | 365 | 399 | ||
28 | 333 | 361 | |||||
ボーイング777-9 | - | 8[28] | 未定 | 12機のオプション付き[29] | |||
ボーイング787-8 | 19 | - | 24 | 246 | 270 | ||
ボーイング787-9 | 10 | 11[27] | 30 | 285 | 315 | 15機のオプション付き[27] | |
デ・ハビランド・カナダ DHC-8-Q400 | 30 | - | 7 | 60 | 67 | ||
64 | 71 | ||||||
- | 78 | 78 | |||||
貨物用機材 | |||||||
ボーイング737-800BCF | 1 | - | 貨物 | ||||
ボーイング737-800SF | 3 | - | 貨物 | ||||
ボーイング767-300BDSF | 2 | - | 貨物 | 旅客型からの改造 | |||
ボーイング767-300F | 2 | - | 貨物 | ||||
ボーイング777F | 12 | 3[30] | 貨物 | ||||
ボーイング777-8F | - | 5[31] | 貨物 | ||||
計 | 142 | 69 |
退役機材
- ATR 42
- エアバスA330-200(XLエアウェイズよりリース)
- エアバスA340-300
- ボーイング707-320C
- ボーイング720
- ボーイング727-200
- ボーイング737-200
- ボーイング737-400
- ボーイング757-200
- ボーイング767-200ER
- フォッカー 50
- マクドネル・ダグラス MD-11F
ギャラリー
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エアバスA350-900
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ボーイング707-320C(旧塗装、写真は貨物用)
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ボーイング720(旧塗装)
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ボーイング727-200adv(旧塗装)
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ボーイング737-200adv
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ボーイング737-700
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ボーイング737-800
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ボーイング737MAX 8
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ボーイング757-200
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ボーイング767-200ER
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ボーイング767-300ER
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ボーイング767-300ER(スターアライアンス塗装)
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ボーイング777-200LR
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ボーイング777-300ER
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ボーイング777F
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ボーイング787-8
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ボーイング787-9
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フォッカー 50(旧塗装)
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マクドネル・ダグラス MD-11F
就航都市
コードシェア
エチオピア航空は以下の航空会社とコードシェア契約を結んでいる。[34]
スターアライアンス加盟会社
- 中国国際航空
- エア・インディア
- アシアナ航空
- シンガポール航空
- エア・インディア
- 深圳航空
- 全日本空輸
- ルフトハンザドイツ航空
- スカンジナビア航空
- オーストリア航空
- エーゲ航空
- TAPポルトガル航空
- エア・カナダ
- ユナイテッド航空
- ターキッシュエアラインズ
- エジプト航空
- タイ国際航空
その他の会社
- マレーシア航空(ワンワールド)
- エア・ヨーロッパ(スカイチーム)
- ITAエアウェイズ(スカイチーム)
- サウディア(スカイチーム)
- ルワンダ航空
- LAMモザンビーク航空
- ASKY航空
- ナミビア航空
- エール・コートジボワール
- アズールブラジル航空
- クウェート航空
- オマーン・エア
- エル・アル航空
- ガルフ・エア
- エリトリア航空
サービス


エチオピア航空にはクラウドナイン[35]とエコノミークラス[36]の2クラスがある。この2クラスは大半の便で利用可能だが、一部のDHC-8-Q400はエコノミークラスのみの設定となっている。
飲食サービス
全フライトの全クラスで、機内食と無料のドリンクを提供してれる。機内食は飛行時間や時間帯に応じて提供される。追加料金を払えば、特別な飲み物を注文することもできる。また特別な食事を希望する乗客のために様々なメニューを提供している[37]。
機内エンターテイメント
クラウドナイン
ビジネスクラス座席。睡眠用シートや15.4インチのIFE画面で85チャンネルを視聴できるオンデマンドのオーディオ・ビデオサービス、ワイヤレスストリーミングを提供している。
エコノミークラス
軽食からフルコースまで、飛行時間や時間帯に応じて様々な食事やアメニティが用意される。リクライニングシートや80チャンネル、8.9インチのスクリーンを備えたオンデマンド・オーディオ・ビデオサービスが利用できる。
ラウンジ
ボレ国際空港で、2つのラウンジを運営している。両ラウンジでは、フライトに関するあらゆる問い合わせに対応するためのカスタマーサービスが利用できる。
クラウドナイン・ラウンジはアディスアベバ発のクラウドナイン利用客専用のラウンジである。ただしアディスアベバ発の乗継便がエコノミークラスの場合は利用ができない。各種飲食物やアメニティ、パソコン、テレビ、ワイヤレス接続が利用でき、また、各便の出発時刻をカスタマーサービスが直接アナウンスを行う。
シーバマイル・シルバーラウンジは、シルバー会員カードを所持しているシーバマイル会員が利用できるラウンジ。各種軽食やパソコン、テレビが利用できる。
脚注
- ^ Company Profile(エチオピア航空公式サイト)
- ^ “1973 | 1941 | Flight Archive”. www.flightglobal.com. 2025年7月31日閲覧。
- ^ “1983 | 0717 | Flight Archive”. www.flightglobal.com. 2025年7月31日閲覧。
- ^ “boeing | mcdonnell douglas | 1983 | 0003 | Flight Archive”. www.flightglobal.com. 2025年7月31日閲覧。
- ^ “Boeing: News Features - Commercial Airplanes - Seven Series - 767”. www.boeing.com. 2025年7月31日閲覧。
- ^ “airbus industrie | boeing | 1990 | 2759 | Flight Archive”. www.flightglobal.com. 2025年7月31日閲覧。
- ^ “CNN.com - The Fokker 50: Facts and figures - Nov. 6, 2002”. edition.cnn.com. 2025年7月31日閲覧。
- ^ ETHIOPIAN AIRLINES ACCEPTED AS FUTURE STAR ALLIANCE MEMBER CARRIER - Star Alliance
- ^ 外国人国際航空運送事業の経営許可について 国土交通省 平成26年10月16日
- ^ ANAとエチオピア航空、コードシェア提携を開始 ANAプレスリリース・2014年10月17日
- ^ エチオピア航空、東京/成田〜香港〜アディスアベバ線を12月20日開設へ! TRAICY 2014年9月15日付
- ^ Ethiopian to Start flights to Tokyo(エチオピア航空プレスリリース 2015年1月11日)
- ^ 日本とアフリカ結ぶ定期便 就航延期に NHKニュース 2014年10月20日
- ^ “エチオピア航空就航 アフリカ路線が復活 成田空港”. 千葉日報(千葉日報社). (2015年4月23日)
- ^ アディスアベバ〜香港間は存続
- ^ “エチオピア航空、成田線 週6便へ増便!A350投入で輸送力54%アップ | FlyTeam ニュース”. FlyTeam(フライチーム). 2025年4月9日閲覧。
- ^ “Ethiopian Current Commercial Fleet” (英語). Ethiopian Airlines. 2024年12月7日閲覧。
- ^ “Ethiopian Airlines Fleet Details and History” (英語). Planespotters.net. 2024年12月7日閲覧。
- ^ “エチオピア航空、エアバスA350-900型機を11機追加導入へ 覚書締結”. TRAICY (2023年11月15日). 2024年3月6日閲覧。
- ^ a b “Orders and deliveries”. Airbus. 2024年12月7日閲覧。
- ^ “Coming Next Year: Ethiopian Airlines Chooses Thales’ AVANT Up IFE System For New Airbus A350-1000s” (英語). Simple Flying (2023年11月16日). 2024年3月6日閲覧。
- ^ “Africa's 1st Airbus A350-1000 To Enter Service In November—Thoughts?” (英語). Simple Flying (2024年10月7日). 2024年10月12日閲覧。
- ^ “Ethiopian Airlines Orders Africa’s First A350-1000” (英語). Ethiopian Airlines (2022年7月28日). 2024年3月6日閲覧。
- ^ “Boeing Commercial Airplanes” (英語). Boeing. 2024年12月7日閲覧。
- ^ “Boeing, Ethiopian Airlines Announce Order for 20 737 MAX 8s - 20 September, 2014” (英語). Ethiopian Airlines (2014年9月20日). 2024年3月6日閲覧。
- ^ “Boeing, Ethiopian Airlines Commitment to Purchase Two 777 Freighter Additional order announcement for a further 10 737 MAX 8s, extending largest 737 MAX order by an African carrier June 21, 2017” (英語). Ethiopian Airlines (2017年6月21日). 2024年8月11日閲覧。
- ^ a b c “エチオピア航空、ボーイング機を最大67機発注”. TRAICY (2023年11月14日). 2024年3月6日閲覧。
- ^ “Ethiopian Airlines to Expand Widebody Fleet with Up to 20 Boeing 777X Jets” (英語). Boeing (2024年3月5日). 2024年12月7日閲覧。
- ^ “エチオピア航空、777Xを最大20機発注”. Aviation Wire (2023年3月6日). 2024年3月6日閲覧。
- ^ “Ethiopian Airlines and Boeing Announce Order for Five 777 Freighters” (英語). Ethiopian Airlines (2022年5月22日). 2024年8月11日閲覧。
- ^ “Ethiopian Airlines and Boeing Sign Memorandum of Understanding for New 777-8 Freighter” (英語). Ethiopian Airlines (2022年3月4日). 2024年8月11日閲覧。
- ^ [1]
- ^ [2]
- ^ [3]
- ^ [4]
- ^ [5]
- ^ “Ethiopian | Food & Beverages”. www.ethiopianairlines.com. 2025年7月31日閲覧。
事故・事件
- エチオピア航空708便ハイジャック事件
- エチオピア航空604便不時着事故
- エチオピア航空961便ハイジャック墜落事件
- エチオピア航空702便ハイジャック事件
- エチオピア航空409便墜落事故
- エチオピア航空302便墜落事故
- エチオピア航空3739便火災事故
外部リンク
- エチオピア航空のページへのリンク