証券取引所
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/12/02 00:50 UTC 版)
概要
経済の発展に欠かせない資金調達と資本運用の双方が効率的に行われるようにするため、株式および債券の需給を取引所に集中させ、流動性の向上と安定した価格形成を図ることがその主な役割である。
日本国内では元来は金融商品取引法(旧証券取引法)で認められた特別法人であったが、株式会社金融商品取引所への移行が進んでいる(→後述の#証券取引所の形態参照)。 なお、証券取引法の金融商品取引法への改正に伴い、日本では法律上「金融商品取引所」と規定されているが、名称又は商号に「取引所」という文字を用いなければならないとされるにとどまるため、各証券取引所においては、東京証券取引所との経営統合に伴い、デリバティブ取引専門取引所に転換した大阪取引所(旧大阪証券取引所)を除いて従来どおりの名称が2015年現在も利用されている。
株式および債券の購入や売却について、一般の投資家(個人投資家、取引所会員証券会社以外の機関投資家)が証券取引所で直接取引を行うことはできず、会員である証券会社を通じて取引を行う(委託売買)か、直接当事者間で取引を行う相対売買で取引することになる。
歴史
12世紀頃、フランスにおいて、銀行が代表して農村の債務を、取引し管理する「courratiers de change」と呼ばれるシステムが存在していた。そして、現在でいう株式仲介人(ブローカー)がこういった所で債権の取引きを行っていった。
欧米圏での「証券取引所」の語源であるフランス語の「Bourse」は、13世紀頃にラテン語で「鞄」を意味する「bursa」から派生して誕生したとも言われている。
13世紀中頃、イタリア(神聖ローマ帝国)では、ヴェネツィアの銀行員が政府の証券の取引きを行っていたことが知られており、他にはピサ、ヴェローナ、ジェノヴァ、フィレンツェ等でもそれぞれの政府の証券が取引きされていた。
神聖ローマ帝国の領邦にあった北ヨーロッパの貿易都市は12世紀初頭にハンザ同盟を結成した。その一つであるベルギーのブルッヘでは、証券取引業者らが13世紀後半頃に「Van der Beurze」と呼ばれる一族の家で集会を行っていたが[1]、これが1309年に制度化され、「Bruges Bourse」が開催された。 この制度は近隣諸国に広がり、ヘントやアムステルダムなどヨーロッパ中で次々に「Bourse」が開かれていくようになり、「Bourse」は「証券取引所」を意味するようになった。13世紀末までにはリューベックがハンザ都市のリーダーとして認められるようになった。
14世紀にはハンザ同盟とデンマーク王国(ヴァルデマー4世)との戦争が勃発したが1370年にはシュトラルズントの和議が締結された。1388年にハンザ同盟はイングランド商人にも特権を与えるようになった。
1531年にはアントウェルペン証券取引所が世界で初めて証券取引所として建設されヨーロッパの貿易拠点として栄えた。ここでは商品それ自体よりもその受領書、さらに、為替手形、預金証書、各種の公債などの証書が取り引きされていた。
イングランド(エリザベス1世)は1565年、ロンドン王立取引所(当初の呼称は「ブルス」、フランス語: Bourse)を開いた。一方、フランシス・ドレークなどスペインなど他国の海上輸送を妨げる海賊も活動した[2]。
株主に企業へ投資させて、その利益と損失を共有する株式会社のシステムはオランダから始まった。1602年にオランダ東インド会社がアムステルダム証券取引所で世界で最初の株券を発行し、有価証券を発行した世界初の会社となっている。
株式組織の取引所は、元々諸外国には存在せず、世界に先駆けて日本で特別に発達したが、太平洋戦争中に一時姿を消した。戦後に、株式組織の取引所が諸外国でみられるようになり、日本でも、再びみられるようになった。
主要証券取引所
- ^ Van der Beurze
- ^ エイミー・バトラー・グリーンフィールド 2006, p. 1.
- ^ 東京証券取引所売買立会時間の変遷pdf
- ^ “東証、昼休み30分短縮へ=5月連休明けの実施目指す”. 時事通信社. (2010年11月10日) 2011年2月15日閲覧。
- ^ 東京証券取引所 2011年4月8日発表
- ^ 東京証券取引所 2011年11月19日発表pdf
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