2021年度認定遺産一覧
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/02 04:15 UTC 版)
「機械遺産」の記事における「2021年度認定遺産一覧」の解説
Collection 105 国産初の電気搾乳機 バケットミルカー DK-5Ⅱ型 - オリオン機械の前身・共栄精機製作所の太田三郎らは輸入品の搾乳機の構造を参考にして、自社の真空ポンプ技術と組み合わせ1957年(昭和32年)国産初の電気搾乳機を開発した。輸入品に比べ安価で性能も劣らず、酪農家を手搾りの重労働から解放した。牛乳の安定供給を実現するなど、国民の健康増進にも大きく貢献した。搾乳機構は現在でも同様である。(長野県) 106 平歯車研削盤 ASG-2形 – 機械要素の一つである歯車を部品として用いる機械に組み入れ、その歯車に起因する騒音や振動の発生を出来るだけ少なくする対策として、研削加工による歯車を製造する歯車研削盤は昭和の時代となっても日本には無かった。岡本工作機械製作所の前身・岡本専用工作機械製作所の創業者・岡本覚三郎は呉海軍工廠からの注文で歯車研削盤の設計に着手し、多くの試行錯誤を経て1930年(昭和5年)に国産初の平歯車研削盤「ASG-2形」を完成させた。1945年(昭和20年)までに13台製造され、その1台が日本工業大学工業技術博物館に保存される。歯車を交換することにより、歯数などが異なる歯車の加工に対応できる独創的な機構を有している。(埼玉県) 107 江戸前寿司自動にぎり機 ST-77 寿司ロボット1号機 - 1981年(昭和56年)鈴茂器工創業者・鈴木喜作が減反政策に対して、米の消費を拡大したいと考え開発したにぎり寿司のシャリを握るロボットである。寿司職人の握る一連の高度な動作を徹底的に研究し「つまんで崩れず、口に含んでほぐれる食感」と同じ完成度を実現した。1時間に1,200貫の成形が可能でとなり、安価に国内外に回転寿司の発展と寿司の大衆化を広めた原動力となった。(埼玉県) 108 新幹線開発に貢献した車両試験装置 - 鉄道車両の走行状態を研究する目的で設置した定置式模擬試験装置である。最も標準的な車両1両を試験装置上に搭載する実車試験(最高速度250km/h)の他に、台車1台単体の試験(最高速度350km/h)が可能なもので1959年(昭和34年)に日立製作所によって製造・設置、翌年に東海道新幹線用試作台車による試験が開始された。台車の仕様が決定されるなど、新幹線車両の開発に貢献した。その後主要な試験を1990年(平成2年)完成の高速車両試験装置(最高速度500km/h)に譲ったが、当試験装置も活用されている。(東京都) 109 日本現存最古のピッチングマシン カタパルト式:型式KS-P型/型式AR型 – カタパルト式ピッチングマシンは斉藤八雄が日本で最初に設計した。KS-P型は1958年(昭和33年)に、AR型も同時期に製造され、ともに中日ドラゴンズで使用された。1分間に12球の直球や変化球を投球でき投手15人分の働きと等しく、主力投手がバッティング投手を行っていたものの代替としての役割は大きかった。その後アーム式や回転式などが開発され、野球の醍醐味を手軽に満喫できるバッティングセンターの発展につながった。(東京)(岐阜県) 110 携帯用電気カンナ モデル1000 – アメリカ製電動鉋(かんな)を見本として、日本の建築材に対応した切り幅や小型軽量化をはかり、日本の大工作業に適した携帯用電気カンナとして、1958年(昭和33年)にマキタによって開発・発売された。それまで大工職人による鉋がけ作業は重労働で熟練を要したが、電気カンナを使い大工仕事の未経験者でも容易に鉋がけができ、その後急速に普及し大工道具の電動工具化につながった。商用電源100Vで使用でき、刃幅120mmのカンナ刃2枚組が毎分13,000回転し、毎分26,000カットの高速で、堅木、軟木を問わず、逆目(さかめ)もきれいに削ることができた。(愛知県) 111 造幣局創業期の硬貨圧印機 ウールホルン硬貨圧印機とトネリエ硬貨圧印機 – 1871年(明治4年)創業の造幣局は地金の融解と鋳造、圧延、打抜き、蒸気機関駆動のプレスにより硬貨を製造する大規模な金属機械工場であった。ドイツ技術者ディートリッヒ・ウールホルン(英:Diedrich Uhlhorn)が1817年に発明し1871~1873年にドイツから10台が輸入されたもので毎分約40枚の圧印能力である。一方の圧印機はフランスの技術者ニコラス・トネリエが開発した1857年のフランス製で、閉鎖されていた香港造幣局から購入した8台のうちの1台が保存され、性能は毎分50枚の硬貨を圧印できた。(大阪府) 112 回転ずしコンベア機 新しい食文化の創造 – 現存最古の回転寿司チェーン式コンベア機、および、初期型の寿司皿を載せるコンベア板である。1958年(昭和33年)4月に開業した「廻る元禄寿司」1号店に始まる。元禄寿司の白石義明は、すしの大衆化を目指しビール工場の製造ラインからヒントを得て、回転するコンベアに寿司皿を乗せ来客の前を循環させるというシステムを開発した。初期型の「うろこ」または「三日月」と呼ばれた独特な形状の寿司皿を載せるコンベア板である。(大阪府) 113 静荷重杭圧入引抜機 サイレントパイラー KGK-100A – 高度経済成長期に「建設公害の元凶」といわれた杭打機の騒音、振動が深刻化していた1975年(昭和50年)に完成された圧入工法のサイレントパイラーは打撃工法代わるもとなった。技研製作所の創業者・北村精男(あきお)が考案したもの。油圧発生装置を本体に内蔵し、単体で使用できた。当時の建設機械で常用されていた油圧は最大14~17MPa(メガパスカル)であったが本機で100トンの杭圧入引抜力を得るためには油圧70MPaが必要とされ、油圧シリンダーに接続する油圧ホース、ピストン密封装置、配管継手などの部品開発が行われた。特徴は静粛性で、同じ作業を打撃式ハンマ工法で行った場合、発生する騒音が約100dBであったのに対し本機は55dBと大幅に低減することができた。(高知県)
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